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集団異世界召喚

異世界探検⑮

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「ただいま~」

「お、おかえり澪」

「ちょっと汗かいちゃったから温泉入ってくるわね」

「もうすぐご飯らしいからはやめにな~」

危ない危ない、変なムードを作られてしまっていた。
カレンは20歳と年上なのだが身長のせいあってか年上には見えない。
恋愛感情がない訳もなく、自制しているのだが危ないことも多々あるのは確かなことだ。
それにノエルのことも考えると更に難しいことだ。

「もぅ…」

カレンはそのまま澪についていき温泉へと入っていってしまった。



昨日は色々あって渡せなかったが今日こそはと俺はカレンに剣を渡しにいき「プレゼント、これからもよろしくね」と一言言うとカレンは「ミナト様ぁぁ」と言って抱きついてきた。
澪にも焔光剣があるわけだし、渡すと「ありがと…使わせてもらうわ」とだけ言ってくれた。
俺からプレゼントなんて昔に道端に咲いてる花をあげた以来だな、あれをプレゼントだって言えるのかはわからないけど。

だけど剣を大切そうに眺めたり抱き抱えたりしてるところを見るとあげてよかったなって思えた。

これからも何か良い案があると作ってあげてみたい。



今日はカレンと澪を留守番してもらってノエルと2人でのお出掛けだ。
適当に理由をつけて出てきた。
折角のデートだ、楽しまなきゃな。

特にこれといった目的はなかった、ぶらぶらと歩いて話せたらなと。
だけどそろそろ雪が降ってくる季節になってきた。
ノエルの誕生日は冬の季節らしいからプレゼントでも買えたらいいなーってくらいの考えで屋台等へ向かった。

「賑やかですねぇ」

「最近は治安もマシにはなったみたいだけど」

「そうですか…?あんまりわからないですけどね」

確かに治安がよくなったのかはさっぱり分からない。

「あ、ちょっと寄りたいところがあるんだ」

そう言って連れてきたのはジュエリーショップ。
あるかなと思っていたけどやはりあるもんだな。
外からみてもわかる高級感溢れる店は黒と金の色で飾られている。
一応冒険者としての鎧等の服装ではなく俺は軽く、戦闘も出来る動きやすい服装で、ノエルはドレスを着飾っている。
不相応な服装ではないし、ちょっと緊張するけど店内へと入っていく。
ノエルもちょっとは緊張してるのかな?

「いらっしゃいませ」

一瞬、店長らしき人物が出来るだけ隠してるノエルの奴隷の首輪を確認するも直ぐに目線を外し、接客へと移る。

「指輪とかネックレスとかないですかね」

「ございます」
「(そちらの方へのプレゼントですか?)」

「(そうです)」

俺にだけ聞こえるように耳元で問いかけてきた。

「では、これは如何でしょう」

おすすめとして出してきたのはリング部分が銀色でコーティングされており、宝石はノエルの碧眼と同じ色をしている。

確かに美しい、そう思った。

「こちら、白金貨2枚という破格ですが、それに見合った商品だと思いますよ」

「この美しさですからね…」

「それがなんとこれだけではなく、魔法が付与されているのです」

なんとこの指輪には3つも魔法が付与されているという。

「1つ目は浄化、2つ目は魔法障壁、3つ目はこの宝石と引き換えに発動できる上位治癒魔法です」

「思ったより凄い魔法が付与されてるんですね」

「その通りでございます。これはダンジョンから発見された宝なのです」

「勿論、白金貨2枚でも安いほうなのですが…」

「あちらの女性へのプレゼントということなので、特別…ということにしておきましょう」

「なっ、いいんですか」

日本円で2億、それだけあれば遊んで暮らせる程だと思うのだが前々からモンスターや宝石などを売っていくうちに白金貨2枚くらいなら稼いでる気もする。
よし、悪くないか…。
丁度ノエルが別の宝石などを見回ってる途中だった。
ノエルの前でノエルの為にこんな高いものを買おうものなら「私はいいですよ」なんて言うだろうからな。

普通にプレゼントするよりサプライズ的なことをしてみたいと俺は思っていたし。

「じゃあ、これで」

そうして俺は人生で初めて高額な買い物をしたのであった。

△ 

プレゼントはしっかりとアイテムボックスへと片付け、街に出ると日が落ちかけており、僅かに空が明るい。

このまま帰ってもなぁと思った俺は少し遠回りの道から帰ることにした。

「あれ?こちらから帰るのですか?」

「うん、こっちには良い景色が見えるとかなんだとか」

「成る程、そうだったんですか」

そうノエルは言うと黙って俺の手と手を繋いだ。

「(2人きりの時はちょっとだけ甘えるんだよなぁ…)」と惚気ながら歩いていった。

少し歩いたところに石橋が架かっていた。

石橋から横を眺めるとその
横に石橋が幾つも並んでいた。
そして今はタイミングも良く、夕日の光が少しだけ此方を照らしていた。
ここが噂のスポットなのだろう。

「おいおい、兄ちゃんよ」
「いい女連れてるじゃねぇか」
「そんな男より俺らとどうよ?」

「悪いけどどっか行ってもらえないから?」
「…………」

ノエルは男達を睨んだまま何も喋りはしない。

「あぁ?どっかいけだぁ?随分と偉そうだなぁ?」
「こう言う手段は使いたくなかったんだが…なっ!っと」

男はそういうと大振りで殴りかかってきた。

おいおい、ここの治安は良くなったんじゃないのかよ。
それにしても遅いなぁ。
ステータスの問題じゃなく普通に技術がない系の奴だな。

「ここからは正当防衛ってことですから。折角今日はいい日だったのに…」

「はぁ?何いってやがる、たまたま避けたくらいで……」

男が言い終わるよりも早く、男の首元の寸前まで拳を近付ける。

「はやっ…!?」

「あんまり侮らない方がいいですよ」

「ぐはっ…」

次の瞬間、周りにいる仲間達をチョップして気絶させていった。

「あんた…なにもん…だ」

「ただの冒険者だ」

気絶させた男達は裏路地に放っておき、ノエルを連れて家へと帰った。



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