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1章 勇者リオンの始まり
14話 心奏共鳴
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サクラと2人でディヴァリアを探していると、すぐに見つかった。だいぶ運がいいな。今日は人探しに時間がかからない。
「ディヴァリア、ここに居たか。探していたんだ」
「何の用かな? サクラも一緒なんだね」
「そうね。ディヴァリアに会いたくなっちゃって。ねえ、今空いてる?」
「時間ならあるよ。何かしたいのかな?」
「ディヴァリア、あたし達と戦ってくれない? ディヴァリアがどれほど強いのか、確かめたいの」
なるほど。サクラはディヴァリアを1人にしたくないと言っていたな。だから、どれだけ距離が離れているのか知りたいのだろう。
大丈夫だろうか。サクラの心が折れてしまわないか心配だ。
「別にいいよ。でも、私はきっとビックリするくらい強いよ」
「ええ、分かっているわ。でも、ディヴァリアの力を知らないことには、あたしは前に進めないの」
サクラの言うことは分かる。分かるが、ディヴァリアの力はあまりにも圧倒的すぎる。前に進むどころか、足を止めてしまうおそれがあるんだ。
「じゃあ、移動しようか。周りを巻き込まないようにね」
実際、ディヴァリアは味方を巻き込む心配がない方が強い。つまり、1人で最強だということだ。
だからこそ、共闘することはとても難しくて。そんなディヴァリアを1人にしないこと。どうすればいいのか、方針すらも立てられないんだ。
それから、広い空間へと移動した俺達。ディヴァリアは微笑んだまま立っている。そんな様子を見ながら、俺達は心奏具を展開する。
「守護れ――エンドオブティアーズ!」
「関係われ――ソローオブメモリー!」
俺の両手に剣と盾が現れる。そして、サクラの右手に鉄の手袋のようなものも。
俺達は構えるが、ディヴァリアは普通に立ったまま。そのまま攻撃を仕掛けようと考えていたが、サクラは違うようだ。
「心奏具を展開しないの? あたしはディヴァリアの本気を見たいの」
「別にいいけど、絶望しないでね。詩歌え――チェインオブマインド」
ディヴァリアの右腕にブレスレットが出現する。初めから勝ち目など無かったが、さらに状況は悪くなった。
絶望するなというセリフは、おどしでも何でも無い。本当に、ディヴァリアを前にしては抵抗すらも許されないんだ。
そういえば、原作でディヴァリアの心奏具はもっと禍々しいものだったような。
俺の記憶違いか? 今となってはハッキリ思い出せないな。
「じゃあ、来ていいよ」
ディヴァリアは構えすらせずに言う。俺達程度に構える必要など無い。明らかな事実ではあるが。
悔しさに打ち震えそうになってしまう。俺達など、ディヴァリアの眼中にもないのだと思えて。
「じゃあ、遠慮なく行くわよ!」
まずはサクラがソローオブメモリーからレーザーを放つ。即座にディヴァリアはチェインオブマインドでレーザーを破壊する。
レーザーに破壊も何もあったものでは無いはずなんだ。なのに、チェインオブマインドにはそんな事は関係ない。
何よりも恐ろしいのは、まったくこちらに被害がないという事実。つまり、サクラの攻撃を的確に最低限の威力で相殺しているんだ。
「なら、これならどう? 打ち消すのは一苦労でしょうよ!」
サクラはソローオブメモリーから炎を放つ。まともに直撃すれば黒焦げになってしまいそうだが。
ディヴァリアにそんな遠慮など無駄だとわかったのだろう。実際、このサクラの攻撃も通じないだろうな。
「残念、簡単なんだ」
チェインオブマインドから光が放たれて、サクラの炎は壊されてしまう。
まったく理屈は理解できないが、とにかくチェインオブマインドは何でも壊せる。
ただ、ディヴァリアの強さはチェインオブマインドに頼ったものではない。それをサクラはすぐにでも知ることになるだろう。
「リオンもディヴァリアに攻撃しなさい! ぼさっとしていないで!」
「分かったよ!」
サクラに言われてしまったので、俺も攻撃に参加する。当然、最初から全力だ。
エンドオブティアーズで斬りかかり、避けられそうなら形を変える。
ただ、ディヴァリアは優雅さも微笑みも崩さないまま華麗に攻撃を避けていく。戦うたびに感じるのだが、何も通じないとしか思えない。
「1人で通じないならあたしも!」
サクラは俺の攻撃に合わせてディヴァリアに炎を放つ。俺はチェインオブマインドで相殺されるのだと考えていたが。
「ウォーター。これはどうかな?」
単なる初級魔法で、サクラがソローオブメモリーから放った上級魔法が打ち消された。
思わずサクラの方を見てしまう。あまりにも力の差がありすぎる。心が折れていないのか、つい不安になってしまった。
「リオン、そっちを見てていいの? 行くね。失墜する星、砕け散る月、燃え尽きる太陽――」
冗談だろう!? ディヴァリアは最上級魔法の詠唱をしている。かすりでもすれば俺達はチリすら残らないんだぞ!?
