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八大司教とそれぞれの愛し方

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最早どうする事も出来ない。

どうしてあげれば喜ぶと言うのだ。

天使様の扱い等、凡夫に過ぎない教皇の私には手に余る。

「教皇様? これから私達はどうすれば良いのでしょうか? これから何をしてどの様に生きれば良いのでしょうか?」

「私にも解りません...天使様が顕現して、更に女神様が顕現までして頼まれる、こんな事は歴史的にありませんよ、我々は歴史的な奇跡の瞬間に立ち会ったとしか言いようがありません」


「そうですな、こんな奇跡は宗教者や信者として凄く光栄です、望まれるなら全てを私を含み八大司教は差し出す覚悟は御座います、命だろうが家族だろうが...ですが」


「ルディウス様はそれを望まず、質素を望むから意味が無い、しかも自分が天使である事すら隠そうとします、この私に直に《隠して欲しい》と依頼してきました」


「確かにそう言われてましたな、それで我々全員でこの教会の者全部に口止めをしました...喋ると地獄に落ちると話し、契約紋まで刻んで」


「天使様のお願いの契約紋だから、誰もが喜んでいて、約束は死んでも守るでしょう」


「だが、当人が知っているのが問題だ、シスター等は自分も寵愛が貰える可能性があると思い、神職なのに露骨に誘惑しようとしだした」

「料理人等は、冒険者を自腹で雇って、ミノタウルの肉やロック鳥の卵を仕入れて《最高の料理をつくる》なんて言い出し、露骨にルディウス様の料理が違っている」


「当たり前だが信者の一部が《天使様》と知ってからは、聖女ホワイト様より格段と上の扱いをするから、そのうちバレるのではないでしょうか?」



そう、あの時の事は、直ぐに教皇や八大司教が《漏らさない様に頼んだ》から教会の1/4の者にしかルディウスの正体はバレていない。

運良く、聖女ホワイト様や賢者グレーテル、ルディウス様の身近な者には殆どバレていない。

だが、直接現場を見た者にはどうやってもごまかしようが無い。

女神の声を聞いた者にはどうする事も出来なく、聞いた者は《自分が女神様に頼まれた》そう思う者が多い。

しかも、将来は《神》になる天使に仕えるのだ...聖人として最大の栄誉の神に仕え、歴史に名前が残るかも知れない、そう思えばじっとしていられなくなるだろう。

この世界は一神教。

その女神に仕える天使...そして将来は神になる。

そんな存在を目にしてしまったら、可笑しくもなるだろう。

まして此処は聖教国なのだから...



【信者たちの会話】


「貴方、生涯貴方を愛すると誓いました、世界で一番愛していると誓いました...ですが今日より貴方は世界で2番です」

「解っているさ...謝る事は無い、俺も2番だ」

「そうですよね、天使様が存在するんですもん、世界で2番目に愛しているわ貴方」

「俺も世界で2番目に愛しているぞ」




「すまないな、俺にとってお前は2番目に大切な存在になった」

「当たり前だよお父さん、私も世界で2番目に愛しているよ!」


「天使様が居るんだもん、身を清めなくちゃ...もう他の人なんて見れませんわ」

「本当に、私、一生操を建てて生きていきます」



【母と娘の会話】


「マリアーヌお母さま...その姿はどうされたのですか?」

「うふっ、昨日勇者様と愛し合ったら若返っちゃったみたい! フランソワーズお姉ちゃんにエレノワールお姉ちゃんにテレジア」

「お母さま、私の事をお姉ちゃんなんて」

「だって、この姿だと多分、エレノワールより少し年下に見えないかな? まぁあくまで少しだけどね...あっ勿論冗談よ」


【フランソワーズ視点】

何なのでしょうか...あのお母さまの姿は、艶々としていて何とも言えない魅力があります。

まるで、王国のルビーと言われた肖像画のお母様に戻ったみたいです。

いえ、それ所か何とも言えない色気が漂ってきます。

これが勇者様と愛し合った結果だと言うなら、私も是非寵愛が頂きたいと思います。



【エレノワール視点】

まさか初日に伽に向う何て思わなかったわよ。

不覚だわ、本当に不覚。

あの綺麗な姿はまるで、昔のお母様だわ。

あの姿に何人の男性が魅了されたか解らない。

王であるお父様が沢山の貴族を押しのけて婚約するまでは貴族の中で血の雨が降ったとも聞いたわ。

正直羨ましい...私は背が高く胸が小さい。

あのような豊満な体持ち合わせていない...

多分、勇者様の寵愛を受けたいなら最大のライバルはお母さまだ。


【テレジア視線】

勇者様は私の者なのに、先にお母さまが手を出すなんて信じられません。

馬鹿な父王があんな事しなければ、私は正室です。

何時でも甘えていられた筈です。

勇者なのですから、姉二人が嫁いだのですから、私と婚約してゆくゆくは...

そんな人生を馬鹿が潰してしまったのです。

本当に心から叫びたい...《私の勇者様を盗らないで》

《私に返して》

だけど、それはもうできない。

正室は聖女であるホワイト様。

私はなれても側室...それに協力してくれる筈のお母様が...何してくれるんですか?

貴方も私の人生を壊す敵なのですか?


「良かったですわね? お母さま...娘を出し抜いて楽しいですか?」

「お母さま、流石に初日から夜這いとは元とはいえ王妃が恥ずかしく無いのですか? お父様も草葉の陰で泣いておりますよ」


「私のお母様は...こんなふしだらじゃありません」


「うふっ、やきもちかしら? だけどそんなに気にする事は無いわ? ルディウス様の寵愛を独り占めしようなんて思って無いし、そんな事は出来ません! あれ程の方なのですから、沢山の女性に囲まれるにきまっています...私はその中の一人で良いのよ」


「「「お母さま...」」」


「そうね、今日は私はルディウス様の寝所に行かないから、誰かが行けば良いんじゃないかしら? ほら頑張りなさいね? 私の娘なんだから」


「そうですね、解りました」

「私も負けません」

「私だって」


「だけど、お母さまは正室には成れませんが、一番の寵愛は貰うつもりですからね、女としてはライバルですからそのつもりでいて下さいね? きゃはっ」


「お母さま少しは手加減して下さい」

「娘に譲る気は無いのですか?」

「酷い...私を側室にすると言ってくれたお母さまは何処にいったのですか?」


「テレジア私は母ですよ? 貴方の腹黒さはちゃんと知っていますわ....それじゃぁ 話はこの位で良いかしら? ルディウス様に愛されて余り眠ってないのよ~ だから私は仮眠しますから...バイバイ~」


「「「ぐぬぬぬぬっーーーーっ」」」


マリアーヌは嬉しそうに手をヒラヒラしながら去っていった。



その頃ルディウスは...ある意味、スカル以上の強敵と対峙していた(笑)











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