異世界最強物語

ぽぽねこ

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いざ学校へ

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「パキッ、パキパキキッ!」
「ピュイ?ピピィ!」

生まれたばかりなのにこちらにジャンプ飛んでくる。少しだけまだベトベトしている。

「う、うまれた!どんだけ魔力吸うんだこいつは…」

「可愛い…それとバハムート…カッコイイ」

この子龍のバハムートはあの親とは違うところがいくつかあった。それはまずは瞳だ、左目は赤なのに対して右目は紫の瞳をしている。呼び方はいろいろとメチャクチャな案が出たが撤回。その中で一番マシだった『ヴァル』という名前で落ち着いた。

∇∇∇∇∇

一週間ほどするとヴァルはみるみるうちに大きくなりジンの背中に覆い被さる様にしてくっつく、そこがいいようだ。

そして龍は稀だが、魔物を使役しても冒険者ギルドに登録して証の指輪を主人に、魔物の方は主人と同じ証付きの首輪を着けなければならない。

「きゃあぁ!?」

無理もない、突然黒龍が表れるのだから。

「従魔登録をしたいんですが…」

「その龍が?従魔ですか…?」

もうジェシカの目は死んだ魚のような目をしている。最近はいろいろなことが重なって起きているが、面白いのでよしとする。おっと、グルドのおっちゃんのところにいかないと。

「久しぶりだな、あんちゃん。武器の調子はどうだ??うぉ!なんだそいつは」

やっぱりヴァルには驚いていた。仕方のないことだ。

「ダンジョンにある卵を孵したんだよ、あの武器は予備に回したんだ、ダンジョンでいい武器が手に入った。」

新しい武器、そう黒龍丸だ。

「そうかい。んで…なんだって、それは気になる見せてくれないか」

もちろんグルドに渡す。

「こりゃすげぇ、一級品だな。だがなにか用があるからきたんだろう?」

さすがはグルドのおっちゃんだ。話がわかっている。

「そうなんだ、これをみて欲しい」

そういって取り出したのは黒龍(バハムート)の素材だ。

「これは…初めてみるが、龍の素材なのか?なんて輝き、そして固さだ」

さすがのおっちゃんでもこれはできないのか…?そう少し落ち込みかけていた。

「なぁに、気にするんじゃない。普段は使う出番はないがそれを加工するなら使うしかない」

なにか探している。すると道具の奥の方から輝く金床が取り出された。

「これはミスリルだ、鉱石の中でも最上位にある鉱石で作られた金床だぜ。ここは任してくれ慎重にしていきたいんだ、3日で仕上げる。もちろん二人分だ」

防具のことはグルドにまかせよう。では遅くなってしまったがリーベルト伯爵の屋敷に向かうとしよう。

∇∇∇∇∇

「お久しぶりですジン様」

そう呼び掛けてきたのはこのステラノール家に仕える執事のトーマスさんだ。

「お久しぶりですトーマスさん、リーベルト伯爵はどちらに??」

「旦那様は屋敷におられますよ、ジン様の事をよくお気になっておられましたよ。さぁこちらへ」

トーマスに案内されたところは見覚えのある部屋、初めて招いてもらったときにはいった客間だ。

「コンコンッ、リーベルト伯爵。ジンです」

「おぉ、ジン。入りたまえ」

リーベルト伯爵にヴァルのことを隠すわけにもいかない、ステータスのことも既にバレているのだから。

「それは…ジンの従魔かね?龍を従魔になんて聞いたこともないが」

「はい、ついこの前にダンジョンで手に入れて卵から孵らした『バハムート』です」

それを聞いた途端、リーベルト伯爵と直ぐ隣にいたトーマスさんが固まる。

「なんだと?バハムートだと?!確かバハムートとは神龍…人に懐くことなどないはずなんだが…」

「俺はダンジョンの最下層に閉じ込められていたバハムートから子供のバハムートを託されたんです。その事も関係してるんだと思います」

「君のステータスを見るからにあそこのダンジョンなら攻略できても不思議ではないな。だが、そのヴァルは伝説の物とされ、あるものは崇拝しておる者もおる。そして龍は希少価値が高い、ありはしないだろうが誘拐など良からぬ事も考える輩がいないとは言い切れん、より一層注意するのだぞ」

そうリーベルト伯爵に言われる。

「「ありがとうございます」」

ジンが頭を下げるとヴァルはアリスの横でブンブン頭を振っている。真似でもしているのだろうか。

「そうだ、ジンとアリスよ。王都のほうなんだがアルカディア国英高等学校に行ってみる気はないか?私の娘のシーラも通うつもりなのだよ。冒険者もしたいのはわかっておる、だから週に2回だけ通うだけでいいように説得しよう。2人はまだ森をでて間もない、いい経験になると思うのだがな」

なんと王都にある名だたる貴族が通う国英高等学校に通うチャンスがやってきた。この世界の事をまだ全く知らないのだがヴァルもいる。そう簡単には決めれそうにないか。

「安全せい、ヴァルも一緒に居られるように申請しておく、従魔なのに離れるのは良くないだろう?」

ここまでしてもらっては通うしかない。

「それなら…ジンが行くなら行きたい」

「有り難くいかせていただこうと思います」

そうして二人と一匹の国英高等学校への入学が決まった。特にテストなどはない。

∇∇∇∇∇

「これから入学式だぞ、アリス起きるんだ」

ジンがアリスを揺さぶり起こす。恋人になってからジンとアリスはいつも2人で寝ている。

「初日から遅刻なんてしてられないからな、全く」

「ん…っ…」

アリスはとても眠たそうにして答える。シーラが馬車で登校しているため一緒に乗せてもらっている。本当にありがたい。だがシーラがチラチラとこちらをみてくる、隣ではアリスが頭を俺に預けてるからか…?

「シーラ、どうしたんだ??」

「前から思っていたのですが…お二人はお付き合いされているのですか?」

「あぁ、少し前からだが…そういう仲になったんだ」

シーラの顔色が曇る。

「(2番目でいい…から)」

誰にも届かないような声でシーラがなにか呟いた。

「ほ、ほらみて!あれが、国英高等学校よ」

馬車の窓から見るとすべてを見渡せない。教会ほどの大きさだ。

校門の前にはすでに人や馬車などが多かった。

「ジン、アリス、ヴァンちゃんも、いきますわよ!」

シーラはジンとアリスの手を引いて馬車から飛び出していった。

「学校でもよろしくね!」

俺たち2人だけが貴族じゃない。しかもこんな龍がついてるんだ、碌なことが起こらないといいんだが…。そうして初めての学校生活が始まる。
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