20 / 182
1章 勇者リオンの始まり
20話 ノエルという妹
しおりを挟む
俺は今日、家にディヴァリアとノエル、エルザさんを誘った。ディヴァリアの発案がもとで、この4人で過ごしたいらしい。
空いている孤児院は、ディヴァリアの家の人間に任せるのだとか。
ノエルとエルザさんだけなら、ディヴァリアは素をさらせる。だから、きっと親しい人たちでの時間を楽しみにしているのだろう。
「聖女様、リオンお兄ちゃん、誘ってくれてありがとう!」
「ディヴァリアでいいよ。ここには他に人は居ないからね」
「ノエルもディヴァリアお姉ちゃんって呼びたいけど。でも、他のところで呼んじゃったら迷惑でしょ?」
「そんな事、気にしなくてもいいよ。ノエルは私達の妹なんだからね」
ディヴァリアもノエルを大切に感じてくれている。俺にはディヴァリアの言葉から伝わったような気がした。
ノエルは本当にずっと面倒を見てきた子だから、思い入れはとてもたくさんある。
「なら、ディヴァリアお姉ちゃんって呼ぶね。いつか、本当の家族になりたいなぁ」
「聖女様の家族ですか。エインフェルト家の養子になることは難しいでしょうね」
エルザさんの言う通りだろう。ディヴァリアの家であるエインフェルト家は公爵家だから。
単なる平民をわざわざ養子にするとは思えない。ノエルは才能にあふれてはいるが、それでも。
「リオンお兄ちゃんの側室とか、妾とか、メイドでもいいよ。2人と一緒にいられるのなら、なんでもいいから」
「ノエル、正妻は誰のつもりなのかな?」
「もちろん、ディヴァリアお姉ちゃん! 2人の結婚式をノエルがお祝いするの、夢なんだ」
「ふふ、ノエルにどんな役割を任せようかな。お祝いの言葉は言ってほしいね」
俺と結婚、か。ディヴァリアはどう考えているのだろうな。実際に結婚したところで、関係が崩壊することはないだろうが。
それにしても、ノエルはませているというか。側室や妾って、そんな雑な扱いにはしたくないぞ。
「歌ならルミリエお姉ちゃんがいるからね。他になにか考えないと」
「踊りでも、ルミリエさんがいらっしゃいますからね。余興の選択は限られますね」
そうなんだよな。エルザさんの言うように、歌や踊りではルミリエの前にかすむだけだ。
とはいえ、それ以外の余興となると、1人では難しいんじゃないか?
まあ、孤児院のメンバーで祝うのならば、その問題は解決するのだが。
「ノエルが祝ってくれるのなら、何でも嬉しいかな。エルザさんもね」
「だから、いっぱい頑張るんだよ! ディヴァリアお姉ちゃんにも、リオンお兄ちゃんにも、いっぱい喜んでほしいから!」
ノエルの気持ちは本当に嬉しい。俺がディヴァリアと結婚するかはともかく。
ノエルが俺達のことを大切に思ってくれている事がよく分かるからな。
俺達にとっても、ノエルは大切な存在だ。もっと、その想いを伝えるべきかもな。
「聖女様の結婚式ともなれば、誰からも祝福されるでしょうね」
「だったら嬉しいかな。でも、まだまだ先は長いよ」
だろうな。俺達もまだ若いということもある。
それに、聖女という立ち位置に釣り合う相手など、そうは居ないだろうから。
他にも、ディヴァリアが結婚を許す相手がイメージできない。きっと、他人など単なる道具としか思っていないのだから。
政略結婚ですら、嫌がりそうなくらいだ。愛情をそそぐための努力など、望まないだろうからな。
「楽しみはゆっくり待たないとね! でもリオンお兄ちゃん、待たせすぎちゃダメだよ?」
「そうですね。聖女様とて、女の子なのですからね」
まるでディヴァリアが俺との結婚を望んでいるかのような。本当だとするのなら、嬉しいと思ってしまうのだが。
ただ、俺とディヴァリアではきっと釣り合わない。実力も、名声も、何もかも。
「そういうものか。ディヴァリアのウエディングドレス、きっときれいなのだろうな」
「そうだね。ディヴァリアお姉ちゃんは美人さんだから。見るの、楽しみだなぁ」
「ノエルだってとっても可愛いと思うよ。おしゃれな格好、させてみたいかも」
「でも、ノエルはあんまり贅沢できないからね。難しいんじゃないかな」
まあ、孤児院に住んでいるくらいだからな。とはいえ、ノエルがおしゃれしたら、俺は見とれてしまうかもな。
それくらいには、可愛らしいと感じているんだ。もしかしたら、身内びいきのたぐいかもしれないが。
「私が用意できればいいんだけどね。さすがに、両親が反対するだろうから」
「仕方ないな。エインフェルト家は名門だ。簡単に身内扱いすれば、お互いに良くない」
「以前にも、聖女様への恨みで孤児院に攻撃されたわけですから。私達に自衛する手段がない以上、難しいですよね」
「ディヴァリアお姉ちゃんを恨むなんて、最低! ノエル、許さないんだから」
「ありがとう、ノエル。ノエルのことは、私が守ってみせるね」
ディヴァリアは微笑みながら言う。やはり、ノエルは大切な相手と考えてくれている。そう信じることができて、ありがたい。
俺にとって、ノエルはもう失いたくない相手だから。
「ありがとう、ディヴァリアお姉ちゃん! ディヴァリアお姉ちゃんが守ってくれるなら、安心だね」
「そうですね。聖女様のことならば、信じられますから」
実際、ディヴァリアの能力はとても高い。俺が守ろうとするより、よほど効率的に守ってくれるはずだ。
「そうだな、ディヴァリアなら、きっと安心だ」
「そうだよ、リオン。ノエルもエルザさんも、私が守ってあげるから」
「ありがたいな。俺も守るつもりではあるが、力不足も感じるからな」
「リオンお兄ちゃんだって、とっても頼りになるよ! ノエル、信じてるから」
「そうですよ。リオンさんだって、私達を何度も守ってくれましたからね」
ノエルとエルザさんの言葉に、俺は少し救われた気がした。
俺はどうしてもディヴァリアのようにはなれない。そんな俺でも、頼りにしてくれている相手がいる。
たったそれだけで、力がわいてくると思えるんだ。
「ありがとう、ノエル、エルザさん。2人と出会えてよかったよ」
「リオン、私は?」
「そうだよ。ディヴァリアお姉ちゃんのこと、忘れちゃダメ!!」
「ええ。聖女様を大切にして差し上げないと」
「い、いや、ディヴァリアとだって出会えてよかったよ」
俺がうろたえていると、3人とも笑いだした。つまり、からかっていただけなのだろう。
まったく。完全に引っかかってしまった。少しどころではなく焦ったんだよな。
「ふふ、リオンったら、可愛いね」
「いつもは頼りになるのにね。リオンお兄ちゃん、かわいい~!」
「ふふ、だまされてしまいましたね。女は怖いんですよ?」
たぶん、今俺は真っ赤になっているだろうな。
可愛いだなんて、ほめられているとは思えないんだよ。まあ、親愛表現なのだろうが。
「あんまりからかうんじゃない。まったくもう」
「リオン、すねないで。ふふ、謝るから」
「笑っているじゃないか! まあ、許すよ」
「リオンお兄ちゃんってば甘いんだ~! またからかっちゃうからね!」
「聖女様もノエルも、やりすぎてはいけませんよ。こういう事は加減が大事なんです」
たしなめているエルザさんも、からかってきた側なんだよな。まあ、間違いなく俺も楽しんでいるのだが。
「まあ、2人ならやりすぎるという事は無いだろうさ。そのあたりは信用しているぞ」
「リオンお兄ちゃん、優しいね。あーあ! もっとずっと一緒にいられたらなぁ」
「そうだね。なにか手段があればいいけど。ちょっと考えてみるね」
「その気持ちだけで嬉しいよ! ディヴァリアお姉ちゃん、大好き!」
「私も大好きだよ。これからもずっと、仲良くしようね」
ディヴァリアの顔はとても優しい。だから、ノエルとはいずれもっとともに時間を過ごせるかもな。
それからは、ノエルたちが帰るまで、ずっと楽しい時間だった。本当に、ディヴァリアが孤児院を造ってくれてよかったな。
ノエルが居ない生活なんて、もう考えられないのだから。
――――――
私のディヴァリアという名前。呼ばれて嬉しい相手と、そうでない相手がいる。嬉しいのは、もちろん親しい相手かな。
そして、嬉しくないのはそれ以外の人たち。聖女様って呼ばれるのも、実は同じ。
だから、孤児院から邪魔な人間を減らしたかった。そのために、有翼連合をまた利用することに決めて。
