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疑惑の仮面が踊るパレード
#9
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「これにてマーゴ・フィオリトゥーラの舞台は閉幕です! 再び皆様と会える日を夢見て……」
眩い稲光が数本地面へ落ち、その筋がカラスへと変わります。
そのカラス達は手品師を包み込み、一瞬の閃光と共にその場から姿を消しました。
……すごく、派手です。
海面ギリギリの位置が足場になるように特設された舞台の上で、半刻ほど師匠は自身の術をふんだんに駆使したショーを披露なさいました。
私は視線誘導に花を一輪出すのに対して、師匠は巨大な稲妻を落とします。
空中にいくつもの光る花を生み出し、それらを乱舞させながら宙を舞い……
私は二度とマーゴ・フィオリトゥーラはやらないと心に誓いました。
誓ったものの、ケータ様の瞳の輝きを見ると私の気遣いなどロウソクの灯火程の効果しかなかったように見えて悔しく思います。
この感覚は久しぶりです。
「ケータ様、ご満足いただけたようですね」
「俺、あんな人の弟子と模擬戦したんですね! マルモワに帰ったら自慢できます!」
「しないで下さい、首相がかなり呆れてましたよ」
「しかし、見ただろ? 今のショー……いや術! あの人の弟子だぞ!」
「やめてください、恥ずかしいです」
「ゾフィまで……」
「ショーをご覧になった事だけなら問題ないかと思いますよ」
「ですよね、憧れるなぁ……俺もなれるかなぁ……」
恍惚とした表情で師匠のいない海の方を見ております。
それでいてご姉弟のお二人は苦い顔をしております。
私はここに来る途中に買った薬草の味の強いジンを飲んでおります。
ケータ様の術でグラスの中に氷を作っていただき、美味しくいただいております。
雰囲気が明るくなったからか、ケータ様がご姉弟に質問をなさいました。
「ルトの事、二人は知ってたのか?」
「私は知りませんでした」
「いや来る前から言ってただろ、少しはルトに興味持ってあげなよ……」
「辞めるなら勝手にすればいい」
「そうだけどさ、留学中にこんな事してオランディとの関係も悪くなるかもしれないだろ?」
「私には関係ない」
「あるよ、ケータさんからも何か言ってください」
「姉弟は仲良くすべきだな」
「そういう事でもなくてですね」
この三名の会話を拝見した事はありませんでしたが、ギュンター様の苦労が垣間見えます。
今まではここにあの長髪の彼がいたのかと思うと、ギュンター様が店に一人でよくいらしていた理由も分かる気がします。
「オランディの事でしたら大丈夫かと思います、国としては関係がある内容ではありませんし」
オランディのお国柄とでも言いますか、今回の件を報告した所で大きく問題にはしないかと思います。
今回の亡命より先日師匠が小隊を退けた件の方が遥かに問題ですが、結局何事もなく留学を終えています。
ビャンコ様が何度も仰ってましたが、結局「よそでやれ」という話です。
「キーノス様は慈愛に満ちたお方なのですね」
そういう事ではありませんが、訂正をしなくても別に良いでしょう。
「俺は色々知らなすぎたな……」
「そう言えばケータさん、サラマンダーは良かったんですか?」
「元々力比べにしか考えてない」
「それで留学したんですから、本当に良かったんですか?」
「別に良い、あの白い局長にも謝ったし」
「それなら良いですが」
ケータ様がショーの前のような悲しそうな表情をなさっています。
彼にとって今回の留学は悲しい事が多かったのでしょう。
話題を変えて差しあげた方が彼には良いかもしれません。
幸い共通の話題もございます。
「ケータ様、手品の練習は順調ですか?」
「はい、少しは覚えたんですよ」
「良ければ見せていただけませんか?」
「今はトランプを持ってなくて……」
