10 / 10
10
しおりを挟む
「申し訳ありません、どうかお許しを!」
リリーを馬鹿にした男の頭を掴み、無理やり下げ、腰を90度に折り曲げて頭が地面に激突せんばかりの勢いで頭を下げた。
「それで、主都はどうなっている?」
たとえ民が戻ってきて欲しいと願っていても、王族を引きずり下ろした者たちが私を受け入れてくれるかどうか。戻る戻らないのを決めるのは私ではない、民意だ。・・・・・・そして何よりも、リリーの意思だ。
リリーが私の妻でいてくれるなら、私は何にだってなる。
王族として戻るのが嫌だと、慎ましく暮らしていたいと願うならば、私は民意であろうと戻らない。私にとっては、リリーが存在意義そのものなのだ。
「現在、政治のトップが消えたことで混乱が起きております。それで、シデルミ様を探そうと・・・・・・」
「リリー、お前はどうしたい?」
唐突に話を振られたリリーは、首都の人間達の視線を一斉に浴びてビクリと肩を揺らした。
「私のことも、周りのことも一旦置いて、自分の素直な気持ちが聞きたい」
なぜなら、私にとってリリーは全てだからだ。私の意見はリリーの意見となる。同時に、リリーの意見は私の意見だ。
悪いことも良いことも、共に背負っていこう。
「私、シデルミといたい。だけど、困ってる人たちは見逃したくない」
「じゃあ、戻ろうか。主都に」
そして、戻ったあかつきにはリリーを王妃にしよう。
「リリー、準備しよう。一刻も早く混乱を収めないといけないからな」
「シデルミ」
不安そうに耳を伏せ、私の袖を掴み、尻尾がだらんと下がっている。オマケに私に抱きついて来る時は、極度の不安状態になったり、酷く怖がったりする時にするリリーの昔ながらの癖だ。
しかも、こういう時はリリーにとってだいぶストレスがかかっている証拠でもある。この子のためにも、早く終わらせてしまおう。
「大丈夫、君は私が守るから。何も不安がることは無い」
「⋯⋯うん」
リリーを馬鹿にした男の頭を掴み、無理やり下げ、腰を90度に折り曲げて頭が地面に激突せんばかりの勢いで頭を下げた。
「それで、主都はどうなっている?」
たとえ民が戻ってきて欲しいと願っていても、王族を引きずり下ろした者たちが私を受け入れてくれるかどうか。戻る戻らないのを決めるのは私ではない、民意だ。・・・・・・そして何よりも、リリーの意思だ。
リリーが私の妻でいてくれるなら、私は何にだってなる。
王族として戻るのが嫌だと、慎ましく暮らしていたいと願うならば、私は民意であろうと戻らない。私にとっては、リリーが存在意義そのものなのだ。
「現在、政治のトップが消えたことで混乱が起きております。それで、シデルミ様を探そうと・・・・・・」
「リリー、お前はどうしたい?」
唐突に話を振られたリリーは、首都の人間達の視線を一斉に浴びてビクリと肩を揺らした。
「私のことも、周りのことも一旦置いて、自分の素直な気持ちが聞きたい」
なぜなら、私にとってリリーは全てだからだ。私の意見はリリーの意見となる。同時に、リリーの意見は私の意見だ。
悪いことも良いことも、共に背負っていこう。
「私、シデルミといたい。だけど、困ってる人たちは見逃したくない」
「じゃあ、戻ろうか。主都に」
そして、戻ったあかつきにはリリーを王妃にしよう。
「リリー、準備しよう。一刻も早く混乱を収めないといけないからな」
「シデルミ」
不安そうに耳を伏せ、私の袖を掴み、尻尾がだらんと下がっている。オマケに私に抱きついて来る時は、極度の不安状態になったり、酷く怖がったりする時にするリリーの昔ながらの癖だ。
しかも、こういう時はリリーにとってだいぶストレスがかかっている証拠でもある。この子のためにも、早く終わらせてしまおう。
「大丈夫、君は私が守るから。何も不安がることは無い」
「⋯⋯うん」
0
お気に入りに追加
12
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
My Doctor
west forest
恋愛
#病気#医者#喘息#心臓病#高校生
病気系ですので、苦手な方は引き返してください。
初めて書くので読みにくい部分、誤字脱字等あると思いますが、ささやかな目で見ていただけると嬉しいです!
主人公:篠崎 奈々 (しのざき なな)
妹:篠崎 夏愛(しのざき なつめ)
医者:斎藤 拓海 (さいとう たくみ)
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる