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04 新人類ネオ

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 『RI-NN』――それが僕の識別コードだった。
 もっとも、そう呼ばれることはほとんどなかったけれど。

 周りの子たちとは違う、黒い髪。
 大人たちと同じ、黒い髪。

 だから僕は、『クロ』とか『クロイノ』と呼ばれることの方が圧倒的に多かった。

 あとは、『ヤクタタズ』とか『キタイハズレ』とか、そんな言葉ばかりが僕を指し示す言葉だった。

 今なら、それらが僕を蔑む言葉だと理解できるけれど、当時の僕はそれどころではなかった。

 ただ毎日、早く終わってほしいと思っていた。

 できないことをやれと言われ、けれど具体的にどうすればいいのか教えてはくれない。

 僕が何もできないから、大人は僕を殴った。
 打って、蹴って、罰を与えて、そんな日常。

 痛かった。
 苦しかった。
 早く終わってほしかった。

 その日常から解放されるときは、僕の命が尽きるとき。

 そう覚悟して、その日が早く訪れることを願っていたけれど、その日は思わぬ形で思わぬ人からもたらされた。

 『一緒に行こう』

 彼が――『SI-NO』の識別コードの彼が、僕に手を差し伸べてくれた。

 くすんだ、金色の髪。

 彼は、大人たちとは違う金色の髪と青い瞳をしていたけれど、大人たちが望むようなことができていない子だった。

 彼もまた、『キンパツ』とか『キンイロ』とか呼ばれていた。

 僕たちは作られた子供。

 大人たち――旧人類ヒトが、科学の力で作り出した、ヒトが持ち得ない能力を持って生まれるハズの新人類ネオ。

 その見た目は、ヒトとは大きく違わないけれど、その髪や目の色がヒトにはあまり現れない色であることが多い。

 青色の髪を持っていた子は、宙に浮いて見せて、緑の髪を持っていた子は物を浮かせて見せたりした。

 そういうわかりやすい能力が僕たちには発現しなかったから、僕たちは『キタイハズレノシッパイサク』だったそうだ――
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