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愛しの都は喧騒の中に
#9
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ベランダに当たる日差しで、先程水を与えた植物の水滴が輝いて見えます。
私が不在の間も枯れなかった事を嬉しく思い、時期外れではありますが肥料を少しだけ加えました。
それにしても、一番の時期を超えたとはいえまだまだ暑い日は続きそうです。
今日はタバコの追加を作るつもりです。
師匠の私邸に行った頃から少なくなっていましたが、先週材料を手に入ったのでようやく作ることが出来ます。
『前から聞きたかったんだけどさ、その草何処で取ったのさ?』
「これは知り合いと交換して手に入れました」
部屋の薬草のほとんどは無事でしたが、タバコの材料にしているこの薬草は枯れてしまっていました。
一部は鉢植えに植え、残りを加工しております。
『知り合いって、あの問屋のオジサンじゃないだろう?』
「こちらに来てすぐの頃に知り合った魔獣の方です」
『魔獣かい、大したもんだね。ソイツはどうやって手に入れてるんだい?』
「さぁ……特殊な方法で育てているのか入手しているのか、少なくともこの部屋で栽培しにくいものではあります」
私がこちらの世界に来て一年ほどした頃、この世界にない薬草を持っていると聞き取引を続けています。
彼女は私が王都に越してからも、時折コウモリを通して連絡してきます。
『主君の煙草は独特な香りがしますな、最近はコレを嗅ぐと落ち着くようになりました』
「それは何よりです」
『アンタ鳥のくせに鼻が良いのかい』
『主君に限った話だ』
『まぁ分からなくはないさね。キー君の師匠のニオイも悪かないけど、やっぱコッチのが好きさ』
タバコで必要な成分は取引した薬草で、香り付けにセージを使っています。
お二方は魔獣ですが害はなかったはずです。
私は乾燥させた原料を除骨し、同じくらいの細さになるように調整します。
『手馴れたもんさね』
「これの成分を抽出したものを薄めて飴に加えると、ビャンコ様に渡している飴になります」
『あの坊やに渡したニオイ消しの飴は違うのかい?』
「あれはまた別の薬草を使用しています」
坊やとはおそらくメル様の事でしょう。
リィはいつ私達を見ていたのでしょうか、メル様に飴を渡したことをご存知のようです。
今日は飴は作る予定はありませんので、巻紙を取り出して刻んだ葉を包みます。
何度も嗅いだ香りですが、やはり気持ちを落ち着けてくれると思います。
リィとフィルマと話せる日々は以前より少し賑やかになりましたが、相変わらず穏やかです。
こう考えると、帝国のお茶会に参加したのも悪い話ではなかったと今なら思えます。
───────
夕方から降った強い雨の影響で、王都の中は蒸した空気に満ちています。
未だ弱く降り注ぐ雨の中、バー「モウカハナ」を開店させます。
こちらに帰ってきてから夕立が多いようにも思います、今年は雨季に雨が少なかったのかもしれません。
今日はしばらくはしまったままにしていたカキゴオリの器を磨こうかと思います。
最近は暑い日が続いておりますし、そろそろご注文がある可能性もあります。
他にもしまったままの器があればしばらく磨く作業をしたいです。
器も磨き終わり、特にやる事も無くなったのでカウンターの中で本を読んでいた時。
階段に誰かが降りてくる気配がします。
本を棚にしまい、出迎えの準備をします。
「こんばんわ、今日は空いてると思って少し早めに来ました」
「いらっしゃいませメル様、お好きなカウンターのお席へどうぞ」
いつもなら荷物を後ろの棚に置くのですが、今日は珍しくお席まで持っていらっしゃいました。
それからいつものようにシャンディガフとエダマメをご注文されます。
ご注文の品をお出しした時、メル様が控えめに話を振ってきます。
「あの、今日は相談したいことがあって」
「どのような事でしょうか?」
「前にくれたハーロルトさんからもらった本、覚えてますか?」
確かハーロルトが師匠の私邸に来た時に「メル君にお詫びでコレ渡して」と言われ、一冊の本を受け取りました。
一応中身を拝見しましたが、魔獣の図鑑のようでしたので特に疑うこともなくメル様にお渡ししました。
「あの図鑑に何かありましたか?」
「なんでこんな物貰えたのかよく分からなかったし、何か違和感みたいなのがあって、普段は使わないようにしてた術を使って少し見てみたんですけど」
そう言ってからメル様はカバンからその図鑑を取り出し、私の方へ差し出します。
「これ、多分ですけど、本当は術式の図鑑じゃないですか?」
そんなはずはなかったとは思いますが、メル様が仰るなら何かあるのかもしれません。
