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6章 聖女ディヴァリアと勇者リオン
180話 祝福の結婚式
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女神アルフィラからの試練を終えて、結婚式の準備は順調に進んだ。
まあ、ひとつだけ大きなトラブルがあったのだが。
そもそも女神が降臨したという事実。そして、アルフィラが俺達の結婚式に参加すること。
とても大変な騒ぎになって、落ち着いては居られなかった。
だが、その準備も形になり、いま俺達の結婚式は本番を迎えている。王城を飾り付けたところで行っているんだ。
知り合いを全て招いて、大勢の民衆に囲まれて。
ディヴァリアのウエディングドレスは、とても似合っている。
きれいな銀髪と青い瞳と、真っ白なドレスがお互いを引き立てあっているからな。
城の中へと向かう道を歩けば、大きな歓声に包まれた。
集まった民衆が俺達の姿をひと目でも見ようとしているのが、動きからよく分かる。
城の中に入っていっても、中など見えないのに立ち去った気配がない。
よほどの祝い事だとは言われていたが、とてつもないと実感できるな。
城の中に入っていき、みんなが集まった王の間へと向かっていく。
中心部に位置して、いつもは玉座があるのだが。
今回はいかにもな結婚式場って感じだ。来客の席と、俺達の立つ壇と、赤いカーペットのバージンロード。
俺の知っているものとだいぶ近くて、落ち着いていられる。
新婦の立ち位置には女神アルフィラがいて、まさに神への誓いになるだろう。
本番となった今でも、アルフィラの姿をまじまじと見ている人がいるくらいだ。
まずは、国王レントから祝いの言葉を告げられる。
「今日は良き日となった。この国における最大級の功労者、聖女と勇者が結ばれる日だ。余も含めて、誰にとっても記念日となるであろう」
「ありがとうございます。アストライア王国に、ひいてはこの世界に平穏をもたらせるきっかけとなればと思います」
「私とリオンは、長い道のりの果てに結ばれました。だからこそ、この絆はきっと壊れないでしょう。この国の象徴となるように、努力します」
「さあ、皆からも祝いの言葉を用意している。今日ばかりは、余が脇役だ。さっさと下がるとしよう」
言葉通り、すぐに引っ込んでいく。盛大な拍手がおこり、そして友人達の言葉へと続いていく。
まずは、ミナだ。堂々とした態度で、ゆっくりと話し始めていく。
「今日という日を迎えられたこと。まずはそれを祝いましょう。勇者と聖女は、必ず誰しもが語り継ぐ夫婦となるでしょう。幸福の象徴として。リオン、ディヴァリア、おめでとう」
続いて、シルク。背筋を伸ばしたまま、ハキハキと語りだす。
「慶事です。女神アルフィラすら認める夫婦は、これまで存在しなかった。誰よりも輝く、幸せな夫婦となるでしょう。教会にとっても、今日は大きな一日です」
その次には、ルミリエ。元気な姿をハッキリと見せながら、明るく話し始めた。
「どちらも私の親友である、リオンちゃんとディヴァリアちゃん。2人のために、この日だけの歌を捧げるよ。じゃあ、聴いていってね」
マイク型の心奏具を出して、足でリズムを刻んでから歌い始める。
しっとりとした曲が染み渡り、俺達の心に強く届いた。
今日だけしか見られない、最高のステージ。やはり、ルミリエの歌は最高だ。
歌い終えると、今度はサクラの話になった。
とても穏やかな顔で、心からの祝福だと分かる様子で。
「メルキオール学園での出会った2人は、あたしを強く照らしてくれた。これからは、みんなにとっての太陽になるでしょう」
その次は、ノエル。俺たちに向けて、明るい笑顔を向けながら話していく。
「リオンお兄ちゃんと、ディヴァリアお姉ちゃんがノエルを拾ってくれた。だから、救われたんだよ。そんな2人が幸せになれるように、2人の妹として、使用人として、全力で支えるね」
次いで、ユリアの番が来た。花開くような顔で、祝福の言葉をくれる。
「リオンさんと、ディヴァリアさん。2人はわたしも含めた大勢を救ってきました。そんな2人の幸福を、心から祈っていますっ」
代わって、フェミルが話し始める。慈しむような表情で、ゆっくりと。
「帝国の人間だった私も、2人に助けられたわ。だからこそ、2人は世界の希望。王国だけに収まらず、この世界の全てに祝福される2人になるでしょう」
今度はソニアさん。近衛騎士団長としての厳しさはなく、優しげな顔で話していく。
「いずれ小生の後を継ぐリオン殿と、輝ける聖女であるディヴァリア殿。2人の出会いに、これからの道のりに、祝福のあらん事を」
次に、シャーナさん。落ち着いた表情で、魔女だとはとても思えない様子だ。
「いくつもの困難を乗り越えて、多くの絆を紡いで、今2人は結ばれる。その奇跡は、これまでも、これからも、二度と無いじゃろうな」
続きは、エルザさん。いつもどおりの聖母の顔で、包まれるような声で話し出す。
「聖女様が開いた孤児院は、多くの迷える子を救いました。それを支えたリオンさんも共に。子ども達を代表して、私から祝いの言葉を送ります。おめでとうございます」
エルザさんに手を引かれて、エリスも話していく。確かな意志を秘めた瞳で。
「お兄ちゃんと、聖女さま。エリス達にしあわせを教えてくれた2人が、ずっとしあわせでありますように」
最後に、これまでのみんなを含めた、この場にいる全員が、俺達におめでとうと言った。
やはり、親しい人に祝われる瞬間は格別だな。隣にディヴァリアが立っていることで、より喜びが深まっていく。
そして、女神アルフィラが俺たちの前に立ち、この式のメインに移る。
アルフィラは初めて出会ったときが嘘のように、愛おしそうな目で俺達を見ている。
「女神の名において、あなた達を祝福する。あなた達2人こそが、誰よりも理想の夫婦だと、私が保証する」
アルフィラの祝福は、きっとこの世界では何よりも重い。
だからこそ、彼女の期待を裏切りたくない。
俺達が最高の夫婦だと、心から認めてくれる彼女を。
そして、俺をこの世界に連れてきてくれた恩人を。
「ありがとうございます。その言葉に見合うように、力を尽くします」
「私達が誰よりも幸せな夫婦だと、これからの日々で証明していきます」
「新郎、リオン。新婦、ディヴァリア。あなた達は、永遠の愛を誓うか」
定番のセリフだな。だが、女神本人に誓うとなると、少しだけ緊張する。
絶対にディヴァリアを裏切るつもりなんてない。だから、迷いはないが。
それでも、神というのは大きな存在だからな。日本で暮らしていた俺にとってですら。
だけど、だからこそ固く誓う。それが、愛の証明だ。
「もちろんです」
「永遠に、私達の愛は途切れません」
「祝福の証として、我が権能の一部を授ける。あなた達こそが、世界の中心」
アルフィラが俺達に手をかざすと、2人は光に包まれた。
そして、体から力が湧き上がってくるかのような感覚がやってくる。
恐ろしいほどの万能感だ。この力に、飲み込まれそうなほど。
だけど、隣にはディヴァリアが居る。それだけで、何も問題はない。
「ありがとうございます。あなたに恥じない夫婦になってみせます」
「私達の手で、あなたの理想を紡いでみせます。あなたの祝福に見合うように」
「感謝する。あなた達を生み出せたことが、私の最高の成果。きっと、どんな未来でも変わらない」
とんでもなく重い言葉だ。だが、心地よくもある。
俺達2人の絆が、女神すらも認めさせたのだから。
つまり、俺とディヴァリアの関係は最高だってことだから。
「さあ、誓いの儀式を。2人が永遠であるように、私に誓って」
そして、俺とディヴァリアははお互いの顔を見て笑い合って。
続いて、少しずつお互いの顔を近づけていく。
誰からも祝福されながら、俺達はキスをした。
――――――
私とリオンは結婚式を終えて、アルフィラにもらった力を検証していた。
すると、この世界の中なら、どんなことでも思い通りに変えられそうなほどのものだった。
リオンは恐れていたみたいだけど、私にとっては都合がいい。
この力があれば、私達を邪魔するものを、全て破壊し尽くすことができる。
寿命も、敵も、環境だって。
――どんな力を持っていても、結局人は永遠じゃない。だから、今を大切にするんだ。
リオンはそう言ったよね。だけど、私達は永遠になれる。
サクラ達みんなを含めた家族と一緒にね。
それでも、私はリオンと生きる今を大切にするよ。
だって、今のリオンは今しか味わえないから。
ねえ、リオン。私はとても幸せだよ。あなたと出会えて良かった。
だから、あなたをずっと幸せにしてあげるね。約束だよ、リオン。
まあ、ひとつだけ大きなトラブルがあったのだが。
そもそも女神が降臨したという事実。そして、アルフィラが俺達の結婚式に参加すること。
とても大変な騒ぎになって、落ち着いては居られなかった。
だが、その準備も形になり、いま俺達の結婚式は本番を迎えている。王城を飾り付けたところで行っているんだ。
知り合いを全て招いて、大勢の民衆に囲まれて。
ディヴァリアのウエディングドレスは、とても似合っている。
きれいな銀髪と青い瞳と、真っ白なドレスがお互いを引き立てあっているからな。
城の中へと向かう道を歩けば、大きな歓声に包まれた。
集まった民衆が俺達の姿をひと目でも見ようとしているのが、動きからよく分かる。
城の中に入っていっても、中など見えないのに立ち去った気配がない。
よほどの祝い事だとは言われていたが、とてつもないと実感できるな。
城の中に入っていき、みんなが集まった王の間へと向かっていく。
中心部に位置して、いつもは玉座があるのだが。
今回はいかにもな結婚式場って感じだ。来客の席と、俺達の立つ壇と、赤いカーペットのバージンロード。
俺の知っているものとだいぶ近くて、落ち着いていられる。
新婦の立ち位置には女神アルフィラがいて、まさに神への誓いになるだろう。
本番となった今でも、アルフィラの姿をまじまじと見ている人がいるくらいだ。
まずは、国王レントから祝いの言葉を告げられる。
「今日は良き日となった。この国における最大級の功労者、聖女と勇者が結ばれる日だ。余も含めて、誰にとっても記念日となるであろう」
「ありがとうございます。アストライア王国に、ひいてはこの世界に平穏をもたらせるきっかけとなればと思います」
「私とリオンは、長い道のりの果てに結ばれました。だからこそ、この絆はきっと壊れないでしょう。この国の象徴となるように、努力します」
「さあ、皆からも祝いの言葉を用意している。今日ばかりは、余が脇役だ。さっさと下がるとしよう」
言葉通り、すぐに引っ込んでいく。盛大な拍手がおこり、そして友人達の言葉へと続いていく。
まずは、ミナだ。堂々とした態度で、ゆっくりと話し始めていく。
「今日という日を迎えられたこと。まずはそれを祝いましょう。勇者と聖女は、必ず誰しもが語り継ぐ夫婦となるでしょう。幸福の象徴として。リオン、ディヴァリア、おめでとう」
続いて、シルク。背筋を伸ばしたまま、ハキハキと語りだす。
「慶事です。女神アルフィラすら認める夫婦は、これまで存在しなかった。誰よりも輝く、幸せな夫婦となるでしょう。教会にとっても、今日は大きな一日です」
その次には、ルミリエ。元気な姿をハッキリと見せながら、明るく話し始めた。
「どちらも私の親友である、リオンちゃんとディヴァリアちゃん。2人のために、この日だけの歌を捧げるよ。じゃあ、聴いていってね」
マイク型の心奏具を出して、足でリズムを刻んでから歌い始める。
しっとりとした曲が染み渡り、俺達の心に強く届いた。
今日だけしか見られない、最高のステージ。やはり、ルミリエの歌は最高だ。
歌い終えると、今度はサクラの話になった。
とても穏やかな顔で、心からの祝福だと分かる様子で。
「メルキオール学園での出会った2人は、あたしを強く照らしてくれた。これからは、みんなにとっての太陽になるでしょう」
その次は、ノエル。俺たちに向けて、明るい笑顔を向けながら話していく。
「リオンお兄ちゃんと、ディヴァリアお姉ちゃんがノエルを拾ってくれた。だから、救われたんだよ。そんな2人が幸せになれるように、2人の妹として、使用人として、全力で支えるね」
次いで、ユリアの番が来た。花開くような顔で、祝福の言葉をくれる。
「リオンさんと、ディヴァリアさん。2人はわたしも含めた大勢を救ってきました。そんな2人の幸福を、心から祈っていますっ」
代わって、フェミルが話し始める。慈しむような表情で、ゆっくりと。
「帝国の人間だった私も、2人に助けられたわ。だからこそ、2人は世界の希望。王国だけに収まらず、この世界の全てに祝福される2人になるでしょう」
今度はソニアさん。近衛騎士団長としての厳しさはなく、優しげな顔で話していく。
「いずれ小生の後を継ぐリオン殿と、輝ける聖女であるディヴァリア殿。2人の出会いに、これからの道のりに、祝福のあらん事を」
次に、シャーナさん。落ち着いた表情で、魔女だとはとても思えない様子だ。
「いくつもの困難を乗り越えて、多くの絆を紡いで、今2人は結ばれる。その奇跡は、これまでも、これからも、二度と無いじゃろうな」
続きは、エルザさん。いつもどおりの聖母の顔で、包まれるような声で話し出す。
「聖女様が開いた孤児院は、多くの迷える子を救いました。それを支えたリオンさんも共に。子ども達を代表して、私から祝いの言葉を送ります。おめでとうございます」
エルザさんに手を引かれて、エリスも話していく。確かな意志を秘めた瞳で。
「お兄ちゃんと、聖女さま。エリス達にしあわせを教えてくれた2人が、ずっとしあわせでありますように」
最後に、これまでのみんなを含めた、この場にいる全員が、俺達におめでとうと言った。
やはり、親しい人に祝われる瞬間は格別だな。隣にディヴァリアが立っていることで、より喜びが深まっていく。
そして、女神アルフィラが俺たちの前に立ち、この式のメインに移る。
アルフィラは初めて出会ったときが嘘のように、愛おしそうな目で俺達を見ている。
「女神の名において、あなた達を祝福する。あなた達2人こそが、誰よりも理想の夫婦だと、私が保証する」
アルフィラの祝福は、きっとこの世界では何よりも重い。
だからこそ、彼女の期待を裏切りたくない。
俺達が最高の夫婦だと、心から認めてくれる彼女を。
そして、俺をこの世界に連れてきてくれた恩人を。
「ありがとうございます。その言葉に見合うように、力を尽くします」
「私達が誰よりも幸せな夫婦だと、これからの日々で証明していきます」
「新郎、リオン。新婦、ディヴァリア。あなた達は、永遠の愛を誓うか」
定番のセリフだな。だが、女神本人に誓うとなると、少しだけ緊張する。
絶対にディヴァリアを裏切るつもりなんてない。だから、迷いはないが。
それでも、神というのは大きな存在だからな。日本で暮らしていた俺にとってですら。
だけど、だからこそ固く誓う。それが、愛の証明だ。
「もちろんです」
「永遠に、私達の愛は途切れません」
「祝福の証として、我が権能の一部を授ける。あなた達こそが、世界の中心」
アルフィラが俺達に手をかざすと、2人は光に包まれた。
そして、体から力が湧き上がってくるかのような感覚がやってくる。
恐ろしいほどの万能感だ。この力に、飲み込まれそうなほど。
だけど、隣にはディヴァリアが居る。それだけで、何も問題はない。
「ありがとうございます。あなたに恥じない夫婦になってみせます」
「私達の手で、あなたの理想を紡いでみせます。あなたの祝福に見合うように」
「感謝する。あなた達を生み出せたことが、私の最高の成果。きっと、どんな未来でも変わらない」
とんでもなく重い言葉だ。だが、心地よくもある。
俺達2人の絆が、女神すらも認めさせたのだから。
つまり、俺とディヴァリアの関係は最高だってことだから。
「さあ、誓いの儀式を。2人が永遠であるように、私に誓って」
そして、俺とディヴァリアははお互いの顔を見て笑い合って。
続いて、少しずつお互いの顔を近づけていく。
誰からも祝福されながら、俺達はキスをした。
――――――
私とリオンは結婚式を終えて、アルフィラにもらった力を検証していた。
すると、この世界の中なら、どんなことでも思い通りに変えられそうなほどのものだった。
リオンは恐れていたみたいだけど、私にとっては都合がいい。
この力があれば、私達を邪魔するものを、全て破壊し尽くすことができる。
寿命も、敵も、環境だって。
――どんな力を持っていても、結局人は永遠じゃない。だから、今を大切にするんだ。
リオンはそう言ったよね。だけど、私達は永遠になれる。
サクラ達みんなを含めた家族と一緒にね。
それでも、私はリオンと生きる今を大切にするよ。
だって、今のリオンは今しか味わえないから。
ねえ、リオン。私はとても幸せだよ。あなたと出会えて良かった。
だから、あなたをずっと幸せにしてあげるね。約束だよ、リオン。
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