15 / 59
2章:ズーズー・ア・ゴーゴー
2
しおりを挟む
「で、今日は何かいい暇つぶしあるかい?」
「それはいいんですけど、猿投山さん、原稿は……?」
今理は神妙な顔で聞き返した。
昨日もここに訪れた猿投山は、すごく困った顔をしていたと思う。
締め切り。だけど一向に終わる気配がない。延々嘆いて、非常にうるさかった記憶も強い。
(それなりに売れっ子だし、今度作品のドラマ化の話もあったんじゃ……?
というか自慢してたよね?)
昨日鼻高々に渡して来た雑誌の中には【次回ドラマ化記念ストーリー掲載!】の文字が躍っていたような気がする。
今さっきまで読んでいた雑誌がそれだ。
ちらりと読み返せば確かに【次回ドラマ化記念ストーリー掲載!】と、デカデカ書いてある。
「締め切りまでにゃ終わるよ」
猿投山はどこ吹く風。だが、絶妙に目が合わない。
「幸人さん。締め切りは……」
「明日です」
ついでに言うと、明後日にももう一個締め切りがあります。
非常に苦々しい顔で幸人が言うもので、今理はジト目で猿投山を見つめてしまった。
さすがにバツが悪くなってきたらしい猿投山は、背中を丸めて隠れるようにケーキを食べ始めている。
更に続けて幸人に目配せすると、彼は腕でバツのジェスチャーをした。
「はい、ケーキ食べたら原稿やりましょうね」
「やだー! 大人の楽しみを奪うんじゃないよぉ!」
「幸人さん強制送還。
ここだと喋って手がつかないと思うので」
「はい。
読者が待ってますので、がんばりましょう!
先生の早筆が唸ればすぐ終わりますから」
「やだーっ! ノるためには遊びが必要なんだ!
暇つぶししたーい! やだーっ!!」
黙っていればかっこいい和服の壮年男性が、物凄い勢いで駄々をこねている。
祖父が店長時代から見慣れた光景ではあるが、みっともない。
担当さんを困らせるもんじゃないと、今理は思った。
「それはいいんですけど、猿投山さん、原稿は……?」
今理は神妙な顔で聞き返した。
昨日もここに訪れた猿投山は、すごく困った顔をしていたと思う。
締め切り。だけど一向に終わる気配がない。延々嘆いて、非常にうるさかった記憶も強い。
(それなりに売れっ子だし、今度作品のドラマ化の話もあったんじゃ……?
というか自慢してたよね?)
昨日鼻高々に渡して来た雑誌の中には【次回ドラマ化記念ストーリー掲載!】の文字が躍っていたような気がする。
今さっきまで読んでいた雑誌がそれだ。
ちらりと読み返せば確かに【次回ドラマ化記念ストーリー掲載!】と、デカデカ書いてある。
「締め切りまでにゃ終わるよ」
猿投山はどこ吹く風。だが、絶妙に目が合わない。
「幸人さん。締め切りは……」
「明日です」
ついでに言うと、明後日にももう一個締め切りがあります。
非常に苦々しい顔で幸人が言うもので、今理はジト目で猿投山を見つめてしまった。
さすがにバツが悪くなってきたらしい猿投山は、背中を丸めて隠れるようにケーキを食べ始めている。
更に続けて幸人に目配せすると、彼は腕でバツのジェスチャーをした。
「はい、ケーキ食べたら原稿やりましょうね」
「やだー! 大人の楽しみを奪うんじゃないよぉ!」
「幸人さん強制送還。
ここだと喋って手がつかないと思うので」
「はい。
読者が待ってますので、がんばりましょう!
先生の早筆が唸ればすぐ終わりますから」
「やだーっ! ノるためには遊びが必要なんだ!
暇つぶししたーい! やだーっ!!」
黙っていればかっこいい和服の壮年男性が、物凄い勢いで駄々をこねている。
祖父が店長時代から見慣れた光景ではあるが、みっともない。
担当さんを困らせるもんじゃないと、今理は思った。
0
お気に入りに追加
3
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる