10 / 14
04 新人類ネオ
01
しおりを挟む
『RI-NN』――それが僕の識別コードだった。
もっとも、そう呼ばれることはほとんどなかったけれど。
周りの子たちとは違う、黒い髪。
大人たちと同じ、黒い髪。
だから僕は、『クロ』とか『クロイノ』と呼ばれることの方が圧倒的に多かった。
あとは、『ヤクタタズ』とか『キタイハズレ』とか、そんな言葉ばかりが僕を指し示す言葉だった。
今なら、それらが僕を蔑む言葉だと理解できるけれど、当時の僕はそれどころではなかった。
ただ毎日、早く終わってほしいと思っていた。
できないことをやれと言われ、けれど具体的にどうすればいいのか教えてはくれない。
僕が何もできないから、大人は僕を殴った。
打って、蹴って、罰を与えて、そんな日常。
痛かった。
苦しかった。
早く終わってほしかった。
その日常から解放されるときは、僕の命が尽きるとき。
そう覚悟して、その日が早く訪れることを願っていたけれど、その日は思わぬ形で思わぬ人からもたらされた。
『一緒に行こう』
彼が――『SI-NO』の識別コードの彼が、僕に手を差し伸べてくれた。
くすんだ、金色の髪。
彼は、大人たちとは違う金色の髪と青い瞳をしていたけれど、大人たちが望むようなことができていない子だった。
彼もまた、『キンパツ』とか『キンイロ』とか呼ばれていた。
僕たちは作られた子供。
大人たち――旧人類ヒトが、科学の力で作り出した、ヒトが持ち得ない能力を持って生まれるハズの新人類ネオ。
その見た目は、ヒトとは大きく違わないけれど、その髪や目の色がヒトにはあまり現れない色であることが多い。
青色の髪を持っていた子は、宙に浮いて見せて、緑の髪を持っていた子は物を浮かせて見せたりした。
そういうわかりやすい能力が僕たちには発現しなかったから、僕たちは『キタイハズレノシッパイサク』だったそうだ――
もっとも、そう呼ばれることはほとんどなかったけれど。
周りの子たちとは違う、黒い髪。
大人たちと同じ、黒い髪。
だから僕は、『クロ』とか『クロイノ』と呼ばれることの方が圧倒的に多かった。
あとは、『ヤクタタズ』とか『キタイハズレ』とか、そんな言葉ばかりが僕を指し示す言葉だった。
今なら、それらが僕を蔑む言葉だと理解できるけれど、当時の僕はそれどころではなかった。
ただ毎日、早く終わってほしいと思っていた。
できないことをやれと言われ、けれど具体的にどうすればいいのか教えてはくれない。
僕が何もできないから、大人は僕を殴った。
打って、蹴って、罰を与えて、そんな日常。
痛かった。
苦しかった。
早く終わってほしかった。
その日常から解放されるときは、僕の命が尽きるとき。
そう覚悟して、その日が早く訪れることを願っていたけれど、その日は思わぬ形で思わぬ人からもたらされた。
『一緒に行こう』
彼が――『SI-NO』の識別コードの彼が、僕に手を差し伸べてくれた。
くすんだ、金色の髪。
彼は、大人たちとは違う金色の髪と青い瞳をしていたけれど、大人たちが望むようなことができていない子だった。
彼もまた、『キンパツ』とか『キンイロ』とか呼ばれていた。
僕たちは作られた子供。
大人たち――旧人類ヒトが、科学の力で作り出した、ヒトが持ち得ない能力を持って生まれるハズの新人類ネオ。
その見た目は、ヒトとは大きく違わないけれど、その髪や目の色がヒトにはあまり現れない色であることが多い。
青色の髪を持っていた子は、宙に浮いて見せて、緑の髪を持っていた子は物を浮かせて見せたりした。
そういうわかりやすい能力が僕たちには発現しなかったから、僕たちは『キタイハズレノシッパイサク』だったそうだ――
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる