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怒られた。

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静止を掛けたままのリリを抱き抱え、湯船につけた。

最初はシャワーを使い、体を洗おうと思ったが…かなり体に色々な物がこびり付いていたのに気がつき、ふやかそうと思った。

リリを漬けた湯船の水がドブ以上に汚くなり…さっきの部屋の臭いに近い異臭を放った。

直ぐにお湯を抜き、新しいお湯を入れ直した。

「リリ、このままお湯につかっていて」

「あうあうわぁぁぁぁーーー」

言葉は話せない…だが昔のリリはお風呂が好きだった。

体には切り傷があるから、沁みて痛い筈だ。

だが、それでも…気持ちよさそうにリリがしている気がする。

何となくだが…ご機嫌そうに見えた。

暫く、湯船につかっていて貰おう。

「リリ…湯船に暫くつかっていて」

「ああうあうわ」

意味は解らないが、恐らく簡単な事なら理解している気がする。

完璧に壊れてしまっていたら、意味が解らない筈だ。

これは、リリなんだ、それが解り、少しだけ嬉しかった。

リリとの生活の為には、多分色々必要だ…買いそろえる必要があるな。


ふとドアの方に目をやるとメモが挟まっていた。

メモには…『手がすいたらフロントに来い』そう書かれていた。


◆◆◆

フロントに顔を出すと怒った形相の女性のゴブリンが居た。

この宿のおかみさん、ゴブミさんだ。

「あのリヒトくん、市場で壺を買ったんだって」

「はい」

「壺を割ったでしょう? さっき他のお客様から、異臭がするってクレームが入ったのよ」

確かに凄い異臭がした…此処は宿屋だ。

割と高級だから、外までは臭わないと勝手に思っていた。

「ごめんなさい」

「まぁ良いわ、主人が今謝りにいっている、今日は運よく1客しか居ないから…それでどうする?」

「俺も謝りに行ってきます」

「そう…今後の話は、それが終わってから話そうか?」

「はい」

俺は部屋の番号を聞くと直ぐに走って

「リヒト君、危ないから走らない」

「はい…すみません」

部屋に近づくとドアの所で、ゴブリンがヒツジ頭の魔族に頭を下げていた。

「申し訳ありません」

「私は怒っているのでありません、理由を聞いているのです」

「すみません、俺が悪いんです」

「君は?」

「今回の異臭の原因を作った者です」

「そうかい…理由を聞いて良いかい?」

「その…壺を割りました」

「ほぉう…その年で壺を買ったのか?」

何だか…変な目で見られている気がするな。

「はい」

「それで、君は、その壺に入っていた人間を奴隷兼ペットにするのかい? それとも食べるのかい?」

正直に話すべきだな。

「飼うつもりです」

リリごめん。

「そうか…君は魔族としてはまだ子供、赤子に近い、だからこれで良い、許してやるよ。それに似た様な趣味を持っていそうだから、将来仲良くなるかも知れぬ。 だから、少し教えてやるよ。 壺入りの奴隷は汚いから、外で壺を割るんだ、川の近くがベスト。そうすれば、取り敢えず川で体を洗えるだろう?」

確かにそうだ。

「確かにそうですね」

「ああっ、後な、大体が手に負えない位汚いから、その後に冒険者ギルドで『洗体』を依頼するんだ」

「洗体ですか?」

「何だ、そんな事も知らないのか? 冒険者ギルドで『洗体』という依頼を出す事も出来る。まぁ体の大きなオークやオーガがさっぱりしたい時に頼む依頼だ…その時にちゃんと洗う相手が人間だと言う事を言うんだぞ、そうしないとトラブルになるからな」

「教えて頂き、有難うございます」

「まだだ、それが終わったら、次は神官を呼ぶ必要がある…壺に入って売られる様な人間は不衛生で病気持ちも多い、オークの使った奴は確実に性病持ちだ…治療した方が良いぞ…言って置くが教会に行くなよ…これも冒険者ギルドに代行を頼むんだ」

可笑しいな…教会は性病は治してくれない筈だ、それにオークは性病となにか関係があるのか?

「教会は性病を治してくれなくて…オークは性病と関係があるのですか」

「ハァ~誰がそんな事言ったんだ、邪神官様は性病も治してくれるし、オークやゴブリンは性病に強いから、そんなのお構いなしにやっているから非常に危ない」

そうか…教会に祀られているのは女神じゃ無くて邪神…だからもう関係ないんだ。

「なにから、何まで有難うございます」

「お前は子供だ…しかも壺を買う位だから親も居ないのだろう…知識が何のは仕方ない…これからは、ちゃんと考えて行動するんだぞ」

「本当にすみませんでした」

「最後に、人間だって生き物なんだ、飼った以上は責任もって育てるんだぞ」

「はい」

「まぁ、私も昔人間を飼った事がある…人間は寿命が短いから、悲しい別れになってもう飼わないと決めたんだ…まぁ頑張って育てるんだぞ、少年」

「有難うございました」

そうか…今の神官はそうだよな、邪神を信仰しているんだよな…

それなら、お金さえ払えば、リリは元に戻るかも知れない。

女神は処女神だからか性に対する事に魔法は効かない。

邪神なら多分、そんな事は無い。

多分、きっと治してくれる。


◆◆◆

「それでね、リヒト君、こう言う事は次からちゃんと聞いてからにしてね」

「そうだ、人間を飼うなら…言ってくれないと、宿屋によっては飼育不可の所もあるんだ」

「すみません」

「それでな、うちはOKだが、料金が1.5倍になる、大丈夫か?」

「はい、それでお願いします」

「あと、部屋の方なんだけど、冒険者ギルドに頼んで清掃するから、その金額も負担してもらいます。いいですね」

まぁ、あそこ迄汚しちゃそりゃそうだ…

「勿論、払います、ご安心下さい、それでギルドに頼むのでしたら、先程の方から聞いた方の手配もお願いできますか?」

「なに、それ」

「ああっ、ちゃんと払ってくれるなら構わない」

ご主人が、奥さんに説明してくれた。

「「それじゃ、これからも宜しく」」

「本当にお手数を掛けました」

部屋に帰ると…リリがのぼせた状態で湯船につかっていた。

「ごめん、リリ」

「ううぅーーぅううーーっ」

少しのぼせて顔が赤いリリが凄く可愛らしく見えた。


魔王様は怖い事を言っていたが...魔族の方が人間より優しく感じるのは何故だ...







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