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4章 マリーゴールドガーデンでいつまでも

3.来訪時の事

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「ところでこの件に関して、シェラーナ様とエドワール様にも伝えさせてもらうが良いか?」

「はい、問題ないです」


 お出かけは二人でだけど、この二人には報告しなければいけない訳があるとヒースクリフさんは言う。


「先んじて伝えておかないと、シェラーナ様は慌てて市井に飛び出してきてパレードのような有様になりかねない」

「わぁ」


 きっとご本人はちゃんと冷静に、場を弁えて行動できるとは思うけど……
 市井に飛び出して部下を引き摺り回しながら嬉しそうに駆け寄ってくるシェラーナ様は、簡単に想像できてしまうから困る。

 知っての通り激情家で、特に嬉しい方向に気持ちが動くと突拍子もない行動に移る事が多いと……
 私があちらに来て嬉しく思ってくれるのは、こちらとしても幸せだろうけど、恐らく市民や部下の方々の肝が冷えっぱなしだ。
 最悪はお出かけどころの騒ぎではなくなってしまう……

 また、先んじて言っておけば、護衛面で融通を利かせてもらえる場合もありそうで、そう言った意味でも伝えておきたいとの事。


「エドワール様に関しては、安全確保のためと……イオリが来る時は報告してくれと命令があったんだ」


 別の世界から客人が来ている事を把握しておきたい。一応【別の国】から来ている訳だし、特に何か手続きが必要などはないけど、何か問題が起きた時速やかに対処できるように、マンションの来訪者表程度の軽い入国管理をしておきたいという理由らしい。


「確かに、一応は異邦人になりますよね私……」

「まぁそんなところだ。
 別の世界とのやり取りは王城の一部の者の話だけで済んでいるから、あまり公にはしたくないんだ」


 海外ではなく、次元を隔てた別の世界かつ、極一部の人がお庭とその周囲少ししか利用しないという関係上、入国管理施設やその類の手続きというようなものがない。
 それこそ日本の存在を知った他人が、外交的なやり取りに有用性を見出してしまった時が面倒だと……
 そういう事になって、自分たちの秘密の憩いの場を壊されないように、念のため……というのが一番の理由だという。


「わかりました」


 確かにお茶会が出来なくなったり、折角交友関係ができたシェラーナ姫様やヘクターさんたち、それにヒースクリフさんと簡単に会えなくなるのは嫌だ。
 素直にお伝えしてもらって、何かあった時の力になってもらおう。


「来週に向けて、気をつけなきゃいけない文化だったり、マナーだったりあれば教えて頂けますか?」


 私の方も、無意識のうちに何か問題を起こさないようにしておきたい。
 最低限でも相手側の文化に敬意を払い、守れるようには準備をしておこうと思う。


「勿論、よろこんで」


 ヒースクリフさんは笑顔で頷いてくれて、今日のお茶会の話題は同じようでちょっと違う、あちらの世界のお話になっていった。
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