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第十八話 過去 宝石箱の価値【侮蔑の目で見る者】
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「イライザ様、一体どうしたと言うのですか? さっきから凄く不機嫌そうですが」
「顔に出てしまっていましたか? 私は生まれて初めて、本当の意味で人が嫌いになりましたわ」
「それは、ロゼですか? ですが説明が出来ない位で、そこ迄お怒りになる事なのですか?」
「あの宝石箱は、私はマリアさん以外に持っていて欲しくないんですの、ましてロゼなんかには絶対に所有なんてして欲しくありませんわ」
イライザは何時も冷静にしていた。
かなり、ひにくを言ったり、上から目線で話すが、それ以上の事はしない。
それは自分が公爵家に生まれ、自分の一言で人の運命が変わることを小さい頃から知っていたから、嫌な事があっても我慢する癖がついていた。
その為イライザは凄く寛容だ。
勿論、その事は彼女の取り巻きの貴族は全員知っている。
そのイライザが珍しく怒っている。
しかも名指しでだ...こんな事は今迄、誰もが目にした事では無かった。
「あの宝石箱には、何か凄い由来があるのですか?」
「ええっ、私の家、更に王家まで関わる大きな由来があるのです」
イライザは宝石箱の由来について話し始めた。
マリアの祖母はイライザの祖母と親友であり、先代の王妃とはご学友同士だった。
その日は、親睦を深める為と三人で避暑地に行っていたのだが、運悪く王妃(この時は第一王女)を人質にとろうとする野盗に襲われた。
本来この避暑地は安全な為に護衛騎士の数も少なく、数で押してきた野党には歯が立たず、騎士は殺されあわや、捕らえられる寸前だった。
その時にマリアの祖母マリアーヌは一室に王妃とイライザの祖母を押し込み、その扉の前で、騎士の剣を拾い、振るい戦った。
そのマリアーヌが戦ってくれたお陰で、時間が稼げ、助けに来た別の騎士団により二人は無事に救援された。
だが、扉を背にして戦ったマリアーヌは只で済む訳は無く、片手を失う大怪我を負った。
その時のマリアーヌの忠義心と働きに感心した王が、この国で始まって以来最初で最後の【騎士の地位】(元からの爵位とは別)と共に贈られたのがあの宝石箱だった。
最も、美しく聡明なマリアーヌは片腕を失っても人気は落ちず、ドレーク伯爵家から縁談の話がきて嫁いだのだが。
「そのような事があったのですか...」
「そうなのですわ...祖母は今は無き親友を偲ぶ為に偶にマリアさんにあの宝石箱を借りる事がありますの」
「それじゃ、あの宝石箱は」
「マリアーヌ様からマリアさんのお母様に渡され、そしてマリアさんに引き継がれた筈の物ですわね」
「それをロゼさんが何で持っているのでしょうか?」
「理由は解りませんが...多分何らかの理由で取り上げたんでしょうね、そんな訳で私はロゼさんの顔も見たくもないのですわ」
「それなら、私もロゼさんとは親交を結ぶのは止めましょう」
「そんな人間と一緒に居ても楽しくありませんから、私もご免ですわ」
「私も」
「私も、そんな人間とは一緒に居たいと思いません」
「それなら、私達のお茶会や舞踏会に呼ぶのは止めましょう」
「「「「「「「「「「「「ええっ、そうしましょう」」」」」」」」」」
こうしてイライザの派閥が主催する行事にロゼが呼ばれる事は二度とは無かった。
「顔に出てしまっていましたか? 私は生まれて初めて、本当の意味で人が嫌いになりましたわ」
「それは、ロゼですか? ですが説明が出来ない位で、そこ迄お怒りになる事なのですか?」
「あの宝石箱は、私はマリアさん以外に持っていて欲しくないんですの、ましてロゼなんかには絶対に所有なんてして欲しくありませんわ」
イライザは何時も冷静にしていた。
かなり、ひにくを言ったり、上から目線で話すが、それ以上の事はしない。
それは自分が公爵家に生まれ、自分の一言で人の運命が変わることを小さい頃から知っていたから、嫌な事があっても我慢する癖がついていた。
その為イライザは凄く寛容だ。
勿論、その事は彼女の取り巻きの貴族は全員知っている。
そのイライザが珍しく怒っている。
しかも名指しでだ...こんな事は今迄、誰もが目にした事では無かった。
「あの宝石箱には、何か凄い由来があるのですか?」
「ええっ、私の家、更に王家まで関わる大きな由来があるのです」
イライザは宝石箱の由来について話し始めた。
マリアの祖母はイライザの祖母と親友であり、先代の王妃とはご学友同士だった。
その日は、親睦を深める為と三人で避暑地に行っていたのだが、運悪く王妃(この時は第一王女)を人質にとろうとする野盗に襲われた。
本来この避暑地は安全な為に護衛騎士の数も少なく、数で押してきた野党には歯が立たず、騎士は殺されあわや、捕らえられる寸前だった。
その時にマリアの祖母マリアーヌは一室に王妃とイライザの祖母を押し込み、その扉の前で、騎士の剣を拾い、振るい戦った。
そのマリアーヌが戦ってくれたお陰で、時間が稼げ、助けに来た別の騎士団により二人は無事に救援された。
だが、扉を背にして戦ったマリアーヌは只で済む訳は無く、片手を失う大怪我を負った。
その時のマリアーヌの忠義心と働きに感心した王が、この国で始まって以来最初で最後の【騎士の地位】(元からの爵位とは別)と共に贈られたのがあの宝石箱だった。
最も、美しく聡明なマリアーヌは片腕を失っても人気は落ちず、ドレーク伯爵家から縁談の話がきて嫁いだのだが。
「そのような事があったのですか...」
「そうなのですわ...祖母は今は無き親友を偲ぶ為に偶にマリアさんにあの宝石箱を借りる事がありますの」
「それじゃ、あの宝石箱は」
「マリアーヌ様からマリアさんのお母様に渡され、そしてマリアさんに引き継がれた筈の物ですわね」
「それをロゼさんが何で持っているのでしょうか?」
「理由は解りませんが...多分何らかの理由で取り上げたんでしょうね、そんな訳で私はロゼさんの顔も見たくもないのですわ」
「それなら、私もロゼさんとは親交を結ぶのは止めましょう」
「そんな人間と一緒に居ても楽しくありませんから、私もご免ですわ」
「私も」
「私も、そんな人間とは一緒に居たいと思いません」
「それなら、私達のお茶会や舞踏会に呼ぶのは止めましょう」
「「「「「「「「「「「「ええっ、そうしましょう」」」」」」」」」」
こうしてイライザの派閥が主催する行事にロゼが呼ばれる事は二度とは無かった。
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