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第三十一話

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 あの日、唯香を抱いてから数日が経った頃。

 俺はいつも通りに店先に座って店番をしていた。

 ゴールデンウィークが終わるまでは、閑古鳥がこのままずっと続いてしまうのかとも思っていたけど、どうやらその心配は杞憂に終わったようだ。

 学校が始まれば、いつも通りに放課後の店は繁盛を極めている。

「お兄ちゃん、これちょうだい」

「私はこれー」

「はいはい、順番にな」

 駄菓子を持って押し寄せてくる幼女たちを並ばせて、一人ずつ捌いていく。

 お金を受け取った後に頭を撫でられるくらいには、みんな俺に懐いてくれている。

 最近気が付いたんだが、俺はどうやら子供に懐かれる性質らしい。



 もっと早く気が付いていたら、保父になるとかって言う将来もあったんだろうけど、今更になって言っても仕方がない。

 それに駄菓子屋を継いだからこそ、三人の女の子と関係を結んだ今の俺があるんだろう。

 そう言う意味では、やっぱり祖父さんに感謝しないといけないな。

 今度の休みにでも、墓参りにでも行ってやるか。

 そうこうしている内に、ほとんどの子供たちは目当ての菓子を手に散り散りに遊びに行った。

 残っている子たちも、そろそろ帰ってしまうだろう。

「お兄ちゃーん!」

「ん? ああ、美海ちゃん」

「えへへ、ちょっぴり久しぶりだね」



 とそんな駄菓子屋に、元気いっぱいに美海ちゃんが飛び込んできた。

 美海ちゃんはそのまま俺の隣に腰かけると、俺を見上げて満面の笑みを浮かべた。

「お兄ちゃん、元気にしてた? 私が居なくて寂しかったでしょ」

「まぁね。美海ちゃんも元気だった?」

「うん、元気だよ! それに、お兄ちゃんに会えなくてとっても寂しかった」

 甘えるように俺にしなだれかかってくる美海ちゃんに苦笑を浮かべていると、いつの間にか店の中には誰も居なくなっていた。

 まるで図ったみたいなタイミングだな。

「ねぇ、お兄ちゃん。誰も居なくなっちゃったよ」

 俺を見上げる美海ちゃんも、なんだか少し誘うような目つきになる。

 美海ちゃん、しばらく見ない間にエッチになって……。



 嬉しいやら悲しいやら、なんだか複雑な気分だ。

 だけど、その愛情が俺だけに向いているって言うのは喜ぶべき事だろう。

 どちらからとなく、二人の顔が近づいていく。

 チュッと軽い音を立てて重ねた唇は、相変わらず柔らかくて気持ち良かった。

 そのまま舌を入れると、なんの抵抗もなく受け入れてくれた。

 舌で顎の裏を舐め上げて舌を絡ませると、美海ちゃんの身体がピクピクと反応して可愛い。

「…ぷぁ。お兄ちゃん」



 しばらく口の中を堪能してから解放すると、美海ちゃんはすっかり蕩けた顔をしていた。

「美海ちゃん、このまま……」

 しよっか、と声を掛けようとしていた俺だったけど、その前に入り口辺りから聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「あの……。お兄さん、居ますか……?」

 慌てて振り返ると、そこには見覚えのある女の子が立っていた。



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