俺は全力でサクラをかばえる位置に走り、エンドオブティアーズの盾を最大限に大きくする。
俺とサクラが盾の陰に入った頃、ディヴァリアが詠唱を終えた。
「すべてを飲み込め――ディヴァインカラミティ」
ディヴァリアから放たれた黒い光。盾に強烈な衝撃が襲いかかる。
俺は必死で盾を支える。もしこの攻撃が当たったら、俺達は終わりだ。
吹き飛ばされそうになりながら、ほとんど気合だけで耐え抜いていた。
状況を理解したサクラが、共に盾を支えてくれて。なんとかディヴァリアの攻撃をしのぎきった。
「とんでもないわね。周り、ひどいことになってる」
サクラの言葉で意識したが、周りは炭化していたり、ドロドロになっていたりと悲惨な有様だ。
これが直撃していたら、間違いなく俺達は死んでいた。というか、かすっただけでも終わっていたのは分かりきっていたのだが。
相変わらずディヴァリアはとんでもないやつだ。俺は初級魔法ですら戦闘と平行では使えないのに。
「じゃあ直すね。クリーン」
ディヴァリアが魔法を発動すると、あっという間に周囲がきれいになった。
サクラは目を見開いて口元に手を持っていっていた。それもそうか。俺は見慣れていたが、サクラは初めてだからな。
「ウソ……ホコリを払う程度の魔法じゃないの!?」
まったくだ。ディヴァリアは本当におかしい。なぜ初級魔法で上級魔法を超える効果を出しているんだ。俺と同じ人間だとは思えないほど。
とはいえ、ディヴァリアを1人にしたくないなら、この壁を乗り越えなければならない。
「どう、サクラ? これでも私に追いつこうって思える?」
もしかしたら、俺は内心では諦めているのかもしれない。
これほどまで強いディヴァリアに、どうすれば追いつけるというのか。可能性を思い浮かべることすらできないから。
ただ、サクラは違ったみたいだ。
「絶対に諦めないわ! ディヴァリアと友達でいるために、あんたを支えられる存在になってみせる!」
さすがはサクラ。まさに主人公と呼ぶべき存在。
俺には同じ宣言はできなかったんだ。なにせ、どうあがいても届くとは思えなかったから。だから、口だけの人間になってしまうことが怖くて。
「ふふ、サクラはやっぱり素敵だね。友達になってよかった」
ディヴァリアはそう言いながら微笑む。
あるいは俺が初めて見るような顔に思えて。だから、俺だって諦めたくない。そう感じた。
なぜなら、サクラにもディヴァリアにも、ふさわしい友達で居たいから。ディヴァリアに、もっと笑顔をみせてもらいたいから。
「サクラが諦めていないのに、俺が諦める訳にはいかないよな! いくぞ、サクラ!」
「そうね! あたし達で、必ずディヴァリアを支えてみせるんだから!」
俺とサクラ、お互いの心がつながっていくような感覚があった。きっと、これが。俺は心から浮かんで来る言葉をそのまま口にした。
「「心奏共鳴――勇猛果敢LV1!」」
俺達の心奏具が光でつながり、そこからピンクの炎が吹き出した。
サクラがソローオブメモリーで放った上級魔法を遥かに上回る力を感じる。
これなら、あるいはディヴァリアにも通じるのではないか。そう思えすらした。
「うん、私のために心をつなげてくれるのは嬉しい。だから、本気で行くね」
