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4章:ブルーフラワーズ
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「は、早くないですか⁉」
「これなら生花であり、染めていないという条件が満たせるかも」
幸人は魔道具の山々に半分埋もれていた今理を引っ張り出し、持ってきた本『ズーズー・ア・ゴーゴーの贋作』を見せた。
「……あり、かも」
目が覚めたような顔で、今理は本を受け取った。
この魔道具で書かれた物は、仮初ながら命を吹き込まれる。
瑞々しい生花の青いバラを作りたいと願いながら描き込んだのなら、きっとその通りのものになる。
ベリルが作った贋作の魔道具ではあるものの、効果は実証済みだ。
本物の花ではないが、確かに生きた花が出来上がる。ルールの穴をつけるかもしれない。
「……え、でも何で力の正位置? で、これを見つけられたんですか?」
「カードの意味というよりは、絵柄のライオンが後から引いたカードの意味にはまった感じです」
「あ、あー……なるほど、なるほど……⁉」
絵柄かぁ、盲点だったぁと、今理はしみじみ呟いた。私は視野狭窄になりやすいなぁとも内省していた。
他の結果が大体カードの意味から読み取れたのもあり、気付けたのは本当に偶然だったと幸人は一応フォローする。
「今理さんの印象に残っている内の一つが猫だったという感じですかね?」
「確かに……そうかもです。
柔軟な発想力、流石、素晴らしいです」
「猿投山先生のご教育の賜物かもしれません」
「あの人が教えてくれるのは、近所の美味しいお菓子屋さんと仕事のさぼり方だけかと」
「辛辣ですね」
気を許しているからこその辛辣さに、幸人は微笑んだ。
「あ、でも、絵の具とか色鉛筆とかあったかな……?」
軽い気付きから、今理の顔がどんどん青ざめてくる。
商店街の店終いは早い。今どれだけ全力で走っても文房具屋や画材屋は閉まってしまう。
電話で今から向かうから待っていてなど、融通が利く相手でもない。
コンビニで買えるとしても赤ペンやボールペンが良いところだろう。
「大丈夫です」
そんな今理の不安を取っ払うように自信に満ちた声色で、幸人は自分の鞄の中を漁り始めた。
仕事で使うのでどの鞄にも仕込んであるものだと、取り出したものは、
「これさえあれば十分。写実的に描けます」
シャーペンと5色の好きなインクを装填できるマルチカラーボールペンだった。
「これなら生花であり、染めていないという条件が満たせるかも」
幸人は魔道具の山々に半分埋もれていた今理を引っ張り出し、持ってきた本『ズーズー・ア・ゴーゴーの贋作』を見せた。
「……あり、かも」
目が覚めたような顔で、今理は本を受け取った。
この魔道具で書かれた物は、仮初ながら命を吹き込まれる。
瑞々しい生花の青いバラを作りたいと願いながら描き込んだのなら、きっとその通りのものになる。
ベリルが作った贋作の魔道具ではあるものの、効果は実証済みだ。
本物の花ではないが、確かに生きた花が出来上がる。ルールの穴をつけるかもしれない。
「……え、でも何で力の正位置? で、これを見つけられたんですか?」
「カードの意味というよりは、絵柄のライオンが後から引いたカードの意味にはまった感じです」
「あ、あー……なるほど、なるほど……⁉」
絵柄かぁ、盲点だったぁと、今理はしみじみ呟いた。私は視野狭窄になりやすいなぁとも内省していた。
他の結果が大体カードの意味から読み取れたのもあり、気付けたのは本当に偶然だったと幸人は一応フォローする。
「今理さんの印象に残っている内の一つが猫だったという感じですかね?」
「確かに……そうかもです。
柔軟な発想力、流石、素晴らしいです」
「猿投山先生のご教育の賜物かもしれません」
「あの人が教えてくれるのは、近所の美味しいお菓子屋さんと仕事のさぼり方だけかと」
「辛辣ですね」
気を許しているからこその辛辣さに、幸人は微笑んだ。
「あ、でも、絵の具とか色鉛筆とかあったかな……?」
軽い気付きから、今理の顔がどんどん青ざめてくる。
商店街の店終いは早い。今どれだけ全力で走っても文房具屋や画材屋は閉まってしまう。
電話で今から向かうから待っていてなど、融通が利く相手でもない。
コンビニで買えるとしても赤ペンやボールペンが良いところだろう。
「大丈夫です」
そんな今理の不安を取っ払うように自信に満ちた声色で、幸人は自分の鞄の中を漁り始めた。
仕事で使うのでどの鞄にも仕込んであるものだと、取り出したものは、
「これさえあれば十分。写実的に描けます」
シャーペンと5色の好きなインクを装填できるマルチカラーボールペンだった。
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