上 下
66 / 118
第四章 三つの世界の謎

リオの番

しおりを挟む
「や……だ」
「おや、震えているのかい? 大丈夫。君は、アナル以外には慣れているんだろう? 私たちはその道のプロだから、素直に身を任せていれば、いつの間にか事は済んでる」
「やだったら……」
「さあ、この子を、ベッドへ連れて行って」
 白衣姿の男たちがわらわらとリオを取り囲み、背中を押すようにして、ベッドへと誘導する。
「他の者たちも、用意をするんだ」
 壁に立ちすくんでいた少年達も、号令と共に、動きだし、自らそれぞれのベッドに上がった。
「やだったら……ねえ、誰か、助けて、ねえ、京ちゃん……」
 リオは、ベッドの上に仰向けながら、伸びてくる看護士の手を振り払う。一番最初の世界では、こうやってむずがっているうちに、大人たちが根負けして、京を呼びにいき、あやされながら、性器を揉まれて、精液を搾られたり、乳首を執拗に吸われたりする事で、アナルの代用にしてもらっていた。セックスにまつわるあれこれは、どれもとっても苦手だけれど、お尻に異物を受け入れる苦痛に比べれば、よっぽどそっちの方がましである。
 だが、監督官は、眉をひそめ、
「京の担当は外してくれと、君が頼んだんじゃないのかい? キム医師からそう聞いているけど」
 暴れるリオを見下ろした。
「も……いい……お願い、京ちゃんを連れてきて」
 瞳を恐怖で瞬かせながら、リオは言い募る。
「彼は、外で仕事をしている。残念ながら、誰も助けてくれないよ」
 冷たい声で、男は言い、絶望に凍りつくリオの手を、看護士が万歳のポーズに持ち上げた。
「な、いやっ」
 両の手首に、冷たいロープがかけられる。その端をベッドヘッドのフックにかけられて、リオは両腕を開く形で固定されてしまった。
「痛くはしないように気をつけるから……大人しくしてて」
 宥めるような声に、横を向けば、光が傍らに立っていて、優しい目でリオを見ていた。
「光……助けて……」
「こらこら、監督官を呼び捨てにしてはいけないよ」
 たちまち壁際から叱責が飛び、
「お兄ちゃん……ねえ、嫌……」
 リオは呼び方を変え、かつての仲間を縋る様なまなざしで見た。
 光は、ぽん、とリオの肩を叩き、そのままボタンへと両手を伸ばした。
「嫌だったら……」
 ばたつかせた両足は、看護士二人によって押さえ込まれる。ぷつぷつと器用にボタンを外し、そして光は前立てを左右に開いた。
「桃色の、可愛らしい乳首だ。可憐な君のイメージにぴったりの、愛らしい桜色だ」
 監督官は満足そうに、剥き出しになった少年の双芽を吟味し、
「お次は、下を見せてもらうよ」
 看護士たちに、次の動作を目配せした。

ゴムでウエストを絞っただけの薄いズボンは、簡単に下着ごとずり下げられ、リオの下腹は男たちの目前に曝け出された。
「これはまた可愛らしい。まだ皮をかぶっているのか」
 嘲りとも取れる監督官の口ぶりに、リオは唇を噛みしめた。看護士に太股を押さえられ、開かれる。間近にいる、光たちの視線がたまらなく痛い。今すぐ隠してしまいたいが、両手の戒めは、あがいても、よりきつくリオを縛るだけである。
「あ……あん……」
「はっ……ああっ……!」
 誰かの喘ぎをきっかけに、そこここから、悩ましげな声が聞こえてくる。少年達が、感じ始めているのだ。
 それぞれの担当から与えられるキスや愛撫に、彼らは幼い官能を精一杯昂らせている。
「ほら、いい声で啼くだろう? このメンバーは、つぶ揃いなのだよ。オークションでもいい買い手がつくだろうと、今からとても楽しみなのだ」
 監督官はつかつかとリオのベッドに歩み寄り、おもむろに萎れた花芽を指で摘んだ。
「嫌っ……」
 ざらついた手の感触に、たとえようもないほどの悪寒が走る。だが意に介す風もなく男はそれを揉みしだき、
「掌にすっぽりと収まる感じが、なんとも言えないね。リオ。可愛いよ。今までにも、もう何回もこんな事されて来たんだろう」
 熱のこもった声で尋ねた。
「知らない……ねえ、離して」
「知らないわけはないだろう。君のここ……妙な具合に柔らかくほぐれてる。京にさせたね? まだ挿入を知らない初な身体のくせに、悪い子だ」
「そんな事……」
「ないって言うの? じゃあ、先が湿っているのは、縛られて興奮しているからなのかな?」
 人差し指にわずかな滴をすくい取り、男は揶揄するように、リオの鼻先に近づけた。
「あの男、若いくせに、すっかり枯れてるのかと思ったら……君にだと欲情するんだな」
 そして監督官は、片足をベッドの上に乗り上げて腰を折り、頭のすぐ横のシーツの上に両手を挟み込むようにして置いた。
「……!」
 近づく唇を、首を捩って避けようとするが、男は回り込み望みのものを手に入れる。ぬめりのある、熱い唇が、リオの口全体を覆い、べろりと舐めあげた。
「……小さな、愛らしい唇だ。君のパーツは、どこもかしこも、男に愛されるために出来ているみたいだね」
 そして男はもう一度唇を重ね、歯列をこじ開けた。故意に送られる、大量の唾液に、少年はむせそうになるが、許されない。年季の入った執拗な口づけを受けている間に、他の男たちは、リオの下肢にオイルを塗り始めた。
「んっ……んんんっ……」
 両目を開けて、リオは目の前にいる男に中止を訴える。しかし聞き入れられるはずもなく、リオの下半身を、柔らかな刷毛が上下する。
「あっ……ああっ……、そこ……ああん……」
 隣のベッドでは、幼い顔をした少年が、蕾に異物を食み、啜り泣きを洩らした。気がつけば、どの少年も、蕾に様々な形の張り方を飲み込んでいる。
 喘ぎながら、腰を動かし、気持のいいポイントを探す者。声をころして、快感に耐える者。
 無機質なベッドの上で、少年達が、淫媚なダンスを踊り始めていた。
 爛れた空気が立ち込める中、リオも次第にしどけなく崩れてきた。小さな口は、両生類のような舌に蹂躙され、下肢を、ソフトタッチな刺激で緩められる。
 元々感じやすい上に、下腹までも、男たちによって開かれていて、与えられる快感をいなす事が出来ないのだ。ぴっちりと押し当てられた、男の唇が離れた瞬間に、他の少年以上に悩ましい喘ぎが、唇から洩れてしまうだろう。
「……下は、僕が攻めてもいいですか」
 ふいにかけられた声が、少しだけ、リオと男の体温を下げた。
「……なんだ?」
 男は、振り向き、眉をあげた。リオはぶるぶると首を左右に振る。濃密な唾液の跡が、顎の周辺までをも汚していた。
「この子の下の調教は、僕がやりたいんです。やらせてください」
 光は、まっすぐ男を見て、顔色を変えずに、そう言った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ゆるふわメスお兄さんを寝ている間に俺のチンポに完全屈服させる話

