6 / 91
第六話 私はこの程度じゃ傷つかない
しおりを挟む
ああっ、本当に気が重い。
これから、一番の被害者である、我が娘マリアへの報告がある。
あの子は、何時もなにも文句を言わなかった。
だからこそ、その埋め合わせとして【貴公子】と名高いフリードを選んだのに何たるざまだ。
「すまない、ドレーク伯爵」
顔に出ていたのか?
「気になさるな、今回の件はうちのロゼも絡んでいる、全部そちらが悪い訳でない」
「そう言って頂けると...本当に救われる、すまない」
あの、傲慢で意見を違えない男がこうも低姿勢だと困ってしまう。
いつも会議の席で私と怒鳴り合う姿に戻って欲しい物だ。
「ドリアーク伯爵、この話が終わったら、何処かのサロンで飲もうでは無いか? それで全部終わりにしよう、貴殿がその調子では俺もどうして良いか困ってしまうぞ」
「俺とて、間違いをすれば正しもするし、詫びる、今回は愚息の事で少々疲れただけだ」
そう言うドリアーク伯爵は10歳以上老けた様に思えた。
そうこうしている間にマリアの部屋にたどり着いた。
息を数回吐くと俺はマリアの部屋をノックした。
【マリアSIDE】
ドアのノックの音がした。
恐らくは、話し合いが終わって私に報告をしにお父様たちが来たのだろう。
「どうぞ」
私がそう伝えると、お父様とドリアーク伯爵、お義母様が入ってきた。
多分二人は後で来るのだろう。
顔色は凄く良く無く青白い。
しかも、その表情からは...【本当にすまない】そんな感じが漂ってくる。
私としては【そんな顔しないで良いのに】そんな思いで一杯だ。
前世の記憶がある私としては【そんな大事な事じゃないのに】とつい思ってしまう。
普通に女子高生をして短大に入りOLとなった経験を覚えている私にとっては本当に【どうでも良い】事だ。
異世界とは違い、前の世界では正に恋愛は戦いだ(一部の人にとって)
イケメンで優良株の男には女が群がり、水面下で泥沼の様な戦いをしていた。
実際に女子短大時代に出来た彼氏は【肉食派の自称、私の親友】に寝取られた。
既に同棲までしていた彼を取られた経験がある。
これよがしに、明かにラブホの中でキスする写真を送ってきた。
貴族という立場を考えたら、ロゼもフリードも、最後の一線はおろかキスすらしてない可能性が高い。
精々が手を握ったり、抱きしめ合う健全な関係だろう。
そう考えたらこれは【寝取り】ですら無い。
大体、余程の美少女で無ければ、小学生の時に好きな男子はクラスのマドンナみたいな子に夢中になり付き合えない。
中学でも高校でも人気のある男子は競争率が激しく、サッカー部のエースでイケメンとかなら他の女の子がひっきりなしに狙ってくる。
はっきり言ってしまえば...前の世界なら【良くある話】である。
確かに婚約者の相手を奪えば、前の世界でも慰謝料がとれるが...それは微々たるものだ。
本当に嫌な思いをして相手二人が不誠実でも300万とれたら良い方だ。
確かにフリードはイケメンで貴族、前の世界に直せば凄く優良物件だ。
そして、私の婚約者ではある。
婚約者ではあるが...前の世界で考えるなら【付き合っていない状態に等しい】
だって、顔合わせして、文を貰う事数回、お茶をした事数回....
前の世界だと、お見合いして文通して、喫茶店でお茶を飲んだだけの相手にしか過ぎないのよ。
それが幾ら一流企業のイケメンでも恨むまではいかないわ。
精々が「ロゼ子の奴、あたしの彼を奪ってムカつくわ」と友達に愚痴を言って酒飲んで、1週間で忘れるよ。
そう考えたら、フリードに執着心なんて、そんなに無いのよ。
そんな事で傷つくようなメンタルじゃ無いわ。
私のなかでは寧ろ【今でよかった】【相手がロゼで良かった】そんな思いすらある。
だって、もし正式に結婚した後にこんな事になったら、私は立場的にロゼを追求しなければならない。
場合によっては【国外追放】すら言い出さなければならなくなる。
昔なら解らないが、最近のお義母様は凄く優しく、まるで本当の母の様に私に接してくれている。
私も、お母様とは正直思えないが、年上の親友の様にお義母様を思っている。
そんなお義母さんの娘のロゼに酷い事はしたく無い。
またフリードが手を出したのが【ロゼ】で本当に良かった。
もし手を出した相手が使用人や平民なら、貴族として処罰しなくてはならない。
もし、他家の貴族の令嬢なら、恐らく遺恨を残し確執を生む。
貴族の中に敵が出来るのは好ましくない。
だから、これは【不幸中の幸い】だったんだと思う。
「マリアよ、ショックを受けているのは解るが、そこを通してはくれないか?」
「ごめんなさい、直ぐにお通し致します」
私はお父様たちに部屋に入って貰った。
これから、一番の被害者である、我が娘マリアへの報告がある。
あの子は、何時もなにも文句を言わなかった。
だからこそ、その埋め合わせとして【貴公子】と名高いフリードを選んだのに何たるざまだ。
「すまない、ドレーク伯爵」
顔に出ていたのか?
「気になさるな、今回の件はうちのロゼも絡んでいる、全部そちらが悪い訳でない」
「そう言って頂けると...本当に救われる、すまない」
あの、傲慢で意見を違えない男がこうも低姿勢だと困ってしまう。
いつも会議の席で私と怒鳴り合う姿に戻って欲しい物だ。
「ドリアーク伯爵、この話が終わったら、何処かのサロンで飲もうでは無いか? それで全部終わりにしよう、貴殿がその調子では俺もどうして良いか困ってしまうぞ」
「俺とて、間違いをすれば正しもするし、詫びる、今回は愚息の事で少々疲れただけだ」
そう言うドリアーク伯爵は10歳以上老けた様に思えた。
そうこうしている間にマリアの部屋にたどり着いた。
息を数回吐くと俺はマリアの部屋をノックした。
【マリアSIDE】
ドアのノックの音がした。
恐らくは、話し合いが終わって私に報告をしにお父様たちが来たのだろう。
「どうぞ」
私がそう伝えると、お父様とドリアーク伯爵、お義母様が入ってきた。
多分二人は後で来るのだろう。
顔色は凄く良く無く青白い。
しかも、その表情からは...【本当にすまない】そんな感じが漂ってくる。
私としては【そんな顔しないで良いのに】そんな思いで一杯だ。
前世の記憶がある私としては【そんな大事な事じゃないのに】とつい思ってしまう。
普通に女子高生をして短大に入りOLとなった経験を覚えている私にとっては本当に【どうでも良い】事だ。
異世界とは違い、前の世界では正に恋愛は戦いだ(一部の人にとって)
イケメンで優良株の男には女が群がり、水面下で泥沼の様な戦いをしていた。
実際に女子短大時代に出来た彼氏は【肉食派の自称、私の親友】に寝取られた。
既に同棲までしていた彼を取られた経験がある。
これよがしに、明かにラブホの中でキスする写真を送ってきた。
貴族という立場を考えたら、ロゼもフリードも、最後の一線はおろかキスすらしてない可能性が高い。
精々が手を握ったり、抱きしめ合う健全な関係だろう。
そう考えたらこれは【寝取り】ですら無い。
大体、余程の美少女で無ければ、小学生の時に好きな男子はクラスのマドンナみたいな子に夢中になり付き合えない。
中学でも高校でも人気のある男子は競争率が激しく、サッカー部のエースでイケメンとかなら他の女の子がひっきりなしに狙ってくる。
はっきり言ってしまえば...前の世界なら【良くある話】である。
確かに婚約者の相手を奪えば、前の世界でも慰謝料がとれるが...それは微々たるものだ。
本当に嫌な思いをして相手二人が不誠実でも300万とれたら良い方だ。
確かにフリードはイケメンで貴族、前の世界に直せば凄く優良物件だ。
そして、私の婚約者ではある。
婚約者ではあるが...前の世界で考えるなら【付き合っていない状態に等しい】
だって、顔合わせして、文を貰う事数回、お茶をした事数回....
