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眠りを誘う甘い芳香
#4
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モウカハナで働く生活を続けて長いですが、冬の明け方は帰宅した室内が外より気温が低いことがありました。
今冬はそれがなく、リィか帰宅する部屋の中を暖かくしてくれています。
リィは私の部屋に設置されている道具にどのような効果があるか理解していたようで、部屋から魔力が漏れない事を知っていたそうです。
『だからキー君はアタイをここに残してくれようとしたんだろ? そういうところをサッちゃんは好いてたんだろうね』
後で会話ができるようになってから呆れた口調で言われました。
最初はかなり驚きましたが、出迎えてくれるリィとフィルマを見ると心の中にも温かさを感じます。
今日も昼頃起きて二匹に食事を提供します。
私も含め三匹でとる食事は、静かですがとても穏やかな時間です。
私にもっと魔力量があれば普段から会話ができるのでしょうけど、こればかりはどうしようもありません。
いつもの習慣で新聞を広げ、今日の記事に目を通します。
『お騒がせの帝国貴族 リモワの商品が連日品薄に!』
貴族と見られる人物が来て一言「この店の商品は全て買い取らせて頂く!」と宣言し、その日店に並んでいた物を全て買い占めてしまう。
これが雑貨店などで連日行われ、職人が個人で営んでいる店などは休業にせざるを得ない状況が起きている。
買い占める人物によっては商品の輸送先をリュンヌの自宅に指定するも輸送費を支払わない事もあり、行政機関がその料金を一時的に支払うなどの対応をしている。
……などと、書かれています。
メル様に会いに行った時と同じ事をなさっているようです。
あの時はメル様とのデートにこぎつけることを目的としているかと思いましたが、そうでもないようですね。
しかも記事の見出しに「お騒がせ」などと書かれているところを見ると、かの帝国に対してオランディ側が気を使う事をやめたのかもしれません。
今日はこれから仕入れたオタネニンジンで調薬の実験を試したいと考えております。
滋養に高い効果のある薬草で、調薬以外にも料理やお酒に使われます。
お酒は既に漬け始めているものがありますので、乾燥させていた物を使用して新しいものが出来ないか調べてみたいと思います。
───────
夕方まで降り続けた雪が収まり、僅かに冷たい風が吹く夜更け。
すっかり暗くなったリモワの夜にバー「モウカハナ」は開店します。
冷たい夜闇で少し霧もありますが、王都の中なら安全です。
寒い屋外から店の中へ戻り、今日は明日も加熱をすれば問題なく食べられる肉料理を用意しようと思います。
去年の今頃に作っていたカクニです。
この寒さならお客様もしばらくいらっしゃらないでしょう。
カクニを作るために肉に糸を巻く必要があります、暖かい店内で料理の仕込みをするのは楽しい作業です。
今日は気温が低いからか、日付が変わる今の時刻にもお客様がいらっしゃいません。
こんな日は調理場の椅子に腰掛けて本を読みます。
夏に行った別荘での出来事とケータ様からのお手紙で、私には比喩表現に対しての知識が少ないと感じ、それらに関して書かれた物を読んでおります。
それから数時間経ち、閉店するか考え始めていた頃、来店を告げるベルが鳴ります。
この時間ならかなり寒かったはずです、私は急ぎ店内に戻りお客様を出迎える準備を致します。
扉が開いたそこに立っていたのは、少し予想外のお客様でした。
「いらっしゃいませ、エルミーニ様」
「ここでは初めましてですね」
「上着をお預かりします、お好きなカウンターの席へどうぞ」
「ありがとうございます」
庁舎で一度お会いした外務局で局長をなさっているエルミーニ様です。
硬派な方だと思っておりましたので、当店にいらっしゃるとは考えておりませんでした。
カウンターの中へ戻り、暖かいタオルとお水をお出しします。
「メニューをご覧になりますか?」
「それも良いですが、何か勧めて頂けると助かります」
私はいくつかお酒とそれに合う軽食などをご紹介します。
その中から軽く飲めるジュンマイシュのフォスキーアとナスのアサヅケをご注文されました。
オススメを聞かれるなら、こういったお店には慣れていらっしゃるのかもしれません。
「ここの事は騎士団長から聞きました。キーノスさんはビャンコさんと親しいそうで」
「そうかもしれません」
「彼はここへよく来ますか?」
「月に二度ほどはいらっしゃいます」
嫌な事があると頻度が上がりますが、同じ職場の方には言わない方が良いでしょう。
「最近来たのはいつですか?」
「年明け頃になります」
「そうでしたか」
「はい」
私の回答を聞いたあと、グラスの中のお酒を口になさいます。
それからアサヅケをフォークで召し上がります。
反応を見る限りですが、それらに対して特に不満はなさそうです。
静かに料理を召し上がっていらっしゃる前に私が立ち続けるのは、エルミーニ様が落ち着かないかと思います。
私は棚に置いたままになっている少しホコリが被っている可能性のあるグラスを磨こうかと思います。
グラスを空けたエルミーニ様は追加のフォスキーアをご注文されました。
どうやら気に入って頂けたようです。
それから少し遠慮がちに私に話しかけます。
「キーノスさんは、術士だからビャンコさんと仲良くなったのですか?」
「いえ、ここのメニューが気に入られたからかと思います」
「術士としての交流はありますか?」
「ございます」
「そうですか」
「はい」
エルミーニ様がお酒に口をつけます。
先程からご質問なさるエルミーニ様のご様子を見るに、彼は何か聞きたいように見えます。
話題によくあがるビャンコ様のことを聞きたいのか、それともネストレ様のようにビャンコ様をきっかけに何かを聞きたいのでしょうか。
「エルミーニ様はビャンコ様と仲がよろしいのですか?」
どちらだとしても、私からビャンコ様のお話を振ってみるのは良いかもしれません。
「いえ、仕事以外では接点はありませんし、仲が良いとも言えないでしょう」
「そうでしたか」
「はい」
話題を振ってみましたが、反応から考えてそれほど興味がないご様子です。
もしかしたら私に気を使って話題を振ってくださっていたのかもしれません。
それならやはり目につかない位置で彼からご注文かご質問を受けるのを待っている方が良いかもしれませんね。
私はグラスを磨く作業に戻ろうと視線をそちらに向けた時、エルミーニ様から声がかかりました。
「あの」
「はい」
返事をしましたが、その後の言葉がありません。
「いかがなさいましたか?」
できれば寛いで頂きたいと思うため、あまり催促するようなことはしたくありません。
一応お伺いしますが、回答が無ければ一礼してグラスを磨く作業に戻ろうかと思います。
「いえ」
「承知致しました、何かご入用でしたらお申し付け下さい」
私は一礼してグラスを磨く作業に戻ろうかと思いますが、その前に一応申し上げておいた方が良いかもしれません。
「無理にとは申しませんが、お寛ぎ頂けますと幸いです」
ひょっとしたら難しいお願いかもとは思います。
「お気を遣わせてしまい申し訳ありません」
「そのような事は気になさらないで下さい。ここには私とエルミーニ様しかおりませんので、お好きに過ごして頂ければと思います」
「……キーノスさんは庁舎でお会いした時から印象が変わりませんね」
「そうかもしれません」
「普段から丁寧なご対応で」
「ありがとうございます」
それからエルミーニ様がグラスを置き、小さく頷きこちらに視線を向けてきます。
「すみません、去年のマスカレードであったマルモワの留学生が亡命した件に関して報告は受けてまして。その中でのあなたの立ち回りが、なんとも巧妙だと思ったもので」
「そのようにお考えでしたか」
「こちらの一方的な質問にもまるで動揺せず嘘をついている様子もないので、私が正直になるべきかと」
「お気になさらず、寛いで頂ければと思います」
何か彼の言葉からは含みを感じます。
「あなたに術士として何かを頼む場合どのような手続きが必要ですか?」
「手続きですか?」
「ビャンコさんが殆どかとは思いますが、騎士団長や殿下もあなたに術士として何かを頼んだことがあるのではと」
「ございますが、手続きなどは特にされたことはございません」
「え、では今までどのように?」
「頼まれましたので対応致しました」
「それだけで?」
「はい」
エルミーニ様がテーブルを指先でコツコツと叩きます。
この仕草は以前お会いした時に拝見しております。
「仮にも仕事を依頼された訳ですから、何か書面などで残す方が今後はよろしいかと」
「いえ、仕事して受けた訳ではありません」
「そうすると、庁舎の方で記録が残るだけになってしまうのでは」
「そうかもしれませんね」
「術士のあなたに頼る訳ですから……いえ、こんな事を言いたい訳ではなく」
指で叩くのをやめ、小さく咳払いをなさいます。
「今日は相談、いえお伺いしたい事がありここへ来ました。」
「それはビャンコ様に関しての事でしょうか?」
「はい、大した事ではないのかもしれませんが」
エルミーニ様が少しだけ姿勢を正すように座り直します。
「ビャンコさんと最後に会ったのは年明けですか?」
「はい」
「彼は素を出せばかなり自由な性分ですが、仕事に置いてはとてもしっかりしております。報告書も体裁は整えてあり、模擬戦の件も請求や殿下の指摘が無ければ問題ないものでした」
