上 下
44 / 53

第44話 返せない恩/ 引き返してくる勇者

しおりを挟む

「最近のリヒト様の受けた依頼ですか?」

「ああっ教えて貰えないかな?」

「まぁ夫婦だから…特別ですよ…『盗賊村』の討伐依頼ですよ」

「盗賊村?」

「村全員が盗賊をやっている村がありまして、リヒト様が討伐を受けたのですが…既にオークに滅ぼされた後だったらしく依頼は未達成となっております」

「その情報見させて貰える?」

「特別ですよ」

この場所は、あの村だ…

子供まで全員がオークに殺された事になっていた。

「そう言えば、ギルマス変わったんだな」

「それが受付嬢の子と一緒に居なくなったので駆け落ちしたんじゃないかという噂です」

「そうかそうか悪かったね」

なんだ、誰を殺したのか考えていたんだけど…私に関わった全員じゃないか…

あの村を盗賊事多分、皆殺しにしたんだ…

その上でオークを使い…まさかと思うけど…オークも殺していたりして…

流石にリヒトの性格じゃギルマスや受付嬢は殺していないと思うけど…多分追い払ってくれたんだと思う。

人として…そう考えたら良い人物じゃないのかも知れない。

だけど、私の『夫』そう考えたら最高だよ…

◆◆◆

ハァ~だけど、貰ってばかりで私は一体何を返せば良いんだろう。

そりゃ、リヒトは私やルミナスが凄く好きだから…綺麗にして…セクシーな下着を身につけて夜の営みをすれば凄く喜ぶけどさぁ…

あれは…なにか返した事にはならないんだよな…

だって、ルミナスも私もおばさんだから…

あの年齢の子と恋愛に性的な事をしたければお金を払うのが普通なんだよな…

貴族の女がお金を払って若い子を愛人にしている話は聞いた事あるわ…

下着はリヒトが喜ぶけど…リヒトの物じゃなく私達の物だし…

肝心の夜の営みは…あはははっ声が出る位だから…そのリヒトに気持ち良くして貰っている。

つまり…リヒトが喜んでいる事も…よく考えればリヒトに何かあげた状態じゃない。

ルミナスは兎も角…私は大きな借りがありすぎる。

最早返しようが無い。

今の所、これしか無いのかな?

「何か凄い下着ある?」

「あんた達凄いわね…相手が若いとやはり刺激的な物が必要なのかな…何時も凄くきわどいのばかりだね…仕入れたよ…ほら」

なんだこれ、ブラがほぼ只の紐だ…ほぼ全部丸見え…下も紐だよ。

普通のTバックじゃなくて…ほぼ紐じゃない…

「そうね、買うよ」

仕方ないよな…今はこれしか恩返しが思いつかないんだから…

◆◆◆

冒険者ギルドに、勇者パーティーの動きを教えて欲しいと依頼を出していた。

まさかとあいつ等が『俺を追って来る』とは思って無かった。

この場所に留まっているのに気がつかれたら…不味い。

流石にすぐに此処には来ないだろうが、何時かはこの場所に気が付くかも知れない。

彼奴らが知らない場所に逃げた方が良い。

だが、此処にはルミナスさんの宿がある…

これはルミナスさんにとっては思い出の詰まった大切な場所だ。

どうしたら良いのか解らない…


最悪の場合は…カイト達に相手の気持ちなんか考えずに…傷つける事を含んで、思いっきり罵詈雑言を浴びせてやる

恐らく揉めるだろうが…彼奴らはプライドが高いから、去っていくだろう。

恨まれたくないが『土下座して俺の足を舐めろ』この位言えば大丈夫だろう…

だが、これをやると世間や教会も敵に回して不味い事になるかも知れない。

一番楽なのは逃避行だけど…

宿を大切にしているルミナスさんに言いづらい…

今日の夜にでも相談するか…

まさか勇者が職務放棄して引き返してくるなんて思っても見なかったな。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

勇者に大切な人達を寝取られた結果、邪神が目覚めて人類が滅亡しました。

レオナール D
ファンタジー
大切な姉と妹、幼なじみが勇者の従者に選ばれた。その時から悪い予感はしていたのだ。 田舎の村に生まれ育った主人公には大切な女性達がいた。いつまでも一緒に暮らしていくのだと思っていた彼女らは、神託によって勇者の従者に選ばれて魔王討伐のために旅立っていった。 旅立っていった彼女達の無事を祈り続ける主人公だったが……魔王を倒して帰ってきた彼女達はすっかり変わっており、勇者に抱きついて媚びた笑みを浮かべていた。 青年が大切な人を勇者に奪われたとき、世界の破滅が幕を開く。 恐怖と狂気の怪物は絶望の底から生まれ落ちたのだった……!? ※カクヨムにも投稿しています。

このステータスプレート壊れてないですか?~壊れ数値の万能スキルで自由気ままな異世界生活~

夢幻の翼
ファンタジー
 典型的な社畜・ブラックバイトに翻弄される人生を送っていたラノベ好きの男が銀行強盗から女性行員を庇って撃たれた。  男は夢にまで見た異世界転生を果たしたが、ラノベのテンプレである神様からのお告げも貰えない状態に戸惑う。  それでも気を取り直して強く生きようと決めた矢先の事、国の方針により『ステータスプレート』を作成した際に数値異常となり改ざん容疑で捕縛され奴隷へ落とされる事になる。運の悪い男だったがチート能力により移送中に脱走し隣国へと逃れた。  一時は途方にくれた少年だったが神父に言われた『冒険者はステータスに関係なく出来る唯一の職業である』を胸に冒険者を目指す事にした。  持ち前の運の悪さもチート能力で回避し、自分の思う生き方を実現させる社畜転生者と自らも助けられ、少年に思いを寄せる美少女との恋愛、襲い来る盗賊の殲滅、新たな商売の開拓と現実では出来なかった夢を異世界で実現させる自由気ままな異世界生活が始まります。

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

勇者のハーレムパーティを追放された男が『実は別にヒロインが居るから気にしないで生活する』ような物語(仮)

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが 別に気にも留めていなかった。 元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、彼には時期的にやりたい事があったからだ。 リヒトのやりたかった事、それは、元勇者のレイラが奴隷オークションに出されると聞き、それに参加する事だった。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 そんな二人がどうやって生きていくか…それがテーマです。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公になれない筈の二人が主人公、そんな物語です。 最近、感想欄から『人間臭さ』について書いて下さった方がいました。 確かに自分の原点はそこの様な気がしますので書き始めました。 タイトルが実はしっくりこないので、途中で代えるかも知れません。

魔力吸収体質が厄介すぎて追放されたけど、創造スキルに進化したので、もふもふライフを送ることにしました

うみ
ファンタジー
魔力吸収能力を持つリヒトは、魔力が枯渇して「魔法が使えなくなる」という理由で街はずれでひっそりと暮らしていた。 そんな折、どす黒い魔力である魔素溢れる魔境が拡大してきていたため、領主から魔境へ向かえと追い出されてしまう。 魔境の入り口に差し掛かった時、全ての魔素が主人公に向けて流れ込み、魔力吸収能力がオーバーフローし覚醒する。 その結果、リヒトは有り余る魔力を使って妄想を形にする力「創造スキル」を手に入れたのだった。 魔素の無くなった魔境は元の大自然に戻り、街に戻れない彼はここでノンビリ生きていく決意をする。 手に入れた力で高さ333メートルもある建物を作りご満悦の彼の元へ、邪神と名乗る白猫にのった小動物や、獣人の少女が訪れ、更には豊富な食糧を嗅ぎつけたゴブリンの大軍が迫って来て……。 いつしかリヒトは魔物たちから魔王と呼ばるようになる。それに伴い、333メートルの建物は魔王城として畏怖されるようになっていく。

俺の好きな人は勇者の母で俺の姉さん! パーティ追放から始まる新しい生活

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが別に気にも留めていなかった。 ハーレムパーティ状態だったので元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、三人の幼馴染は確かに可愛いが、リヒトにとって恋愛対象にどうしても見られなかったからだ。 だから、ただ見せつけられても困るだけだった。 何故ならリヒトの好きなタイプの女性は…大人の女性だったから。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公にはなれない、背景に居るような主人公やヒロインが、楽しく暮すような話です。 1~2話は何時もの使いまわし。 亀更新になるかも知れません。 他の作品を書く段階で、考えてついたヒロインをメインに純愛で書いていこうと思います。

『特別』を願った僕の転生先は放置された第7皇子!?

mio
ファンタジー
 特別になることを望む『平凡』な大学生・弥登陽斗はある日突然亡くなる。  神様に『特別』になりたい願いを叶えてやると言われ、生まれ変わった先は異世界の第7皇子!? しかも母親はなんだかさびれた離宮に追いやられているし、騎士団に入っている兄はなかなか会うことができない。それでも穏やかな日々。 そんな生活も母の死を境に変わっていく。なぜか絡んでくる異母兄弟をあしらいつつ、兄の元で剣に魔法に、いろいろと学んでいくことに。兄と兄の部下との新たな日常に、以前とはまた違った幸せを感じていた。 日常を壊し、強制的に終わらせたとある不幸が起こるまでは。    神様、一つ言わせてください。僕が言っていた特別はこういうことではないと思うんですけど!?  他サイトでも投稿しております。

処理中です...