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第四十二話 過去 ロゼ、最後に私に残った者
しおりを挟む私にはもう何も無い。
お母さまはもうお姉ちゃんに取られた。
沢山の宝石があるけど、これらの物は二つ除けば価値が無いらしい。
ドレスは沢山あるけど『派閥を無くした』私には最早着ていく場所が無い。
『ロゼ派』を作ってしまったから、私を招待してくれる人は居ない。
お姉ちゃんが羨ましい。
色々な方から誘われているけど...私と違い断ってばかり。
お母さまの派閥に入ってからは『それを理由に断っている』がお母さまの派閥は緩いらしく偶に他の派閥の集いに出ている。
「うふふマリア、貴方が如何に舞踏会が嫌いでも、私が一緒じゃいかない訳にはいかないわね」
「そうですね、お義母さま」
今日も楽しそうに馬車で出かけた。
私は屋敷に1人ボッチだ。
お父さまは執務が忙しく、食事の時しか顔をあわさない。
しかも、最近は目が怖い。
使用人も全員、私に嫌な目を向ける。
だから、私は食事の時にお父さまに話かけた。
「あの、お父さま」
「ロゼ、何かようか?」
「あの...」
「用事が無いなら話し掛けるな、お前には仕事が山ほどある筈だが...」
「私は特に何もありません」
「そうか、沢山の宝石を抱え込んで『まだ手入れの仕方を誰からも教わってない』だろう? 早く学ぶべきだ」
「ですが、誰も私には話し掛けて来ません」
「ロゼ、確かにお前は私の娘だ、だが『人から物を教わる時は頭を下げるのだ』頭をさげ教えをこうむりなさい...特に家宝や国宝は傷つけたりしたら、お前でもそれなりに罰を下さないとならない」
「....解りました」
「義務を果たせ」
そう言うとお父さまは食事を終えて出て行ってしまった。
私には最早何も無い...何も...。
違う、フリード様が居る。
今の私は『何も持っていない』だけど、この間フリード様から『結婚を前提に付きあいたい』そう言われた。
フリード様と婚約すれば...全てが変わる。
『貴公子フリード』様が私の婚約者に正式になれば沢山の令嬢が悔しがるに違いない。
どんな宝石よりも輝く男性、それがフリード様。
噂では姫ですら目を奪われた事があるという。
綺麗な風になびく金髪に整ったマスク...お姉ちゃんが婚約者だからって諦めたけど...向こうから来たんだから仕方ない。
私が奪ったんじゃない。
お姉ちゃんが『優しくしないから、私の所に来たんだ』
私は悪くない...
フリード様が私と婚約したら『私は伯爵夫人』もはやシャルロッテなんかより上が確定。
イライザ様には敵わないけど...ロゼ派を名乗って裏切った連中は後悔すれば良いわ。
使用人もフリード様が正式に後を継いだら全員クビにしてあげるわ...
なんだ...私はなにも失っていないわ。
これから、全て手に入れるのよ。
フリード様から手紙が来た。
次のダンスパーティーで『お姉ちゃんを糾弾して私と婚約発表をしてくれるらしい』
お姉ちゃん、何をしたのかな?
フリード様の手紙では『王族の前で真実を明らかにする』と書いてあった。
よく考えたら...宝石の事と言い、お姉ちゃんには可笑しな事がある。
多分、使用人、場合によってはお母さままで巻き込んで何かしていたのかも知れない。
あはははっ...良いざまだわ...フリード様頑張って!
私は将来の夫に激励の手紙を返した。
※これで過去篇は終わります。
今迄読んで頂き有難うございました。
ようやく現代篇です。
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