さくた
BL
攻め:浩介(こうすけ) 奏音とは大学の先輩後輩関係 受け:奏音(かなと) 同性と付き合うのは浩介が初めて いつも以上に孕むだのなんだの言いまくってるし攻めのセリフにも♡がつく

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

淫紋付けたら逆襲!!巨根絶倫種付けでメス奴隷に堕とされる悪魔ちゃん♂

朝井染両
BL
お久しぶりです! ご飯を二日食べずに寝ていたら、身体が生きようとしてエロ小説が書き終わりました。人間って不思議ですね。 こういう間抜けな受けが好きなんだと思います。可愛いね~ばかだね~可愛いね~と大切にしてあげたいですね。 合意のようで合意ではないのでお気をつけ下さい。幸せラブラブエンドなのでご安心下さい。 ご飯食べます。

膀胱を虐められる男の子の話

煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ 男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話 膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

『僕は肉便器です』

眠りん
BL
「僕は肉便器です。どうぞ僕を使って精液や聖水をおかけください」その言葉で肉便器へと変貌する青年、河中悠璃。  彼は週に一度の乱交パーティーを楽しんでいた。  そんな時、肉便器となる悦びを悠璃に与えた原因の男が現れて肉便器をやめるよう脅してきた。 便器でなければ射精が出来ない身体となってしまっている悠璃は、彼の要求を拒むが……。 ※小スカあり 2020.5.26 表紙イラストを描いていただきました。 イラスト:右京 梓様

僕は肉便器 ~皮をめくってなかをさわって~ 【童貞新入社員はこうして開発されました】

ヤミイ
BL
新入社員として、とある企業に就職した僕。希望に胸を膨らませる僕だったが、あろうことか、教育係として目の前に現れたのは、1年前、野外で僕を襲い、官能の淵に引きずり込んだあの男だった。そして始まる、毎日のように夜のオフィスで淫獣に弄ばれる、僕の爛れた日々…。

少年ペット契約

眠りん
BL
※少年売買契約のスピンオフ作品です。 ↑上記作品を知らなくても読めます。  小山内文和は貧乏な家庭に育ち、教育上よろしくない環境にいながらも、幸せな生活を送っていた。  趣味は布団でゴロゴロする事。  ある日学校から帰ってくると、部屋はもぬけの殻、両親はいなくなっており、借金取りにやってきたヤクザの組員に人身売買で売られる事になってしまった。  文和を購入したのは堂島雪夜。四十二歳の優しい雰囲気のおじさんだ。  文和は雪夜の養子となり、学校に通ったり、本当の子供のように愛された。  文和同様人身売買で買われて、堂島の元で育ったアラサー家政婦の金井栞も、サバサバした性格だが、文和に親切だ。  三年程を堂島の家で、呑気に雪夜や栞とゴロゴロした生活を送っていたのだが、ある日雪夜が人身売買の罪で逮捕されてしまった。  文和はゴロゴロ生活を守る為、雪夜が出所するまでの間、ペットにしてくれる人を探す事にした。 ※前作と違い、エロは最初の頃少しだけで、あとはほぼないです。 ※前作がシリアスで暗かったので、今回は明るめでやってます。

処理中です...