前の世界だと、お見合いして文通して、喫茶店でお茶を飲んだだけの相手にしか過ぎないのよ。
それが幾ら一流企業のイケメンでも恨むまではいかないわ。
精々が「ロゼ子の奴、あたしの彼を奪ってムカつくわ」と友達に愚痴を言って酒飲んで、1週間で忘れるよ。
そう考えたら、フリードに執着心なんて、そんなに無いのよ。
そんな事で傷つくようなメンタルじゃ無いわ。
私のなかでは寧ろ【今でよかった】【相手がロゼで良かった】そんな思いすらある。
だって、もし正式に結婚した後にこんな事になったら、私は立場的にロゼを追求しなければならない。
場合によっては【国外追放】すら言い出さなければならなくなる。
昔なら解らないが、最近のお義母様は凄く優しく、まるで本当の母の様に私に接してくれている。
私も、お母様とは正直思えないが、年上の親友の様にお義母様を思っている。
そんなお義母さんの娘のロゼに酷い事はしたく無い。
またフリードが手を出したのが【ロゼ】で本当に良かった。
もし手を出した相手が使用人や平民なら、貴族として処罰しなくてはならない。
もし、他家の貴族の令嬢なら、恐らく遺恨を残し確執を生む。
貴族の中に敵が出来るのは好ましくない。
だから、これは【不幸中の幸い】だったんだと思う。
「マリアよ、ショックを受けているのは解るが、そこを通してはくれないか?」
「ごめんなさい、直ぐにお通し致します」
私はお父様たちに部屋に入って貰った。
67
お気に入りに追加
4,521
あなたにおすすめの小説
虐げられていた姉はひと月後には幸せになります~全てを奪ってきた妹やそんな妹を溺愛する両親や元婚約者には負けませんが何か?~
***あかしえ
恋愛
「どうしてお姉様はそんなひどいことを仰るの?!」
妹ベディは今日も、大きなまるい瞳に涙をためて私に喧嘩を売ってきます。
「そうだぞ、リュドミラ!君は、なぜそんな冷たいことをこんなかわいいベディに言えるんだ!」
元婚約者や家族がそうやって妹を甘やかしてきたからです。
両親は反省してくれたようですが、妹の更生には至っていません!
あとひと月でこの地をはなれ結婚する私には時間がありません。
他人に迷惑をかける前に、この妹をなんとかしなくては!
「結婚!?どういうことだ!」って・・・元婚約者がうるさいのですがなにが「どういうこと」なのですか?
あなたにはもう関係のない話ですが?
妹は公爵令嬢の婚約者にまで手を出している様子!ああもうっ本当に面倒ばかり!!
ですが公爵令嬢様、あなたの所業もちょぉっと問題ありそうですね?
私、いろいろ調べさせていただいたんですよ?
あと、人の婚約者に色目を使うのやめてもらっていいですか?
・・・××しますよ?
悪役令嬢、猛省中!!
***あかしえ
恋愛
「君との婚約は破棄させてもらう!」
――この国の王妃となるべく、幼少の頃から悪事に悪事を重ねてきた公爵令嬢ミーシャは、狂おしいまでに愛していた己の婚約者である第二王子に、全ての罪を暴かれ断頭台へと送られてしまう。
処刑される寸前――己の前世とこの世界が少女漫画の世界であることを思い出すが、全ては遅すぎた。
今度生まれ変わるなら、ミーシャ以外のなにかがいい……と思っていたのに、気付いたら幼少期へと時間が巻き戻っていた!?
己の罪を悔い、今度こそ善行を積み、彼らとは関わらず静かにひっそりと生きていこうと決意を新たにしていた彼女の下に現れたのは……?!
襲い来るかもしれないシナリオの強制力、叶わない恋、
誰からも愛されるあの子に対する狂い出しそうな程の憎しみへの恐怖、
誰にもきっと分からない……でも、これの全ては自業自得。
今度こそ、私は私が傷つけてきた全ての人々を…………救うために頑張ります!
