21 / 392
1章 レックスの道
21話 希望のはじまり
しおりを挟む
とりあえず、最低限は王女姉妹の仲を取り持てたと思う。今すぐ敵対という事態は避けられるだろう。だからこそ、ここが踏ん張りどころだ。次に失敗すれば、ぜんぶ台無しになりかねない。
「さあ、後はリーナを暗殺から救うことだけだ。原作的には、明日なんだよな。そうなると、今日のうちに準備をしておくか」
今の段階では、俺に打てる手は少ない。暗殺者がやってくるから警戒しろと言って、誰が素直に受け入れるというのか。所詮、俺はただの子どもなんだから。まともな情報源があれば、話は別なのだろうが。
だから、俺個人でできる対策を取るしかない。リスクもあるが、ここで何もせずにリーナが傷ついたら、後悔では済まないのだから。
少なくとも、俺の部屋では何もできない。つまり、外に出ることからだな。
「アリア、少し外の空気を吸ってくる。お前は、部屋の掃除でもしておけ」
「かしこまりました、レックス様」
最悪の場合でも、アリアは巻き込みたくない。だから、部屋の中でおとなしくしてもらうのが良いだろう。とりあえず、俺の独断という話にできれば。
ということで、リーナが暗殺されないように準備を始めた。『デスティニーブラッド』での知識は、明日の可能性が高いこと、物理的に襲いかかられたことだけだ。だから、毒には警戒しなくて良い。状況が見えにくい中で、救いのひとつだな。
「闇の魔力で侵食しておけば、物の状態が分かる。周囲の環境も。便利なことだな」
今の俺は、カミラが剣を振っているのも、メアリが魔法の練習をしているのも、フェリシアが杖を抱えているのも分かる。魔力を通して、俺に情報が伝わるからだ。つまり、同様の手順でリーナの周囲におかしいことがないかを探れば良い。
なので、王宮の中のいくつかの場所に、闇の魔力を侵食させていく。リーナの部屋に入ろうとすれば、必ず通る場所はすべて。
「これで、リーナの部屋に侵入する経路は潰れたはずだ。後は、状況の変化を待つだけだ」
それから、寝ずに王宮の様子を探っていた。闇の魔力を応用すれば、疲労感も取ることができる。徹夜にも便利なんだ。
しばらく待っていると、動きがあった。
「明らかに、足音を消しているような動きがあるな。つまり、暗殺者か。急いで移動しないと」
寝ているアリアに気づかれないように、こっそり部屋から出る。それから、暗殺者の通り道を塞ぐ場所へと先回りした。
すると、剣を持った男がいた。おかしいよな。夜中に王宮で剣を持っているなんて。それも、顔を隠すような格好をしているのだから。警備の可能性は消えるよな。
「そこで何をしている!」
「見られたからには、消えてもらう!」
剣で切りかかってくるが、対処なんて簡単だ。俺にとっては、ただの剣技なんて目をつぶっていても問題ないものだ。
「闇の衣!」
俺を包む魔力に剣がぶつかる。当然、防御は抜かれない。
「なぜ、剣が通じない……?」
「しばらく寝てろ!」
全力で殴ったら、相手は気絶した。楽なものではあるが、どうやって言い訳するか。
「さて、どうしたものかな。襲われたと言って、兵士に突き出すか」
周りの魔力を通して人を探していると、巡回らしい兵士がいた。何も知らないふりをして、話しかけていく。
「そこの人、この人が剣を持ってリーナ姫の部屋に入ろうとしていたんです。捕まえてもらえますか?」
「君はどうやって倒して……ああ、闇魔法使いか。確かに、こんな男は名簿にはないな。侵入者で間違いない」
なるほど。来客には名簿なんてものがあるのか。それで、俺が誰なのかも判断したわけだな。
そのまま、詰め所らしき場所へと報告に向かって、明日まで寝ていろと言われる。そして次の日、玉座の間へと呼び出されていた。
