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マリ
しおりを挟む「私は作ってただけだもん。だから責任は無いもん。」
「お前はふざけているのか? その道具の名前がブレイブキラーだった時点で解かる筈だろうが」
「道具は道具だよ。剣だってそうでしょう? 使う人次第じゃないのよ! 盗賊が人を殺したって作った人の罪を問うなんて聞いた事ないもん」
私はただ『古の古代兵器』を作っていただけなのに、捕らえられて殺されそうになっている。
どう考えても可笑しい。
『殺される』なんて冗談じゃない。
「良い歳したババアが『もん』なんて気持ち悪いぞ、仕方ないだろう? お前の作っていた武器に古代語で『ブレイブキラー(勇者殺し)』と銘うっていたんだからな」
「だから、そんなの私知らないよ」
「そんな言い訳、無理があり過ぎるだろう、お前は『天才』と呼ばれているんだからな」
「だーかーらー古代語でも幾つか種類があって、知らない文字だって何回も言ったじゃない」
「信じられねーよ、それに俺みたいな下っ端に言った所で何も変わらないぞ」
「そうね、言うだけ無駄な事は解っているもん。だけど酷すぎるんだからどなりたくもなるじゃない」
こんな事しても無駄なのは解っているよ。
物を作っただけで殺されるなんて悔しいんだもん。
だけど、此処から出る方法は無いんだから、処刑を待つしかないのかな。
◆◆◆
「元気か?」
「元気な筈ないじゃない!ご飯は不味いし、もうすぐ殺されちゃうんだからー」
逃げたくてもこう厳重じゃ無理。
もう殺されちゃうんだから。
終わりよ。
「もしかした、処刑を免れるかも知れないぞ」
「本当?」
「お前が作ろうとしていた武器の元本が古の賢者様の物だと解かった」
「嘘、私のご先祖様が賢者だったの?」
「あの本が、お前の先祖の物だったと言う事ならそうだ、そこで今揉めているのだ」
「揉めている?」
もしかして私助かるかも知れないの。
「そうだ、『勇者を殺す武器を作ろうとした罪』『賢者の子孫』その二つでどうするかだな」
「だから、知らなかったんだもん。」
「まぁ数日中に、どうするか結論はでる」
「ちょっと、教えてよ」
「知らねーよ、俺は只の牢番だ、上の報告をただお前に伝えているだけだ」
「使えないわねーーっ」
「悪かったな」
ただ殺される運命よりはましだけど、どうなっちゃうのよ。
◆◆◆
「お前の運命が決まった」
「どうなるの?助かるの?」
「お前は物騒だから、誰かがお前の身元を引き受けるなら助かる。」
「意味が解らないよ」
「簡単に言うなら、身分が高くお前の責任をとれる様な人間に奴隷として宛がわれる『欲しがる人間が居れば奴隷として生きられる』
「奴隷として? そんな酷い! 女としての尊厳」
「お前馬鹿か? 28歳のババアに女としての価値は無いな、しかもお前は『世紀の犯罪者』誰が引き取るって言うんだ、しかも競りじゃないからお前の事なんか知らない」
ちょっと、それって不味いんじゃないの?
28歳の女? 『世紀の犯罪者』それで誰が欲しいって言うの?
完全に『ただ殺したんじゃない』という理由つけ、殺されるの確定だよ。
「確実に私処刑されるんじゃない」
「ああ、多分な」
「酷い、本当に酷いよーーっまだ死にたくない、やりたい事が沢山あるんだもん、助けて」
「まぁ無理だ諦めろ」
もう私の人生は終わった。
◆◆◆
「お前は本当についているな、お前の引き受けてが出たそうだ」
「誰なの」
「勇者パーティのセレス様だ、良いか? 勇者パーティの英雄様だ、迷惑を掛けるなよ」
セレス様? そんな方が何でわたしの事を引き受けてくれるの?
わからない、まぁ会ってから考えれば良いよね。
それから馬車に載せられて、わたしは買ってくれたセレス様の元へ送られた。
◆◆◆
「初めまして、マリちゃんです。武器を作っていただけで殺されかけていました。助けてくれてありがとう….本当に作っていただけ、なんです。信じて下さい」
しかし、地味だけど凄い美少年..じゅる…捕まって良かった。
女に産まれてよかった…しみじみ私は思いました。
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