「少し調べてもよろしいですか?」
「もちろんです、何か出来ることがあったら教えてください!」
私は受け取った本を開き眺めますが、やはり特別な内容は見当たりません。
メル様はご注文された物を召し上がりながら私を見ております。
違和感、とメル様は仰いました。
確かに時々少し無駄な空間があったり、術に関しての記述が細かいです。
とはいえ魔力の類は特にないように思え、術式が掛けられている様子もありません。
「理解を使ってご覧になったのですよね」
「はい。そしたら文字が変わったというか、なんか模様みたいに見えたんです」
「模様、ですか」
私が使える千里眼はメル様の理解より遥かに性能が劣りますが、見るだけ見てみる事にします。
すると、特定の文字と文字が繋がり、少しだけ浮かび上がって見えます。
どういった仕組みでこんなことになるのか、あり得るとしたら特殊なインクが使われているでしょうか。
今度は文字に焦点を当てインクの成分を視ます。
「これは、随分と手の込んだものですね」
「何かわかりました?」
「推測でしかありませんが、魔力を通すと何か反応があるかもしれません」
インクに魔獣の血が含まれているようです。
メル様は模様に見えたと仰ってましたが、私には少し字が浮き上がって見える程度です。
「メル様、魔力を通す事は可能ですか?」
「えっと、教わったのは手に集中させると出来るとか」
「試しにこの本のどこかのページで、それをやってみては下さいませんか?」
「は、はい!」
メル様に本をお返しし、メル様は最初の方のページを開きます。
ページには飛翔を使うウサギが描かれております。
本を置き、そのページを睨みつけながら両手を開いてかざします。
すると、本の上に飛翔の術式に使用する陣が正しい形で現れました。
「これはすごいですね、私も初めて見ました」
「え、あれ? 僕が見た時はただの模様の円だったんですが」
「術式は教わってないのですか?」
「これ、術式なんですか?」
「はい、多くの術式は球のような形状をしております」
メル様が手を離すと、本に浮かび上がった術式は元の形状に戻りました。
深く考えずに魔力を込めるように頼みましたが、まさかこんな事が起きるとは想像しておりませんでした。
インクに魔力を通すと術式の形に見えるような処置がされていたのかもしれませんが、どういった方法なのか検討がつきません。
「なんだかすごい物貰っちゃいましたね。これで術の勉強が出来そうですけど、なんでハーロルトさんが僕にくれたんですか?」
「ただの図鑑だと思っていたので、私も理由はよく分からないです。今度彼に聞いておきましょうか?」
「うーん、機会があればお願いします。出来ればお礼も!」
「かしこまりました」
何故かかは、おそらく人質にした事に対する詫びだとは思いますが、メル様が預かり知る所ではありません。
ハーロルトもそこは分かっているはずなので、私から経由して詫びの品を渡すことに意味があったのかとは思いますが。
まさか術絡みの品だったとは、これは何か意図があるように思います。
「あ、治療ってあるんですね! コレが使えたら怪我とか治せますか?」
「向き不向きもありますが、怪我の内容次第では悪化することもあります」
「悪化するんですか……」
「消毒した上で使うなら効果的です」
毒の付いたナイフなどで負った傷の場合は、毒を取り込んで傷が治ってしまう事があります。
「なるほど! あと向き不向きってなんですか?」
「同じ術でもそれ次第で範囲や効果が変わりますし……分かりやすい例ですと、私は治療はまともに扱えません」
「えっ、そうなんですか!」
「他にもビャンコ様は大きな火を起こすことは出来ますが、マッチの火程度の小さな火をつけるのは難しいです」
「へぇー! こんな事言っちゃダメなのかもしれませんけど、面白いですね」
メル様は楽しそうに図鑑をめくります。
普通に魔獣の図鑑としても楽しいものですし、あのような仕組みがなくとも良い本だとは思います。
「これで僕も術が使えるようになりますか?」
期待に輝く瞳で私を見てきます。
「えぇ、メル様なら可能だと思います」
正直に思った事ですが、私の発言を受けてメル様の表情がとても明るいものになります。
「やった、嬉しいです!」
そう仰ってから、少し恥ずかしそうに目線を下に逸らします。
「この本の事気付いた時は少し不安だったんですけど、相談して本当に良かったです!」
それからメル様とその図鑑に関して話しながら、術式に関しての話をしました。
メル様は元来お優しい気性だからか、人を癒す術式に興味が強いようでした。
それにしても、あの図鑑。
ハーロルトはどのようにして手に入れたのでしょうか。
またどのような思惑でメル様にプレゼントしたのか、どうしても考えてしまいます。
ハーロルトの連絡先は聞いておりますので、近いうちに聞いてみようと思います。
私が不在の間も枯れなかった事を嬉しく思い、時期外れではありますが肥料を少しだけ加えました。
それにしても、一番の時期を超えたとはいえまだまだ暑い日は続きそうです。
今日はタバコの追加を作るつもりです。
師匠の私邸に行った頃から少なくなっていましたが、先週材料を手に入ったのでようやく作ることが出来ます。
『前から聞きたかったんだけどさ、その草何処で取ったのさ?』
「これは知り合いと交換して手に入れました」
部屋の薬草のほとんどは無事でしたが、タバコの材料にしているこの薬草は枯れてしまっていました。
一部は鉢植えに植え、残りを加工しております。
『知り合いって、あの問屋のオジサンじゃないだろう?』
「こちらに来てすぐの頃に知り合った魔獣の方です」
『魔獣かい、大したもんだね。ソイツはどうやって手に入れてるんだい?』
「さぁ……特殊な方法で育てているのか入手しているのか、少なくともこの部屋で栽培しにくいものではあります」
私がこちらの世界に来て一年ほどした頃、この世界にない薬草を持っていると聞き取引を続けています。
彼女は私が王都に越してからも、時折コウモリを通して連絡してきます。
『主君の煙草は独特な香りがしますな、最近はコレを嗅ぐと落ち着くようになりました』
「それは何よりです」
『アンタ鳥のくせに鼻が良いのかい』
『主君に限った話だ』
『まぁ分からなくはないさね。キー君の師匠のニオイも悪かないけど、やっぱコッチのが好きさ』
タバコで必要な成分は取引した薬草で、香り付けにセージを使っています。
お二方は魔獣ですが害はなかったはずです。
私は乾燥させた原料を除骨し、同じくらいの細さになるように調整します。
『手馴れたもんさね』
「これの成分を抽出したものを薄めて飴に加えると、ビャンコ様に渡している飴になります」
『あの坊やに渡したニオイ消しの飴は違うのかい?』
「あれはまた別の薬草を使用しています」
坊やとはおそらくメル様の事でしょう。
リィはいつ私達を見ていたのでしょうか、メル様に飴を渡したことをご存知のようです。
今日は飴は作る予定はありませんので、巻紙を取り出して刻んだ葉を包みます。
何度も嗅いだ香りですが、やはり気持ちを落ち着けてくれると思います。
リィとフィルマと話せる日々は以前より少し賑やかになりましたが、相変わらず穏やかです。
こう考えると、帝国のお茶会に参加したのも悪い話ではなかったと今なら思えます。
───────
夕方から降った強い雨の影響で、王都の中は蒸した空気に満ちています。
未だ弱く降り注ぐ雨の中、バー「モウカハナ」を開店させます。
こちらに帰ってきてから夕立が多いようにも思います、今年は雨季に雨が少なかったのかもしれません。
今日はしばらくはしまったままにしていたカキゴオリの器を磨こうかと思います。
最近は暑い日が続いておりますし、そろそろご注文がある可能性もあります。
他にもしまったままの器があればしばらく磨く作業をしたいです。
器も磨き終わり、特にやる事も無くなったのでカウンターの中で本を読んでいた時。
階段に誰かが降りてくる気配がします。
本を棚にしまい、出迎えの準備をします。
「こんばんわ、今日は空いてると思って少し早めに来ました」
「いらっしゃいませメル様、お好きなカウンターのお席へどうぞ」
いつもなら荷物を後ろの棚に置くのですが、今日は珍しくお席まで持っていらっしゃいました。
それからいつものようにシャンディガフとエダマメをご注文されます。
ご注文の品をお出しした時、メル様が控えめに話を振ってきます。
「あの、今日は相談したいことがあって」
「どのような事でしょうか?」
「前にくれたハーロルトさんからもらった本、覚えてますか?」
確かハーロルトが師匠の私邸に来た時に「メル君にお詫びでコレ渡して」と言われ、一冊の本を受け取りました。
一応中身を拝見しましたが、魔獣の図鑑のようでしたので特に疑うこともなくメル様にお渡ししました。
「あの図鑑に何かありましたか?」
「なんでこんな物貰えたのかよく分からなかったし、何か違和感みたいなのがあって、普段は使わないようにしてた術を使って少し見てみたんですけど」
そう言ってからメル様はカバンからその図鑑を取り出し、私の方へ差し出します。
「これ、多分ですけど、本当は術式の図鑑じゃないですか?」
そんなはずはなかったとは思いますが、メル様が仰るなら何かあるのかもしれません。
「少し調べてもよろしいですか?」
「もちろんです、何か出来ることがあったら教えてください!」
私は受け取った本を開き眺めますが、やはり特別な内容は見当たりません。