「そのようで」
それから、とても言いにくそうに言葉を吐き出しました。
「彼は今、五日間無断欠勤しています。それに関してお伺いしに参りました」
今冬はそれがなく、リィか帰宅する部屋の中を暖かくしてくれています。
リィは私の部屋に設置されている道具にどのような効果があるか理解していたようで、部屋から魔力が漏れない事を知っていたそうです。
『だからキー君はアタイをここに残してくれようとしたんだろ? そういうところをサッちゃんは好いてたんだろうね』
後で会話ができるようになってから呆れた口調で言われました。
最初はかなり驚きましたが、出迎えてくれるリィとフィルマを見ると心の中にも温かさを感じます。
今日も昼頃起きて二匹に食事を提供します。
私も含め三匹でとる食事は、静かですがとても穏やかな時間です。
私にもっと魔力量があれば普段から会話ができるのでしょうけど、こればかりはどうしようもありません。
いつもの習慣で新聞を広げ、今日の記事に目を通します。
『お騒がせの帝国貴族 リモワの商品が連日品薄に!』
貴族と見られる人物が来て一言「この店の商品は全て買い取らせて頂く!」と宣言し、その日店に並んでいた物を全て買い占めてしまう。
これが雑貨店などで連日行われ、職人が個人で営んでいる店などは休業にせざるを得ない状況が起きている。
買い占める人物によっては商品の輸送先をリュンヌの自宅に指定するも輸送費を支払わない事もあり、行政機関がその料金を一時的に支払うなどの対応をしている。
……などと、書かれています。
メル様に会いに行った時と同じ事をなさっているようです。
あの時はメル様とのデートにこぎつけることを目的としているかと思いましたが、そうでもないようですね。
しかも記事の見出しに「お騒がせ」などと書かれているところを見ると、かの帝国に対してオランディ側が気を使う事をやめたのかもしれません。
今日はこれから仕入れたオタネニンジンで調薬の実験を試したいと考えております。
滋養に高い効果のある薬草で、調薬以外にも料理やお酒に使われます。
お酒は既に漬け始めているものがありますので、乾燥させていた物を使用して新しいものが出来ないか調べてみたいと思います。
───────
夕方まで降り続けた雪が収まり、僅かに冷たい風が吹く夜更け。
すっかり暗くなったリモワの夜にバー「モウカハナ」は開店します。
冷たい夜闇で少し霧もありますが、王都の中なら安全です。
寒い屋外から店の中へ戻り、今日は明日も加熱をすれば問題なく食べられる肉料理を用意しようと思います。
去年の今頃に作っていたカクニです。
この寒さならお客様もしばらくいらっしゃらないでしょう。
カクニを作るために肉に糸を巻く必要があります、暖かい店内で料理の仕込みをするのは楽しい作業です。
今日は気温が低いからか、日付が変わる今の時刻にもお客様がいらっしゃいません。
こんな日は調理場の椅子に腰掛けて本を読みます。
夏に行った別荘での出来事とケータ様からのお手紙で、私には比喩表現に対しての知識が少ないと感じ、それらに関して書かれた物を読んでおります。
それから数時間経ち、閉店するか考え始めていた頃、来店を告げるベルが鳴ります。
この時間ならかなり寒かったはずです、私は急ぎ店内に戻りお客様を出迎える準備を致します。
扉が開いたそこに立っていたのは、少し予想外のお客様でした。
「いらっしゃいませ、エルミーニ様」
「ここでは初めましてですね」
「上着をお預かりします、お好きなカウンターの席へどうぞ」
「ありがとうございます」
庁舎で一度お会いした外務局で局長をなさっているエルミーニ様です。
硬派な方だと思っておりましたので、当店にいらっしゃるとは考えておりませんでした。
カウンターの中へ戻り、暖かいタオルとお水をお出しします。
「メニューをご覧になりますか?」
「それも良いですが、何か勧めて頂けると助かります」
私はいくつかお酒とそれに合う軽食などをご紹介します。
その中から軽く飲めるジュンマイシュのフォスキーアとナスのアサヅケをご注文されました。
オススメを聞かれるなら、こういったお店には慣れていらっしゃるのかもしれません。
「ここの事は騎士団長から聞きました。キーノスさんはビャンコさんと親しいそうで」
「そうかもしれません」
「彼はここへよく来ますか?」
「月に二度ほどはいらっしゃいます」
嫌な事があると頻度が上がりますが、同じ職場の方には言わない方が良いでしょう。
「最近来たのはいつですか?」
「年明け頃になります」
「そうでしたか」
「はい」
私の回答を聞いたあと、グラスの中のお酒を口になさいます。
それからアサヅケをフォークで召し上がります。
反応を見る限りですが、それらに対して特に不満はなさそうです。
静かに料理を召し上がっていらっしゃる前に私が立ち続けるのは、エルミーニ様が落ち着かないかと思います。
私は棚に置いたままになっている少しホコリが被っている可能性のあるグラスを磨こうかと思います。
グラスを空けたエルミーニ様は追加のフォスキーアをご注文されました。
どうやら気に入って頂けたようです。
それから少し遠慮がちに私に話しかけます。
「キーノスさんは、術士だからビャンコさんと仲良くなったのですか?」
「いえ、ここのメニューが気に入られたからかと思います」
「術士としての交流はありますか?」
「ございます」
「そうですか」
「はい」
エルミーニ様がお酒に口をつけます。
先程からご質問なさるエルミーニ様のご様子を見るに、彼は何か聞きたいように見えます。
話題によくあがるビャンコ様のことを聞きたいのか、それともネストレ様のようにビャンコ様をきっかけに何かを聞きたいのでしょうか。
「エルミーニ様はビャンコ様と仲がよろしいのですか?」
どちらだとしても、私からビャンコ様のお話を振ってみるのは良いかもしれません。
「いえ、仕事以外では接点はありませんし、仲が良いとも言えないでしょう」
「そうでしたか」
「はい」
話題を振ってみましたが、反応から考えてそれほど興味がないご様子です。
もしかしたら私に気を使って話題を振ってくださっていたのかもしれません。
それならやはり目につかない位置で彼からご注文かご質問を受けるのを待っている方が良いかもしれませんね。
私はグラスを磨く作業に戻ろうと視線をそちらに向けた時、エルミーニ様から声がかかりました。
「あの」
「はい」
返事をしましたが、その後の言葉がありません。
「いかがなさいましたか?」
できれば寛いで頂きたいと思うため、あまり催促するようなことはしたくありません。
一応お伺いしますが、回答が無ければ一礼してグラスを磨く作業に戻ろうかと思います。
「いえ」
「承知致しました、何かご入用でしたらお申し付け下さい」
私は一礼してグラスを磨く作業に戻ろうかと思いますが、その前に一応申し上げておいた方が良いかもしれません。
「無理にとは申しませんが、お寛ぎ頂けますと幸いです」
ひょっとしたら難しいお願いかもとは思います。
「お気を遣わせてしまい申し訳ありません」
「そのような事は気になさらないで下さい。ここには私とエルミーニ様しかおりませんので、お好きに過ごして頂ければと思います」
「……キーノスさんは庁舎でお会いした時から印象が変わりませんね」
「そうかもしれません」
「普段から丁寧なご対応で」
「ありがとうございます」
それからエルミーニ様がグラスを置き、小さく頷きこちらに視線を向けてきます。
「すみません、去年のマスカレードであったマルモワの留学生が亡命した件に関して報告は受けてまして。その中でのあなたの立ち回りが、なんとも巧妙だと思ったもので」
「そのようにお考えでしたか」
「こちらの一方的な質問にもまるで動揺せず嘘をついている様子もないので、私が正直になるべきかと」
「お気になさらず、寛いで頂ければと思います」
何か彼の言葉からは含みを感じます。
「あなたに術士として何かを頼む場合どのような手続きが必要ですか?」
「手続きですか?」
「ビャンコさんが殆どかとは思いますが、騎士団長や殿下もあなたに術士として何かを頼んだことがあるのではと」
「ございますが、手続きなどは特にされたことはございません」
「え、では今までどのように?」
「頼まれましたので対応致しました」
「それだけで?」
「はい」
エルミーニ様がテーブルを指先でコツコツと叩きます。
この仕草は以前お会いした時に拝見しております。
「仮にも仕事を依頼された訳ですから、何か書面などで残す方が今後はよろしいかと」
「いえ、仕事して受けた訳ではありません」
「そうすると、庁舎の方で記録が残るだけになってしまうのでは」
「そうかもしれませんね」
「術士のあなたに頼る訳ですから……いえ、こんな事を言いたい訳ではなく」
指で叩くのをやめ、小さく咳払いをなさいます。
「今日は相談、いえお伺いしたい事がありここへ来ました。」
「それはビャンコ様に関しての事でしょうか?」
「はい、大した事ではないのかもしれませんが」
エルミーニ様が少しだけ姿勢を正すように座り直します。
「ビャンコさんと最後に会ったのは年明けですか?」
「はい」
「彼は素を出せばかなり自由な性分ですが、仕事に置いてはとてもしっかりしております。報告書も体裁は整えてあり、模擬戦の件も請求や殿下の指摘が無ければ問題ないものでした」
「そのようで」
それから、とても言いにくそうに言葉を吐き出しました。
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