そのままディヴァリアはチェインオブマインドを構えた。そこから、白い光が放たれて。しばらく拮抗した後、お互いの力が失われていった。
「まさか、これでも通じないなんてね。でも、少しだけ希望は見えたわ」
サクラの言うとおりだ。これまで、どんな攻撃もチェインオブマインドと拮抗などしなかった。
だから、あるいは心奏共鳴ならば。ディヴァリアに一矢報いるくらいはできるのではないかと。そう思えたんだ。
「ああ、そうだな。まだ遠いことは明らかだが、絶対に届かないわけでは無いのかもしれない」
ディヴァリアは俺達の方を見て柔らかく微笑んでいる。
そんな姿を見て、俺は今日の恐怖が報われたような気がした。ディヴァリアが最上級魔法を使ったときなど、終わったと思ったからな。
あれ程の力を感じながら立ち上がったサクラには尊敬しか無い。本当に、サクラと出会えて良かった。友達になれて良かった。
「ふふ、簡単には届かせてあげないよ。でも、追いかけてくれると嬉しいな」
「ええ、もちろんよ。ディヴァリアの友達にふさわしいあたしでいるために、頑張るわ」
「俺も同じ気持ちだ。きっとディヴァリアに届いてみせる」
途方もなく遠い道のりに思えるが。それでも、サクラとならたどり着けるかもしれない。
サクラは本当に俺の希望なんだ。ディヴァリアという高い壁に、共に挑むことができる相手として。
「頑張ってね。2人がいつか追いついてくれたら、きっと幸せなんだろうね」
「なら、あたし達が幸せにしてみせるわ。だから、待っていなさいよね」
サクラとディヴァリアの出会いは、きっとお互いにとって良いものとなってくれる。
いつかディヴァリアが暴走してしまう未来が、きっと遠ざかったはずだ。
だから、ディヴァリア。世界の敵にならないでくれ。
「ディヴァリア、ここに居たか。探していたんだ」
「何の用かな? サクラも一緒なんだね」
「そうね。ディヴァリアに会いたくなっちゃって。ねえ、今空いてる?」
「時間ならあるよ。何かしたいのかな?」
「ディヴァリア、あたし達と戦ってくれない? ディヴァリアがどれほど強いのか、確かめたいの」
なるほど。サクラはディヴァリアを1人にしたくないと言っていたな。だから、どれだけ距離が離れているのか知りたいのだろう。
大丈夫だろうか。サクラの心が折れてしまわないか心配だ。
「別にいいよ。でも、私はきっとビックリするくらい強いよ」
「ええ、分かっているわ。でも、ディヴァリアの力を知らないことには、あたしは前に進めないの」
サクラの言うことは分かる。分かるが、ディヴァリアの力はあまりにも圧倒的すぎる。前に進むどころか、足を止めてしまうおそれがあるんだ。
「じゃあ、移動しようか。周りを巻き込まないようにね」
実際、ディヴァリアは味方を巻き込む心配がない方が強い。つまり、1人で最強だということだ。
だからこそ、共闘することはとても難しくて。そんなディヴァリアを1人にしないこと。どうすればいいのか、方針すらも立てられないんだ。
それから、広い空間へと移動した俺達。ディヴァリアは微笑んだまま立っている。そんな様子を見ながら、俺達は心奏具を展開する。
「守護れ――エンドオブティアーズ!」
