上 下
73 / 85

第73話 【閑話】血のアンスイム①

しおりを挟む

アンスイム、この街でレイス、フランソワ事 貧乳聖女は暮らしていた。

家名が無いのは、実家と縁切りになった為だ。

レイスが『貧乳至上主義』を打ち出した事にレイスの実家である、ジョルジュ伯爵は反発した

姉のカトリーヌはまごうこと無き巨乳…そして女の使用人の多くは巨乳。

『聖女で手柄を立てたとはいえ、実の姉の住みにくい世の中を望む等、娘ではない』

そう言いジョルジュ伯爵はレイスと縁切りをした。

ジョルジュ伯爵は、貴族の間でも巨乳好きで通っていたから『自分を否定された』そう思ったのかも知れない。

『貧乳至上主義』それを打ち出した後のレイスの生活は決して楽では無かったと言える。

「お前ぇぇ、お前のせいだぁぁぁぁぁー-娘の縁談が、娘の縁談が流れたんだぁぁぁー-!」

「煩いわね…それがどうしたの? 胸が大きいのが悪いんじゃないの? 醜い胸に生まれてきたから…可愛そうに…」

「ふざけんなぁー-っ! 娘は娘は器量良しで通っていたんだ、それがお前のせいで『女神に嫌われるから』と破断になったんだぞ…」

「ふんっ、それが何? 醜い胸に生まれたのが悪いのよ!」

レイスが歩けば必ず何か揉め事が起きる。

それが当たり前だった。

考えが変わっても、すぐに全てが『貧乳』の世の中になったわけじゃ無い。

巨乳の人間、家族は沢山いる。

巨乳が醜いという扱いに急になれば…巨乳の人間は誰もが恨むだろう。

『貧乳』の女性やその家族はレイスを擁護し、『巨乳』の女性やその家族はレイスを恨んだ。

世は正に『乳戦争時代』だった。

そして『巨乳』の女性にとってレイスは…最も忌むべき存在となっていた。

「このリンゴ3つ頂戴!」

「レイス、貴方には売らない…私の胸を見な! 生まれつき大きいんだ! あんたは貧乳至上主義なんだろう? 胸の大きな女からなんて物は買いたく無いだろう?」

「そうね…醜い胸の女からは要らないわ…ふん、ブス」

「そう?だったら消えな!商売の邪魔だ!」

胸が大きい女性やその家族の店はレイスに物を譲ってくれない。

聖女であるレイスにとって本来は教会は無条件で味方になる筈だが…

「聖女様、申し訳ございませんが当教会には巨乳のシスターもおります…流石に行き場のない子を追い出すのは忍びないのです…暫くお時間を頂けないでしょうか」

「私はそこ迄は言っていないわ」

「いえ、聖女様に不愉快な思いをさせたくはありません、どうか他をあたって下さい」

「そう…解ったわ」

レイスは『貧乳』の経営する店や貧乳が多い教会を選ばなければならない程…不自由な生活を送っていた。

かなり多くの女性やその家族から恨まれていたから石をぶつけられる事すらあり得た。

世界が『貧乳至上主義』に変わろうと、巨乳の女性がすぐに居なくなるわけでは無いのだから…

◆◆◆

「よく顔を出せたもんだな!カトリアとエリッタはお前が来るなら来ないそうだ!」

「そう、無責任なのね…」

「違うだろう! お前が変な願いをし、それが叶えられた結果…彼奴らは『醜い女』扱いだ…お前の顔なんて見たくないのは当たり前だ! 俺だって本当はお前になんて会いたくなんてねーよ!今やあいつ等は俺の妻だからな!だが、今回は魔族の活性化の話だから来ただけだ」

「そう? だったらどうするの?」

「俺はお前と一緒に行動する気は無い! 話を聞いた後は…別行動だ」

「そうね…奇遇ね、私も貴方達と一緒に行動する気は無いわ」

この勇者パーティの仲たがいの結果…二人は数日後命を失う事になった。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者パーティを追放されかけた魔法剣士は、昭和バブルの夢を見るか?

石のやっさん
ファンタジー
パーティーでお荷物扱いされていた俺は、とうとう勇者でありパーティーリーダーのガイアにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全員がガイアに賛成で、居場所がどこにもないことを悟った。 余りのショックで、頭痛が起きて気を失った。 そして、俺は…前世の自分を思い出した。 その結果『仲間達が正しい』と理解してしまった。 そんな俺がとった行動は… ちょっと変わった『ざまぁ』の方法を書いてみたくてチャレンジです。 最初の1話は「自分の作品からアレンジしました」 大きく物語が変わるのは2話からです。 今度の主人公の前世は…昭和生まれです

【リクエスト作品】邪神のしもべ  異世界での守護神に邪神を選びました…だって俺には凄く気高く綺麗に見えたから!

石のやっさん
ファンタジー
主人公の黒木瞳(男)は小さい頃に事故に遭い精神障害をおこす。 その障害は『美醜逆転』ではなく『美恐逆転』という物。 一般人から見て恐怖するものや、悍ましいものが美しく見え、美しいものが醜く見えるという物だった。 幼い頃には通院をしていたが、結局それは治らず…今では周りに言わずに、1人で抱えて生活していた。 そんな辛い日々の中教室が光り輝き、クラス全員が異世界転移に巻き込まれた。 白い空間に声が流れる。 『我が名はティオス…別世界に置いて創造神と呼ばれる存在である。お前達は、異世界ブリエールの者の召喚呪文によって呼ばれた者である』 話を聞けば、異世界に召喚された俺達に神々が祝福をくれると言う。 幾つもの神を見ていくなか、黒木は、誰もが近寄りさえしない女神に目がいった。 金髪の美しくまるで誰も彼女の魅力には敵わない。 そう言い切れるほど美しい存在… 彼女こそが邪神エグソーダス。 災いと不幸をもたらす女神だった。 今回の作品は『邪神』『美醜逆転』その二つのリクエストから書き始めました。

勇者パーティを追放されそうになった俺は、泣いて縋って何とか残り『元のDQNに戻る事にした』どうせ俺が生きている間には滅びんだろう!

石のやっさん
ファンタジー
今度の主人公はマジで腐っている。基本悪党、だけど自分のルールあり! パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のリヒトは、とうとう勇者でありパーティリーダーのドルマンにクビを宣告されてしまう。幼馴染も全員ドルマンの物で、全員から下に見られているのが解った。 だが、意外にも主人公は馬鹿にされながらも残る道を選んだ。 『もう友達じゃ無いんだな』そう心に誓った彼は…勇者達を骨の髄までしゃぶり尽くす事を決意した。 此処迄するのか…そう思う『ざまぁ』を貴方に 前世のDQNに戻る事を決意した、暗黒面に落ちた外道魔法戦士…このざまぁは知らないうちに世界を壊す。

俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。 ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。 だから、ただ見せつけられても困るだけだった。 何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。 1~2話は何時もの使いまわし。 亀更新になるかも知れません。 他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。

勇者に闇討ちされ婚約者を寝取られた俺がざまあするまで。

飴色玉葱
ファンタジー
王都にて結成された魔王討伐隊はその任を全うした。 隊を率いたのは勇者として名を挙げたキサラギ、英雄として誉れ高いジークバルト、さらにその二人を支えるようにその婚約者や凄腕の魔法使いが名を連ねた。 だがあろうことに勇者キサラギはジークバルトを闇討ちし行方知れずとなってしまう。 そして、恐るものがいなくなった勇者はその本性を現す……。

【完結】魔力なしの役立たずだとパーティを追放されたんだけど、実は次の約束があんだよね〜〜なので今更戻って来いとか言われても知らんがな

杜野秋人
ファンタジー
「ただでさえ“魔力なし”の役立たずのくせに、パーティの資金まで横領していたお前をリーダーとして許すことはできない!よってレイク、お前を“雷竜の咆哮”から追放する!」 探索者として“雷竜の咆哮”に所属するレイクは、“魔力なし”であることを理由に冤罪までかけられて、リーダーの戦士ソティンの宣言によりパーティを追われることになってしまった。 森羅万象の全てが構成元素としての“魔力”で成り立つ世界、ラティアース。当然そこに生まれる人類も、必ずその身に魔力を宿して生まれてくる。 だがエルフ、ドワーフや人間といった“人類”の中で、唯一人間にだけは、その身を構成する最低限の魔力しか持たず、魔術を行使する魔力的な余力のない者が一定数存在する。それを“魔力なし”と俗に称するが、探索者のレイクはそうした魔力なしのひとりだった。 魔力なしは十人にひとり程度いるもので、特に差別や迫害の対象にはならない。それでもソティンのように、高い魔力を鼻にかけ魔力なしを蔑むような連中はどこにでもいるものだ。 「ああ、そうかよ」 ニヤつくソティンの顔を見て、もうこれは何を言っても無駄だと悟ったレイク。 だったらもう、言われたとおりに出ていってやろう。 「じゃ、今まで世話になった。あとは達者で頑張れよ。じゃあな!」 そうしてレイクはソティンが何か言う前にあらかじめまとめてあった荷物を手に、とっととパーティの根城を後にしたのだった。 そしてこれをきっかけに、レイクとソティンの運命は正反対の結末を辿ることになる⸺! ◆たまにはなろう風の説明調長文タイトルを……とか思ってつけたけど、70字超えてたので削りました(笑)。 ◆テンプレのパーティ追放物。世界観は作者のいつものアリウステラ/ラティアースです。初見の人もおられるかと思って、ちょっと色々説明文多めですゴメンナサイ。 ◆執筆完了しました。全13話、約3万5千字の短め中編です。 最終話に若干の性的表現があるのでR15で。 ◆同一作者の連載中ハイファンタジー長編『落第冒険者“薬草殺し”は人の縁で成り上がる』のサイドストーリーというか、微妙に伏線を含んだ繋がりのある内容です。どちらも単体でお楽しみ頂けますが、両方読めばそれはそれでニマニマできます。多分。 ◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうとカクヨムでも同時公開します。3サイト同時は多分初。 ◆急に読まれ出したと思ったらHOTランキング初登場27位!?ビックリですありがとうございます! ……おいNEWが付いたまま12位まで上がってるよどういう事だよ(汗)。 8/29:HOTランキング5位……だと!?(((゚д゚;))) 8/31:5〜6位から落ちてこねえ……だと!?(((゚∀゚;))) 9/3:お気に入り初の1000件超え!ありがとうございます!

勇者のハーレムパーティを追放された男が『実は別にヒロインが居るから気にしないで生活する』ような物語(仮)

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが 別に気にも留めていなかった。 元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、彼には時期的にやりたい事があったからだ。 リヒトのやりたかった事、それは、元勇者のレイラが奴隷オークションに出されると聞き、それに参加する事だった。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 そんな二人がどうやって生きていくか…それがテーマです。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公になれない筈の二人が主人公、そんな物語です。 最近、感想欄から『人間臭さ』について書いて下さった方がいました。 確かに自分の原点はそこの様な気がしますので書き始めました。 タイトルが実はしっくりこないので、途中で代えるかも知れません。

たとえば勇者パーティを追放された少年が宿屋の未亡人達に恋するような物語

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。 ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。 だから、ただ見せつけられても困るだけだった。 何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。 1~2話は何時もの使いまわし。 リクエスト作品です。 今回は他作品もありますので亀更新になるかも知れません。 ※ つい調子にのって4作同時に書き始めてしまいました。   

処理中です...