「カードの物を学んでいらっしゃるのですね」
「コインのもやってみたいんですけど、難しくて」
「そうかもしれませんね」
「キーノスさんは何かできたりしますか?」
「簡単な物でしたら」
私は財布から小銭を取り出し、指の背の上で移動させます。
「おぉ……」
「練習は必要ですし手品でもありませんが」
「コインも良いですね……」
少し明るくなられたのを見て、少しだけ贅沢なお願いをしてみたくなりました。
「本日で最後との事ですが、またオランディにいらした際に手品の腕前を拝見させて下さると嬉しいです」
「えぇ、もちろん!」
ケータ様の表情に明るさが戻りました。
この留学が長髪の彼のせいで悲しい思い出になってしまわない事を願います。
「ケータさん、今日ずっと気になってたのですけど、どうしてキーノス様と仲が良いのですか? ルトも前から知ってたみたいだし」
私達のやりとりを聞いていたゾフィ様がケータ様に質問をなさいます。
仲が良いかと言われるとそこまでではないかと思いますが、私が一方的に構いたい方ではあります。
「前に雨が降った日にネストレさんから飲みに誘われただろ? あの時にキーノスさんのお店に行ったんだ」
「えっ」
「手品の本のことを教えてもらったりカレーを作ってもらったりして。本当にありがとうございます!」
「喜んでいただけて本当に嬉しく思います」
「俺とルトは留学中何度も飲みに行ったし、前に誘ったでしょ」
「飲みって、キーノス様のお仕事ってお酒に関する事なの?」
「私は『モウカハナ』というバーのバリスタです」
てっきりご存知かと思っておりましたし、鼻が良い彼女なら店の場所も知っていたはずです。
「……あの地下へ続く階段はお薬屋さんかと思ってました」
「俺言ってなかったっけ?」
「言ってない」
「夜に出て飲んで帰ってきてたんだし、気付いてると思ってた」
「待って、ここに来た頃よく出掛けてたのってキーノス様のお店だったの?」
「あ、ハッキリは言ってなかったかも」
「団長さんがよくキーノスさんの話してたし、バリスタって言ってただろ?」
「同じ方だとは思ってませんでした、キーノス様からはお酒ではなくハーブの香りがしてますから」
「うーん、確かにモウカハナはいいニオイがしてたし、カレーと麦茶は美味しいし」
「二人して……」
確かに階段横の看板には店名を書いていますが、「バー」の文字は控えめかもしれません。
しかし薬屋と思われていたのは意外でした。
「ギュンター許さない……」
「なんで、誘ったでしょ?」
「お薬屋さんだと思ったのよ」
「いや、飲みにも誘ったよね?」
「キーノス様のお店とは言ってないじゃない」
「言ってないけど、団長殿がよく話すバリスタのキーノスさんのお店に行く話はしてただろ?」
「私はお薬屋さんのキーノス様を探してたのよ、分かるわけがないでしょう」
「そんな無茶な、来なかったのは姉さんだろ」
そのまま姉弟喧嘩を始めてしまわれたようです。
止める方法も特に思いつきませんので、私はケータ様の方に気をかけます。
「姉弟は仲良く、だな」
「ケータ様にはお兄様がいらっしゃるそうですね」
「はい。すごく良い兄で、周りが色々言いますが仲良くしてくれてます」
「良いお兄様ですね」
「今は難しいかもしれませんが、俺は兄に首相になってもらうように父上を説得するつもりです」
「良いのですか?」
「はい! 今回留学してもっと色々勉強したいと思ったんです。本当の両親から逃げることが出来て、魔法を褒められて、権力持って。そのお陰で留学に来れて、今人生で一番楽しいんです!」
「それは何よりです」
先程の出来事で留学が悲しい記憶になってしまうのではと心配しておりましたが、楽しいものと考えていただけているなら安心です。
「統計局の課題も手品の練習も楽しいんですけど、魔法に関してもっと勉強したいんです」
「魔法ですか」
