上 下
5 / 73

第5話 このスキルふざけているのか

しおりを挟む
話が終わって、すぐに水晶による能力測定の儀式が始まった。

これは異世界から召喚した者たちのスキルやジョブが解り、各種能力を数値化して見る事が出来るらしい。

クラスの皆は我先に並んでいたが、早いからと言ってなんら特典がある訳じゃない。急ぐ必要は無い。

僕はゆっくりと、一番後ろに並んだ。

まぁ、僕にはどうでも良い事だ。

測定を終えた奴は、はしゃいでいたが、本当に馬鹿くさい。

「僕は白魔法使いだったよ、白魔法のジョブがあったんだけど?これアタリなのかな?」

「普通じゃないの?私は魔導士だったよ!最初から土魔法と火魔法が使えるみたい」

「いいなぁ、私は魔法使いだって、どう見ても魔導士より格下よね、魔法も火魔法しか無いんだもの」

てっきり僕は『皆が自分のジョブやスキルは解っている』と思っていたんだけど、何を貰ったのかここに来るまで解らなかったんだな…...測定して初めて自分の能力が解るのか。

「気にする事はありませんよ! この世界では魔法使いになるにしても沢山の修行をして初めてなれるのです。最初から魔法のスキルが1つでもあり、魔法使いのジョブでも充分に凄い事ですよ」

「本当ですか? 良かった!」

会話を聞く限り、魔法使いや騎士等が多いみたいだが、それでもハズレではなくこの世界で充分に凄いジョブらしい。

それより良いジョブが恐らく、魔導士とかなのだろう、そう考えると勇者、聖女辺りのジョブが本当の意味で大当たりなのかも知れない。

聞き耳を立てて僕が聞いている限りでは、凄いと思えるようなジョブは今の所『魔導士』位しかでて無さそうだった。

「やった、私、大魔道だってさ、魔法も最初から4つもあるよ..当たりかなこれは」

『大魔道』名前からして『魔導士』の上の凄いジョブの様な気がする。

どうやら魔法を使う、最高のジョブは大魔道なのかも知れない。そう考えると魔導士は少し良いジョブ位だな、本当に凄いジョブはやはり、 勇者、聖女、大魔道、賢者辺りだろうか。大魔道のジョブを引いた平城を見た時に担当の人が驚いた表情を見せていた。

あくまで、そこからの想像に過ぎないが。

まぁいじめられっ子の僕が話しかけて聞く事は出来ない。

それ処か誰にも聞けない。

仕方ないな…僕に友達はいない……ある意味この場にいる全員も敵だ。

◆◆◆

「これは凄い、勇者のジョブがでたぞ」

検査の担当者の驚いた声が聞こえた。

なんで勇者のジョブが大樹なんだ……

あの女神は碌なもんじゃない。


剣聖が大河

大賢者が聖人

聖女が塔子。

あの女神は本当に頭がお花畑なのか?

只のキラキラ4人組。

確かにクラスの人気者。

だが、僕は此奴らの薄っぺらさを知っている。

一度おせっかいで助けようとしてくれたが、僕を嫌いな人間が多いと分ると、すぐに虐め側にまわった。

僕の中じゃ『偽善者』だ。

そしてとうとう僕の番になった。

「なんだ、これは、こんなの見た事が無い」

別の意味で検査の担当者が驚いている気がする。

俺のジョブやスキル、数値は…

聖夜
LV 1
HP 17
MP 14
ジョブ:ジャームズマン(ばい菌男)
スキル:翻訳、アイテム収納(収納品あり)空気人間 お葬式ごっこ ばい菌 亀人間 下級人間 腐る目

これはどう考えてもいじめだ。

そうか……大樹を勇者に選ぶような女神だ。

碌な奴じゃないに決まっている。

良くライトノベルで『冒険者になる』なんて話もあるが、此処迄酷い状態じゃ……それすら、難しいのかも知れない。

このスキル……やはり僕は……終わっている。

きっと、あの女神も僕の敵だったんだ。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

追放された最強賢者は悠々自適に暮らしたい

桐山じゃろ
ファンタジー
魔王討伐を成し遂げた魔法使いのエレルは、勇者たちに裏切られて暗殺されかけるも、さくっと逃げおおせる。魔法レベル1のエレルだが、その魔法と魔力は単独で魔王を倒せるほど強力なものだったのだ。幼い頃には親に売られ、どこへ行っても「貧民出身」「魔法レベル1」と虐げられてきたエレルは、人間という生き物に嫌気が差した。「もう人間と関わるのは面倒だ」。森で一人でひっそり暮らそうとしたエレルだったが、成り行きで狐に絆され姫を助け、更には快適な生活のために行ったことが切っ掛けで、その他色々が勝手に集まってくる。その上、国がエレルのことを探し出そうとしている。果たしてエレルは思い描いた悠々自適な生活を手に入れることができるのか。※小説家になろう、カクヨムでも掲載しています

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

タブレット片手に異世界転移!〜元社畜、ダウンロード→インストールでチート強化しつつ温泉巡り始めます〜

夢・風魔
ファンタジー
一か月の平均残業時間130時間。残業代ゼロ。そんなブラック企業で働いていた葉月悠斗は、巨漢上司が眩暈を起こし倒れた所に居たため圧死した。 不真面目な天使のせいでデスルーラを繰り返すハメになった彼は、輪廻の女神によって1001回目にようやくまともな異世界転移を果たす。 その際、便利アイテムとしてタブレットを貰った。検索機能、収納機能を持ったタブレットで『ダウンロード』『インストール』で徐々に強化されていく悠斗。 彼を「勇者殿」と呼び慕うどうみても美少女な男装エルフと共に、彼は社畜時代に夢見た「温泉巡り」を異世界ですることにした。 異世界の温泉事情もあり、温泉地でいろいろな事件に巻き込まれつつも、彼は社畜時代には無かったポジティブ思考で事件を解決していく!? *小説家になろうでも公開しております。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

【石のやっさん旧作】『心は』●●勇者…さぁ勇者褒美をとらす! 欲しい物をなんでも言うが良い! 「はい、では●●●で!」

石のやっさん
ファンタジー
主人公の理人(りひと)はこの世界に転生し、勇者に選として、戦い続けてきた。 理人は誰にも言っていなかったが、転生前は42歳の会社員の為、精神年齢が高く、周りの女性が子供に思えて仕方なかった。 キャピキャピする、聖女や賢者も最早、子供にしか見えず、紳士な彼からしたら恋愛対象じゃない。 そんな彼が魔王を倒した後の物語… 久々の短編です。

ボッチはハズレスキル『状態異常倍加』の使い手

Outlook!
ファンタジー
経緯は朝活動始まる一分前、それは突然起こった。床が突如、眩い光が輝き始め、輝きが膨大になった瞬間、俺を含めて30人のクラスメイト達がどこか知らない所に寝かされていた。 俺達はその後、いかにも王様っぽいひとに出会い、「七つの剣を探してほしい」と言われた。皆最初は否定してたが、俺はこの世界に残りたいがために今まで閉じていた口を開いた。 そしてステータスを確認するときに、俺は驚愕する他なかった。 理由は簡単、皆の授かった固有スキルには強スキルがあるのに対して、俺が授かったのはバットスキルにも程がある、状態異常倍加だったからだ。 ※不定期更新です。ゆっくりと投稿していこうと思いますので、どうかよろしくお願いします。 カクヨム、小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。

処理中です...