王と王女姉妹、そして拘束された犯人がいる。つまり、関係者は全員だ。俺はひざまずいていく。それに合わせて、国王は話し始めた。
「良くぞ、我が娘を助け出してくれた。ところで、どうやって襲撃を知ったのだ? 正直に話せば、罪には問わぬ」
つまり、問題行動を起こしたとみなされている。あるいは、内通者がいたと疑われているのか? いずれにせよ、ごまかすのは悪手だろうな。何か、確信があるような声色なのだから。
「なんとなく嫌な予感がしたので、闇の魔力を建物に侵食しておいたんです」
「レックスよ。我が宮殿を闇の魔力で犯したこと、それは勝手な行いだ。分かっておるな?」
下手をすれば罪人になってもおかしくはない。分かっていた。それでも、リーナを助けたかったんだ。原作での不幸を回避させたかった。最初は、単純に原作より良い未来が見たかっただけだ。でも、リーナと接して、あの子の笑顔を見たいって、そう素直に思えたんだ。だって、いい子なんだから。
「申し訳ありません……」
「それに、侵入者の存在が分かって、お前ひとりで対処しようとしたこともだ」
国王は鋭い目でこちらを見ている。勝手な行動だとは分かっている。だから、死罪でもなければ罰は受けよう。周りを巻き込まれそうなら、全力で逃げるが。
「返す言葉もありません」
「だが、許そう。我が娘を救ってくれた功績は、お前の罪を帳消しにして余りある」
声が柔らかくなって、顔も優しいものになった。つまり、俺のことを許してくれるみたいだ。助かった。罰を受ける覚悟はしていたが、怖かったからな。
「ありがたき幸せです」
俺が言葉を返すと、姉姫ミーアがこちらに向かってきて、軽く微笑んできた。それから、犯人の元へと向かっていく。
「ありがとう、レックス君。リーナちゃんがケガしていたら、私は悲しかったわ。それに、許せない人がいるの」
「ミーア殿下。私は殿下のために……」
「ふざけないで!」
ミーアは、全力で犯人の頬を打った。冷たさすら感じる瞳で、怒りが頂点だと分かる表情で。やはり、妹のことを大切に思っているのだな。だったら、原作のように敵対しない未来は、必ずつかむべきものだよな。
「ミーアよ。軽々しく力を振るうべきではない。我々は、正当な手続きを取った上で、罪人を殺すべきなのだ」
「申し訳ありません、お父様。でも、リーナちゃんを傷つけるような相手、許せなかったの」
「……はあ。これで姉さんに余計なことって言えば、私が悪者じゃないですか。仕方ないですね。姉さんには、少しくらい感謝してあげます。レックスさんも、ありがとうございます」
リーナの言葉を受けて、ミーアは花が咲くような笑顔へと変わっていく。これから先、仲良くできると予感できたのだろうな。実際に、姉妹ふたりで仲良くする姿を見たいものだ。原作ファンとして、友人のひとりとして、心から願っている。
「リーナちゃん、ありがとう!」
「私も、姉さんのことは嫌いじゃないです。少なくとも、今は。仲良くするのも、やぶさかではありませんよ。それで良いんですよね、レックスさん?」
これから先の未来は、まだ分からない。それでも、この姉妹の行く先は明るいものと信じられる。素直に喜んでいるミーアも、ひねくれた言葉を返すリーナも、どちらも笑顔だったからな。
よし、大きな一歩を踏み出すことができたはずだ。これからも、原作で起きる悲劇を防いでみせる。特に、俺の親しい人間に関わることは。生き延びるために、大切な人との未来のために。どんな困難が待っていたって、必ず乗り越えてやる。
「さあ、後はリーナを暗殺から救うことだけだ。原作的には、明日なんだよな。そうなると、今日のうちに準備をしておくか」
今の段階では、俺に打てる手は少ない。暗殺者がやってくるから警戒しろと言って、誰が素直に受け入れるというのか。所詮、俺はただの子どもなんだから。まともな情報源があれば、話は別なのだろうが。
だから、俺個人でできる対策を取るしかない。リスクもあるが、ここで何もせずにリーナが傷ついたら、後悔では済まないのだから。
少なくとも、俺の部屋では何もできない。つまり、外に出ることからだな。
「アリア、少し外の空気を吸ってくる。お前は、部屋の掃除でもしておけ」
「かしこまりました、レックス様」
最悪の場合でも、アリアは巻き込みたくない。だから、部屋の中でおとなしくしてもらうのが良いだろう。とりあえず、俺の独断という話にできれば。
ということで、リーナが暗殺されないように準備を始めた。『デスティニーブラッド』での知識は、明日の可能性が高いこと、物理的に襲いかかられたことだけだ。だから、毒には警戒しなくて良い。状況が見えにくい中で、救いのひとつだな。
「闇の魔力で侵食しておけば、物の状態が分かる。周囲の環境も。便利なことだな」
今の俺は、カミラが剣を振っているのも、メアリが魔法の練習をしているのも、フェリシアが杖を抱えているのも分かる。魔力を通して、俺に情報が伝わるからだ。つまり、同様の手順でリーナの周囲におかしいことがないかを探れば良い。
なので、王宮の中のいくつかの場所に、闇の魔力を侵食させていく。リーナの部屋に入ろうとすれば、必ず通る場所はすべて。
「これで、リーナの部屋に侵入する経路は潰れたはずだ。後は、状況の変化を待つだけだ」
それから、寝ずに王宮の様子を探っていた。闇の魔力を応用すれば、疲労感も取ることができる。徹夜にも便利なんだ。
しばらく待っていると、動きがあった。
「明らかに、足音を消しているような動きがあるな。つまり、暗殺者か。急いで移動しないと」
寝ているアリアに気づかれないように、こっそり部屋から出る。それから、暗殺者の通り道を塞ぐ場所へと先回りした。
すると、剣を持った男がいた。おかしいよな。夜中に王宮で剣を持っているなんて。それも、顔を隠すような格好をしているのだから。警備の可能性は消えるよな。
「そこで何をしている!」
「見られたからには、消えてもらう!」
剣で切りかかってくるが、対処なんて簡単だ。俺にとっては、ただの剣技なんて目をつぶっていても問題ないものだ。
「闇の衣!」
俺を包む魔力に剣がぶつかる。当然、防御は抜かれない。
「なぜ、剣が通じない……?」
「しばらく寝てろ!」
全力で殴ったら、相手は気絶した。楽なものではあるが、どうやって言い訳するか。
「さて、どうしたものかな。襲われたと言って、兵士に突き出すか」
周りの魔力を通して人を探していると、巡回らしい兵士がいた。何も知らないふりをして、話しかけていく。
「そこの人、この人が剣を持ってリーナ姫の部屋に入ろうとしていたんです。捕まえてもらえますか?」
「君はどうやって倒して……ああ、闇魔法使いか。確かに、こんな男は名簿にはないな。侵入者で間違いない」
なるほど。来客には名簿なんてものがあるのか。それで、俺が誰なのかも判断したわけだな。
そのまま、詰め所らしき場所へと報告に向かって、明日まで寝ていろと言われる。そして次の日、玉座の間へと呼び出されていた。
王と王女姉妹、そして拘束された犯人がいる。つまり、関係者は全員だ。俺はひざまずいていく。それに合わせて、国王は話し始めた。
「良くぞ、我が娘を助け出してくれた。ところで、どうやって襲撃を知ったのだ? 正直に話せば、罪には問わぬ」
つまり、問題行動を起こしたとみなされている。あるいは、内通者がいたと疑われているのか? いずれにせよ、ごまかすのは悪手だろうな。何か、確信があるような声色なのだから。
「なんとなく嫌な予感がしたので、闇の魔力を建物に侵食しておいたんです」
「レックスよ。我が宮殿を闇の魔力で犯したこと、それは勝手な行いだ。分かっておるな?」
下手をすれば罪人になってもおかしくはない。分かっていた。それでも、リーナを助けたかったんだ。原作での不幸を回避させたかった。最初は、単純に原作より良い未来が見たかっただけだ。でも、リーナと接して、あの子の笑顔を見たいって、そう素直に思えたんだ。だって、いい子なんだから。
「申し訳ありません……」
「それに、侵入者の存在が分かって、お前ひとりで対処しようとしたこともだ」
国王は鋭い目でこちらを見ている。勝手な行動だとは分かっている。だから、死罪でもなければ罰は受けよう。周りを巻き込まれそうなら、全力で逃げるが。
「返す言葉もありません」
「だが、許そう。我が娘を救ってくれた功績は、お前の罪を帳消しにして余りある」
声が柔らかくなって、顔も優しいものになった。つまり、俺のことを許してくれるみたいだ。助かった。罰を受ける覚悟はしていたが、怖かったからな。
「ありがたき幸せです」
俺が言葉を返すと、姉姫ミーアがこちらに向かってきて、軽く微笑んできた。それから、犯人の元へと向かっていく。
「ありがとう、レックス君。リーナちゃんがケガしていたら、私は悲しかったわ。それに、許せない人がいるの」
「ミーア殿下。私は殿下のために……」
「ふざけないで!」
ミーアは、全力で犯人の頬を打った。冷たさすら感じる瞳で、怒りが頂点だと分かる表情で。やはり、妹のことを大切に思っているのだな。だったら、原作のように敵対しない未来は、必ずつかむべきものだよな。
「ミーアよ。軽々しく力を振るうべきではない。我々は、正当な手続きを取った上で、罪人を殺すべきなのだ」
「申し訳ありません、お父様。でも、リーナちゃんを傷つけるような相手、許せなかったの」
「……はあ。これで姉さんに余計なことって言えば、私が悪者じゃないですか。仕方ないですね。姉さんには、少しくらい感謝してあげます。レックスさんも、ありがとうございます」
リーナの言葉を受けて、ミーアは花が咲くような笑顔へと変わっていく。これから先、仲良くできると予感できたのだろうな。実際に、姉妹ふたりで仲良くする姿を見たいものだ。原作ファンとして、友人のひとりとして、心から願っている。
「リーナちゃん、ありがとう!」
「私も、姉さんのことは嫌いじゃないです。少なくとも、今は。仲良くするのも、やぶさかではありませんよ。それで良いんですよね、レックスさん?」
これから先の未来は、まだ分からない。それでも、この姉妹の行く先は明るいものと信じられる。素直に喜んでいるミーアも、ひねくれた言葉を返すリーナも、どちらも笑顔だったからな。
よし、大きな一歩を踏み出すことができたはずだ。これからも、原作で起きる悲劇を防いでみせる。特に、俺の親しい人間に関わることは。生き延びるために、大切な人との未来のために。どんな困難が待っていたって、必ず乗り越えてやる。
39
お気に入りに追加
155
あなたにおすすめの小説
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
告白をしていないのにふられた俺はイケメン女子とハーレムを目指す
山田空
恋愛
部長に恋をした俺は部長に恋愛相談をされる。
全てがいやになった俺は男友達に部長のことが好きだったことと部長に恋愛相談をされたことの2つを口にする。
そしたら「それなら僕と付き合ってみないかい?」
そんなことをいってくるのでもちろん俺は断ろうとするのだが
「俺たちは男だ……別にその気持ちを否定するつもりはないがその」
「……うんああ僕は女だよ」
「は?」
「それじゃあ付き合えるよね」
「いやまあそうだけどうん……でもえ?」
まさかの男友達(女)と付き合うことになった。
でも実は俺のことを好きな人は男友達(女)だけではなかったみたいで
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる