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第十話 過去 俺たちの戦いが今始まる
しおりを挟むロゼに自分の気持ちを告白した。
健気な彼女をもう放って置けなかった。
だが、問題なのは彼女が次女で俺が三男だと言う事だ。
つまり、俺も彼女も家の継承権が無い。
父上はしっかりした人物だ。
順序だてて説明すれば...駄目だな。
今回の婚姻は普通の婚姻じゃない。
ドリアーク家とドレーク家のスズラ森の開発に望む為の両家を結びつける意味が大きい。
その為、父上とて婚約を簡単に破棄など出来ないだろう。
...うん、待てよ。
スズラ森の開発はもう決まっている。
これは国王からの王命だから何があっても覆る事は無い。
つまり、ドリアーク家とドレーク家の結びつきは切れる事は無い。
兄たち二人は既に婚姻している以上、俺を変える事は不可能だ。
だが、ドレーク家はどうだ。
長女であるマリアとの婚姻を俺が蹴れば、この婚姻の話はロゼへと移るのでは無いか?
妹への数々の嫌がらせ、それがあれば、俺が婚姻を拒んでも「仕方ない」そうなるのではないか?
両家が結びつかなければならない以上はマリアとの婚姻を破棄してロゼとの婚姻になっても問題は無いともとれる。
多分、ドレーク伯爵は俺をかってくれている。
相手をマリアからロゼに変えても、問題が起きない可能性が高い。
俺をかってくれて、次期当主に望むと言う事は「ドレーク家の次期当主は俺で決まっている」筈だ。
ならば、俺の好きな相手に変えてしまっても、多少は揉めても最後には認めて貰えるような気がする。
その為には、周囲に如何にマリアが酷い人物か伝えなければならない。
そして、それを認めさせる実績を積み、最後には賛同を得るために告知すれば良い。
その場に王族がいれば、確実に正規の話となる。
その事をロゼに相談した。
最初、ロゼは顔を青くしていたが、話をするにつれ、その顔が赤くなっていった。
《俺は話して良かった》本当にそう思った。
今迄、いつも暗かった彼女に笑顔が戻ったからだ。
この笑顔が見れるなら、この大きな決断も、これから起きる戦いの火ぶたも怖くは無い。
これからは「俺たちの大きな戦い」が始まる。
ロゼが後ろにいるからには負けるわけにはいかない。
貴公子フリードの戦いが今始まった。
そして...それは「世紀の茶番」へと繋がり、やがてその愚かさを思い知らされる事になる。
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