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真奈の追想 同窓会と元彼
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私、七尾 真奈は同窓会で懐かしい顔と再会していた。
同じクラスだった子や、昔イケメンと呼ばれていたクラスメイト、そして元彼と結婚した元クラスメイトなど15年ぶりに合わす顔ぶれはそれぞれにいいおじさん、おばさんになっていた。
顔つきはあの日のまま年だけ取った変わらない顔ぶれに懐かしさを覚えていた。
ただ、2人の顔だけが見当たらなかった。
それは元彼、田島 春樹とその親友、佐川 秋樹くんの顔だけだった。
嫁は来ているのに、旦那が来ていない事は気になったが、過去の遺恨が残っているから私から聞くわけにもいかないから他のクラスメイトと談笑する。
すると、日浦さんのところに一人のクラスメイトが近づいていくのが見える。
「日浦さーん!!じゃなかった、田島さん、元気ー!!久しぶり~!!」
「ほんと、久しぶり~!!元気だった?」
「元気、元気!!元気すぎていつ旦那を追い出そうか悩んでるところよ~」
笑いながら冗談を飛ばすクラスメイトに苦笑いする日浦さんの会話に私は片耳をすませる。
「そぉいえばぁ、田島くん来てないの?佐川くんの姿も見えないけどー」
酔っぱらったクラスメイトが私の聞きたかった事を聞く。
すると、会場内の空気が変わる。
しんと静まり返った会場内に「えっ、えっ?」と確信をついたクラスメイトが戸惑っている。
中には事情を知ったものもいるのか「あの馬鹿~」と、小声が聞こえる。
「…秋は今日は試合してるから来れないって残念がってたよ。春樹は…もういないわ…」
その言葉に質問をしたクラスメイトだけでなく、事情を知らされていない連中が、驚いた。
私もその言葉に驚きを隠せなかった。
「それってどう言うこと!!」
日浦さんのそばへと早足で行くと肩をつかんで叫んでいた。
「痛っ」
顔を見ると、日浦さんが苦痛の表情を浮かべる。
「ねぇ、四季!!どう言う事!!春…田島くんがもういないって!!ねぇ!!」
私の行動にクラスメイトは騒然となる。
そして、一人のクラスメイトに私は肩を掴まれた。
「田島は…去年に亡くなったんだ!!」
「えっ、うそ!?」
その言葉に私はおろか、クラス中が静まり返る。日浦さんも…顔を逸らして、涙を堪えている。
「嘘。嘘よね、四季…」
と言うと、日浦さんは首を振る。
それを目にした瞬間、田島くん…いや、春くんとの思い出がフラッシュバックしてきた。
…少なくとも私の初めての彼氏で、私の行動で傷つけてしまい、今日会ったら謝ろうと思っていた相手が既にこの世にいない。
それを知った私は堰を切ったように涙が溢れてきた。それを見たクラス中が悲しみに包まれていたが、日浦さんだけが…涙を見せなかった。
※
「田島くん。私…、君のことか好きになっちゃった。私と…付き合わない?」
ある日の放課後、私は田島くんと2人クラスで任された仕事をしていた。
本来なら彼はサッカー部のエースで既に部活に行っている時間で普段はいない。
私は千載一遇のチャンスと半分本気、半分冗談で言った。
するとしばらく間を開けて彼は口を開く。
「…いいよ」
「はいはい、だめね。いいわけないよ…ぬうぇえぇぇぇっ!?」
私はきっとダメだろうとあきらめていた答えと反対の言葉が帰ってきた事に驚きを隠せず、変な声を上げてしまった。
「い、いいの?いいって言った!?」
私は自分の耳を疑った。
クラスメイトとしては四季の存在もあり、比較的仲良くしてもらっている方だったし、話もよくした。
それに、四季と比べても遜色ない可愛いさを持っていると自尊していた。…が、私に彼が靡くとは思っていなかった。
「いいよ、付き合おうか…」
だが、彼はいいと言った。その答えに私は驚きを隠せず、また嬉しさもあり…調子に乗った。
女っけの無さで有名な人で、噂の範疇でしかないがサッカーの日本代表になるかもしれないとクラス中が噂をしていたし、背が高くてそこそこかっこいい彼を彼氏にできると思うとワクワクした。
だが、反対に友達の四季にどういう顔で向き合っていけばいいかわかなくなった。彼女が…田島くんを好きなことは本人から聞いていた。
だが、彼は私を選んでくれた。
その事実に嘘はなく…逃げることはないと翌日から私は彼のそばに行った。
それだけで幸せだと思っていた。
だけど…サッカー部で日本代表を目指す彼にとって、私より練習を優先した。
もちろんデートなんて甘いものはおろか、制服デートや、朝練で早めに眠り早く起きて学校へ行く彼と時間が合うことは少ない。できるのはせいぜい昼休みにお弁当を一緒に食べることくらいだった。
四季からも距離を置かれてしまい、罪悪感だけが募る。そんな時、私はある人から告白をされ、心が揺らぐ。
そして、日本代表に招集された彼を見送る前日、私は一大決心をする。
抱いて欲しい、そう思い彼に迫った…。
だが、彼はそれを拒んだのだ。
彼が大事にしたかったのは私じゃない、サッカーだ…。そう思った瞬間私は糸が切れるように心から彼への愛情が消えた。
そして、告白をしてきた男性…元旦那と付き合う事にした。
彼が代表合宿で怪我をしたと聞いたが、私はお見舞いに行く事もなく、学校に戻ってきても顔を合わせなかった。
その時の彼の顔は別人で、付き合っていたと錯覚していた時とはまるで違っていた。だけど、その原因を作ったのは私なのかもしれないと思うと、少し胸が痛んだ。
それ以来、私は田島くんと四季とは話すことはなくなり、高校を卒業。
専門学校卒業を機に元旦那と結婚をし、菜々を産んだ。
若い2人には3人が食べていくのがやっとで、ストレスが溜まり喧嘩を機に離婚し、今に至る。
今では、あの頃は…若かったと後悔をしている。
春樹君に対してもそうだ。今さらどうこうなりたいとは思っていないけど、過去の遺恨だけは拭い去りたかった。
だが、彼はもういない。拭い去りたかったものは一生消える事はなく…私に後悔を背負って生きろと神様が言っているように聞こえた。
だから…私は泣いたのだ。
※
同窓会が終わり、2次会もあるというが、私はそんな気にはならず菜々の待つ菜々の友人の家へと向かう。
同じ電車に四季が…乗っていたから私は彼女に過去に行った愚行を謝った。
彼女は彼じゃない。だけど、彼女も私が傷つけてしまった人の1人だ。
すると四季は鼻で笑う。
「私は…あなたが春樹と別れてくれて感謝しているわ。だって今まで…いえ、今でもわたしを幸せにしてくれるんだもの…」
と、彼女なりの強がりが見て取れた。
「ねぇ、私って狡いよね…。あの時、あなたが春樹と別れる事をずっと望んでいたんだ。別れた時は本当に…嬉しかった」
彼女から今まで堪えていた涙が溢れる。
「ううん、ずるくない。四季はずるくないよ…」
私達は15年ぶりに抱き合った。
過去を精算するかのように、抱き合った。
「ねぇ…、今でも春樹に謝りたい…」
「うん…謝りたい。謝って先へ進みたかった」
「そっか…、なら連絡先を教えて…。あなたに…任せたい事もあるから…」
四季は鞄からスマホを取り出す。
「任せたい事…?」
私が聞き返すと、彼女はうんと頷いただけで、黙ってラインの交換を済ませていた。
連絡先を交換すると私達は無言のまま、電車に乗り学園前駅にたどり着く。
改札の前には愛娘の菜々と、その友人の白髪の女の子が立っていた。
私が菜々と合流するのと入れ替わりで四季は白髪の女の子のところへ行く。すると四季が彼女のほっぺたをつねるのが見える。どうやら…知り合いのようだった。
私は菜々と一緒に家路を急ぐ。
その道中、四季の言っていた任せたい事というのが気になったが、不意に菜々が声をかけてくる。
「お母さん。私頑張るからね…」
