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民の為に死んでくれ

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「そんな、態々、『剣聖』に『聖女』を呼んだのに、マリアを逃がしたのか?」

「正確には、外で捕まえたから、そのまま連行して奴隷として売り飛ばしたそうです」

「はんっ、勇者パーティもえげつない事するわい、態々逃がすとは、まぁ犯罪奴隷だ誰も買わないでそのまま処刑じゃろう」

「それが落札されたようです」

「嘘だろう、誰に落札されたんだ」

「英雄セレス様です」

「ふざけるな! まさか示し合わせて居たのか」


「アレ様…もう貴方には関係無い話しです」

「宰相、それはどういう事だ…うん、何故そこにカイが縛られておるんだ」

「王よ、いやアレ、貴方は『剣聖』『聖女』を呼ぶのに『お金に糸目をつけない』そう言った」

「言ったがどうした?」

「貴重な転移石を使わせ、魔王討伐の旅を中断させ、此処に呼び寄せた」

「宰相?」

「その金額がいかな金額か知らなかったのでしょうか?」

「どんな金額なのじゃ」

「勇者パーティの戦費調達の為にこの国は『聖教国』と『勇者輩出国』にて分割統治する事になりました」

「それはまさか…」

「はい、代金はこの国、その物という事で御座います」

「おい、幾らなんでも、そんな事はないだろう…おい」

「豚、口をきくな、お前は何をしたんだ? この国の為に尽くした『マリア様』を追放して、この国を他国が一目置くのは『元聖女』のマリア様の戦力があるからでした…それを自ら手放し、更に追い詰める為に勇者パーティを動かした、その結果がこれです。もう貴方は王じゃない。」

「王じゃない俺はどうなる」

「貴方は、もう王でない、貴族でもない、そして平民ですら無い」

「それでは…あっあああああーーーっ」

「この国を治める為に聖教国と勇者輩出国の人間が来ます、その前に我らの手で処刑します」

「待て、俺は王だ、この国に王に対する忠誠がある人間はおらぬのか」

「そんな者は『もうおりません』良いですか? マリア様は英雄セレス様のパーティに入られた、それは勇者パーティに所属した事を意味する…貴方は世界を敵に回したのだ、それでは…これでさようならです…この罪人を連れていけ」

王よ、すまぬな。

マリア様を失っただけならまだしも『勇者達に嫌われた』そんな人間を王のままにしていたらこの国は潰れる。

王や王子なら、この国の民の為に…死んでくれ。





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