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42.血と魂
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「私は確かに、何かあったときには神託ですぐに対応できるように、この国に生まれることは配慮していただいたけど…それ以外は他の魂と同じように生まれたはずよ。病める魂だった他の人たちが管理されているって、どんなふうになの?」
母さんの問いかけに、リリスは慌てたようにグルグルと飛び回った。
「あっ! いいえ!! これはその、あまり地上の人間にお話しすることではありませんの! 気にしないでくださいませ!!」
聖者様たちに今日は僕たちの様子だけを見ておくように言われていたのに、口が滑ってしまったらしい。
「そうね、言えないこともあるわよね。…でももし親も選べるなら、きょうだいが多くて男性が跡を継ぐのが普通の家なら良かったって思ってしまうの。父さんと母さんが大好きだからこそ、申し訳なくて」
神に何か隠されていたとしても、それは仕方のないことだと納得はしているらしい。
僕は不満ではあるけど、おじいちゃんたちの話になるなら母さんも気が紛れるだろうと思った。
「跡を継がなくても、修道女として戻る気はない? もうメリアのことは大丈夫なんだよ」
「あら、私がいなかったらリュラとどこで会うつもりなの? まだ夜に2人きりで会うのは早いと思うのだけど」
いつもの調子に戻った母さんに安心しつつも、そんなことまで気を遣わないでほしいとため息をついてしまう。
それに正直なところ、最近はリュラを部屋に送ったときの2人きりの時間が名残惜しいと思い始めているから、余計に気にしないでほしい。
「ここの子どもたちを育てるのが生きがいみたいなものだと言ったでしょう。リュラだけじゃないの。今いる子どもたちみんなが大人になるのを見届けたいし、その頃にはまた新しい子どもたちが入ってきているでしょう。きっと区切りがつかないと思うわ」
母さんは、身籠っていることが分かってすぐに孤児院勤めになったから、もう13年近くここにいる。第2の故郷と言ってもいい気持ちなんだろう。
「厳密に決まりを守っていたら、今でも村に跡を継げる人がいたかもしれないのだけどね。私で3代続けて女子は1人だったから、その前まで遡って探すのも難しいし、見つかったとしても名家でもない辺境の家をいきなり継いでほしいなんて無理な話よね」
ライン家には、メリアも把握していたように女性は必ず結婚をするようにという決まりは一応ある。だけど徹底して順守されていたわけじゃない。
メリアは肉体なしに地上に来ることができたのはわずかな時間だけだったろうし、掛け値なしの名家育ちだと家法を疎かにするなんて考えなかったんだろう。
決まりとしては、名家の次男が予備扱いされるように、女性は婿を取って分家になり、本家に跡継ぎが生まれなかったときの備えをすることになっていた。
だけどそれも母さんの言うように、名家でもないのに分家の婿になろうという人は滅多にいなかったし、縁がなくてずっと家で教会の手伝いを続けた女性もいる。
そしておばあちゃんは一度流産してしまっていて、それから10年以上身籠ることがなかったから、家が途絶えることは覚悟していたらしい。
そんな状況で授かった母さんは、期待もあったけど「生きて元気でいてくれればいい」という寛容さで育てられたと聞いている。
だから結局は、母さんの望むようにしてくれたのだ。
「教会運営のために作った決まりなのかな…」
昔のオーディスタ家みたいに聖職者を多く輩出している家だって、一般的には長男が家を継いでいる。
だけど女性が継ぐことになっているライン家では、男兄弟全員が司祭や修道士になった世代もあったらしい。
これも知っていても答えられないんだろうな、と大して期待はせずにリリスに視線を移してみた。
「天界では、血の繋がりより前世の行いのほうが重要ですもの! そういう決まりを作る感覚自体よく解りませんわ!」
知る知らない以前に、関心すらないらしい。
だけどそれを聞いた母さんは、また考え込むような仕草をする。
「私って、前世で自害したのかしら…」
思ってもみなかったことを言われて、しばらく声が出なかった。
「……自害した魂って、消滅するんじゃないの…?」
「ほとんどはね。稀に消滅せずに魂が残ることもあるけれど、そんな魂はみんな壊れかけなの。病める魂として癒されるわ。私も始めは言葉も発せないくらいの状態だったみたいだから、もしかしたらと思っていたのだけど、それは神を悲しませる行いでしょう。聞けなかったし、聞いても教えてくださらなかったと思うわ」
前世で辛い思いをしたらしいとは聞いたけど、そこまでとは想像もしていなかった。
そんな気持ちが顔に出てしまったんだろう。母さんは僕の頬を優しく撫でた。
「きっとこんな思いを引きずらないように、前世の記憶を消されているのよね。詮索しないで今世をしっかり生きようと決めていたのに、まだどこかで気にかかっていたみたい。今は大丈夫よ、日々を善く生きて寿命を全うして、魂を高めたいと思っているのだから」
母さんが気にしているのは、前世の行いで神を悲しませたかもしれないということだ。
前世であったこと自体を知りたいわけじゃない――そう考えて、僕はとっさにリリスを見た。
「ねえ、ルルビィさんの中のメリアの記憶って消せないのかな?」
今のルルビィさんが抱えている問題は、リュラには聞かせづらくて今日は連れてこなかった。
それくらいに、辛い記憶だろうと思う。前世の記憶が消せるなら、メリアの記憶も消せるんじゃないかと思った。
「魂の記憶は、一定の時期より以前のものを全て消しますの。ルルビィさんからメリアの記憶を消すなら、ルルビィさんの記憶ごとほとんど消してしまうことになってしまいますわ…」
珍しく勢いのない返事で、それだけどうしようもないことだと分かる。
よく考えてみれば、それができるなら聖者様が真っ先に思いついていたはずだ。
「昔の修道女の方々は、天に召される頃には忘れていたのよね。うちの教会に派遣されたならここの修道院出身の可能性が高いから、当時の日誌がないか調べてみるわ」
母さんも、心配そうに言う。
修道院への出入りは禁じられているけど、それだけ古い記録なら書庫のほうにあるかもしれない。
「うん、ありがとう。じゃあ僕、リュラに挨拶だけして帰るよ」
そう言ってから、リリスをどうしようと考えた。
今日は少し、リュラと2人で話したいこともある。
「リリス、悪いけど屋根の上とかで待っててくれる?」
「婚約者さんですわよね、紹介してくださいませんの?!」
興味津々といった感じを隠しもしない。
ルシウスかと疑われるよりはいいのかもしれないけど。
「ここで待っていてもらったら? 私ももう少し神のお話をしたいわ」
母さんはやっぱり、神のことを話す相手が欲しかったらしい。
目の前で惚気話をされるよりは、リリスに相手をしていてもらったほうがいい。
「…じゃあ、靴は置いとくね。ちょっと行ってくるよ…」
靴を脱いで、母さんのベッドの上に座る。
リュラは2段ベッドの上段にいて、立ったままだと天井にぶつかってしまうからだ。
「あんまり女の子の部屋に長居しちゃダメよ」
そんな見透かしたような笑顔に見送られながら、僕はリュラのいる女子部屋へ転移した。
母さんの問いかけに、リリスは慌てたようにグルグルと飛び回った。
「あっ! いいえ!! これはその、あまり地上の人間にお話しすることではありませんの! 気にしないでくださいませ!!」
聖者様たちに今日は僕たちの様子だけを見ておくように言われていたのに、口が滑ってしまったらしい。
「そうね、言えないこともあるわよね。…でももし親も選べるなら、きょうだいが多くて男性が跡を継ぐのが普通の家なら良かったって思ってしまうの。父さんと母さんが大好きだからこそ、申し訳なくて」
神に何か隠されていたとしても、それは仕方のないことだと納得はしているらしい。
僕は不満ではあるけど、おじいちゃんたちの話になるなら母さんも気が紛れるだろうと思った。
「跡を継がなくても、修道女として戻る気はない? もうメリアのことは大丈夫なんだよ」
「あら、私がいなかったらリュラとどこで会うつもりなの? まだ夜に2人きりで会うのは早いと思うのだけど」
いつもの調子に戻った母さんに安心しつつも、そんなことまで気を遣わないでほしいとため息をついてしまう。
それに正直なところ、最近はリュラを部屋に送ったときの2人きりの時間が名残惜しいと思い始めているから、余計に気にしないでほしい。
「ここの子どもたちを育てるのが生きがいみたいなものだと言ったでしょう。リュラだけじゃないの。今いる子どもたちみんなが大人になるのを見届けたいし、その頃にはまた新しい子どもたちが入ってきているでしょう。きっと区切りがつかないと思うわ」
母さんは、身籠っていることが分かってすぐに孤児院勤めになったから、もう13年近くここにいる。第2の故郷と言ってもいい気持ちなんだろう。
「厳密に決まりを守っていたら、今でも村に跡を継げる人がいたかもしれないのだけどね。私で3代続けて女子は1人だったから、その前まで遡って探すのも難しいし、見つかったとしても名家でもない辺境の家をいきなり継いでほしいなんて無理な話よね」
ライン家には、メリアも把握していたように女性は必ず結婚をするようにという決まりは一応ある。だけど徹底して順守されていたわけじゃない。
メリアは肉体なしに地上に来ることができたのはわずかな時間だけだったろうし、掛け値なしの名家育ちだと家法を疎かにするなんて考えなかったんだろう。
決まりとしては、名家の次男が予備扱いされるように、女性は婿を取って分家になり、本家に跡継ぎが生まれなかったときの備えをすることになっていた。
だけどそれも母さんの言うように、名家でもないのに分家の婿になろうという人は滅多にいなかったし、縁がなくてずっと家で教会の手伝いを続けた女性もいる。
そしておばあちゃんは一度流産してしまっていて、それから10年以上身籠ることがなかったから、家が途絶えることは覚悟していたらしい。
そんな状況で授かった母さんは、期待もあったけど「生きて元気でいてくれればいい」という寛容さで育てられたと聞いている。
だから結局は、母さんの望むようにしてくれたのだ。
「教会運営のために作った決まりなのかな…」
昔のオーディスタ家みたいに聖職者を多く輩出している家だって、一般的には長男が家を継いでいる。
だけど女性が継ぐことになっているライン家では、男兄弟全員が司祭や修道士になった世代もあったらしい。
これも知っていても答えられないんだろうな、と大して期待はせずにリリスに視線を移してみた。
「天界では、血の繋がりより前世の行いのほうが重要ですもの! そういう決まりを作る感覚自体よく解りませんわ!」
知る知らない以前に、関心すらないらしい。
だけどそれを聞いた母さんは、また考え込むような仕草をする。
「私って、前世で自害したのかしら…」
思ってもみなかったことを言われて、しばらく声が出なかった。
「……自害した魂って、消滅するんじゃないの…?」
「ほとんどはね。稀に消滅せずに魂が残ることもあるけれど、そんな魂はみんな壊れかけなの。病める魂として癒されるわ。私も始めは言葉も発せないくらいの状態だったみたいだから、もしかしたらと思っていたのだけど、それは神を悲しませる行いでしょう。聞けなかったし、聞いても教えてくださらなかったと思うわ」
前世で辛い思いをしたらしいとは聞いたけど、そこまでとは想像もしていなかった。
そんな気持ちが顔に出てしまったんだろう。母さんは僕の頬を優しく撫でた。
「きっとこんな思いを引きずらないように、前世の記憶を消されているのよね。詮索しないで今世をしっかり生きようと決めていたのに、まだどこかで気にかかっていたみたい。今は大丈夫よ、日々を善く生きて寿命を全うして、魂を高めたいと思っているのだから」
母さんが気にしているのは、前世の行いで神を悲しませたかもしれないということだ。
前世であったこと自体を知りたいわけじゃない――そう考えて、僕はとっさにリリスを見た。
「ねえ、ルルビィさんの中のメリアの記憶って消せないのかな?」
今のルルビィさんが抱えている問題は、リュラには聞かせづらくて今日は連れてこなかった。
それくらいに、辛い記憶だろうと思う。前世の記憶が消せるなら、メリアの記憶も消せるんじゃないかと思った。
「魂の記憶は、一定の時期より以前のものを全て消しますの。ルルビィさんからメリアの記憶を消すなら、ルルビィさんの記憶ごとほとんど消してしまうことになってしまいますわ…」
珍しく勢いのない返事で、それだけどうしようもないことだと分かる。
よく考えてみれば、それができるなら聖者様が真っ先に思いついていたはずだ。
「昔の修道女の方々は、天に召される頃には忘れていたのよね。うちの教会に派遣されたならここの修道院出身の可能性が高いから、当時の日誌がないか調べてみるわ」
母さんも、心配そうに言う。
修道院への出入りは禁じられているけど、それだけ古い記録なら書庫のほうにあるかもしれない。
「うん、ありがとう。じゃあ僕、リュラに挨拶だけして帰るよ」
そう言ってから、リリスをどうしようと考えた。
今日は少し、リュラと2人で話したいこともある。
「リリス、悪いけど屋根の上とかで待っててくれる?」
「婚約者さんですわよね、紹介してくださいませんの?!」
興味津々といった感じを隠しもしない。
ルシウスかと疑われるよりはいいのかもしれないけど。
「ここで待っていてもらったら? 私ももう少し神のお話をしたいわ」
母さんはやっぱり、神のことを話す相手が欲しかったらしい。
目の前で惚気話をされるよりは、リリスに相手をしていてもらったほうがいい。
「…じゃあ、靴は置いとくね。ちょっと行ってくるよ…」
靴を脱いで、母さんのベッドの上に座る。
リュラは2段ベッドの上段にいて、立ったままだと天井にぶつかってしまうからだ。
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