うたた寝している間に運命が変わりました。
gacchi
恋愛
優柔不断な第三王子フレディ様の婚約者として、幼いころから色々と苦労してきたけど、最近はもう呆れてしまって放置気味。そんな中、お義姉様がフレディ様の子を身ごもった?私との婚約は解消?私は学園を卒業したら修道院へ入れられることに。…だったはずなのに、カフェテリアでうたた寝していたら、私の運命は変わってしまったようです。
【完結】「君を愛することはない」と言われた公爵令嬢は思い出の夜を繰り返す
おのまとぺ
恋愛
「君を愛することはない!」
鳴り響く鐘の音の中で、三年の婚約期間の末に結ばれるはずだったマルクス様は高らかに宣言しました。隣には彼の義理の妹シシーがピッタリとくっついています。私は笑顔で「承知いたしました」と答え、ガラスの靴を脱ぎ捨てて、一目散に式場の扉へと走り出しました。
え?悲しくないのかですって?
そんなこと思うわけないじゃないですか。だって、私はこの三年間、一度たりとも彼を愛したことなどなかったのですから。私が本当に愛していたのはーーー
◇よくある婚約破棄
◇元サヤはないです
◇タグは増えたりします
◇薬物などの危険物が少し登場します
貧乏伯爵令嬢は従姉に代わって公爵令嬢として結婚します。
しゃーりん
恋愛
貧乏伯爵令嬢ソレーユは伯父であるタフレット公爵の温情により、公爵家から学園に通っていた。
ソレーユは結婚を諦めて王宮で侍女になるために学園を卒業することは必須であった。
同い年の従姉であるローザリンデは、王宮で侍女になるよりも公爵家に嫁ぐ自分の侍女になればいいと嫌がらせのように侍女の仕事を与えようとする。
しかし、家族や人前では従妹に優しい令嬢を演じているため、横暴なことはしてこなかった。
だが、侍女になるつもりのソレーユに王太子の側妃になる話が上がったことを知ったローザリンデは自分よりも上の立場になるソレーユが許せなくて。
立場を入れ替えようと画策したローザリンデよりソレーユの方が幸せになるお話です。
【完結】愛してるなんて言うから
空原海
恋愛
「メアリー、俺はこの婚約を破棄したい」
婚約が決まって、三年が経とうかという頃に切り出された婚約破棄。
婚約の理由は、アラン様のお父様とわたしのお母様が、昔恋人同士だったから。
――なんだそれ。ふざけてんのか。
わたし達は婚約解消を前提とした婚約を、互いに了承し合った。
第1部が恋物語。
第2部は裏事情の暴露大会。親世代の愛憎確執バトル、スタートッ!
※ 一話のみ挿絵があります。サブタイトルに(※挿絵あり)と表記しております。
苦手な方、ごめんなさい。挿絵の箇所は、するーっと流してくださると幸いです。
この婚約は白い結婚に繋がっていたはずですが? 〜深窓の令嬢は赤獅子騎士団長に溺愛される〜
氷雨そら
恋愛
婚約相手のいない婚約式。
通常であれば、この上なく惨めであろうその場所に、辺境伯令嬢ルナシェは、美しいベールをなびかせて、毅然とした姿で立っていた。
ベールから、こぼれ落ちるような髪は白銀にも見える。プラチナブロンドが、日差しに輝いて神々しい。
さすがは、白薔薇姫との呼び名高い辺境伯令嬢だという周囲の感嘆。
けれど、ルナシェの内心は、実はそれどころではなかった。
(まさかのやり直し……?)
先ほど確かに、ルナシェは断頭台に露と消えたのだ。しかし、この場所は確かに、あの日経験した、たった一人の婚約式だった。
ルナシェは、人生を変えるため、婚約式に現れなかった婚約者に、婚約破棄を告げるため、激戦の地へと足を向けるのだった。
小説家になろう様にも投稿しています。
お姉さまが家を出て行き、婚約者を譲られました
さこの
恋愛
姉は優しく美しい。姉の名前はアリシア私の名前はフェリシア
姉の婚約者は第三王子
お茶会をすると一緒に来てと言われる
アリシアは何かとフェリシアと第三王子を二人にしたがる
ある日姉が父に言った。
アリシアでもフェリシアでも婚約者がクリスタル伯爵家の娘ならどちらでも良いですよね?
バカな事を言うなと怒る父、次の日に姉が家を、出た
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる