【完結】EACH-その先の未来-

02 優しい日常

03

　着替えを終えると、アイラはレイナに押してもらう車イスで部屋を出た。

「わあ！　アイラ、今日は一段とカワイイ！　その髪留め、似合ってるよ！」

　アイラの姿を見たサイトは、これでもかと言うくらいに褒めたおした。
　アイラの前髪を留めるヒマワリの飾りのついた髪留めに、自分が今度は髪留めをプレゼントしようと考えていた。

「当然でしょ。なんたって、このレイナ様がスタイリストなんだから」

　誇らしげに胸を張ったレイナは、続けてカイトに言った。

「ほら、カイトも何か言いなさいよ」

　けれどカイトは、何も答えることなくフイと目を逸らしてしまった。

　そんなカイトの様子に、アイラは悲し気に瞳を揺らした。

「カイト……キラ、イ……？」

「ばっ、泣くなよ！！」

　アイラの様子に、カイトは慌てた。

「あーあ。カイトが泣かせたー」
「そのまま嫌われればいいよ」

　呆れたように言うレイナに、どこか冷たくサイトが言った。

「わ、悪かったよ……」

　ボソリと、どこかバツが悪そうにカイトは言った。

「別に、嫌いとかじゃないし……、か、かわいい……と思う、し……どっちかつーと、好き……って言うか……」

　ボソボソと話していたカイトは最後に、顔を真っ赤にして言った。

「は、恥ずかしいだろ！？」

　そんなカイトの様子に、サイトは不服そうにこぼした。

「キミでもそういうこと言えるんだ」

「いつもそれくらい素直だったらいいのに」

　レイナも呆れた様子で言った。

「うるせえ！　さっさと行くぞ！」

　言い放ったカイトは、アイラの車イスを押してズンズンと先に行ってしまった。

「ちょっと、僕のアイラを連れて行かないでよ」

　サイトは連れて行かれたアイラを追いかけた。

「テメェのじゃねぇよ」

「まったく、相変わらずなんだから」

　呆れたように、けれどどこか楽しそうにレイナも3人のあとを追った。