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見知らぬ地下階
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その日、中々仕事が片付かず、残業が深夜にまで及んでしまった。
同僚は既にみんな帰っていて、俺は最後に戸締りを確認してオフィスを後にした。
そして、消灯され薄暗いエレベーターホールで待っていると、程無くドアが開いた。
エレベーターの中には見知らぬ男が居た。
深夜と言う事を除けば、別に珍しい事じゃ無い。
オフィスはフロア毎に賃貸契約に成っている。
恐らく、他の会社の人なんだろう。
こんな遅くまで御苦労な事だ。
まあ、俺も人のこと言えた義理じゃ無いが……。
軽く会釈して乗り込む。
ん?
一階のボタンが点灯していない。
変だと思いつつも一階のボタンを押して、閉めるのボタンを押した。
階層表示が下に降りていく。
そして一階に着いた。
だが、おかしい……。
ドアが開かない。
慌てて開くボタンを連打するが、何も起こらない。
再びエレベータが動く感覚。
そして階層表示がB1へと変わった。
やっぱり、おかしい……。
このビルに地下なんて無かった筈だ。
実際、B1のボタンなんて存在しない。
エレベーターのドアが開く。
暗く長い廊下が続いている。
隣に立つ男がエレベーターを降り、暗く続く廊下の向こうへと消えていく。
もしかすると、普段地下は一般人は降りれない様に成っていて、あの男が、特別な操作をして地下に……?
まあ、ともかく、一階へ上がろうと、再び一階のボタンと閉めるボタンを連打。
だが、さっきと同様エレベーターは動かない。
扉も閉まらない。
已む無く呼び出しボタンを押してみたが、まったく反応も無い。
「仕方ない……」
と、諦めて階段を探そうとエレベータを降りようとしたその時。
「おじさんは降りない方が良いよ」
その声に驚いて振り向くと、子供が居た。
バカな!
さっきは居なかったはず。
そもそも、こんな時間に、こんなオフィスビルに子供なんか……不自然だろ。
そう俺がとまどっている隙に、声を掛ける間もなく、少年はエレベーターを降りて廊下の向こうの暗闇に消えていった。
そして、ふいにエレベータのドアが閉まり動き出す。
階層表示は1階に変わる。
今度は問題無くドアが開いた。
「いったい、さっきのは何だったんだ……」
翌日、出社すると、既に出勤していた上司が声を掛けて来た。
「なあ、昨日変な事は無かったか?」
その言葉に一瞬ドキッとしたが、昨日の出来事をどう説明したらいいか分からず、思わずその質問に、質問で返した。
「何か有ったんですか?」
「まあな……実は、深夜飛び降りが有ったみたいなんだ」
「え! このビルでですか?」
「いや、飛び降りが有ったのは、隣のタワーマンションからだったらしいんだが……、どうも風に煽られたかして、このビルの屋上に落ちたらしいんだ」
「そんな事が……気付きませんでした」
どうやら、昨日の出来事とは関係なさそうだな。
「何でも、父親が息子を抱えて飛び降りたらしい」
俺はその日以来、オフィスのエレベーターを使うのをやめた。
-------------------------------------------------------
動画のURLこちら:
https://youtu.be/dH0hejf8AA8
同僚は既にみんな帰っていて、俺は最後に戸締りを確認してオフィスを後にした。
そして、消灯され薄暗いエレベーターホールで待っていると、程無くドアが開いた。
エレベーターの中には見知らぬ男が居た。
深夜と言う事を除けば、別に珍しい事じゃ無い。
オフィスはフロア毎に賃貸契約に成っている。
恐らく、他の会社の人なんだろう。
こんな遅くまで御苦労な事だ。
まあ、俺も人のこと言えた義理じゃ無いが……。
軽く会釈して乗り込む。
ん?
一階のボタンが点灯していない。
変だと思いつつも一階のボタンを押して、閉めるのボタンを押した。
階層表示が下に降りていく。
そして一階に着いた。
だが、おかしい……。
ドアが開かない。
慌てて開くボタンを連打するが、何も起こらない。
再びエレベータが動く感覚。
そして階層表示がB1へと変わった。
やっぱり、おかしい……。
このビルに地下なんて無かった筈だ。
実際、B1のボタンなんて存在しない。
エレベーターのドアが開く。
暗く長い廊下が続いている。
隣に立つ男がエレベーターを降り、暗く続く廊下の向こうへと消えていく。
もしかすると、普段地下は一般人は降りれない様に成っていて、あの男が、特別な操作をして地下に……?
まあ、ともかく、一階へ上がろうと、再び一階のボタンと閉めるボタンを連打。
だが、さっきと同様エレベーターは動かない。
扉も閉まらない。
已む無く呼び出しボタンを押してみたが、まったく反応も無い。
「仕方ない……」
と、諦めて階段を探そうとエレベータを降りようとしたその時。
「おじさんは降りない方が良いよ」
その声に驚いて振り向くと、子供が居た。
バカな!
さっきは居なかったはず。
そもそも、こんな時間に、こんなオフィスビルに子供なんか……不自然だろ。
そう俺がとまどっている隙に、声を掛ける間もなく、少年はエレベーターを降りて廊下の向こうの暗闇に消えていった。
そして、ふいにエレベータのドアが閉まり動き出す。
階層表示は1階に変わる。
今度は問題無くドアが開いた。
「いったい、さっきのは何だったんだ……」
翌日、出社すると、既に出勤していた上司が声を掛けて来た。
「なあ、昨日変な事は無かったか?」
その言葉に一瞬ドキッとしたが、昨日の出来事をどう説明したらいいか分からず、思わずその質問に、質問で返した。
「何か有ったんですか?」
「まあな……実は、深夜飛び降りが有ったみたいなんだ」
「え! このビルでですか?」
「いや、飛び降りが有ったのは、隣のタワーマンションからだったらしいんだが……、どうも風に煽られたかして、このビルの屋上に落ちたらしいんだ」
「そんな事が……気付きませんでした」
どうやら、昨日の出来事とは関係なさそうだな。
「何でも、父親が息子を抱えて飛び降りたらしい」
俺はその日以来、オフィスのエレベーターを使うのをやめた。
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動画のURLこちら:
https://youtu.be/dH0hejf8AA8
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