「関係われ――ソローオブメモリー!」
俺の両手に剣と盾が現れる。そして、サクラの右手に鉄の手袋のようなものも。
俺達は構えるが、ディヴァリアは普通に立ったまま。そのまま攻撃を仕掛けようと考えていたが、サクラは違うようだ。
「心奏具を展開しないの? あたしはディヴァリアの本気を見たいの」
「別にいいけど、絶望しないでね。詩歌え――チェインオブマインド」
ディヴァリアの右腕にブレスレットが出現する。初めから勝ち目など無かったが、さらに状況は悪くなった。
絶望するなというセリフは、おどしでも何でも無い。本当に、ディヴァリアを前にしては抵抗すらも許されないんだ。
そういえば、原作でディヴァリアの心奏具はもっと禍々しいものだったような。
俺の記憶違いか? 今となってはハッキリ思い出せないな。
「じゃあ、来ていいよ」
ディヴァリアは構えすらせずに言う。俺達程度に構える必要など無い。明らかな事実ではあるが。
悔しさに打ち震えそうになってしまう。俺達など、ディヴァリアの眼中にもないのだと思えて。
「じゃあ、遠慮なく行くわよ!」
まずはサクラがソローオブメモリーからレーザーを放つ。即座にディヴァリアはチェインオブマインドでレーザーを破壊する。
レーザーに破壊も何もあったものでは無いはずなんだ。なのに、チェインオブマインドにはそんな事は関係ない。
何よりも恐ろしいのは、まったくこちらに被害がないという事実。つまり、サクラの攻撃を的確に最低限の威力で相殺しているんだ。
「なら、これならどう? 打ち消すのは一苦労でしょうよ!」
サクラはソローオブメモリーから炎を放つ。まともに直撃すれば黒焦げになってしまいそうだが。
ディヴァリアにそんな遠慮など無駄だとわかったのだろう。実際、このサクラの攻撃も通じないだろうな。
「残念、簡単なんだ」
チェインオブマインドから光が放たれて、サクラの炎は壊されてしまう。
まったく理屈は理解できないが、とにかくチェインオブマインドは何でも壊せる。
ただ、ディヴァリアの強さはチェインオブマインドに頼ったものではない。それをサクラはすぐにでも知ることになるだろう。
「リオンもディヴァリアに攻撃しなさい! ぼさっとしていないで!」
「分かったよ!」
サクラに言われてしまったので、俺も攻撃に参加する。当然、最初から全力だ。
エンドオブティアーズで斬りかかり、避けられそうなら形を変える。
ただ、ディヴァリアは優雅さも微笑みも崩さないまま華麗に攻撃を避けていく。戦うたびに感じるのだが、何も通じないとしか思えない。
「1人で通じないならあたしも!」
サクラは俺の攻撃に合わせてディヴァリアに炎を放つ。俺はチェインオブマインドで相殺されるのだと考えていたが。
「ウォーター。これはどうかな?」
単なる初級魔法で、サクラがソローオブメモリーから放った上級魔法が打ち消された。
思わずサクラの方を見てしまう。あまりにも力の差がありすぎる。心が折れていないのか、つい不安になってしまった。
「リオン、そっちを見てていいの? 行くね。失墜する星、砕け散る月、燃え尽きる太陽――」
冗談だろう!? ディヴァリアは最上級魔法の詠唱をしている。かすりでもすれば俺達はチリすら残らないんだぞ!?
俺は全力でサクラをかばえる位置に走り、エンドオブティアーズの盾を最大限に大きくする。
俺とサクラが盾の陰に入った頃、ディヴァリアが詠唱を終えた。
「すべてを飲み込め――ディヴァインカラミティ」
ディヴァリアから放たれた黒い光。盾に強烈な衝撃が襲いかかる。
俺は必死で盾を支える。もしこの攻撃が当たったら、俺達は終わりだ。
吹き飛ばされそうになりながら、ほとんど気合だけで耐え抜いていた。
状況を理解したサクラが、共に盾を支えてくれて。なんとかディヴァリアの攻撃をしのぎきった。
「とんでもないわね。周り、ひどいことになってる」
サクラの言葉で意識したが、周りは炭化していたり、ドロドロになっていたりと悲惨な有様だ。
これが直撃していたら、間違いなく俺達は死んでいた。というか、かすっただけでも終わっていたのは分かりきっていたのだが。
相変わらずディヴァリアはとんでもないやつだ。俺は初級魔法ですら戦闘と平行では使えないのに。
「じゃあ直すね。クリーン」
ディヴァリアが魔法を発動すると、あっという間に周囲がきれいになった。
サクラは目を見開いて口元に手を持っていっていた。それもそうか。俺は見慣れていたが、サクラは初めてだからな。
「ウソ……ホコリを払う程度の魔法じゃないの!?」
まったくだ。ディヴァリアは本当におかしい。なぜ初級魔法で上級魔法を超える効果を出しているんだ。俺と同じ人間だとは思えないほど。
とはいえ、ディヴァリアを1人にしたくないなら、この壁を乗り越えなければならない。
「どう、サクラ? これでも私に追いつこうって思える?」
もしかしたら、俺は内心では諦めているのかもしれない。
これほどまで強いディヴァリアに、どうすれば追いつけるというのか。可能性を思い浮かべることすらできないから。
ただ、サクラは違ったみたいだ。
「絶対に諦めないわ! ディヴァリアと友達でいるために、あんたを支えられる存在になってみせる!」
さすがはサクラ。まさに主人公と呼ぶべき存在。
俺には同じ宣言はできなかったんだ。なにせ、どうあがいても届くとは思えなかったから。だから、口だけの人間になってしまうことが怖くて。
「ふふ、サクラはやっぱり素敵だね。友達になってよかった」
ディヴァリアはそう言いながら微笑む。
あるいは俺が初めて見るような顔に思えて。だから、俺だって諦めたくない。そう感じた。
なぜなら、サクラにもディヴァリアにも、ふさわしい友達で居たいから。ディヴァリアに、もっと笑顔をみせてもらいたいから。
「サクラが諦めていないのに、俺が諦める訳にはいかないよな! いくぞ、サクラ!」
「そうね! あたし達で、必ずディヴァリアを支えてみせるんだから!」
俺とサクラ、お互いの心がつながっていくような感覚があった。きっと、これが。俺は心から浮かんで来る言葉をそのまま口にした。
「「心奏共鳴――勇猛果敢LV1!」」
俺達の心奏具が光でつながり、そこからピンクの炎が吹き出した。
サクラがソローオブメモリーで放った上級魔法を遥かに上回る力を感じる。
これなら、あるいはディヴァリアにも通じるのではないか。そう思えすらした。
「うん、私のために心をつなげてくれるのは嬉しい。だから、本気で行くね」
そのままディヴァリアはチェインオブマインドを構えた。そこから、白い光が放たれて。しばらく拮抗した後、お互いの力が失われていった。
「まさか、これでも通じないなんてね。でも、少しだけ希望は見えたわ」
サクラの言うとおりだ。これまで、どんな攻撃もチェインオブマインドと拮抗などしなかった。
だから、あるいは心奏共鳴ならば。ディヴァリアに一矢報いるくらいはできるのではないかと。そう思えたんだ。
「ああ、そうだな。まだ遠いことは明らかだが、絶対に届かないわけでは無いのかもしれない」
ディヴァリアは俺達の方を見て柔らかく微笑んでいる。
そんな姿を見て、俺は今日の恐怖が報われたような気がした。ディヴァリアが最上級魔法を使ったときなど、終わったと思ったからな。
あれ程の力を感じながら立ち上がったサクラには尊敬しか無い。本当に、サクラと出会えて良かった。友達になれて良かった。
「ふふ、簡単には届かせてあげないよ。でも、追いかけてくれると嬉しいな」
「ええ、もちろんよ。ディヴァリアの友達にふさわしいあたしでいるために、頑張るわ」
「俺も同じ気持ちだ。きっとディヴァリアに届いてみせる」
途方もなく遠い道のりに思えるが。それでも、サクラとならたどり着けるかもしれない。
サクラは本当に俺の希望なんだ。ディヴァリアという高い壁に、共に挑むことができる相手として。
「頑張ってね。2人がいつか追いついてくれたら、きっと幸せなんだろうね」
「なら、あたし達が幸せにしてみせるわ。だから、待っていなさいよね」
サクラとディヴァリアの出会いは、きっとお互いにとって良いものとなってくれる。
いつかディヴァリアが暴走してしまう未来が、きっと遠ざかったはずだ。
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