メル様はご注文された物を召し上がりながら私を見ております。
違和感、とメル様は仰いました。
確かに時々少し無駄な空間があったり、術に関しての記述が細かいです。
とはいえ魔力の類は特にないように思え、術式が掛けられている様子もありません。
「理解を使ってご覧になったのですよね」
「はい。そしたら文字が変わったというか、なんか模様みたいに見えたんです」
「模様、ですか」
私が使える千里眼はメル様の理解より遥かに性能が劣りますが、見るだけ見てみる事にします。
すると、特定の文字と文字が繋がり、少しだけ浮かび上がって見えます。
どういった仕組みでこんなことになるのか、あり得るとしたら特殊なインクが使われているでしょうか。
今度は文字に焦点を当てインクの成分を視ます。
「これは、随分と手の込んだものですね」
「何かわかりました?」
「推測でしかありませんが、魔力を通すと何か反応があるかもしれません」
インクに魔獣の血が含まれているようです。
メル様は模様に見えたと仰ってましたが、私には少し字が浮き上がって見える程度です。
「メル様、魔力を通す事は可能ですか?」
「えっと、教わったのは手に集中させると出来るとか」
「試しにこの本のどこかのページで、それをやってみては下さいませんか?」
「は、はい!」
メル様に本をお返しし、メル様は最初の方のページを開きます。
ページには飛翔を使うウサギが描かれております。
本を置き、そのページを睨みつけながら両手を開いてかざします。
すると、本の上に飛翔の術式に使用する陣が正しい形で現れました。
「これはすごいですね、私も初めて見ました」
「え、あれ? 僕が見た時はただの模様の円だったんですが」
「術式は教わってないのですか?」
「これ、術式なんですか?」
「はい、多くの術式は球のような形状をしております」
メル様が手を離すと、本に浮かび上がった術式は元の形状に戻りました。
深く考えずに魔力を込めるように頼みましたが、まさかこんな事が起きるとは想像しておりませんでした。
インクに魔力を通すと術式の形に見えるような処置がされていたのかもしれませんが、どういった方法なのか検討がつきません。
「なんだかすごい物貰っちゃいましたね。これで術の勉強が出来そうですけど、なんでハーロルトさんが僕にくれたんですか?」
「ただの図鑑だと思っていたので、私も理由はよく分からないです。今度彼に聞いておきましょうか?」
「うーん、機会があればお願いします。出来ればお礼も!」
「かしこまりました」
何故かかは、おそらく人質にした事に対する詫びだとは思いますが、メル様が預かり知る所ではありません。
ハーロルトもそこは分かっているはずなので、私から経由して詫びの品を渡すことに意味があったのかとは思いますが。
まさか術絡みの品だったとは、これは何か意図があるように思います。
「あ、治療ってあるんですね! コレが使えたら怪我とか治せますか?」
「向き不向きもありますが、怪我の内容次第では悪化することもあります」
「悪化するんですか……」
「消毒した上で使うなら効果的です」
毒の付いたナイフなどで負った傷の場合は、毒を取り込んで傷が治ってしまう事があります。
「なるほど! あと向き不向きってなんですか?」
「同じ術でもそれ次第で範囲や効果が変わりますし……分かりやすい例ですと、私は治療はまともに扱えません」
「えっ、そうなんですか!」
「他にもビャンコ様は大きな火を起こすことは出来ますが、マッチの火程度の小さな火をつけるのは難しいです」
「へぇー! こんな事言っちゃダメなのかもしれませんけど、面白いですね」
メル様は楽しそうに図鑑をめくります。
普通に魔獣の図鑑としても楽しいものですし、あのような仕組みがなくとも良い本だとは思います。
「これで僕も術が使えるようになりますか?」
期待に輝く瞳で私を見てきます。
「えぇ、メル様なら可能だと思います」
正直に思った事ですが、私の発言を受けてメル様の表情がとても明るいものになります。
「やった、嬉しいです!」
そう仰ってから、少し恥ずかしそうに目線を下に逸らします。
「この本の事気付いた時は少し不安だったんですけど、相談して本当に良かったです!」
それからメル様とその図鑑に関して話しながら、術式に関しての話をしました。
メル様は元来お優しい気性だからか、人を癒す術式に興味が強いようでした。
それにしても、あの図鑑。
ハーロルトはどのようにして手に入れたのでしょうか。
またどのような思惑でメル様にプレゼントしたのか、どうしても考えてしまいます。
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