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第一章~探求者パーティー集結~
EPISODE1~探求者~
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東国ルカル帝国郊外都市ーー。
街並みは各国を行き交う行商人で溢れ返っていた。
人混みの中、ボサっとした茶髪に鋭い目付きの男。
動きやすい革製のレザー装備、片手には旅に必要な荷物。
腰には剣を携えている。
「…流石に疲れたな」
野外食堂へと足を運び、腰を下ろす。
山籠りから2年。
待ち合わせ場所へ向かっていた男は、くたくたの足を伸ばす。
懐から金貨が入った小袋を出し、店員を呼ぶ。
「はぁーい!いらっしゃいませ!ご注文はお決まりですか?」
笑顔が大変よく似合う女性だ。
店の制服が輝いて見える。
「あー…とりあえず、ビール1杯頼む」
「かしこまりました!」
男は女性店員の制服であるスカートをまじまじと見つめる。
フリフリと揺れるスカート。
揺れれば、パンツも見えてしまうほどの短さだ。
スカートを見て、男は鼻で笑ってしまう。
『おい!パンツ見えるから下に何か履けよ!』
『えぇー…スケベ』
『なっ…てめぇ!』
(…何て事もあったな)
男は鼻で笑い飛ばし、ビールをグイッと飲み干す。
疲れた体には、ビールが本当に染み渡る。
最高のひと時だ。
すると、肩をトントンと叩かれる。
最高のひと時を堪能しているのに水を差され、腹を立てそうになるが、疲れているせいか怒る気にもなれない。
「ん?」
振り向き見上げると、そこには怖いくらいの笑顔を浮かべる警備兵の姿があった。
「お兄さん。いくら店員に好みの子がいるからって白昼堂々、スカートを覗くのは…」
「は?」
酔いが回るよりも先に酔いが覚めるという意味が分からない事になっている。
男は、ただ思い出し笑いをしていた。
共に旅をして来た仲間との再会。
誰にだってそういう経験はあるものだろう。
しかし、男の目は鋭く他人から見れば、獲物を狙う獣だった。
完全に変質者である。
「違っ…」
男が弁解しようとすると、野次の声がそれを遮る。
「やぁねぇ…奥さん。覗きですってよ~」
聞き覚えのある声にすかさず反応する。
視線の先に居るのは、銀髪に赤みが掛かった少女。
男は助けてくれと言わんばかりの血走った目を向ける。
すると、他の女性店員達は、少女を隠すように立ちはだかった。
「あの変態!血走った目を向けてる!」
「お嬢ちゃん、こっちよ!」
「て、てめぇッ!おい!」
「きゃあああッ!変態が暴れてる!!」
「なっ…ちがっ」
ハッとした時には、体を隠す女冒険者。
明らかに敵意を向ける冒険者や客達。
まるでゴミを見るような視線がグサグサと痛い。
「俺は無実だぁぁぁぁぁ!!」
そこには、男の悲痛な叫び声だけが響き渡った。
男の名は、
デイル・ペングリド
職業は剣士。
かつて、ある王国に仕えた元剣聖。
「あっはっはっはっ!ぷぷっ!あーーっはっは」
デイルの情けない姿を見て笑い転げる少女は、
ティルシア・パスラード
職業は探求者。
世界の謎を解き明かすため旅を続ける少女である。
街並みは各国を行き交う行商人で溢れ返っていた。
人混みの中、ボサっとした茶髪に鋭い目付きの男。
動きやすい革製のレザー装備、片手には旅に必要な荷物。
腰には剣を携えている。
「…流石に疲れたな」
野外食堂へと足を運び、腰を下ろす。
山籠りから2年。
待ち合わせ場所へ向かっていた男は、くたくたの足を伸ばす。
懐から金貨が入った小袋を出し、店員を呼ぶ。
「はぁーい!いらっしゃいませ!ご注文はお決まりですか?」
笑顔が大変よく似合う女性だ。
店の制服が輝いて見える。
「あー…とりあえず、ビール1杯頼む」
「かしこまりました!」
男は女性店員の制服であるスカートをまじまじと見つめる。
フリフリと揺れるスカート。
揺れれば、パンツも見えてしまうほどの短さだ。
スカートを見て、男は鼻で笑ってしまう。
『おい!パンツ見えるから下に何か履けよ!』
『えぇー…スケベ』
『なっ…てめぇ!』
(…何て事もあったな)
男は鼻で笑い飛ばし、ビールをグイッと飲み干す。
疲れた体には、ビールが本当に染み渡る。
最高のひと時だ。
すると、肩をトントンと叩かれる。
最高のひと時を堪能しているのに水を差され、腹を立てそうになるが、疲れているせいか怒る気にもなれない。
「ん?」
振り向き見上げると、そこには怖いくらいの笑顔を浮かべる警備兵の姿があった。
「お兄さん。いくら店員に好みの子がいるからって白昼堂々、スカートを覗くのは…」
「は?」
酔いが回るよりも先に酔いが覚めるという意味が分からない事になっている。
男は、ただ思い出し笑いをしていた。
共に旅をして来た仲間との再会。
誰にだってそういう経験はあるものだろう。
しかし、男の目は鋭く他人から見れば、獲物を狙う獣だった。
完全に変質者である。
「違っ…」
男が弁解しようとすると、野次の声がそれを遮る。
「やぁねぇ…奥さん。覗きですってよ~」
聞き覚えのある声にすかさず反応する。
視線の先に居るのは、銀髪に赤みが掛かった少女。
男は助けてくれと言わんばかりの血走った目を向ける。
すると、他の女性店員達は、少女を隠すように立ちはだかった。
「あの変態!血走った目を向けてる!」
「お嬢ちゃん、こっちよ!」
「て、てめぇッ!おい!」
「きゃあああッ!変態が暴れてる!!」
「なっ…ちがっ」
ハッとした時には、体を隠す女冒険者。
明らかに敵意を向ける冒険者や客達。
まるでゴミを見るような視線がグサグサと痛い。
「俺は無実だぁぁぁぁぁ!!」
そこには、男の悲痛な叫び声だけが響き渡った。
男の名は、
デイル・ペングリド
職業は剣士。
かつて、ある王国に仕えた元剣聖。
「あっはっはっはっ!ぷぷっ!あーーっはっは」
デイルの情けない姿を見て笑い転げる少女は、
ティルシア・パスラード
職業は探求者。
世界の謎を解き明かすため旅を続ける少女である。
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