上 下
26 / 95

第26話

しおりを挟む
「あっ、悠太くん! お待たせー!」
 約束した時の事を思い出していると、不意に背後から声を掛けられる。
 振り返ると、そこでは二人の少女が手を振りながら歩いていた。
 その姿を見つけた俺は、さっきまでの暑さを忘れたように笑顔を浮かべて二人に手を振り返す。
「ごめんね、待たせちゃった?」
 俺のすぐそばまで来た二人のうち、薫ちゃんが申し訳なさそうな表情を浮かべてそう言った。
「いや、大丈夫だよ。俺が勝手に早く来ちゃっただけだから」
「もしかして、楽しみだったからとか?」
 俺の答えに菜々ちゃんがからかうように呟き、俺はその言葉に力強く頷いた。
「もちろん。二人と一緒にプールに行けるなんて、楽しみじゃない訳ないじゃん」
「えへへ、そう言ってもらえると嬉しいなぁ」
「あの、私も悠太くんと一緒にプールに行くの楽しみだったんだよ」
 そう言って頬を赤く染める二人を改めて眺める。
 そうすると、二人がいかに今日を楽しみにしていたかが何となく分かった。
 二人とも、服装にかなり気合が入っている。
 夏っぽく露出度の高い二人は、あまり詳しくない俺から見てもオシャレだと思う。
 薫ちゃんのショートパンツから覗く足はすべすべとしていて綺麗だし、菜々ちゃんの履いているミニスカートは少し風が吹けばすぐに下着が見えてしまいそうなほど、可愛らしくヒラヒラとしている。
 そんな二人は俺から見ればもったいないくらいの美少女で完全に俺と釣り合っていないのだけど、この世界での認識は逆のようだ。
 その証拠に、さっきから通り過ぎていく人がチラチラと二人をチラ見しては俺と目が合って視線を逸らしていく。
 その視線には明確に、「どうしてこんな二人が美少年と一緒に居るんだ?」といった偏見の意味が込められていて、なんだか非常に気分が悪い。
「悠太くん、どうしたの? 怖い顔してるけど……」
「えっ? あぁ、何でもないよ。二人とも俺にはもったいないくらい可愛いなって思って」
「そ、そんな事ないよ。悠太くんこそ、私たちにはもったいない程カッコいいよ」
「そうそう。その証拠に、さっきから通り過ぎる人もチラチラ見てるし……」
 どうやら、二人も視線には気付いていたようだ。
 そのまま雰囲気が少し暗くなっていると、プールへと向かうバスがやって来た。
「あっ、バス来たよ!」
「そうだね。じゃあ、行こうか」
 努めて明るく声を上げる薫ちゃんの手を握ると、彼女は驚いたような表情で固まってしまう。
「うぇっ⁉ あの、悠太くん……?」
「行こう、薫ちゃん。ほら、菜々ちゃんも」
 バスの前で固まって動かない薫ちゃんを引っ張りながら、空いている手を菜々ちゃんにも差し出す。
 そうすると菜々ちゃんは、おずおずと俺の手を握ってくる。
 そんな菜々ちゃんの手をギュッと握り還すと、彼女はビクッと身体を震わせた。
「ほら、二人とも。早く乗らないと他の人に迷惑だから」
 結局動かなくなってしまった二人を引っ張ってバスの中に入った俺は、そのまま真っ直ぐバスの最後尾まで行く。
 そして一番後ろの席に座ると、俺は美少女に挟まれる形になった。
「あの、もう手を離しても良いんじゃ……」
「ちょっと恥ずかしいんだけど……」
 バスが動き始めると、両隣からそんな声が聞こえてくる。
「なんで? 誰にも見られてないし良いじゃん」
 そう答えながら二人の手をニギニギと弄んでみると、二人はそわそわと落ち着かない様子で身体を揺らしている。
「や、やっぱり恥ずかしいよぉ」
 結局そのまま振り解くように手を離されてしまい、俺の両手は自由になってしまった。
 仕方ない。
 自由になったからには、さらに自由にさせてもらおう。
 空いた両手を二人の方に回すと、そのまま抱き寄せる。
 そうすると二人の頭は俺の肩に寄り添うような形になり、二人の顔は真っ赤に染まる。
「悠太、くん……」
「誰かに見られちゃうよ……」
「大丈夫。二人が静かにしてたら、誰も後ろなんか見ないよ」
 事実、他の乗客はみんな前を向いているし、何もないのにわざわざ背後を振り返る事もないだろう。
 暗に二人に黙るように声を掛けた俺は、そのまま肩に置いていた手を下へと降ろしていく。
 そうすると服の襟元から両手は中へと入っていき、すぐに二人の豊満な胸に触れる。
 こうやって比べると、やっぱりおっぱいはそれぞれ違うんだな。
 見た目からは同じサイズのように見えるけど、菜々ちゃんの方が少し大きい。
 しかし柔らかさは薫ちゃんの方が上で、菜々ちゃんは少しハリがあるような気がする。
 そうやって二人の胸の違いを楽しみながら揉んでいると、二人の身体は時々ピクッと震える。
 それに加えて「んっ……」とか「ぁっ……」とか言った微かな声が聞こえてくると、ズボンの中でマイサンも元気になっていく。
 そうやって俺が二人の胸を弄んでいると、バスはゆっくりと停車する。
「どうやら、着いたみたいだね。じゃあ、続きはプールでやろっか」
 胸から手を離して立ち上がった俺は、二人を連れてバスを降りていく。
 胸を揉まれる快感で少し蕩けてしまった二人は、そのせいで俺の言葉を良く聞いていなかったみたいに小さく頷いていた。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

転生したら美醜逆転世界だったので、人生イージーモードです

狼蝶
恋愛
 転生したらそこは、美醜が逆転していて顔が良ければ待遇最高の世界だった!?侯爵令嬢と婚約し人生イージーモードじゃんと思っていたら、人生はそれほど甘くはない・・・・?  学校に入ったら、ここはまさかの美醜逆転世界の乙女ゲームの中だということがわかり、さらに自分の婚約者はなんとそのゲームの悪役令嬢で!!!?

私が美女??美醜逆転世界に転移した私

恋愛
私の名前は如月美夕。 27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。 私は都内で独り暮らし。 風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。 転移した世界は美醜逆転?? こんな地味な丸顔が絶世の美女。 私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。 このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。 ※ゆるゆるな設定です ※ご都合主義 ※感想欄はほとんど公開してます。

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。

昼寝部
キャラ文芸
 天才子役として活躍した俺、夏目凛は、母親の死によって芸能界を引退した。  その数年後。俺は『読者モデル』の代役をお願いされ、妹のために今回だけ引き受けることにした。  すると発売された『読者モデル』の表紙が俺の写真だった。 「………え?なんで俺が『読モ』の表紙を飾ってんだ?」  これは、色々あって芸能界に復帰することになった俺が、世の女性たちを虜にする物語。 ※『小説家になろう』にてリメイク版を投稿しております。そちらも読んでいただけると嬉しいです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比の狂った世界は、今以上にモテるようです。

狼狼3
ファンタジー
花壇が頭の上から落とされたと思ったら、男女比が滅茶苦茶な世界にいました。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...