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少女入学編4
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大角家を後にした私は、目的であるエルメラロード魔法学校を目指した。
エルメラロード魔法学校はただの学校ではなく魔法学校だ。まさかそんな所そこに入学することができるとは思ってもみなかった。
しかし、大角家の多大なる慈悲のおかげで私はそこに入学する資格を得た、それも推薦でだ。
試験をするわけでも面接をしたわけでもない、私の身元を証明する書類だけで私はそこへ入学することを許されたのだ。一体、どんなことをすればそんな奇跡的な運命を辿ることがでいたのだろうと、私はまるで夢でも見ている気分だった。
だが、聞く所によると大角家の当主である大角 雄才様が色々と手をまわしてくれたというのを聞かされていたりもした。
確かに、小さい頃からそれとなく気にかけてくれた事があったし、強面で優しい人の印象があった。しかし、そんな方が魔法学校への入学を推薦してくれるほどの事をしていただけると思わなかった。
けれど、結果的に私は魔法学校への入学を許された。
その証拠に私の胸元にあるポケットには合格通知の手紙があり、入学までの手続きが書かれている。その手紙はまるで怪盗から送られてきたような不気味な黒の封筒に包まれており、真っ赤な封蝋がされていた。
この赤い封蝋が、まるで何かの血でも使っているかのようなおぞましい赤であり、それを見ただけ少し寒気がしてきた。
しかし、人生最大にして最高の出来事に興奮せずにはいられなかった私は、学園から送られてきた封筒をニヤニヤと見つめた後、胸元のポケットにしまった。
そして、しばらくするとまたその手紙を見てニヤニヤする。そして再び胸元に収める。そんな行為を繰り返し行った。
いうなれば、小さな女の子が可愛いお人形を買ってもらった時のようにだ。いや、そんな経験はないが、そんな描写を本で読んだことがある。そして、その様子は何も知らない私にとってすごく幸せな様子に思えたのだ。
だから、私もそんな感じにやってみた。いつだって私はたくさん読んだ本の世界から着想を得ている。もちろん、それは大方の予想通り楽しいものであり、人目をはばかりながらしばらくそうしていた。
そうして、電車に揺られながらたどり着いた場所は無人駅、名を「石門駅」という。堅苦しそうな名前だが、どこか哀愁漂う駅名を記す看板が何だか魅力的に思えた。
無人駅を抜けると、そこは山々が立ち並び草木が生い茂る自然あふれる場所だった。その光景に思わず深呼吸すると、心地よい空気で身体が満たされたような気がした。
けれど、あまりに深く呼吸しすぎたせいで頭がくらくらとし始めた。慣れないことをするものじゃないと後悔した。なんでもかんでも本で見た事を嬉々と行うものじゃない。
ともあれ、本来の目的である魔法学校への道のりを歩むべく、入学案内に同封されている地図を頼りに進むことにした。
無人駅にはバス停もなければタクシーも止まっていない、あたりに人がいるわけでもなく、頼ることができるのは自らの足のみ。いや、こうして歩くことができるのも感謝すべきことなのだろう。
そして、それは顔も名前も存在したかすら怪しい親のおかげであることに違いない。
・・・・・・親か、もしかするとその答えもこれから向かう先にあるのかもしれないと思うと、胸が高鳴った。
エルメラロード魔法学校はただの学校ではなく魔法学校だ。まさかそんな所そこに入学することができるとは思ってもみなかった。
しかし、大角家の多大なる慈悲のおかげで私はそこに入学する資格を得た、それも推薦でだ。
試験をするわけでも面接をしたわけでもない、私の身元を証明する書類だけで私はそこへ入学することを許されたのだ。一体、どんなことをすればそんな奇跡的な運命を辿ることがでいたのだろうと、私はまるで夢でも見ている気分だった。
だが、聞く所によると大角家の当主である大角 雄才様が色々と手をまわしてくれたというのを聞かされていたりもした。
確かに、小さい頃からそれとなく気にかけてくれた事があったし、強面で優しい人の印象があった。しかし、そんな方が魔法学校への入学を推薦してくれるほどの事をしていただけると思わなかった。
けれど、結果的に私は魔法学校への入学を許された。
その証拠に私の胸元にあるポケットには合格通知の手紙があり、入学までの手続きが書かれている。その手紙はまるで怪盗から送られてきたような不気味な黒の封筒に包まれており、真っ赤な封蝋がされていた。
この赤い封蝋が、まるで何かの血でも使っているかのようなおぞましい赤であり、それを見ただけ少し寒気がしてきた。
しかし、人生最大にして最高の出来事に興奮せずにはいられなかった私は、学園から送られてきた封筒をニヤニヤと見つめた後、胸元のポケットにしまった。
そして、しばらくするとまたその手紙を見てニヤニヤする。そして再び胸元に収める。そんな行為を繰り返し行った。
いうなれば、小さな女の子が可愛いお人形を買ってもらった時のようにだ。いや、そんな経験はないが、そんな描写を本で読んだことがある。そして、その様子は何も知らない私にとってすごく幸せな様子に思えたのだ。
だから、私もそんな感じにやってみた。いつだって私はたくさん読んだ本の世界から着想を得ている。もちろん、それは大方の予想通り楽しいものであり、人目をはばかりながらしばらくそうしていた。
そうして、電車に揺られながらたどり着いた場所は無人駅、名を「石門駅」という。堅苦しそうな名前だが、どこか哀愁漂う駅名を記す看板が何だか魅力的に思えた。
無人駅を抜けると、そこは山々が立ち並び草木が生い茂る自然あふれる場所だった。その光景に思わず深呼吸すると、心地よい空気で身体が満たされたような気がした。
けれど、あまりに深く呼吸しすぎたせいで頭がくらくらとし始めた。慣れないことをするものじゃないと後悔した。なんでもかんでも本で見た事を嬉々と行うものじゃない。
ともあれ、本来の目的である魔法学校への道のりを歩むべく、入学案内に同封されている地図を頼りに進むことにした。
無人駅にはバス停もなければタクシーも止まっていない、あたりに人がいるわけでもなく、頼ることができるのは自らの足のみ。いや、こうして歩くことができるのも感謝すべきことなのだろう。
そして、それは顔も名前も存在したかすら怪しい親のおかげであることに違いない。
・・・・・・親か、もしかするとその答えもこれから向かう先にあるのかもしれないと思うと、胸が高鳴った。
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