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第39話 君の名前は?
しおりを挟む失敗した。
カギを亜美に渡して『待っていて欲しい』とリクエストしてしまった。
今の時間は2時…小学校から帰っていく時間で亜美が考えていたらもしサプライズや凝った料理を用意していたら邪魔をしてしまう。
困った…
しかし凄い話を聞いたものだ。
『この世界の女性が全て自分の者に出来る』
こんな事を言われたら見る女性全部が気になってしまう。
時間もあるしDSSSの中を見学してみるか。
しかし、DSSSと言いながらも、女性ばかりで男は殆ど居ない。
男は引き篭もり、ばかりだから仕方が無いのかも知れないな。
多分、部屋から一切出ない状態で暮らしているのだろうな。
DSSSは何でもある…映画館からプール、ゲームセンターまで本当に何でも…
これだけの施設なのに使っている人間がほぼ居ない。
折角なので最初は遊ぼうと思っていたが…遊びは何時でも出来る。
それより、少し気になった事がある。
他の男性がどんな女の子を好んでいるのかだ。
此処DSSSの施設にいる女性は二通り居る。
職員か誰かの男性の取り巻きの子か。
職員の制服を着ていない女性は当然他の男性の取り巻きだ。
勿論、他の男性の取り巻きをどうこうするつもりは無い。
彼女達は『男性にえらばれた幸せな女性』なんだからな...
それに…全員…まるで男の子みたいにしか見えなかった。
女性が嫌いな世界なのだとこれで良く解る。
胸が無い、お尻が小さいこれがほぼ共通。
後は背が高いか低い、両極端。
職員にはミニスカートを履いている存在がいるが、恐らく誰かの男性の取り巻きの子は長ズボン、長袖ばかりだ。
『本当に男にしか見えない子ばかりしか居ない』
男性に会う事も出来ない女の子が山ほどいるんだ、確かに可愛い子もいるけど相手がいる子を態々選ぶ必要は無いな。
男性が1人でベンチに座っているのが珍しいのかチラチラとこちらを見ている子が多く居る。
特に職員の方は結構気になっているようだ。
職員のミニスカートの丈は凄く短く、パンチラ処かパンモロなのは凄いと思ったし目の保養になる。
暫く周りを眺めていると…可笑しな者を見かけた。
観賞用の植木鉢の傍で隠れるように体育座りをしている女の子がいる。
髪型は歪なショートカット、一番近いのはおかっぱ頭を自分で切ったような感じで茶髪。
年齢は恐らく中学生位。
この世界の男性はボーイッシュでスレンダーを好むが彼女は更にあばらが浮かんでいた。
肌は褐色で可愛らしいが…驚く事に首輪をつけていて更に裸だった。
これは可笑しい…男は裸を嫌う…そうか痴女だ。
近くの職員に声を掛けた。
小さな声で「あそこに痴女がいます、逮捕して下さい」
そう言うと…
「ああっあれは満子ちゃん…痴女じゃ無いですよ」
「ここはDSSSですよね、俺は兎も角、他の男性の手前不味く無いですか?」
この世界の男性は女性の裸を嫌う、そんな中で裸でDSSSに居るなんて可笑しすぎる。
「そうなんですが…あの子には特別な事情がありまして…直接話してみますか? あの…バスタオルを一枚貸してあげる許可をお願いします」
「構いません」
まぁ丁度良い暇つぶしになるか。
◆◆◆
俺が絡んでいるせいか美香さん対応になった。
「貴方はもう下がって大丈夫だから」
「それでは後の対応、お願い致します」
「任せて…それで正平様、彼女ですが…簡単に言うと男性からの支援が完全に止められたからなんです…見苦しいという事ならこのまま捨てましょうか」
「そんな、ごめんなさい…ごめんなさい、許して下さい」
彼女はバスタオル1枚で寒いのか鳥肌がたっていてガタガタ震えていた。
「あの…状況を教えて貰えませんか?」
「実は…」
そう言うと美香さんは彼女について話始めた。
話を聞くと凄く胸糞悪い話だった。
彼女には知り合いの男性が居た。
ほぼ引き篭もりだった男性だったが、義務の関係でパートナーを探さないといけない時期がきた。その為名簿から彼女が指名されメールだけの付き合いが始まった。ただ、メールだけの付き合いだったが、長い付き合いになり、そろそろ義務で女性の登録が必要になった時期になった為彼女と『顔見知り』から付き合いをスタートするかどうかまで話が進んでいたそうだ。
だが、運が良いのか悪いのか、かなり高齢の男性から、同じく名簿から指名がはいった。
最初の男性が32歳、後の高齢の男性が65歳だった為、彼女は若い方32歳の男性をとった。
普通なら此処で32歳の彼と交際が始まる所だが、この65歳の男性はプライドの高い男だったので引かなかった。
その為間にDHC(男性保護施設)が間に入り、話し合いが行われ、そもそも、そこ迄好きじゃ無かった32歳の男性は『その方がそこ迄好きなら譲るよ』という話になり彼女から手を引いた。
普通に考えたら条件は悪くなるが男性との交際が始まる。
筈だったが…この男性は『プライドを傷つけられた復讐』の為に彼女を引き取っただけだった。
最初に彼女のお金を貢ぐだけ貢がせてて1文無しにし…更にDSSSの支給のお金を全部自分に渡すような書類にサインさせた…それだけじゃなく、最終的にはDSSSへの入居は許すけど、部屋は要らない…そんな風に依頼したらしい。
だが…それだけじゃ裸で生活している訳がわからない。
「あのそれじゃ裸で生活しているのは可笑しいじゃないですか?」
「あはははっ…『服は全部儂の支給金から出た物だから返せ』と脱がされちゃったんですよ」
「ですが、その首輪は…」
「これをしている条件で、ご飯を1日一回食べる権利とトイレを使える権利が貰えているんです」
「あの…これは本当ですか?」
「ええっ、概ね合っています」
「これは流石に法律違反じゃないんですか?」
「此処はDSSSです…男性の意見の方が優先されます...」
良く見ると彼女は体中に痣があり、口も切っていた。
「この傷は?」
「ううっ、偶に気が向くと手にグローブをつけてサンドバックゴッコとか言って殴ったり蹴ったりするんです」
「これは流石に暴行罪になるんじゃないですか?」
「すみません…男性にはそう言う趣味もある方もいますので、注意しか出来なくて」
何処までも女に厳しい世界だな。
「そうですか? それでこう言うクズみたいな男は結構いるんですか…」
「私の知る限りでは、殆どの男性は女性に興味はありません…女性を強く嫌悪するEランクでも基本は女性に関わらず、性的な行為を強要すると暴力を振るう位です、積極的に暴力を振るう人間はこの方位ですね」
仕方がないな…
これを放置したら人間として駄目だ。
「相手の男性のランクは?」
「Eランクです…」
「話を聞いてて目障りです、その65歳の男性どうにか出来ませんか?」
「正平様...そうですね、横柄な爺ですし、ただでさえEランクで精子は着床率が低く価値は低い、まして65歳じゃもうその精子に価値なんて無い…正平様の生活に支障がでる…そう言うのであれば『老人施設』送りに出来ますが…」
「老人施設?」
「はい、繁殖能力の無い男性が『女性』と関わらずに生きていける楽しい場所ですよ(笑)」
そう言いながら美香さんが黒い笑顔で笑った気がする。
多分この爺が嫌いだったけど『男性保護法』とかでどうにも出来なかったんだろうな…
「それじゃ、お願いします」
「畏まりました…それでその子はどうします?」
「どうしますって?」
「爺を処理するとDSSSの保護を外れます、このままの状態で叩きだす事になります」
はぁ~解ってて聞くんだな。
「君の名前は?」
「堀江満子(ほりえみつこ)です…不愉快な想いをさせてごめんなさい…だけど、私にはどうする事も出来なくて…グスッ、本当は嫌なのに…こんな家畜みたいな生活嫌なのに…どうする事も出来ないの…ごめんなさい…嫌な思いさせて…これで出て行けます…こんな状態で出て行けば警察に捕まりますが…グスッ、それでも今よりマシです…少女院に入れますから…うわぁぁぁぁぁー-ん、グスッ」
「それじゃ俺の『顔見知り』になりませんか? 嫌じゃ無ければですが…」
「あの…一旦男性に登録されたら…グスッ、出来ないんですよ変更なんて…私はもう終わりですよ…嬉しかった、年下の可愛い男の子にそう言われるなんて…夢みたいです…この思い出だけで強く生きていけます…ありがとうグスッ…本当にありがとう」
「その方は特殊な方なんです…世の中で唯一人、他の男から女性を奪える方なんです…さぁ堀江満子さん…この申し出を受けますか?」
「あの..グスッ本当ですか?」
「はい」
「それならお願いします…」
「それじゃ、すぐに変更します…勿論部屋や洋服、必要な物もすぐに支給しますね…」
「良いんですか?」
「はい…たった今から貴方は正平様の者です、頑張って下さいね」
「はい、ありがとうございます」
これ…きっと美香さんに嵌められた気がする。
まぁ自重は辞めるって決めたから…良いか…
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