有翼連合の内部に送り込んだ人を使って、孤児院の襲撃計画を細かく誘導して。
予定通り、邪魔な子供達を殺すことに成功した。私が死なせたくない、ノエルとエルザはちゃんと守って。
もし他の子供が死んだら、かかった時間とお金がもったいないけれど。でも、代わりはいくらでもいるからね。
――とりあえず、何も利用できなくなった時まで殺さなくていいんじゃないかな。
リオンはそう言っていたよね。私にとっては、死んだ子供達は何も利用できない人だったよ。
ついでに、有翼連合はもう処分することにした。今の有翼連合は、私にとっては利用価値のない存在だから。
ただ、一応戦力はまだ残っている。だから、最後にリオンとサクラの実戦経験に使うと決めた。
――やっぱり、同じ苦労をした相手とは、絆が深まりやすいよね。
リオンの言葉通りに、リオンとサクラの絆を深めたかった。きっと、2人ならばリオン1人より活躍できるからね。
いくら2人が仲良くなったところで、私とリオンの絆には勝てないし。
それから、2人はうまく有翼連合の残党を倒せたみたい。とはいえ、あまり苦戦しなかったんだよね。
まあ、成果を出せているのなら、私の目標には近づいている。リオンの名声を高めるという狙いには。
――結局、人からの報告では、主観が混ざるから。1人だけなら、自分が一番いいよ。
ただ、ノエルは少し怖がっていたかもしれない。だから、私の目で直接確かめたかった。
その時にノエルが言ってくれたこと、とても嬉しかったよ。私とリオンの結婚式を祝ってくれるって。でも、リオンの側室も、妾もダメだからね。
ただ、私もノエルとはもっと一緒にいたいから。だから、その手段を考えないとね。
ねえ、ノエル。私達の妹。私もあなたと本当の家族になりたい。それに、ノエルに結婚式をお祝いしてもらうこと、楽しみにしているから。
だから、リオン。あなたには、また試練を用意してあげるね。嬉しいでしょ? ノエルと一緒にいられるのは。
空いている孤児院は、ディヴァリアの家の人間に任せるのだとか。
ノエルとエルザさんだけなら、ディヴァリアは素をさらせる。だから、きっと親しい人たちでの時間を楽しみにしているのだろう。
「聖女様、リオンお兄ちゃん、誘ってくれてありがとう!」
「ディヴァリアでいいよ。ここには他に人は居ないからね」
「ノエルもディヴァリアお姉ちゃんって呼びたいけど。でも、他のところで呼んじゃったら迷惑でしょ?」
「そんな事、気にしなくてもいいよ。ノエルは私達の妹なんだからね」
ディヴァリアもノエルを大切に感じてくれている。俺にはディヴァリアの言葉から伝わったような気がした。
ノエルは本当にずっと面倒を見てきた子だから、思い入れはとてもたくさんある。
「なら、ディヴァリアお姉ちゃんって呼ぶね。いつか、本当の家族になりたいなぁ」
「聖女様の家族ですか。エインフェルト家の養子になることは難しいでしょうね」
エルザさんの言う通りだろう。ディヴァリアの家であるエインフェルト家は公爵家だから。
単なる平民をわざわざ養子にするとは思えない。ノエルは才能にあふれてはいるが、それでも。
「リオンお兄ちゃんの側室とか、妾とか、メイドでもいいよ。2人と一緒にいられるのなら、なんでもいいから」
「ノエル、正妻は誰のつもりなのかな?」
「もちろん、ディヴァリアお姉ちゃん! 2人の結婚式をノエルがお祝いするの、夢なんだ」
「ふふ、ノエルにどんな役割を任せようかな。お祝いの言葉は言ってほしいね」
俺と結婚、か。ディヴァリアはどう考えているのだろうな。実際に結婚したところで、関係が崩壊することはないだろうが。
それにしても、ノエルはませているというか。側室や妾って、そんな雑な扱いにはしたくないぞ。
「歌ならルミリエお姉ちゃんがいるからね。他になにか考えないと」
「踊りでも、ルミリエさんがいらっしゃいますからね。余興の選択は限られますね」
そうなんだよな。エルザさんの言うように、歌や踊りではルミリエの前にかすむだけだ。
とはいえ、それ以外の余興となると、1人では難しいんじゃないか?
まあ、孤児院のメンバーで祝うのならば、その問題は解決するのだが。
「ノエルが祝ってくれるのなら、何でも嬉しいかな。エルザさんもね」
「だから、いっぱい頑張るんだよ! ディヴァリアお姉ちゃんにも、リオンお兄ちゃんにも、いっぱい喜んでほしいから!」
ノエルの気持ちは本当に嬉しい。俺がディヴァリアと結婚するかはともかく。
ノエルが俺達のことを大切に思ってくれている事がよく分かるからな。
俺達にとっても、ノエルは大切な存在だ。もっと、その想いを伝えるべきかもな。
「聖女様の結婚式ともなれば、誰からも祝福されるでしょうね」
「だったら嬉しいかな。でも、まだまだ先は長いよ」
だろうな。俺達もまだ若いということもある。
それに、聖女という立ち位置に釣り合う相手など、そうは居ないだろうから。
他にも、ディヴァリアが結婚を許す相手がイメージできない。きっと、他人など単なる道具としか思っていないのだから。
政略結婚ですら、嫌がりそうなくらいだ。愛情をそそぐための努力など、望まないだろうからな。
「楽しみはゆっくり待たないとね! でもリオンお兄ちゃん、待たせすぎちゃダメだよ?」
「そうですね。聖女様とて、女の子なのですからね」
まるでディヴァリアが俺との結婚を望んでいるかのような。本当だとするのなら、嬉しいと思ってしまうのだが。
ただ、俺とディヴァリアではきっと釣り合わない。実力も、名声も、何もかも。
「そういうものか。ディヴァリアのウエディングドレス、きっときれいなのだろうな」
「そうだね。ディヴァリアお姉ちゃんは美人さんだから。見るの、楽しみだなぁ」
「ノエルだってとっても可愛いと思うよ。おしゃれな格好、させてみたいかも」
「でも、ノエルはあんまり贅沢できないからね。難しいんじゃないかな」
まあ、孤児院に住んでいるくらいだからな。とはいえ、ノエルがおしゃれしたら、俺は見とれてしまうかもな。
それくらいには、可愛らしいと感じているんだ。もしかしたら、身内びいきのたぐいかもしれないが。
「私が用意できればいいんだけどね。さすがに、両親が反対するだろうから」
「仕方ないな。エインフェルト家は名門だ。簡単に身内扱いすれば、お互いに良くない」
「以前にも、聖女様への恨みで孤児院に攻撃されたわけですから。私達に自衛する手段がない以上、難しいですよね」
「ディヴァリアお姉ちゃんを恨むなんて、最低! ノエル、許さないんだから」
「ありがとう、ノエル。ノエルのことは、私が守ってみせるね」
ディヴァリアは微笑みながら言う。やはり、ノエルは大切な相手と考えてくれている。そう信じることができて、ありがたい。
俺にとって、ノエルはもう失いたくない相手だから。
「ありがとう、ディヴァリアお姉ちゃん! ディヴァリアお姉ちゃんが守ってくれるなら、安心だね」
「そうですね。聖女様のことならば、信じられますから」
実際、ディヴァリアの能力はとても高い。俺が守ろうとするより、よほど効率的に守ってくれるはずだ。
「そうだな、ディヴァリアなら、きっと安心だ」
「そうだよ、リオン。ノエルもエルザさんも、私が守ってあげるから」
「ありがたいな。俺も守るつもりではあるが、力不足も感じるからな」
「リオンお兄ちゃんだって、とっても頼りになるよ! ノエル、信じてるから」
「そうですよ。リオンさんだって、私達を何度も守ってくれましたからね」
ノエルとエルザさんの言葉に、俺は少し救われた気がした。
俺はどうしてもディヴァリアのようにはなれない。そんな俺でも、頼りにしてくれている相手がいる。
たったそれだけで、力がわいてくると思えるんだ。
「ありがとう、ノエル、エルザさん。2人と出会えてよかったよ」
「リオン、私は?」
「そうだよ。ディヴァリアお姉ちゃんのこと、忘れちゃダメ!!」
「ええ。聖女様を大切にして差し上げないと」
「い、いや、ディヴァリアとだって出会えてよかったよ」
俺がうろたえていると、3人とも笑いだした。つまり、からかっていただけなのだろう。
まったく。完全に引っかかってしまった。少しどころではなく焦ったんだよな。
「ふふ、リオンったら、可愛いね」
「いつもは頼りになるのにね。リオンお兄ちゃん、かわいい~!」
「ふふ、だまされてしまいましたね。女は怖いんですよ?」