彼女の表情からは何かを決意した様に見え、私は「うん」と、愛娘の頭を抱きながら家に帰った。
同じクラスだった子や、昔イケメンと呼ばれていたクラスメイト、そして元彼と結婚した元クラスメイトなど15年ぶりに合わす顔ぶれはそれぞれにいいおじさん、おばさんになっていた。
顔つきはあの日のまま年だけ取った変わらない顔ぶれに懐かしさを覚えていた。
ただ、2人の顔だけが見当たらなかった。
それは元彼、田島 春樹とその親友、佐川 秋樹くんの顔だけだった。
嫁は来ているのに、旦那が来ていない事は気になったが、過去の遺恨が残っているから私から聞くわけにもいかないから他のクラスメイトと談笑する。
すると、日浦さんのところに一人のクラスメイトが近づいていくのが見える。
「日浦さーん!!じゃなかった、田島さん、元気ー!!久しぶり~!!」
「ほんと、久しぶり~!!元気だった?」
「元気、元気!!元気すぎていつ旦那を追い出そうか悩んでるところよ~」
笑いながら冗談を飛ばすクラスメイトに苦笑いする日浦さんの会話に私は片耳をすませる。
「そぉいえばぁ、田島くん来てないの?佐川くんの姿も見えないけどー」
酔っぱらったクラスメイトが私の聞きたかった事を聞く。
すると、会場内の空気が変わる。
しんと静まり返った会場内に「えっ、えっ?」と確信をついたクラスメイトが戸惑っている。
中には事情を知ったものもいるのか「あの馬鹿~」と、小声が聞こえる。
「…秋は今日は試合してるから来れないって残念がってたよ。春樹は…もういないわ…」
その言葉に質問をしたクラスメイトだけでなく、事情を知らされていない連中が、驚いた。
私もその言葉に驚きを隠せなかった。
「それってどう言うこと!!」
日浦さんのそばへと早足で行くと肩をつかんで叫んでいた。
「痛っ」
顔を見ると、日浦さんが苦痛の表情を浮かべる。
「ねぇ、四季!!どう言う事!!春…田島くんがもういないって!!ねぇ!!」
私の行動にクラスメイトは騒然となる。
そして、一人のクラスメイトに私は肩を掴まれた。
「田島は…去年に亡くなったんだ!!」
「えっ、うそ!?」
その言葉に私はおろか、クラス中が静まり返る。日浦さんも…顔を逸らして、涙を堪えている。
「嘘。嘘よね、四季…」
と言うと、日浦さんは首を振る。
それを目にした瞬間、田島くん…いや、春くんとの思い出がフラッシュバックしてきた。
…少なくとも私の初めての彼氏で、私の行動で傷つけてしまい、今日会ったら謝ろうと思っていた相手が既にこの世にいない。
それを知った私は堰を切ったように涙が溢れてきた。それを見たクラス中が悲しみに包まれていたが、日浦さんだけが…涙を見せなかった。
※
「田島くん。私…、君のことか好きになっちゃった。私と…付き合わない?」
ある日の放課後、私は田島くんと2人クラスで任された仕事をしていた。
本来なら彼はサッカー部のエースで既に部活に行っている時間で普段はいない。
私は千載一遇のチャンスと半分本気、半分冗談で言った。
するとしばらく間を開けて彼は口を開く。
「…いいよ」
「はいはい、だめね。いいわけないよ…ぬうぇえぇぇぇっ!?」
私はきっとダメだろうとあきらめていた答えと反対の言葉が帰ってきた事に驚きを隠せず、変な声を上げてしまった。
「い、いいの?いいって言った!?」
私は自分の耳を疑った。
クラスメイトとしては四季の存在もあり、比較的仲良くしてもらっている方だったし、話もよくした。
それに、四季と比べても遜色ない可愛いさを持っていると自尊していた。…が、私に彼が靡くとは思っていなかった。
「いいよ、付き合おうか…」
だが、彼はいいと言った。その答えに私は驚きを隠せず、また嬉しさもあり…調子に乗った。
女っけの無さで有名な人で、噂の範疇でしかないがサッカーの日本代表になるかもしれないとクラス中が噂をしていたし、背が高くてそこそこかっこいい彼を彼氏にできると思うとワクワクした。
