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2章:ズーズー・ア・ゴーゴー
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「だから本業が閑古鳥鳴き散らかしてても続けられてるのさ」
「と、言う感じで危ないので、締め切りが本当に危なくて読者と担当の信頼を裏切りそうな猿投山さんのご依頼も受けざるを得ないと」
「喧嘩しないでください……」
常連同士のじゃれ合いの範囲内だとは思うが、にらみ合っている二人を幸人はなだめた。
「まぁまぁ、さっさと中身みてくれないかい?」
さっさと終わらせて、さっさと帰って頂こう。
今理が風呂敷を取り払うと、オーロラのような光沢の表紙が見えた。
薄い産毛が生えていて、とても柔らかな手触りだ。
ユニコーンの革が貼ってあると言われても信じてしまいそうな不思議な表紙。中身は白紙で、何も書かれていない。自由帳のようだ。
表題部分には小さく【ZOO ZOO A GO GO】と書かれており、
「も、もしかして、これって……」
「リトルジョン・ストーンフィールドのズーズー・ア・ゴーゴー」
「やっぱり⁉ す、すごい……!」
記憶が正しければ、これはとてつもなくすごい物だ。
今理は思わず戦慄いてしまうが、
「の、贋作」
「……そうですか」
一瞬で鎮まった。テンションの乱高下が凄まじい。
ニヤつく猿投山をスンとした顔で睨みつけた後、何が何だかわからない様子の幸人へ説明する事で気持ちを切り替える事にした。
「どこから説明しましょうか……まず、ストーンフィールド氏ですかね。
有名な魔道具クラフターです。
いわゆるパーティゲームとか、ボードゲームが有名な方です」
魔道具の製作者、クラフターにも有名であったり人気の高い者が勿論存在する。
この辺りは一般人の芸術家たちと一緒と、付け加えた。
「ストーンフィールドの作品はシンプルかつ出来が良いんだわ。
老若男女楽しめて、奥深い。クラフターからもよく憧れの人物って名が挙がる。
ファンが多いが全部手作りだから需要が追い付かない……
んで、贋作がいっぱい出てくるのさ」
現代、一般人感覚で例えるならフェルメールやレンブラントの絵。
そこまでいかずとも、ポロックやバスキア等、現代の有名芸術家の作品。
古典だが今見ても美しく輝いて見える物。
いかにすごいものなのか、錚々たる名前の数々から、幸人はすぐに理解できた。
「魔道具は基本手作り一点ものでして……
本物だったらそりゃもうオークションで億行くくらいの価値があります」
「そ、そんなに……」
「猿投山さんならワンチャン持ってるかもーって思ったのに」
「悪かったね」
猿投山も魔道具の蒐集家なんだろうか。
幸人が会話の隙間を縫って尋ねようとしたところで、
「で、その贋作の作者は、アタシのツレ。
ベリル・ナインバリー作」
本人から答えのとっかかりが提示された。
「と、言う感じで危ないので、締め切りが本当に危なくて読者と担当の信頼を裏切りそうな猿投山さんのご依頼も受けざるを得ないと」
「喧嘩しないでください……」
常連同士のじゃれ合いの範囲内だとは思うが、にらみ合っている二人を幸人はなだめた。
「まぁまぁ、さっさと中身みてくれないかい?」
さっさと終わらせて、さっさと帰って頂こう。
今理が風呂敷を取り払うと、オーロラのような光沢の表紙が見えた。
薄い産毛が生えていて、とても柔らかな手触りだ。
ユニコーンの革が貼ってあると言われても信じてしまいそうな不思議な表紙。中身は白紙で、何も書かれていない。自由帳のようだ。
表題部分には小さく【ZOO ZOO A GO GO】と書かれており、
「も、もしかして、これって……」
「リトルジョン・ストーンフィールドのズーズー・ア・ゴーゴー」
「やっぱり⁉ す、すごい……!」
記憶が正しければ、これはとてつもなくすごい物だ。
今理は思わず戦慄いてしまうが、
「の、贋作」
「……そうですか」
一瞬で鎮まった。テンションの乱高下が凄まじい。
ニヤつく猿投山をスンとした顔で睨みつけた後、何が何だかわからない様子の幸人へ説明する事で気持ちを切り替える事にした。
「どこから説明しましょうか……まず、ストーンフィールド氏ですかね。
有名な魔道具クラフターです。
いわゆるパーティゲームとか、ボードゲームが有名な方です」
魔道具の製作者、クラフターにも有名であったり人気の高い者が勿論存在する。
この辺りは一般人の芸術家たちと一緒と、付け加えた。
「ストーンフィールドの作品はシンプルかつ出来が良いんだわ。
老若男女楽しめて、奥深い。クラフターからもよく憧れの人物って名が挙がる。
ファンが多いが全部手作りだから需要が追い付かない……
んで、贋作がいっぱい出てくるのさ」
現代、一般人感覚で例えるならフェルメールやレンブラントの絵。
そこまでいかずとも、ポロックやバスキア等、現代の有名芸術家の作品。
古典だが今見ても美しく輝いて見える物。
いかにすごいものなのか、錚々たる名前の数々から、幸人はすぐに理解できた。
「魔道具は基本手作り一点ものでして……
本物だったらそりゃもうオークションで億行くくらいの価値があります」
「そ、そんなに……」
「猿投山さんならワンチャン持ってるかもーって思ったのに」
「悪かったね」
猿投山も魔道具の蒐集家なんだろうか。
幸人が会話の隙間を縫って尋ねようとしたところで、
「で、その贋作の作者は、アタシのツレ。
ベリル・ナインバリー作」
本人から答えのとっかかりが提示された。
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