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幸せな女に不幸せな男
しおりを挟む4人で下着を買い終わったあと、冒険者ギルドに併設されている酒場で食事をしていた。
まだ実質結婚はしていないけど『稼ぎのある優しい旦那が居る』というのは本当に素晴らしいわ。
「マリベルさん、どうかしたの?」
「私の村では、結婚した村娘の憧れはこういった街でランチをする事だったのよ、仲の良い奥さんで集まってね、うちの元旦那は甲斐性無しだから一度も経験が無かったわね」
「私の場合は政略結婚でしたわ、まぁ私は知らないで『愛されていた』と勘違いしてましたわね、ですが、実際にその、肌を合わせてみたら別物でしたわ、本当にこう『愛されている』そう感じましたわ、はしたないですが」
「そうね、あれは全くの別物ね『本当の愛の営み』ってこういうのを言うのね、此の歳になって女の幸せを知るなんて思わなかったわ」
「そんなに違うの?」
「マリちゃんも愛されているんだな位は解ります。アイシャさん鈍感」
「私だって解るわ」
私達が話していると、ギルドの職員が話し掛けてきた。
「マリベル様、前の村でギルドに冒険者登録がありますね、二重登録になるので前の登録を抹消しておきますね、金貨100枚は、パーティ口座に移す感じでよいでしょうか?」
幸せ過ぎてすっかり忘れていたわ。
「そうね、それで良いわお願いいします」
「畏まりました」
幸せになったせいか金貨100枚なんてすっかり忘れていたわ。
◆◆◆
街に来た俺は宿屋を借りて、獲物を探した。
本当は若い女も良いが、俺も流石に歳だ。
この際、ヒモにしてくれるなら歳上でも構わない。
そう思っていたら、昔、俺が貢がせていた女が居た。
名前は確かサーヤだったな。
もう良い歳だが、この際此奴で手を打ってやろう。
声を掛けた。
「久しぶりサーヤ、良かったら俺とまた付き合わねーか?」
「あんた馬鹿にしているの? 何時までも女が貴方を好きでいるなんて思わないでね」
いきなり、俺の顔にビンタが飛んできた。
「痛てぇ、何するんだ!」
「あんた、私に何したか忘れたの? 散々貢がせて置いて、好きな女が出来たって行方くらましてさぁ…何様のつもり?」
「そんな、昔の事は忘れた…」
「そうね、もう大昔の事だもんね! だが私は忘れていない。今は結婚して幸せだけど、あんたの顔見たら不愉快になった、ぶん殴ってやる『現役冒険者、鉄拳のサーヤ』のパンチは痛いわよ」
「止めろ、そんな事したら訴えるぞ」
「すれば? あんたさぁ『息子の勇者に絶縁されたんだろう?』 そのせいで教会も冒険者ギルドもあんたは助けないって、勿論国もね、つまり殺しても問題が無いのよ!」
そう言うとサーヤはグーパンで俺を殴った。
「痛い、本当に止めてくれ」
「本当はボコるつもりだったけど、止めてあげるわ。情けない顔! まぁ大嫌いだけど、楽しかった思い出も本当に僅かにあるから教えてあげるわ…もう貴方には『聖教会』の勢力範囲では人権が無いわ『勇者に嫌われた』のだから当たり前の事よ…帝国に向って、その先なら『聖教会』の勢力が及ばない国ある、そこに行くしかないわ」
「そうなのか…すまないな」
「良いのよ《そんな所にたどり着く事は無いでしょうね、その前に野垂れ死ぬわ》」
此処にも俺の居場所が無い。
この街から、出て行くしかないな。
◆◆◆
その後のリューズを見た者は誰も居ない。
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