たぶん、今俺は真っ赤になっているだろうな。
可愛いだなんて、ほめられているとは思えないんだよ。まあ、親愛表現なのだろうが。
「あんまりからかうんじゃない。まったくもう」
「リオン、すねないで。ふふ、謝るから」
「笑っているじゃないか! まあ、許すよ」
「リオンお兄ちゃんってば甘いんだ~! またからかっちゃうからね!」
「聖女様もノエルも、やりすぎてはいけませんよ。こういう事は加減が大事なんです」
たしなめているエルザさんも、からかってきた側なんだよな。まあ、間違いなく俺も楽しんでいるのだが。
「まあ、2人ならやりすぎるという事は無いだろうさ。そのあたりは信用しているぞ」
「リオンお兄ちゃん、優しいね。あーあ! もっとずっと一緒にいられたらなぁ」
「そうだね。なにか手段があればいいけど。ちょっと考えてみるね」
「その気持ちだけで嬉しいよ! ディヴァリアお姉ちゃん、大好き!」
「私も大好きだよ。これからもずっと、仲良くしようね」
ディヴァリアの顔はとても優しい。だから、ノエルとはいずれもっとともに時間を過ごせるかもな。
それからは、ノエルたちが帰るまで、ずっと楽しい時間だった。本当に、ディヴァリアが孤児院を造ってくれてよかったな。
ノエルが居ない生活なんて、もう考えられないのだから。
――――――
私のディヴァリアという名前。呼ばれて嬉しい相手と、そうでない相手がいる。嬉しいのは、もちろん親しい相手かな。
そして、嬉しくないのはそれ以外の人たち。聖女様って呼ばれるのも、実は同じ。
だから、孤児院から邪魔な人間を減らしたかった。そのために、有翼連合をまた利用することに決めて。
有翼連合の内部に送り込んだ人を使って、孤児院の襲撃計画を細かく誘導して。
予定通り、邪魔な子供達を殺すことに成功した。私が死なせたくない、ノエルとエルザはちゃんと守って。
もし他の子供が死んだら、かかった時間とお金がもったいないけれど。でも、代わりはいくらでもいるからね。
――とりあえず、何も利用できなくなった時まで殺さなくていいんじゃないかな。
リオンはそう言っていたよね。私にとっては、死んだ子供達は何も利用できない人だったよ。
ついでに、有翼連合はもう処分することにした。今の有翼連合は、私にとっては利用価値のない存在だから。
ただ、一応戦力はまだ残っている。だから、最後にリオンとサクラの実戦経験に使うと決めた。
――やっぱり、同じ苦労をした相手とは、絆が深まりやすいよね。
リオンの言葉通りに、リオンとサクラの絆を深めたかった。きっと、2人ならばリオン1人より活躍できるからね。
いくら2人が仲良くなったところで、私とリオンの絆には勝てないし。
それから、2人はうまく有翼連合の残党を倒せたみたい。とはいえ、あまり苦戦しなかったんだよね。
まあ、成果を出せているのなら、私の目標には近づいている。リオンの名声を高めるという狙いには。
――結局、人からの報告では、主観が混ざるから。1人だけなら、自分が一番いいよ。
ただ、ノエルは少し怖がっていたかもしれない。だから、私の目で直接確かめたかった。
その時にノエルが言ってくれたこと、とても嬉しかったよ。私とリオンの結婚式を祝ってくれるって。でも、リオンの側室も、妾もダメだからね。
ただ、私もノエルとはもっと一緒にいたいから。だから、その手段を考えないとね。
ねえ、ノエル。私達の妹。私もあなたと本当の家族になりたい。それに、ノエルに結婚式をお祝いしてもらうこと、楽しみにしているから。
だから、リオン。あなたには、また試練を用意してあげるね。嬉しいでしょ? ノエルと一緒にいられるのは。
0
お気に入りに追加
77
あなたにおすすめの小説
NTRエロゲの世界に転移した俺、ヒロインの好感度は限界突破。レベルアップ出来ない俺はスキルを取得して無双する。~お前らNTRを狙いすぎだろ~
ぐうのすけ
ファンタジー
高校生で18才の【黒野 速人】はクラス転移で異世界に召喚される。
城に召喚され、ステータス確認で他の者はレア固有スキルを持つ中、速人の固有スキルは呪い扱いされ城を追い出された。
速人は気づく。
この世界、俺がやっていたエロゲ、プリンセストラップダンジョン学園・NTRと同じ世界だ!
この世界の攻略法を俺は知っている!
そして自分のステータスを見て気づく。
そうか、俺の固有スキルは大器晩成型の強スキルだ!
こうして速人は徐々に頭角を現し、ハーレムと大きな地位を築いていく。
一方速人を追放したクラスメートの勇者源氏朝陽はゲームの仕様を知らず、徐々に成長が止まり、落ちぶれていく。
そしてクラス1の美人【姫野 姫】にも逃げられ更に追い込まれる。
順調に強くなっていく中速人は気づく。
俺達が転移した事でゲームの歴史が変わっていく。
更にゲームオーバーを回避するためにヒロインを助けた事でヒロインの好感度が限界突破していく。
強くなり、ヒロインを救いつつ成り上がっていくお話。
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
カクヨムとアルファポリス同時掲載。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。
異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。
そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。
異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。
龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。
現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~
津ヶ谷
ファンタジー
綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。
ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。
目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。
その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。
その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。
そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。
これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。
二度目の異世界に来たのは最強の騎士〜吸血鬼の俺はこの世界で眷族(ハーレム)を増やす〜
北条氏成
ファンタジー
一度目の世界を救って、二度目の異世界にやってきた主人公は全能力を引き継いで吸血鬼へと転生した。
この物語は魔王によって人間との混血のハーフと呼ばれる者達が能力を失った世界で、最強種の吸血鬼が眷族を増やす少しエッチな小説です。
※物語上、日常で消費する魔力の補給が必要になる為、『魔力の補給(少しエッチな)』話を挟みます。嫌な方は飛ばしても問題はないかと思いますので更新をお待ち下さい。※
カクヨムで3日で修正という無理難題を突き付けられたので、今後は切り替えてこちらで投稿していきます!カクヨムで読んで頂いてくれていた読者の方々には大変申し訳ありません!!
*毎日投稿実施中!投稿時間は夜11時~12時頃です。*
※本作は眷族の儀式と魔力の補給というストーリー上で不可欠な要素が発生します。性描写が苦手な方は注意(魔力の補給が含まれます)を読まないで下さい。また、ギリギリを攻めている為、BAN対策で必然的に同じ描写が多くなります。描写が単調だよ? 足りないよ?という場合は想像力で補って下さい。できる限り毎日更新する為、話数を切って千文字程度で更新します。※
表紙はAIで作成しました。ヒロインのリアラのイメージです。ちょっと過激な感じなので、運営から言われたら消します!
俺だけ異世界行ける件〜会社をクビになった俺は異世界で最強となり、現実世界で気ままにスローライフを送る〜
平山和人
ファンタジー
平凡なサラリーマンである新城直人は不況の煽りで会社をクビになってしまう。
都会での暮らしに疲れた直人は、田舎の実家へと戻ることにした。
ある日、祖父の物置を掃除したら変わった鏡を見つける。その鏡は異世界へと繋がっていた。
さらに祖父が異世界を救った勇者であることが判明し、物置にあった武器やアイテムで直人はドラゴンをも一撃で倒す力を手に入れる。
こうして直人は異世界で魔物を倒して金を稼ぎ、現実では働かずにのんびり生きるスローライフ生活を始めるのであった。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる