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第五十話 私にはどうする事も出来なかった。

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お父さまたちが私の部屋に来られた。

お話では宰相のユーラシアン様とオルド―伯爵様はもう帰られたそうだ。



「それでな、マリア、今現在決まった事だが...」

お父さまは政治的な事で決まった事から話された。

具体的な内容は...

①婚約は破棄になったが両家の仲は良好であり問題無い

②スズラ森の開発はこれまで通り、両家で責任を持ってやる。

③王家に承認を貰った婚約を破棄した責任としてスズラ森の開発で手に入った利益の20%を王家に向こう10年差し出す

④今回問題を犯した二人には貴族の資格は無いと判断し貴族籍等は与えず、市民に落とす

⑤仲人役のオルド―伯爵には顔を潰した償いとして金貨1000枚を支払う筈だったがマリアに渡して欲しいと言われ辞退された、だがそういう訳にもいかないので半分の500枚を渡し半分をマリアに渡す事になった。


「此処までが政治的に決まった事だ、これからはお前についてだが、これはまだ提案だ、お前の意思を聞いてから決める事にする、あと事情の説明の為にドリアーク伯爵とフリードにお前の部屋を見て良いと許可を出した、事後報告になるが許して欲しい」


私の部屋になにかあるのかな...まぁ良いや。

「別に構いません」

私に関わる事は...

①私とフリードの婚約は破棄。

 その際の経緯についてはフリードの有責である事を事細かに王に説明する。
 勿論、私には一切の非は無く王が認めた婚約を破棄した責任はフリードとドリアーク伯爵が負う。

②婚約の際に納められた金品はフリードに非がある為に返却の義務はなく、全部私の物。


③ドリアーク伯爵が責任を持って『フリード以上』の婚姻相手を探す、勿論爵位の譲渡はマリアの夫に引き継がれる

④、フリード、ロゼに謝罪をさせる...その際はどんな暴言を吐いても責任はない

⑤フリードとロゼの婚約は有効...ただ貴族では無くなる、その際に金銭の援助を1回のみ認めて欲しい。


こんな内容だった。


いや、かなり重すぎるんじゃないかな。

話をしながら、お父様もドリアーク伯爵様も、お義母様も下を向いて悲しそうだが【そんなに悲しまないで欲しい】

私は何とも思ってないんだから。

「お前からしたら、腹の虫が収まらないと思うが、これで許してやって欲しい」

「私の娘が本当に酷い事したわ、本当にごめんなさい、私の躾が悪かったからこんな事になった、恨んでも恨み切れないでしょう...ですが私には謝る事しか出来ないの、ごめんなさい」

「愚息が本当に申し訳ない事をした...この償いは必ずする、許して等貰えないのは解っている、だが今はせめて謝罪をさせて欲しい」


そこ迄の事は私は望んで無い。

...寧ろ二人から恨まれたくない気持ちの方が強いよ。


「それで、マリアお前はどうしたい? 今回の件はお前は完全に被害者だして欲しい事があれば出来るだけ盛り込もう」


此処までしたら、後々家同士の関係に、亀裂が入入るんじゃないかな?


「そうですね、私と『フリード様の婚約の破棄』これは王族であるアーサー様の前で行われた事なのでこのまま破棄にするしか無いでしょうね...経緯をしっかり説明してくれるならそれで構いません」


「そうだな」



「お父様、身分の事ですがもう少しどうにかなりませんか?」


「そうだな、確かにしでかした事を考えたら市民じゃ駄目か? マリアが言うなら平民にまで落とそう」


「確かに此処までしたんだ、それも仕方ないだろう」

「マリアちゃん、あれでも娘なの...市民で許してあげて」

「そんな事考えてませんよ、どうにか貴族のままでいられる様にしてあげれませんか?」


「マリア? お前それで本当に良いのか? あらぬ疑いを掛けられ婚約破棄されたんだぞ、ロゼに恨み位あるだろう?」

「我が愚息がした事だが、普通に考えて許せる事じゃないだろう、公衆の面前で恥をかかされたのだからな」


確かに貴族としてならそうなんだろうな。

だけど、婚約者を取られたからと言って、それぞれの人生を壊すのはやりすぎだと思う。

少なくとも前世なら【振られたからって地位や財産迄根こそぎ奪われる事は無い】慰謝料を僅かに貰えるだけだ。

此処は貴族社会、完全にそう言ってしまっては不味いわね。


「確かに嫌な思いはしましたが、ロゼは可愛い妹だし、フリードは友人です、楽しい思い出も沢山あります、だから、余り酷い事はしたく無いのです、どうにか2人が貴族でいられるようにして頂けませんか?」


「マリア...貴方って子はなんて良い子なの、 それに比べてロゼはロゼはあああああーーっ本当にごめんなさい」


「マリア、お前の気持ちは良く解った、だがな、今現在はこの国は平和で豊かだ、誰も爵位なんて手放さない」

「もし売りに出されても騎士爵位しかまず無い、それも相当お金を積まないと買う事が出来ない」


確かにこの世界は剣と魔法の世界では無いわね。

どちらかと言えば、乙女ゲーに近い。

そう考えたら安定している世界だから、爵位を手放す者は少ないだろう。

だけど...何か見落としている様な気もする。


「それなら、私への慰謝料を減額して、騎士爵を買い上げ二人を貴族の末席に残してあげる事は出来ないでしょうか?」



「愚息の未来を案じてくれた事は感謝する、だが、愚息は剣が苦手だ、更にもう宰相のユーラシアン様に伝えた後なのだ、今頃は王に伝わっておる無理だ」

「そうだな、マリアの気持ちは解ったがもう遅い」



そうだ...


「それならば、ロゼとフリード様が結婚するなら、私がドレーク家の家督を手放します、そうすれば、全て丸く収まります...私はそうね、ロゼとフリード様が貰う筈だったお金を貰って、王都で市民として暮らしますわ」

これで良い筈よね。


「マリア、それは母として認めません、私はロゼの母ですが、貴方の母でもあるつもりです、 悪い事した娘が良い人生を歩み、正しく生きる娘が不幸な人生を生きるなんて許せません、 家督は貴方の物。 それだけは、なにがあっても覆ってはいけないのです」


昔は私を追い出そうとしていたのに、今は凄く優しい。

だけど、私は別に良いんだけどね。

だって、追い出されたとはいえ、伯爵家だから恐らく金貨3000枚位はくれる筈。

金貨1枚、前世で言う10万円くらいだから3億円。

私からしたら、何の責任も無くこんなお金が貰えるなら、そっちの方が良い。

王立図書館の司書になって本に囲まれながら暮らして、生活に困らない。

うん、そこに私の幸せはあるんだけどなぁ。


「マリア、優しいのは良いが、貴族としてお人好しはいかんよ! 幾ら妹だからって甘やかしすぎは良くない、出て行くのはロゼだ」

「マリア嬢にそんな事させたら、もう責任の取り方が解らなくなる、婚約者の妹と不倫した挙句、家まで愚息が手に入れた、そんな事になるなら俺は彼奴を手に掛け引退する」



私は本当に良いのに...結局、当初の話通り、何も変わらなかった。


※この話は前の物語にかなり重複していますが...この微妙な変化がエンディングの大きく関わってきます。

 お見逃し下さい。






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