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2話 欲しかった者は

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俺は約束した。

魔王を倒したら好きな褒美をくれると…

その時に念を押した…『本当に何でも好きな物をくれるのか』と。

そうしたら、王は勿論、その上の教皇までもが「思うままに何でも差し上げます」そう言う約束をした。

これに俺は賭けるしかない。

◆◆◆
教皇を含む世界各国の要人が居る中、式は進み、俺が欲しい物を望む時がきた。

クリフ王が静粛な雰囲気で言う。

「さぁ勇者理人よ約束通り、欲しい物をなんでも与えよう言ってみるが良い」

「はっ、では王妃様で!」

俺が望んだのは王女との婚約でも地位でもない『王妃』だ。

真っ青な顔でマリン王女が言ってきた。

その目には涙が浮かんでいる。

「私では…ないのですか? 緊張して言い間違えたのですよね」

「王妃様で…」

「理人なんでー――っなんで僕じゃないのー-っ可笑しいよ」

人目を気にせず泣き叫ぶ賢者ミラノ。

「そんな可笑しいよ…理人は私が好きな筈よ…なんで」

ブツブツと呪うように言葉を発するマリア。

剣聖のレイラは歯を食いしばっていて悔しそうだ。

心が少し痛むが仕方が無い。

進行を止めてしまったクリフ王に代わり教皇であるロマーニが俺に話かけてくる。

「理人殿、貴方は王妃マリアーヌを…望むと言うのですか? それは母とかそういう者でなく婚姻相手という意味ででしょうか?」

「はい」

「そうですか…本来ならそれは教会は推奨できません、他人の妻を望むのは姦淫につながりますからな…ですが貴方は『勇者』です、この世界が女神をそれを許します。これよりクリフ王とマリアーヌの婚姻を無効にし…正式に二人の結婚を認めます、教皇ロマーニの名に置いて…」

これを聞いた瞬間に4人は気絶してしまった。

「待ってくれ、教皇様、これはいかに勇者でも王妃を望む等、無体すぎます」

「確かに…ですが私もあなたも王命まで使い『魔王を倒したなら欲しい物を何でも与える』そう約束をした、理人殿が約束を果たした以上拒めないであろうが」

「しかし…私の面子が…」

「もし違えるなら破門しか…」

「解りました…」

顔を真っ赤にしたマリアーヌが凄く可愛い。

俺にとっては30歳の王妃マリアーヌこそが理想の女性であった。

マリアーヌの手を取り、その他の褒賞と共に俺は城を後にした。


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