9 / 21
第二章~黒き騎士~
EPISODE8~任せて下さい!~
しおりを挟む
「しっかし、ベルドが来るとはな」
「でもエスティ、デイルが取りこぼしたみたい」
ティルシア達は山林走り抜けていた。
驚いて逃げている動物達を容易く追い抜き、廃村への距離を縮めていく。
後方から急接近して来る魔力を捉えていた。
「皆様、ここはわたしに任せてくれませんか!?」
「どうするティー。ライはこう言っているが?」
「エスティは、大丈夫だと思う?」
「無論だ」
エスティは自信満々な表情を向けると、ティルシアも快諾する。
「じゃ!任せた!!」
ティルシアとエスティは速度を上げ、ライとの距離を突き放していく。
ライは足でブレーキを掛け、向かって来る方角へと振り向くが、ベルドは直ぐ後ろまで急接近していた。
魔力感知で捉えた時よりも急加速していたのだ。
ベルドを迎え撃つつもりでいたが、反応が一瞬遅れてしまう。
「雑魚に興味はねぇよ。じゃあなッ」
ベルドはライの横を通り抜けた。
流石はルゼル王国騎士だ。。
ライは今まで、パーティメンバーの誰かと行動する事が多かった。
2年間、エスティの元で修行し、この場を任せられる程に成長した。
しかし、あっさりとすり抜けられてしまう。
「へっ…。所詮は雑魚…ッ!?」
ベルドは地面に叩きつけられた。
そればかりか体が沈んで行く。
何が起きたのか分からなかった。
加速させた足が急激に重くなり、背中から何かに押し潰されたような感覚だった。
「なん…だ!?」
「先には行かせませんよ!」
ライは右手をベルドへ向けた後、下げているだけだった。
更に下に向けると、地面にめり込んでいく。
「ぐおっ!?」
体がミシミシと軋んでいる。
両腕で体を支え、上半身は沈む事を阻止しているが、下半身は完全に沈み切っている。
「じ…重力魔法か…」
重力魔法。
重力を自在に操れる魔法で範囲は、練度によって変わる。
「重力沈下|《エスパシオ・ダウン》」
この魔法は、エスティから教わった魔法の1つで、対象一人限定で高密度の魔力で相手に負荷を掛ける事が出来る。
ライは全力で繰り出しており、普通なら地面の染みとなっているだろう。
咄嗟とはいえ、ベルドが纏った魔力が強固だという事だ。
パキン。
ライは耳をピクリと反応させた。
何かが割れる音を捉えた。
「危ねぇ。雑魚は撤回だな」
ベルドは首をコキりと鳴らし、何事も無かったかのように立ち上がる。
「む!?」
普通は脱出するのさえ難しい魔法だ。
ベルドは大したダメージを負っていない。
魔法拒否《マジック・キャンセル》だと思ったが、使った形跡が無い。
そして、パキンという音。
何かが割れた音。
耳が良すぎるライだからこそ捉えた音だった。
あの音が引っ掛かる。
「魔拳」
ベルドは両拳を握ると、目でくっきりと捉えるくらいの白い魔力が両腕を纏う。
「狼猫族ってぇのは、接近戦が得意と聞く。俺も少しは自信あっからよ」
ベルドは人差し指をくいくいっとさせてライを挑発する。
接近戦に自信があるからこそ出来るのだろう。
「行くぜっ…!」
ベルドとライの拳が衝突し、そのまま組み合う。
魔力と魔力の衝突。
双方の魔力が高密度で空間が歪む。
それによって地面には亀裂が入り、周囲が抉れていく。
接近戦も得意なライが押され気味だ。
「ぐぐ…ッ!?」
「どしたぁ?そんなもんかッ!!」
ベルドはライの両手を勢い良く引きながら、膝蹴りを顎へ食らわせる。
「大したことねぇ!?」
「ふんぬッ!!」
鼻血を吹き出したのはベルドであった。
頭突き。
ライの頭突きは、岩を割る。
強烈な一撃は、魔力を纏っているベルドにも堪えたが意識を奪うまでには至らない。
「野郎ッ!」
蹴りで弾き飛ばす。
繰り出した蹴りはライを捉えている。
しかし、ライは両手をベルドへ向けていた。
「!?」
「爆散する炎|《フラッシュ・フレア》ッ!」
ライの両手からは、チリチリと火花が散る。
その瞬間、うねりを上げた炎が蹴り飛ばされると共に巻き起こった。
ほぼ至近距離から放った、爆散する炎|《フラッシュ・フレア》。
本来は相手の魔法を相殺する為に使われる防御魔法だ。
それを至近距離で浴びたのなら、肉さえも簡単に溶ける。
また、パキン。
という音を捉える。
「なるほどな。ひと通り魔法は使えるって訳か」
やはり効果はない。
ライは打開策を見出そうと接近戦に持ち込もうとするが一旦頭の中を整理し、エスティの言葉を思い出していた。
「でもエスティ、デイルが取りこぼしたみたい」
ティルシア達は山林走り抜けていた。
驚いて逃げている動物達を容易く追い抜き、廃村への距離を縮めていく。
後方から急接近して来る魔力を捉えていた。
「皆様、ここはわたしに任せてくれませんか!?」
「どうするティー。ライはこう言っているが?」
「エスティは、大丈夫だと思う?」
「無論だ」
エスティは自信満々な表情を向けると、ティルシアも快諾する。
「じゃ!任せた!!」
ティルシアとエスティは速度を上げ、ライとの距離を突き放していく。
ライは足でブレーキを掛け、向かって来る方角へと振り向くが、ベルドは直ぐ後ろまで急接近していた。
魔力感知で捉えた時よりも急加速していたのだ。
ベルドを迎え撃つつもりでいたが、反応が一瞬遅れてしまう。
「雑魚に興味はねぇよ。じゃあなッ」
ベルドはライの横を通り抜けた。
流石はルゼル王国騎士だ。。
ライは今まで、パーティメンバーの誰かと行動する事が多かった。
2年間、エスティの元で修行し、この場を任せられる程に成長した。
しかし、あっさりとすり抜けられてしまう。
「へっ…。所詮は雑魚…ッ!?」
ベルドは地面に叩きつけられた。
そればかりか体が沈んで行く。
何が起きたのか分からなかった。
加速させた足が急激に重くなり、背中から何かに押し潰されたような感覚だった。
「なん…だ!?」
「先には行かせませんよ!」
ライは右手をベルドへ向けた後、下げているだけだった。
更に下に向けると、地面にめり込んでいく。
「ぐおっ!?」
体がミシミシと軋んでいる。
両腕で体を支え、上半身は沈む事を阻止しているが、下半身は完全に沈み切っている。
「じ…重力魔法か…」
重力魔法。
重力を自在に操れる魔法で範囲は、練度によって変わる。
「重力沈下|《エスパシオ・ダウン》」
この魔法は、エスティから教わった魔法の1つで、対象一人限定で高密度の魔力で相手に負荷を掛ける事が出来る。
ライは全力で繰り出しており、普通なら地面の染みとなっているだろう。
咄嗟とはいえ、ベルドが纏った魔力が強固だという事だ。
パキン。
ライは耳をピクリと反応させた。
何かが割れる音を捉えた。
「危ねぇ。雑魚は撤回だな」
ベルドは首をコキりと鳴らし、何事も無かったかのように立ち上がる。
「む!?」
普通は脱出するのさえ難しい魔法だ。
ベルドは大したダメージを負っていない。
魔法拒否《マジック・キャンセル》だと思ったが、使った形跡が無い。
そして、パキンという音。
何かが割れた音。
耳が良すぎるライだからこそ捉えた音だった。
あの音が引っ掛かる。
「魔拳」
ベルドは両拳を握ると、目でくっきりと捉えるくらいの白い魔力が両腕を纏う。
「狼猫族ってぇのは、接近戦が得意と聞く。俺も少しは自信あっからよ」
ベルドは人差し指をくいくいっとさせてライを挑発する。
接近戦に自信があるからこそ出来るのだろう。
「行くぜっ…!」
ベルドとライの拳が衝突し、そのまま組み合う。
魔力と魔力の衝突。
双方の魔力が高密度で空間が歪む。
それによって地面には亀裂が入り、周囲が抉れていく。
接近戦も得意なライが押され気味だ。
「ぐぐ…ッ!?」
「どしたぁ?そんなもんかッ!!」
ベルドはライの両手を勢い良く引きながら、膝蹴りを顎へ食らわせる。
「大したことねぇ!?」
「ふんぬッ!!」
鼻血を吹き出したのはベルドであった。
頭突き。
ライの頭突きは、岩を割る。
強烈な一撃は、魔力を纏っているベルドにも堪えたが意識を奪うまでには至らない。
「野郎ッ!」
蹴りで弾き飛ばす。
繰り出した蹴りはライを捉えている。
しかし、ライは両手をベルドへ向けていた。
「!?」
「爆散する炎|《フラッシュ・フレア》ッ!」
ライの両手からは、チリチリと火花が散る。
その瞬間、うねりを上げた炎が蹴り飛ばされると共に巻き起こった。
ほぼ至近距離から放った、爆散する炎|《フラッシュ・フレア》。
本来は相手の魔法を相殺する為に使われる防御魔法だ。
それを至近距離で浴びたのなら、肉さえも簡単に溶ける。
また、パキン。
という音を捉える。
「なるほどな。ひと通り魔法は使えるって訳か」
やはり効果はない。
ライは打開策を見出そうと接近戦に持ち込もうとするが一旦頭の中を整理し、エスティの言葉を思い出していた。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
タイムワープ艦隊2024
山本 双六
SF
太平洋を横断する日本機動部隊。この日本があるのは、大東亜(太平洋)戦争に勝利したことである。そんな日本が勝った理由は、ある機動部隊が来たことであるらしい。人呼んで「神の機動部隊」である。
この世界では、太平洋戦争で日本が勝った世界戦で書いています。(毎回、太平洋戦争系が日本ばかり勝っ世界線ですいません)逆ファイナルカウントダウンと考えてもらえればいいかと思います。只今、続編も同時並行で書いています!お楽しみに!
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ブラフマン~疑似転生~
臂りき
ファンタジー
プロメザラ城下、衛兵団小隊長カイムは圧政により腐敗の兆候を見せる街で秘密裏に悪徳組織の摘発のため日夜奮闘していた。
しかし、城内の内通者によってカイムの暗躍は腐敗の根源たる王子の知るところとなる。
あらぬ罪を着せられ、度重なる拷問を受けた末に瀕死状態のまま荒野に捨てられたカイムはただ骸となり朽ち果てる運命を強いられた。
死を目前にして、カイムに呼びかけたのは意思疎通のできる死肉喰(グールー)と、多層世界の危機に際して現出するという生命体<ネクロシグネチャー>だった。
二人の助力により見事「完全なる『死』」を迎えたカイムは、ネクロシグネチャーの技術によって抽出された、<エーテル体>となり、最適な適合者(ドナー)の用意を約束される。
一方、後にカイムの適合者となる男、厨和希(くりやかずき)は、半年前の「事故」により幼馴染を失った精神的ショックから立ち直れずにいた。
漫然と日々を過ごしていた和希の前に突如<ネクロシグネチャー>だと自称する不審な女が現れる。
彼女は和希に有無を言わせることなく、手に持つ謎の液体を彼に注入し、朦朧とする彼に対し意味深な情報を残して去っていく。
――幼馴染の死は「事故」ではない。何者かの手により確実に殺害された。
意識を取り戻したカイムは新たな肉体に尋常ならざる違和感を抱きつつ、記憶とは異なる世界に馴染もうと再び奮闘する。
「厨」の身体をカイムと共有しながらも意識の奥底に眠る和希は、かつて各国の猛者と渡り合ってきた一兵士カイムの力を借り、「復讐」の鬼と化すのだった。
~魔王の近況~
〈魔海域に位置する絶海の孤島レアマナフ。
幽閉された森の奥深く、朽ち果てた世界樹の残骸を前にして魔王サティスは跪き、神々に祈った。
——どうかすべての弱き者たちに等しく罰(ちから)をお与えください——〉
金貨1,000万枚貯まったので勇者辞めてハーレム作ってスローライフ送ります!!
夕凪五月雨影法師
ファンタジー
AIイラストあり! 追放された世界最強の勇者が、ハーレムの女の子たちと自由気ままなスローライフを送る、ちょっとエッチでハートフルな異世界ラブコメディ!!
国内最強の勇者パーティを率いる勇者ユーリが、突然の引退を宣言した。
幼い頃に神託を受けて勇者に選ばれて以来、寝る間も惜しんで人々を助け続けてきたユーリ。
彼はもう限界だったのだ。
「これからは好きな時に寝て、好きな時に食べて、好きな時に好きな子とエッチしてやる!! ハーレム作ってやるーーーー!!」
そんな発言に愛想を尽かし、パーティメンバーは彼の元から去っていくが……。
その引退の裏には、世界をも巻き込む大規模な陰謀が隠されていた。
その陰謀によって、ユーリは勇者引退を余儀なくされ、全てを失った……。
かのように思われた。
「はい、じゃあ僕もう勇者じゃないから、こっからは好きにやらせて貰うね」
勇者としての条約や規約に縛られていた彼は、力をセーブしたまま活動を強いられていたのだ。
本来の力を取り戻した彼は、その強大な魔力と、金貨1,000万枚にものを言わせ、好き勝手に人々を救い、気ままに高難度ダンジョンを攻略し、そして自身をざまぁした巨大な陰謀に立ち向かっていく!!
基本的には、金持ちで最強の勇者が、ハーレムの女の子たちとまったりするだけのスローライフコメディです。
異世界版の光源氏のようなストーリーです!
……やっぱりちょっと違います笑
また、AIイラストは初心者ですので、あくまでも小説のおまけ程度に考えていただければ……(震え声)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる