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第四十五話 姉妹という名の呪い

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ロゼが元気が無い。

確かにロゼは常識が無いと思う。

『ロゼ派が無くなり』その令嬢達が国外に追放となった。

ドレーク家は領地と王都での仕事が殆どだから、国外に行く事は殆ど無い。

だから、もう会う事は無いだろう。


私はロゼが『好きではないのだと思う』

『なんでも人の物を欲しがり奪っていく人間』

前世の私が最も嫌う人間の姿だ。

前世の私の親友に妹を持つ人間が居た。

記憶は朧気だが...凄く悲惨だった。

なんでも妹に『頂戴』と言ってとられ、子供の時には同じお小遣いを貰っていたのに、妹は駄菓子屋さんで自分のお菓子を食べ終わると『お姉ちゃん頂戴』と姉のお菓子を取り上げていた。

それが成長しても続き『お姉ちゃん頂戴』と文具やおもちゃまで取り上げられていた。

私が『両親に相談したら』とアドバイスしたら『「どうせ、お姉ちゃんなんだから我慢しなさい」それで終わりよ』とあきらめ顔で目を伏せていた。


その『お姉ちゃん頂戴』はエスカレートしていき、彼女が頑張って良い大学に入っても『お姉ちゃんズルい』といっていた。

私から言わせたら...努力しないお前が悪い、チャンスは平等にあるんだから、そう言いたい。


そして決定打だったのは『姉の婚約者を妹が寝取った件』だ。

姉が上場企業の若手のホープと付き合い恋人となり、もうすぐ結婚。

そのタイミングで妹の妊娠が発覚した。

普通に考えたら、家族は妹を責める筈だ。

だが、家族は妹を責めなかった。

最初こそ、親は少しは同情していたが、途中からは『もう許してあげなさい』『過ぎたことは仕方ないだろう』と言い出した。

そして、最終的には元婚約者はそのまま妹と結婚して入り婿となった。

そんな環境で生活できる訳もなく...親友は家を出た。


「それで良かったの?」そう私が聞いた時に...

「あはははっ、娘は孫には勝てませんよ...あんなサルみたいな顔なのに両親の心を鷲掴みするんだからさぁ」


孫か、『孫可愛さ』それか...

だけど、不倫をして婚約破棄なのだから、頭にきたなら訴えて慰謝料でも取れば良いのに。

「そうですか? いっそう訴えちゃったらどうですか?」

「そうね...だけど姉妹だから、もう良いわ、まぁもう家族の縁は馬鹿らしいから切るけど、それでおしまい、貴方は姉妹が居ないから解らないと思うけどさぁ...姉妹ってだけで本当には憎めない物なのよ『どーでも良い』それ以下ににはならないのよ」


私だったら、もし同じ事をされたら『顔が解らなくなる位ぶん殴る気がする』

今の私には...少しだけど、名前も思い出せない前世の親友の気持ちが解る。



ロゼは馬鹿みたいにお父さまに『仲間の見送り』をしたい。

そう申し入れをした。

本当に馬鹿な子だ...自分を利用していただけの人間が追放されるからって『見送りにいきたい』だなんて。

大体『国外追放された人間を貴族が見送る』なんて醜聞しかない。

勿論、お父さまは断った。

そうしたら部屋に籠って泣いている。

本当に馬鹿だ...大体、相手にしたって憎みこそすれ友情なんて感じていないだろう。

下手したら殺されかねない。

ロゼのせいで『貴族籍』だけでなくほぼ全てを失ってしまったのだから、自業自得とはいえ恨んでいる筈だ。


ロゼは『悪人ではなく、ただの我儘な子供』なのだろう。


姉妹という名の呪いは本当に怖い。

此処までされたのに頭の中に『可哀想』という文字が浮かぶ。

今のロゼは軟禁状態で、お義母さまや使用人たちから監視され指導を受けながら生活している。

やった事は、完全に自業自得だ。

だが、私の頭の片隅に『可哀想』そういう文字が浮かぶ。

『顔も見たくない、話もしたく無いロゼ...それなのに可哀想』


可笑しな話だ。

本当に仕方ないな...一回私の方から話してみようかな...

今になり名前も思い出せない親友の気持ちが良く解った。


※多分前世の上司とはまた別な人物です。





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