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第14話 寂しい人生ですね
しおりを挟む「ブルーウルフ12体にバグベアー8体ですね…併せて金貨24枚になります! ですが…何故これなのですか? ゴブリンやオーク、オーガを狩った方が楽ですし、皆に喜ばれますよ?」
「それはスキルの都合で狩りやすいから…だ」
「まぁ、冒険者のスキルを聞くのは違反ですから聞きませんが随分と変わった特化型スキルなんですね」
「…まぁね…あはははっ、それに人型の魔物とは『翻訳』の影響で話せるから狩りにくいんだよ」
耳を引っ張られて小声になった。
『多分、それは悟様の特殊スキルですよ?他の異世界人の方の翻訳は人間としか話せませんから、内緒にしておいた方が良いですよ』
『ありがとう』
やはり、これはあのクソ女神がくれたもんじゃ無かったのか…
孫悟空の力…そう言う事だ。
「しかし、難儀ですね…それじゃ普通の魔物は狩れませんね、それで話せない魔物を狩っていた。そう言う事ですか?」
「そうだね」
「それなら、獣系の次は竜種になりますね…まぁ流石の異世界人でも無理ですね…ついてないですね」
いや、もう俺にとっては『討伐』なんてどうでも良い事だ。
「まぁ、獣系だけでも食えるから問題無いよ」
「確かにそうですが…ほら、他の異世界人の方は無双して凄く活躍なさるじゃないですか? 良いんですか?」
「元から城から追い出された位だから、これで良いんだ…飯が食えて風呂付の宿屋に泊まれる、これで充分だよ」
「寂しい人生ですね」
この受付嬢…悪い人では無さそうだけど、一言多いんだよな。
「そうだね」
余計なお世話と言いたいが、態々揉めるのも嫌なのでそのまま後にした。
◆◆◆
運が良かった。
獣系の魔物は知能が低く、また孫悟空が猿だからか、犬っぽい奴具体的に言うと狼系や熊系は狩るのに問題は無かった。
だが、犬系でもコボルドは歓迎はしない物の、俺が通ると頭を押さえガタガタ震えていた。
その状態で狩るのは虐めみたいで駄目だ。
頭を押さえて『ごめんなさい』を繰り返すモフモフ。
無理だな。
結局、今現在俺は…獣系…それも知能の低い者しか狩れない。
まぁ、それは実はどうでも良い。
だって…
『魔王様、お金いりますか?我々は要らないから好きな時に持っていって下さい』
『魔王様、女要りませんか? 我々の使い古しだから使わなかったんですよね? 今度は先に回しますから』
全然困らない。
ただ、魔物が居る場所を歩くだけで、こんな感じだ。
言葉は他の人間には伝わらないから、大丈夫だろうが、森を歩くと魔物が寄ってきて懐いている姿をみたら…不味いだろう。
生活には困らないし、お金はどんどん増えていく。
最近では余裕があるから、収納袋の特大を買って持っているが溜まる一方だ。
ただ、仕事をしているのは…何もしないのが嫌だからしているだけだ。
最早、危険な森を歩くことは散歩にしか過ぎない。
殆どの魔物が近所の人みたいな物だ。
緊張感のかけらも何もない。
俺は一体、この異世界で何をすれば良いのだろうか?
正直言って解らない。
ただ、森の中を散歩して俺は街へと戻った。
何故か受付嬢の言っていた『寂しい人生』が頭から離れられなかった。
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