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第26話 地上最強の亀岡流
しおりを挟む「頭蓋骨に皹が入っているだと!…嘘だろう」
医者が言うには頭蓋骨に大きく皹が入っているそうだ。
「ただのデコピン1発で固い額の骨に皹が入ったというのか、信じられないな」
「あれはデコピンじゃない狐手だ!まさか、あんな技まで使えるとは…」
「狐手?」
「ああっ、影遊びの狐の形に手をして中指薬指親指の3本を使い突く技だ、達人になると、それで石が割れるらしい…」
「それを額に食らった…そう言う事か…」
「ああっ」
そんな物騒な技を彼奴は笑いながら使ったのか…
「それで時也の復活は可能なのか?」
「いあや、もう無理だろう…皹の入った頭蓋骨を取り出して人工骨をいれるそうだ…理論的には可能らしいが、そんな頭でパンチなんて受けたら大変だ…もう無理だな」
「そうか、それで大橋ボクシングクラブは…」
「もう解散だな、二枚看板を失って1億5千万も無くなっちゃ…終わりだ、終わり」
「だが、1億5千万は…」
「今の時也に払えってのは酷だろう…良い夢を見たと思って諦めるさぁ…世界チャンプに東洋チャンプに新人王候補、鶴橋三兄弟と出会った俺は幸せだ! 業界の嫌われ者だった俺が、テレビや週刊誌の取材を受けて…雑誌の表紙を飾る…良い夢だったな…」
「それでどうするんだ!」
「一線のジムから離れるだけで、完全には辞めんよ。少しは金が残るから、ボクササイズのジムでも開くかな…時也も健四郎や賢吾もリングには上がれなくても、指導位は出来るだろう…特に時也は女性人気もある…元世界チャンピオンが教えるボクササイズ…いけそうじゃ無いか?」
「そうか?」
「それでお前はどうすんだ?!」
「もう道場は息子に任せて引退する…あんなのを見せられたんじゃもう、無理だ…地上最強の空手なんて看板はあげられないな…恐らく地上最強は亀岡流だ…とんでもない弟子を残していったものだ」
亀岡流ってなんなんだ…ボクシングのプロの俺から見たら、素人にしか見えない。
それが強い…訳が解らない。
「あれ…本当に強いのか…」
「亀岡仙人も、爺にしか見えなかったし、見た感じ強く見えなかったらしい…同じじゃないか?」
「見たいな…」
「何をだ!」
「獣VS亀岡流…ライオン、虎、白熊と戦って本当に勝てるのかをな…」
「うむ、海の中でシャチやサメに勝てるのかも知りたい」
「そうだな」
だが、きっと我々がそれを見る事は無いだろう。
金を手にした彼奴が、戦う事は恐らくないだろうからな。
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