「はい、さっきのショーも凄いし、模擬戦で負けたのもそうだし。父上に頼んで今度はリュンヌに行ってみたいんです」
「あの、帝国にですか」
確かにリュンヌ帝国は術を学ぶには良い環境かもしれませんが……
「魔法の国だそうですね、魔法使いが何人もいるとか! あの白い局長みたいな人が何人もいるなんて!」
「それならヴァローナはいかがですか? 先程のショーの手品師はヴァローナの筆頭術士ですよ」
「そ、そんな偉い人には会えませんよ」
「ケータ様はマルモワの次期首相で筆頭術士ですよ」
「お、俺が筆頭術士だなんて! まだまだ未熟ですし」
「でしたら、まずは術に関しての学術書をご覧になると良いかと思います」
「そんなものあるんですか?」
「ございますよ。あるいは良い師匠が見つかると良いのでしょうけど、中々出会うのは難しいかもしれませんね」
師匠の弟子に炎の使い手がいらっしゃると聞きましたが、今どちらにいらっしゃるかまでは分かりません。
メル様に術の基礎を教えた方もどこかにいらっしゃるのでしょうけど、詳細は不明です。
ただ、お二人共リュンヌ帝国とは縁がないでしょう。
「師匠かぁ……リュンヌで見つけるのは難しいですか?」
「はい、それならまだ白い局長様に頼んだ方が堅実です」
「なるほど……帰国したら父上に相談してみます」
ケータ様が何かを考え始めた時、ゾフィ様から私に声がかかりました。
「キーノス様、私必ずオランディにまた来ます! なので、その……」
「はい、ぜひいらして下さい」
「待ってて、くださいますか?」
「もちろんです、お待ちしております」
ゾフィ様の顔がとても明るい物になります。
「俺も暇が出来たら今度は旅行で来ます、その時はお邪魔します」
「はい、楽しみにしております」
お二人がどういうやりとりをなさったのか分かりませんが、再会の約束をいただきました。
今夜のマスカレードも終わりに近づいています。
明日の早い時刻に彼らはオランディから去りますので、そろそろイザッコの家へ送るのが良さそうです。
次に彼らに会えるのがいつになるかは分かりませんが、帰路が安全である事をお祈りいたします。
眩い稲光が数本地面へ落ち、その筋がカラスへと変わります。
そのカラス達は手品師を包み込み、一瞬の閃光と共にその場から姿を消しました。
……すごく、派手です。
海面ギリギリの位置が足場になるように特設された舞台の上で、半刻ほど師匠は自身の術をふんだんに駆使したショーを披露なさいました。
私は視線誘導に花を一輪出すのに対して、師匠は巨大な稲妻を落とします。
空中にいくつもの光る花を生み出し、それらを乱舞させながら宙を舞い……
私は二度とマーゴ・フィオリトゥーラはやらないと心に誓いました。
誓ったものの、ケータ様の瞳の輝きを見ると私の気遣いなどロウソクの灯火程の効果しかなかったように見えて悔しく思います。
この感覚は久しぶりです。
「ケータ様、ご満足いただけたようですね」
「俺、あんな人の弟子と模擬戦したんですね! マルモワに帰ったら自慢できます!」
「しないで下さい、首相がかなり呆れてましたよ」
「しかし、見ただろ? 今のショー……いや術! あの人の弟子だぞ!」
「やめてください、恥ずかしいです」
「ゾフィまで……」
「ショーをご覧になった事だけなら問題ないかと思いますよ」
「ですよね、憧れるなぁ……俺もなれるかなぁ……」
恍惚とした表情で師匠のいない海の方を見ております。
それでいてご姉弟のお二人は苦い顔をしております。
私はここに来る途中に買った薬草の味の強いジンを飲んでおります。
ケータ様の術でグラスの中に氷を作っていただき、美味しくいただいております。
雰囲気が明るくなったからか、ケータ様がご姉弟に質問をなさいました。
「ルトの事、二人は知ってたのか?」
「私は知りませんでした」
「いや来る前から言ってただろ、少しはルトに興味持ってあげなよ……」
「辞めるなら勝手にすればいい」