だが、反対に友達の四季にどういう顔で向き合っていけばいいかわかなくなった。彼女が…田島くんを好きなことは本人から聞いていた。
だが、彼は私を選んでくれた。
その事実に嘘はなく…逃げることはないと翌日から私は彼のそばに行った。
それだけで幸せだと思っていた。
だけど…サッカー部で日本代表を目指す彼にとって、私より練習を優先した。
もちろんデートなんて甘いものはおろか、制服デートや、朝練で早めに眠り早く起きて学校へ行く彼と時間が合うことは少ない。できるのはせいぜい昼休みにお弁当を一緒に食べることくらいだった。
四季からも距離を置かれてしまい、罪悪感だけが募る。そんな時、私はある人から告白をされ、心が揺らぐ。
そして、日本代表に招集された彼を見送る前日、私は一大決心をする。
抱いて欲しい、そう思い彼に迫った…。
だが、彼はそれを拒んだのだ。
彼が大事にしたかったのは私じゃない、サッカーだ…。そう思った瞬間私は糸が切れるように心から彼への愛情が消えた。
そして、告白をしてきた男性…元旦那と付き合う事にした。
彼が代表合宿で怪我をしたと聞いたが、私はお見舞いに行く事もなく、学校に戻ってきても顔を合わせなかった。
その時の彼の顔は別人で、付き合っていたと錯覚していた時とはまるで違っていた。だけど、その原因を作ったのは私なのかもしれないと思うと、少し胸が痛んだ。
それ以来、私は田島くんと四季とは話すことはなくなり、高校を卒業。
専門学校卒業を機に元旦那と結婚をし、菜々を産んだ。
若い2人には3人が食べていくのがやっとで、ストレスが溜まり喧嘩を機に離婚し、今に至る。
今では、あの頃は…若かったと後悔をしている。
春樹君に対してもそうだ。今さらどうこうなりたいとは思っていないけど、過去の遺恨だけは拭い去りたかった。
だが、彼はもういない。拭い去りたかったものは一生消える事はなく…私に後悔を背負って生きろと神様が言っているように聞こえた。
だから…私は泣いたのだ。
※
同窓会が終わり、2次会もあるというが、私はそんな気にはならず菜々の待つ菜々の友人の家へと向かう。
同じ電車に四季が…乗っていたから私は彼女に過去に行った愚行を謝った。
彼女は彼じゃない。だけど、彼女も私が傷つけてしまった人の1人だ。
すると四季は鼻で笑う。
「私は…あなたが春樹と別れてくれて感謝しているわ。だって今まで…いえ、今でもわたしを幸せにしてくれるんだもの…」
と、彼女なりの強がりが見て取れた。
「ねぇ、私って狡いよね…。あの時、あなたが春樹と別れる事をずっと望んでいたんだ。別れた時は本当に…嬉しかった」
彼女から今まで堪えていた涙が溢れる。
「ううん、ずるくない。四季はずるくないよ…」
私達は15年ぶりに抱き合った。
過去を精算するかのように、抱き合った。
「ねぇ…、今でも春樹に謝りたい…」
「うん…謝りたい。謝って先へ進みたかった」
「そっか…、なら連絡先を教えて…。あなたに…任せたい事もあるから…」
四季は鞄からスマホを取り出す。
「任せたい事…?」
私が聞き返すと、彼女はうんと頷いただけで、黙ってラインの交換を済ませていた。
連絡先を交換すると私達は無言のまま、電車に乗り学園前駅にたどり着く。
改札の前には愛娘の菜々と、その友人の白髪の女の子が立っていた。
私が菜々と合流するのと入れ替わりで四季は白髪の女の子のところへ行く。すると四季が彼女のほっぺたをつねるのが見える。どうやら…知り合いのようだった。
私は菜々と一緒に家路を急ぐ。
その道中、四季の言っていた任せたい事というのが気になったが、不意に菜々が声をかけてくる。
「お母さん。私頑張るからね…」
彼女の表情からは何かを決意した様に見え、私は「うん」と、愛娘の頭を抱きながら家に帰った。
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