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まだ知らない

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【聖剣の祠の近く】


「これで、聖剣が手に入った訳だが」

「その前にルディウス、ちゃんと話す約束ですよ」

仕方ない、余り嘘は言いたく無いんだが...

「解った、隠蔽を解くから自分の目で見てくれ」

「解ったわ」

見た瞬間にホワイトは思わず口が空いたまま塞がらなくなっていた。


ルディウス
LV 77
HP 6180
MP 6440
ジョブ 魔法使い 剣聖 勇者  聖人 大魔道 (転生人)
スキル:アイテム収納、 聖魔法レベル65 回復魔法レベル30 闇魔法レベル33 火魔法レベル45 風魔法レベル54 水魔法レベル82 土魔法レベル30 格闘レベル20 剣術レベル70
     隠蔽 

  剣補正(200%)剣を持って戦った場合は2倍の技量にあがる  勇補正(300%)勇気を持ち戦う場合は3倍の技量に上がる。
    限界突破 聖補正(200%)誰かを助ける場合は3倍の技量に上がる 賢補正(200%)危機に直面した時に2倍の技量にあがる


「嘘でしょう? 勇者?剣聖?聖人?...ヘキサゴンなんて初めて見たわよ! てっきり本物の勇者じゃないのかなって思っていたけど...あはははっ、ナニコレ? 凄く女神に愛されているの? 前世は天使だったとか? もしかして天使長ハービア様に仕えて居たとか...」

「前半は兎も角、後半はそれ別の人だからな、俺は只の人間だよ」

「賢者の私が言い切るわ、貴方はもう人間じゃない」

「いや、俺は」

「正確には《人間扱いされない》そう言いたいのよねグレーテルは?」

「そうだね、私達がそうじゃない? 聖女や賢者は特別扱いされるわ、不本意ながらあそこまで馬鹿をやっても勇者も剣聖も許されたのよ? たった一つでそれなの...そんなジョブが2つ、それに準ずるジョブが2つ、しかも既に何なのこのレベル、もう貴方を人間扱いなんて誰もしないわ...教皇なんてきっと膝磨づいて《私は貴方の忠実な下僕です、何なりとお申しつけ下さい》とか言い出しそう」


「冗談だよな」


「冗談じゃないわ、間違いなくそうなるわね...今の教皇は勇者絶対主義ですからね..ええっその光景が目に浮かぶわ...それにそんな凄いジョブ持っていたら、何処の国の国王だって姫すら差し出すわよ」

確かに、俺も貴族だ...あり得る。



三人で話して居たら、いきなり取り囲まれた。


「間違いない、貴様はルディウスだな? 勇者を殺し剣聖を殺した罪で、その首を貰い受ける」

「勇者や剣聖を殺した大罪人、生かして置く訳にはいかない」

「死して償え」

「貴様は魔族であろう、我々、聖騎士が殺してやる」


聖騎士は10人、殺すのは簡単だ、だが聖女ホワイトの前でやる訳にはいかないな。


「無礼者! アンタ達の目は節穴なの?」


「聖女ホワイト様、行方が解らないと思ったら、こんな大罪人と何をしているのですか?」

「さては、勇者様や剣聖様だけに納まらず聖女様や賢者様にも何かする気か」

「聖女様、おさがり下さい」


メンドクサイな此処はホワイトに任せよう。


「ねぇ、貴方達の目は節穴なの?」

「何を言い出すのですか? 聖女ホワイト様、そいつは勇者と剣聖を殺した大罪人です、退いて下さい」

「ちょっと、こっち見なさい...アレっ」

「何ですか?大罪人の剣が...あっああああああああーーーっ」


「この剣をルディウスは抜いたのよ?」


「それは聖剣、聖剣シルビアンーーーーーって事はぁぁぁぁぁぁーーーっ」


「そうよルディウスが本物の勇者って事よ? ねぇ貴方達は《本物の勇者》を捕まえて大罪人ってどういう事かしら?」

「それではルディウスが勇者って事ですか?」

「分をわきまえなさい!聖騎士なら、勇者には《様》をつけるのが当たり前ですよね...勇者に様をつけないで良いのは私達四職だけです」

「すす、スイマセン...ですが、本当にルディウス様は勇者なのですか?」

「なら、証としてこれはどうだ」

俺は聖剣シルビアンを抜いてみせた。

その刀身は青く輝いている。

「「「「「「「「「「「勇者様」」」」」」」」」」」


「貴方はまごう事無き勇者様...非礼の数々お許し下さい」

全員が片膝をつき、騎士の忠誠のポーズをとっている。


「気にしないで下さい...それじゃ疑いも晴れた様なのでこれで良いですよね」

 
「はっ、我々は報告を近くの教会から通信水晶で教皇様に致します、直ぐに手配は解除されると思います、そうですね今日の夕方にでも近くの教会に来て下さい、そこで通信水晶で連絡がとれるようにして置きますから」

「行くとメリットがあるのか?」

「聖女様と同じ様に《勇者の証》と《カード》が貰える筈です」

「なら行くよ」

「有難うございます、では我々はこれで」

聖騎士たちはそのまま立ち去った。


【聖騎士 リチャード達】


「リチャード様、どうしましょうか?」

「俺は知らないよ...まずは教皇様に報告だ、大罪人でなくお前等も見ただろう? あれは本物の勇者様だ」

「それじゃ..アルトラン様やベーダ様は」

「偽物に《様》等要らぬ、偽物だ...本物の勇者が偽物の勇者を殺した、それだけだ」

「あの...それじゃ、これから血の雨が降るんじゃないですか」


「ああっ、王国の聖職者、しいては枢機卿辺りはまず責任を取らされる、王国の国王もな」


「本物の勇者様の領地を滅ぼして、母君を殺してしまったんだ、只じゃ済まないだろう」

「しかも、かなり残酷だったと聞くぜ」

「まぁ、年増だから犯したりはしてないだろうが、随分酷い殺し方したらしいな」


「彼奴、死刑になるんじゃないか?」

「一番手柄が、今度は一番の罪人か...」


「それで、俺たちはどうするつもりだ、リチャード隊長」

「まずは、教皇様に報告、そしてルディウス様の意向の判断、まぁその後は教皇様から許可が得られたら王国行き、そんな所を考えている」

「王国行きですか?」

「勇者であるルディウス様が心から憎む者が沢山居る...旨く、その相手を殺せば出世や褒美が貰えそうじゃないか?」

「確かにそうですね」

「さしずめ、敵は王国にあり、そんな所だ」


聖騎士リチャードは教会から通信水晶を使い教皇に連絡をした。

教皇は報告を聴き一瞬驚いた顔をしたが..その後、元の顔に戻り。

「王国の枢機卿と国王には今回の件の責任を取って貰わなければいけませんね」

「...」

「おや、何か不満でも?」

今回のヘングラムの件は教皇様も知っていた。

アルトラン様とベーダ様が死んで悲しい顔の教皇様の為に枢機卿が考え行った事だ。

国王にしたって枢機卿の後ろに居る教会に忖度して行った。

それは誰もが知っている事だ。


「いえ」

「貴方はまさか、私が主導であんな残酷な事に賛同したと思っていませんよね」

「...思っておりません」

「それなら良いのですが...そうだ、折角、本物の勇者様が現れたのですから、私も会いに行きましょう、その様に勇者ルディウス様に伝えて下さい...あと、私の名の元に聖女様と同じ待遇、いえそれ以上の待遇をして貰える様にしなくてはなりませんね...忙しい、それでは頼みましたよ」

「はっ」

「任せました」



ルディウスは自分の故郷が亡くなってしまった事、母親で恋人の様な存在アマンダが殺されてしまった事をまだ知らない。






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