「そうだけどさ、留学中にこんな事してオランディとの関係も悪くなるかもしれないだろ?」
「私には関係ない」
「あるよ、ケータさんからも何か言ってください」
「姉弟は仲良くすべきだな」
「そういう事でもなくてですね」
この三名の会話を拝見した事はありませんでしたが、ギュンター様の苦労が垣間見えます。
今まではここにあの長髪の彼がいたのかと思うと、ギュンター様が店に一人でよくいらしていた理由も分かる気がします。
「オランディの事でしたら大丈夫かと思います、国としては関係がある内容ではありませんし」
オランディのお国柄とでも言いますか、今回の件を報告した所で大きく問題にはしないかと思います。
今回の亡命より先日師匠が小隊を退けた件の方が遥かに問題ですが、結局何事もなく留学を終えています。
ビャンコ様が何度も仰ってましたが、結局「よそでやれ」という話です。
「キーノス様は慈愛に満ちたお方なのですね」
そういう事ではありませんが、訂正をしなくても別に良いでしょう。
「俺は色々知らなすぎたな……」
「そう言えばケータさん、サラマンダーは良かったんですか?」
「元々力比べにしか考えてない」
「それで留学したんですから、本当に良かったんですか?」
「別に良い、あの白い局長にも謝ったし」
「それなら良いですが」
ケータ様がショーの前のような悲しそうな表情をなさっています。
彼にとって今回の留学は悲しい事が多かったのでしょう。
話題を変えて差しあげた方が彼には良いかもしれません。
幸い共通の話題もございます。
「ケータ様、手品の練習は順調ですか?」
「はい、少しは覚えたんですよ」
「良ければ見せていただけませんか?」
「今はトランプを持ってなくて……」
「カードの物を学んでいらっしゃるのですね」
「コインのもやってみたいんですけど、難しくて」
「そうかもしれませんね」
「キーノスさんは何かできたりしますか?」
「簡単な物でしたら」
私は財布から小銭を取り出し、指の背の上で移動させます。
「おぉ……」
「練習は必要ですし手品でもありませんが」
「コインも良いですね……」
少し明るくなられたのを見て、少しだけ贅沢なお願いをしてみたくなりました。
「本日で最後との事ですが、またオランディにいらした際に手品の腕前を拝見させて下さると嬉しいです」
「えぇ、もちろん!」
ケータ様の表情に明るさが戻りました。
この留学が長髪の彼のせいで悲しい思い出になってしまわない事を願います。
「ケータさん、今日ずっと気になってたのですけど、どうしてキーノス様と仲が良いのですか? ルトも前から知ってたみたいだし」
私達のやりとりを聞いていたゾフィ様がケータ様に質問をなさいます。
仲が良いかと言われるとそこまでではないかと思いますが、私が一方的に構いたい方ではあります。
「前に雨が降った日にネストレさんから飲みに誘われただろ? あの時にキーノスさんのお店に行ったんだ」
「えっ」
「手品の本のことを教えてもらったりカレーを作ってもらったりして。本当にありがとうございます!」
「喜んでいただけて本当に嬉しく思います」
「俺とルトは留学中何度も飲みに行ったし、前に誘ったでしょ」
「飲みって、キーノス様のお仕事ってお酒に関する事なの?」
「私は『モウカハナ』というバーのバリスタです」
てっきりご存知かと思っておりましたし、鼻が良い彼女なら店の場所も知っていたはずです。
「……あの地下へ続く階段はお薬屋さんかと思ってました」
「俺言ってなかったっけ?」
「言ってない」
「夜に出て飲んで帰ってきてたんだし、気付いてると思ってた」
「待って、ここに来た頃よく出掛けてたのってキーノス様のお店だったの?」
「あ、ハッキリは言ってなかったかも」
「団長さんがよくキーノスさんの話してたし、バリスタって言ってただろ?」
「同じ方だとは思ってませんでした、キーノス様からはお酒ではなくハーブの香りがしてますから」
「うーん、確かにモウカハナはいいニオイがしてたし、カレーと麦茶は美味しいし」
「二人して……」
確かに階段横の看板には店名を書いていますが、「バー」の文字は控えめかもしれません。
しかし薬屋と思われていたのは意外でした。
「ギュンター許さない……」
「なんで、誘ったでしょ?」
「お薬屋さんだと思ったのよ」
「いや、飲みにも誘ったよね?」
「キーノス様のお店とは言ってないじゃない」
「言ってないけど、団長殿がよく話すバリスタのキーノスさんのお店に行く話はしてただろ?」
「私はお薬屋さんのキーノス様を探してたのよ、分かるわけがないでしょう」
「そんな無茶な、来なかったのは姉さんだろ」
そのまま姉弟喧嘩を始めてしまわれたようです。
止める方法も特に思いつきませんので、私はケータ様の方に気をかけます。
「姉弟は仲良く、だな」
「ケータ様にはお兄様がいらっしゃるそうですね」
「はい。すごく良い兄で、周りが色々言いますが仲良くしてくれてます」
「良いお兄様ですね」
「今は難しいかもしれませんが、俺は兄に首相になってもらうように父上を説得するつもりです」
「良いのですか?」
「はい! 今回留学してもっと色々勉強したいと思ったんです。本当の両親から逃げることが出来て、魔法を褒められて、権力持って。そのお陰で留学に来れて、今人生で一番楽しいんです!」
「それは何よりです」
先程の出来事で留学が悲しい記憶になってしまうのではと心配しておりましたが、楽しいものと考えていただけているなら安心です。
「統計局の課題も手品の練習も楽しいんですけど、魔法に関してもっと勉強したいんです」
「魔法ですか」
「はい、さっきのショーも凄いし、模擬戦で負けたのもそうだし。父上に頼んで今度はリュンヌに行ってみたいんです」
「あの、帝国にですか」
確かにリュンヌ帝国は術を学ぶには良い環境かもしれませんが……
「魔法の国だそうですね、魔法使いが何人もいるとか! あの白い局長みたいな人が何人もいるなんて!」
「それならヴァローナはいかがですか? 先程のショーの手品師はヴァローナの筆頭術士ですよ」
「そ、そんな偉い人には会えませんよ」
「ケータ様はマルモワの次期首相で筆頭術士ですよ」
「お、俺が筆頭術士だなんて! まだまだ未熟ですし」
「でしたら、まずは術に関しての学術書をご覧になると良いかと思います」
「そんなものあるんですか?」
「ございますよ。あるいは良い師匠が見つかると良いのでしょうけど、中々出会うのは難しいかもしれませんね」
師匠の弟子に炎の使い手がいらっしゃると聞きましたが、今どちらにいらっしゃるかまでは分かりません。
メル様に術の基礎を教えた方もどこかにいらっしゃるのでしょうけど、詳細は不明です。
ただ、お二人共リュンヌ帝国とは縁がないでしょう。
「師匠かぁ……リュンヌで見つけるのは難しいですか?」
「はい、それならまだ白い局長様に頼んだ方が堅実です」
「なるほど……帰国したら父上に相談してみます」
ケータ様が何かを考え始めた時、ゾフィ様から私に声がかかりました。
「キーノス様、私必ずオランディにまた来ます! なので、その……」
「はい、ぜひいらして下さい」
「待ってて、くださいますか?」
「もちろんです、お待ちしております」
ゾフィ様の顔がとても明るい物になります。
「俺も暇が出来たら今度は旅行で来ます、その時はお邪魔します」
「はい、楽しみにしております」
お二人がどういうやりとりをなさったのか分かりませんが、再会の約束をいただきました。
今夜のマスカレードも終わりに近づいています。
明日の早い時刻に彼らはオランディから去りますので、そろそろイザッコの家へ送るのが良さそうです。
次に彼らに会えるのがいつになるかは分かりませんが、帰路が安全である事をお祈りいたします。
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