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【狗狼獅波家】単発/男性側一人称×2/三つ子/無自覚ドMクール長男/横柄オレ様次男/ノリ軽チャラ三男
【狗狼獅波家】おっぱいの日2024 男性側一人称/卑屈風無自覚ドMクール美青年/巨乳華奢ヒロイン
しおりを挟むアルバイトが終わる頃には、夏だといってもすでに空は暗くなっていた。夕方にに降った俄雨と称するには少々乱暴で、ゲリラ豪雨という呼び方こそ相応しい急激な天気の変化によって、アスファルトはまだ湿っている。今は晴れているが蒸していた。
自宅に帰ると、玄関脇の蛾の群れたライトの下に女が立っていた。弟の女だろう。見れば分かる。小柄ではないが目立って大柄でもない、胸の大きさの割りに華奢な体型。長い髪に巻かれた毛先。いかにも弟の好みだ。それでいて清楚な雰囲気が壊れないのが、どこか不思議で異様な感じがある。弟の女ばかり見てきたせいだろうか。そういう女に、こういう雰囲気は出せないような気がする。女とは分からないものだ。
俺は軽く頭を下げた。相手の女も小さくお辞儀する。外は蒸し暑いし、虫もいる。
「銀河ならまだ帰ってきていない。中に入って待つか?」
銀河の女に礼儀作法などあったものではない。俺も横柄な態度をとったが、特に気にするでもなく、彼女は頷いて一緒に玄関へと入った。
俺は「銀河の部屋で待て」というつもりでいたが、彼女はミュールというのかサンダルというのか、小洒落た突っ掛けを脱ぎもせず、三和土の隅に佇んでいた。熱中症で倒れられても厄介だ。俺はアルバイト先でもらっては下駄箱の上に積み上げてある茶の缶を渡した。
「ありがとうございます……」
女はまた控えめに頭を下げた。俺と銀河の顔がそっくりそのままであることに驚きもしない。すでに聞いているのだろうか。いちいち驚かれるのも面倒臭かったが、無反応も無反応でまた腹が立つものらしい。そういう点はやはり兄弟だ。
女は缶を開けず、バッグにしまった。かえって荷物を増やしてしまったようでばつが悪い。
「銀河の部屋に案内する。それともここで待つか?」
「あ…で、では、よろしくお願いします……」
ぎこちない態度をみて、俺はわずかばかりこの女が可哀想に思われた。銀河に優しくされて、本気になったのだろう。自分ひとりだけだと信じて疑いもせず、遊ばれているのだ。哀れなことだ。だが助けてはやらないし、弟の遊び方を咎めもしない。互いが互いに好きにやる。それが暗黙のルールだった。
女はバッグからわざわざ靴下を出して穿いていた。実はいいところの令嬢なのだろうか。
玄関ホールを上がってすぐ、吹き抜けの階段を登り、左手にある部屋。電気を勝手に点けた。大きなベッドと、巨大なコンポ。いかがわしい海外かぶれのポスター。どれも悪趣味だが意外と殺風景だった。ただ観葉植物を壊れたフラスコのようなものに入れて吊るしているのは気障だ。
「寛いでいてくれ」
そのときになって、玄関が開く音がした。銀弟の部屋から出ようとしたときだった。
『ただいまんもす~』
『お邪魔しま~す。銀ち、また他の女連れ込んでんの? ならあたし帰りたいんだけど』
『はぁ? どうせ金翔のオンナだろ』
『え~? あたし金翔クンのこと狙ってたのにな~』
『寝言は寝て言え』
俺は降りるに降りられなくなった。その会話を聞いて、どう弟の連れてきた女と顔を合せていいものか……
「あ……あの……」
冷たい手に掴まれる。遊ばれた哀れな女が、俺の腕を握っている。そして引かれた。俺はすぐに切り替えられず、足は勝手に女についていく。
頭がおかしいんじゃないかと思った。クローゼットに引き入れられて、女はそのまま内側から戸を閉めた。中には服のひとつも引っ掛けられていない。クローゼットの通気孔のおかげで多少の視界は利いていた。
「ちょ、」
どういうつもりなのか。内側から戸を押す。同時に弟と連れの女が部屋に入ってきた。
『金翔いねぇな。帰ってきてると思ったけど』
『ねぇ~、金翔クンのカノジョさん見てみたい~』
_通気孔から室内を覗く。弟は連れの女をベッドに座らせ、自分は部屋を出ていった。少しして戻ってくる。
『いや、いねぇ。ウンコか? 便秘っぽそうだし』
『じゃあ銀ちも便秘気味なん?』
『なんでだ?』
『だって双子なんしょ~? 体質的に似るじゃないの』
『三つ子な。もう1人下にいンだわ。アイツだけ陰キャのメンヘラだから便秘になんの』
あることないことを並べられ、俺はそろそろ空気も読まずに出ていってやろうかと思った。あとは戸を内側から押すだけだった。けれど冷たい手が乗っている。邪魔されている。
『でも遊ぶなら銀ちだけど、結婚するなら金翔クンだよね~』
『はあ~? 同じカオしてんだろうが。何が不満だよ』
『別に遊ぶなら何人と付き合っててもイイけどさ~、結婚するならあたし一人を愛してほしいじゃん? 金翔クンはそういうところしっかりしてそーだし?』
『ンなもん、お前、オレだって結婚するっつーなら遊ばねーわ』
『ふ~ん。どうだか』
銀河に結婚は無理だろう。緋鐵とも話したが、無理だ。ハマれば長い緋鐵はとにかく、銀河には無理。そして俺にも無理だ。他人と共同生活だなんて苦痛以外に何がある?
俺はまた一人の世界に入っていた。三つ子で、他2人は外交的な性格をしていた。反対に俺は内向的。アルバイトは接客業務のないものは必須条件だ。この性格が嫌になる。同じ顔をしていて、背丈もそう変わらない。多少染めたり穴を空けたりはしているが。それでも三つ子だ。この差はどこで……云々と考えていると、俺の身体に柔らかいものが当たった。女の肌だ。このクローゼットは折戸の両開き。人が入ることを想定してはいないが、2人入るスペースはある。だから何故、急に詰めてきたのか分からなかった。虫でもいたのだろうか。
柔らかな部分はまだ押し付けられていて、隅に寄ろうとするにも限界がある。どうやら形が変わるほど柔らかいその部位に、腕が減り込んでいるようだった。狭い。俺を圧死させるつもりなのだろうか。
『今日は目隠ししてやろうか?』
『なんで~? 銀ちドSでも、道具には頼らなかったっしょ』
『だってお前が金翔、金翔言うからだろうが。お望みなら金翔でヤってやろうって言ってんの』
『嫉妬してんの、銀ち?』
明かりが消えた。クローズの中も暗くなる。直後、ベッドサイドのランプが点いた。
「狗狼獅波さん……」
冷たい手が俺の身体に触れた。向きを変えようとした。柔らかな部分がまたぶつかる。美人局か? 身動きをとれば俺から触ったことになりかねない。柔らかい。少し硬いのはブラジャーか。見たことくらいはある。弟二人の連れ込んだ女が脱ぎ散らかしたり、ベランダに干してあったり……
「離れてくれ……」
『う~ん? 銀ち、何か言った?』
俺は咄嗟に口を塞いだ。機みで腕が、遊ばれた女の胸に触れた。他人の柔らかさに、悪寒が走る。男にはない、見たことはないわけではないがそう慣れたものではないものの鮮烈な知覚。
『なんも言ってねーよ。何か聞こえたってか? 金翔が糞詰まりで唸ってんだろ』
『ムード無ッ! 金翔クンがそんなワケないじゃん。銀ちじゃないんだから』
『ひっで』
弟は笑っている。弟たちのコミュニケーションは空手のようだ。
そのうち弟と連れの女は静かになった。小さな会話や息遣い、ベッドの軋みは聞こえている。それが生々しい。部屋の外から何となく察するのとは大分違う。
あかの他人ならとにかく、肉親のそういうものは、同性であっても厳しいものがある。下2人の弟同士ならこうも思わなかったのだろうけれど。
そのうち、柔らかなものを押し当てていた女が俺の身体をさらに壁際へ押しやろうとする。肩が痛い。横を向いて空間を稼ぐ。どういう理由があるのか、女が凭れかかってきても、背中に壁があるのは楽だった。だが今度は、身体の前面で柔らかな部分を受け止めなければならなくなった。接する面積が大きくなったことで、俺はよりこの感触を意識してしまう。想像するに、一方的に抱きつかれているような体勢なのだろう。
俺も男。興味がないわけではなくて。ただ人と関わるのは面倒臭い。関係を築く必要性も感じられないだけで。不感症ではないから……
俺はまた口元を押さえた。柔らかな女の身体が怖い。接触している鳩尾の辺りが疼いている。そこを中心に爛れたみたいだった。それは移動している。ゆっくりと鳩尾から腹を目指している。支えにしている手も、肩口から脇腹へ、そして腰へ。
「待っ……」
外の音が止まった。
『ねぇ、なんか……』
『ムード無ぇのはどっちだよ。おら、』
ベッドが殊更大きく軋んだ。連れの女の甲高い声が上がる。
『よそ見すんなって。オレのことだけ考えてろ』
今までの特に害のなかった軋みとは違った。ベッドが壊れ、床が抜けそうな体重移動を感じる。弟のそういう面を垣間見てしまったこともあるのだろう。焦燥した。それだけではなく、俺の腹を伝って、徐ろに下降している柔らかな感触にも。痴漢と何が違うのだろう? 髪型や髪色、服のセンスこそ違うけれども、顔が同じならばすべて同じ、どちらでも構わないというのか。破廉恥だ。恥を知れ! 少しでもこの女に清楚な雰囲気を感じでしまった自分が嫌になる。実際はどうだ。とんだ淫婦だ。弟に玩ばれるのがお似合いだ。
女の胸が、わずかに反応を示している俺の下半身のものに乗った。柔らかさが恐ろしい。母親から受ける印象とはまったく異質だ。同じ要素を数多く持ちながら、違ったものに思えて仕方がない。
「う……」
後退ろうとも、背後には木の目の壁があるだけだ。
柔らかなものは、俺の下半身のものに覆い被さって、短く上下に往復する。腿を押さえる手も意識しないではいられない。
「ぅ、う……」
玄関前で見た女の肉体を想像してしまった。興味はなかったはずだ。だが願望のようなものが、もしかしたら何割増しかしているかもしれない。そこは三つ子らしい。下二人をとやかく言えはしない。俺も大きな胸を望んでいるようだ。バスケットボールを左右に詰め込んだような、それでいて柔らかい乳房が、今、俺の下半身の汚らしいものを圧迫しているのかと妄想すると、圧迫されている分、そこに血が集まって反撥してしまう。頭がぼんやりとする。血が下にばかり巡っていって、脳に行っていないのだろうか。確かにそうだ。理性を脳だと言い換えるのなら。俺はもはや、俺の汚らしい貧相なペニスにのった大きな胸のことしか考えられない。
「は………ぁ、」
女が胸を押し付けているはずだった。それを免罪符にしていた。けれど改めて考えると、俺からも押し付けている。溢れてこぼれこうな大きな胸の狭間へ、俺のグロテスクで生臭い肉棒を捩じ込んで、撓ませてみたくなる。
また勢いを増して血がそこに集まっていく。もう自然に静まりはしない。自分で扱かなければ治まりはつかない。扱きたい。反面、まだ大きな胸に悍ましく勃起したペニスを擦り付けていたい。
女は、俺が履いていたカーゴパンツを脱がせにかかった。弟の部屋はクーラーが点けっぱなしだったというのに、クローゼットのなかはいつの間にか蒸し暑くなっていた。戸に空いた無数の通気孔では足らなかった。夏場でもあまり肌を出したくない俺の非合理的なこだわりが仇となる。
抗議の意を込めて、腿に添えられた女の冷たい手を軽く叩いた。だがやめはしない。カーゴパンツのウエスト部分は降りて、ボクサーブリーフのウエストゴムとともにまたさらに降ろされてしまった。視界はほぼ利かないが、俺の反り返った勃起は今、弟の遊び相手の女の前で晒者になっているわけだ。
俺にはこの女の挙動が見えなかった。張り詰めた亀頭に冷やされた息が吹きかけられる。まるで蝋燭の火を吹き消すみたいだった。
「ふ、ぁ……っ」
_壁に寄りかかった。木の目は俺の背中で蒸れたことだろう。幼少期と身内を除けば誰にも触らせたことのない場所に、あかの他人の息がかかっている。
亀頭の先は臍についているのではないか。虐待されて焼け爛れた巨大ミミズのような気持ち悪いペニスが跳ねる。もう扱きたい。血がそこで凝固しているような気になる。頭はぼうっとして、背中が蒸れていく。外の物音などもう気にならなかった。ただ柔らかな感触と女の気配にばかり意識が割かれて、どうしていいのか分からない。
そのうち、俺の惨めな生肉の棒に滑らかで液体のようなものが触れた。水を思わせるほど冷たいわけでもなく、かといってお湯でもない。液体だと思ったが、それは宙で留まっていた。しかし異様な柔らかさを持っていた。女の胸だ。それだけではなかった。布の摩擦もない。俺の気持ち悪い勃起ペニスに、女の素肌が触れている。その事実に俺の頭はスパークした。亀頭はすでに濡れているのだろう。先端から情けない汁を滲ませて、露玉を作っているに違いない。
俺の腰は動いていた。弟の女の豊満なバストに、陋劣な肉棒を擦り付けていた。搗きたての餅としか思えない。そしてそのなめらかさは餅とり粉がまぶされている。いつものように線虫に寄生されたように血管を浮かしているはずの俺の孕ませ棒は、何の警戒心も持ち合わせていなかった。それどころか亀頭冠が疼いていた。裏筋に直接、刺激がほしい。
けれども間近にある女の気配が、俺の恥ずかしいオナニーを思い留まらせる。大きな脂肪の谷間を突く妄想に耽りながら、思いきり惨めな敗北者チンポを扱きたかったというのに。
「ふーっ」
また息を吹きかけられる。俺は口元を押さえた。混乱と欲望が渦巻くなかで、隠れていることだけは唯一理解できていたらしい。勃起したチンポを跳ねさせて、惨めだ。
「ぅ、う……っ」
俺はこのオナニーがしたい強い欲求と耐えなければならないのか。俺にも人並みの、もしかしたら人一、二倍の性欲はある。もしかしたら他にも発散方法のある社交的な弟たちより性欲が強いかもしれない。本当なら毎日、オナニーがしたかった。猿みたいに毎朝毎晩、無駄発射したかった。俺はオナ猿だ。今晩も、このことを思い出してオナニー専用の見窄らしい童貞チンポを必死に擦るのだろう。
このあとの自慰行為に対する強い期待に息を荒らげていると、俺のペニスは柔らかなものに包まれた。そして圧迫。
「ぅっ……!」
手で握るのとはまったく違う。目の前が一瞬だけ白く塗り潰された。俺の浅ましい肉棒を包んだ柔らかな感触は、上へ滑っていく。亀頭冠も呑まれ、汚い汁を出している亀頭まで包んでしまった。背筋を駆け上る快感に身震いした。自ら腰を好き放題に動かしたかったが、そうしたらこの至福の時間は終わってしまいそうで、俺は臀を壁に当て、動かないように自分の身体を固定するので精一杯だった。
「は………は、ぁ、………っ」
大きな胸が俺の汚い肉棒をゆっくりとした動きで扱いている。
外から聞こえる弟の連れの女の喘ぎ声になど、止んでから気付く始末。まったく忘れていた。壁越しでないのは初めてだが、聞き慣れたものだった。俺の部屋は廊下を隔てていても弟たちに挟まれているから場合によっては斜向かい両隣から聞こえることもあるくらいだ。普段よりも生々しさはあったが、今はそれどころではなかった。
『イかせてやったんだからとっとと帰れよ』
『ほんっとにサイテー。銀ちだってイったくせに』
『セフレっつーのはそういうもんだろ。じゃあな。また連絡するわ』
俺も早く、連れの女には出て行ってもらいたかった。叶うことなら弟にも。俺はいつ出ていけばいい?
連れの女はそそくさと着替えを済ませ、弟とまた一言二言軽口を交わすと、やっと部屋を出ていった。こうしている間にも、弟を待っていた頭のおかしい女は俺の未使用チンポを胸で扱く。
「ひっ!」
俺は声を漏らしてしまった。亀頭に生温かく湿ったものが当たったのだ。室内の様子を窺った。どうやら弟は気付いていない。鼻歌を歌いながら、おそらく着替えている。束の間の安堵。そしてまた襲う快感。舐められている。胸で扱きながら、俺の手垢が染み付いた汚い肉棒を、弟の女が舐めている。
「ふ、…………ぅッ、」
息を詰めた。物音が消えた分、些細な息遣いで弟に見つかってしまう。俺は口をまた一際強く塞いだ。されるがままになっていた。やがて胸の圧迫が消え、亀頭にだけあった生温かく湿った感触は亀頭冠をも包み込んだ。裏筋に唇当たっている。求めていたところに、ダイレクトな刺激が与えられて、俺の腰骨は溶けてしまいそうだった。竿部分も直接扱かれて、液状に近い柔らかなとは異質の親しみ慣れているようで他人行儀な手淫が堪らない。
「ぁあ……」
俺は両腕を後ろに遣って、クローゼットの内壁に当てた。もし腰を突き出そうものなら、この時間は終わる。そしておそらく女の喉を突き破って、女が声を出してしまう。
もう出したい。後先を考えず、射精してしまいたい。けれどもまだ惜しくもあった。さらなる快感があるような気がしたのだ。
『香織~。そろそろ挿れさせてやれよ』
弟は電話をしているのか。あまりにも唐突な切り出し方だった。女は焦ったのか、俺はオナニーしか取り柄のない無職チンポから口を放した。射精への希望が閉ざされる。自分で扱けばいい。けれど弟部屋で? それでもい。オナニーがしたい。思いきり扱きたい。下品な射精を弟とその女に見られて、嗤われても構わない。チンポをシコたい。早く射精したい。それでもまだ理性というものが残って、腹に爪を立てる。
俺は横の衣擦れの音にも気付かなかった。男ばかりの家ではしない、甘い匂いを鼻が拾った。脚に女の脚と思しき肉感とぶつかり、あまりの細さに狼狽える。見捨てられたはずの粗末なペニスにふたたび冷たく細い女の指が回る。
「あっ……」
亀頭の先が温かい。濡れている。でもそれは俺の出した気持ち悪い汁ではなかった。口にしては、息遣いを感じられなかった。温かく濡れたそれは動き回っているというのに歯の気配もない。けれど口なのだろうか。それ以外に見当がつかなかった。戸惑っている間も与えられない。俺の臭い汚い矮小なチンポは熱くきつく、濡れたものに詰め込まれてしまった。握るような抵抗が、俺を追い出そうとする。けれど自ら抜け出したくない魅力が、その謎の空間にはあるのだった。
「あ!」
女が声を出した。青褪めるべきところだった。だが俺は諦めていた。弟に知られてもいい。射精したい。この先にオナニーでは得られない絶頂があることを俺は察していた。俺を突き離そうとする圧迫感に食らいつく。この我儘で横柄な肉棒を気持ち良くすることしかもう考えられなかった。俺の頭のなかは今、射精のことだけ。得体の知れない柔らかな物体を突いた。好きなように腰を振った。最近ようやく止められるようになった床オナを思い出す。
もう弟に知られてもいい。射精したい。ザーメンを出したい。チンポを気持ち良くしたい。
無意識に伸ばした手が、触れたものを掴む。それが女の腕だと、無自覚に理解していたように思う。片腕を掴んだのならもう片方も、と両腕を手綱代わりにして俺は腰を打ち付けた。弾む。女の肌で弾んでいる。甘酸っぱい匂いがクローゼットのなかに充満し、通気孔は俺の生殖器同様に役立たずだった。
『ちゃんと挿れさせてやったか?』
弟の不可解な電話はまだ続いていた。直後、俺の視界は十分な光を取り戻していた。折戸が開く。俺とまったく同じ顔をした上半身裸の弟がそこに立っていた。逆光して、わずかに影を帯びている。髪色と髪型、ピアスと服装がわずかに違うだけの同じ顔が平生のとおり、意地悪く笑っている。
俺はそれを目にしても射精への期待をやめることができなかった。肌がぶつかる。女の臀に向けてペニスを突き刺している。縦に裂けた、男にはない器官に俺の腐った棒が刺さっている。
「あ………ぁ、」
俺のチンポに血が巡っていく。女も反応を示した。ただでさえ狭かったところがさらに狭くなる。女はこんな場所でも、男のチンポの様子を捕捉できるのか。興奮した。弟の目と鼻の先にいながら、俺は弟の女とセックスしていた。けれど童貞ではなくなったという認識を持てないのは、あまりにも急激で突然なことだったからなのだろう。
「おいで、香織。童貞に好き放題突かれちゃ、気持ち良くなれねーだろ?」
立ったまま前に屈んだ体勢で下を向き、髪を揺らしていた女が頭を上げる。そして重そうに弟のほうへ行こうとした。俺は逃さなかった。胸の大きさの割りに括れた腰を掴む。俺は何としてでも射精がしたかった。この感触を知った直後にオナニーなどできない。
「あ、あ、あ、あ!」
女が甲高い声を出した。連れの女が帰るまで聞かされていたものとはまるで違う。俺が自分で出させているからなのか。俺次第で、この女の声を好きにできる?
「さすが我が兄。今の今まで童貞だった割りには、いいピストンじゃねーか」
弟のばかにした態度も今はどうでもよかった。弟のほうへ身体を向けようとする女に気を回せる余裕もなく、内部の微細な襞にカリ首を引っ掛け、裏筋を掻かせる。腰が溶けそうで、女の腰を掴む力加減もできはしない。
女は苦しそうな呼吸をしながら、弟のほうへ旋回を試みる。俺もその行動を阻んでいたわけではなかった。そうする余裕もない。ただ結果的にこの女の邪魔をすることになっていた。俺は保健体育とフィクションのなかでしか知り得なかった女性器というものに夢中になっていた。手では味わえない包容力と質感。体温、予期しない収縮。俺はオナ猿だった。それはレイプであったし、弟の女の膣を使ったオナニーだった。教科書で尤もらしく語られ、フィクションでロマンチックに描かれたセックスなどここにはなかった。
「童貞め。もっと気持ち良くしてやるよ」
弟は俺を鼻で嗤っていた。やっと弟のほうを向いた女の捲れたシャツを真紅のブラジャーとともに取り払った。女は上半身を裸にして、胸を隠す。後ろから、肘から溢れ出しそうな肌を見て、俺のチンポは硬度を増す。感度も増した。腰を速めずにいられない。射精したい、射精したい、射精したい……
「あ、あ、あ、あ、……!」
女が叫ぶ。逃げようとするのが赦せなかった。胸を隠そうとする腕の下に手を入れて、羽交い締めにした。
「突くだけじゃダメだよなぁ?」
弟は、俺が羽交い締めにしたことで無防備に曝され、上下に揺れ動く胸を触った。
「あっあっあっあっ!」
俺に突かれて叫んでいた女は打ち震えた。膣が激しく蜿り、奥へ引き入れようとしている。まるで綱引きだった。俺の視界には火花が散る。もう手でチンポを擦り続けるオナニーには戻れないという俺の俺に対する忠告であったのかもしれない。
「自分勝手なセックスはイケねーよなぁ、金翔。お前が昔にオレ様にご高説たれてくれたろ? それってセックスにも言えたことじゃねーか? なぁ、金翔クンよ」
弟は女の胸を揉み拉くと乳頭を摘んだ。
「あ……ああんっ……」
女が甘たるい媚びの入った声を洩らす。熱かった膣のなかがよりいっそう熱く、狭いくせに柔らかくもなる。男の対の存在だというのに、その複雑さには嫉妬と羨望すら感じてしまう。
「ほら、香織。オレのオニイチャンのこと、いっぱい締め付けて気持ち良くしてあげてくれや。オレと同じカオしてんだし、オレのこと、好きだもんな?」
鼻で嗤い、女の乳頭を潰す。
「ゃああんっ!」
女が背筋を反り、俺のペニスは歯のないところで食い千切られかけた。そしてそれが堪らなく気持ち良い。もう後には戻れない。これが女のカラダ。これが性交。これがヒトの交尾。
あとは腰を打ち付けるだけだった。弟の手によって遠隔的に作り変えられた膣からペニスを引き抜く選択肢などあり得なかった。射精したい。射精のことしか考えられない。負け犬遺伝子の生ゴミ精子を撒き散らしたい。
俺にとっては完全に不要であった陰嚢が猛々しく震えた。
「………、出るっ、!」
頭が爆散したように、下半身以外の感覚がなかった。凄まじい脈動がある。
「先にイかれちまって可哀想に」
「ぁ……っ、あ、あっん……!」
射精中の強い締め付けに俺は戦慄いた。ゆっくりと腰を動かしたが、烈しい蜿りに身構えてしまう。
「金翔。今度はお前が気持ち良くしてやれよ。そこのベッド使えよ。オレが見ててやる」
弟は、俺の女への執着が薄れるのを見て取ったのか、チンポの挿さっている女を引き寄せた。まず弟がベッドに座り、その膝の上に女を座らせ、軽々と左右の膝裏を抱えた。足首にブラジャーと同じ色をしたレースの布切れがぶら下がっている。だが注目すべきところはそこではないのだろう。
女の脚の間には糸屑のような毛の下にピンク色の複雑な構造をした女性器があり、その中心部から白い液体が溢れ出ていた。涸れた滝がかろうじてわずかな水源を確保できたかのように、粘り気のある俺の劣等精子が滴り落ちている。やはり俺の出したものらしく、落ちるか落ちないか、優柔不断である。
「ああ……」
女は羞恥に顔を赤らめ、俯いてしまった。
「気持ち良くしてもらえ。作りはオレと変わらねーんだからよ」
二人の会話などうわの空だった。一生童貞で、一生オナニーで過ごすはずだった俺のザーメンが、見ず知らずの女の膣から垂れ流されている。紛れもなく俺が出した。直前の、柔らかくきつい膣で射精する気持ち良さが甦った。
「オレとそっくりのデカちんぽで突いてやれ」
俺は弟の前であるにもかかわらず、浅ましく勃起する肉棒を扱いた。
「ははは。ちゃんと"セックス"して、童貞卒業しろよ? 思いやり、だろ、金翔。交尾じゃいけねぇなぁ?」
弟は女をベッドに転がすと、部屋の隅に立って腕を組んだ。俺は女の膣の虜になっていた。仰向けで寝そべる女の上に覆い被さる。そう縹緻の悪くない女の横顔が見えた。口元や頬に髪が纏わりついている。
俺は女の豊満な胸をばかり眺め、勃起したペニスを女性器に挿していた。けれども手元を見なければ納まるところが分からなかった。粘膜の襞に押し返されてばかりだった。途方に暮れていると、女が自ら毛の下に隠れた裂け目を広げて、大きく窪んだ箇所を知らせてくれた。
亀頭が膣口に当たり、俺は腰を突き入れた。出したばかりの生ゴミ汁が滑りを助けてる。
「うっ……」
女が呻く。弟に触られていたときのような声とはほど遠い。
俺も弟が摘まんでいた乳頭に触れた。すると膣の中が蠢いた。腰を進める。すべて納めると、女は額に手をついて、大きく息を吐いていた。
「金翔。ちんぽ突っ込んだ少し上に突起物があんだろ。それもいじめてやれ」
俺は言われたとおりに突起物を探った。それは肉棒を咥えさせた穴のわずか上のほうにあった。指で弱く抓ってみる。
「あっ、ん」
肉棒が引き絞られる。この感覚がもっと欲しくなって、腰を入れながら執拗にその突起を触った。挿入部の滑りが明らかに良くなって、締まり具合もきつくなる。蒟蒻を彷彿とさせる無数の襞が、俺の勃起したペニスの微かな凹凸にも吸着している感じがある。抗えない。俺はまたもや一心不乱に腰を振った。拍手のような音と、耳障りなほどのベッドの軋みが部屋に響く。
俺が激しく女の身体を揺さぶると、胸が前後に揺れた。ワイヤーアクションのように胸が大きく持ち上がり、波を作ってまた戻ってくる。目が放せない。昼間は慎ましやかにブラジャーに納まっていたのが、今では俺のリズムに合せて暴れている。目眩がした。吐き気に似た興奮に襲われ、俺は自身の体力を超えた速さで膣の中を往復する。陰嚢は持ち上がり、爆発的な射精に備えていた。俺の焼却炉に向かう途中で死んでいく精子が、生きた女に受け止められる。
「あ、あ、あ、あ、っ!」
「乳を吸ってやれ」
俺は弟のマリオネットだった。ラジコンだった。ベッドの軋みと連動て地震でも起こしそうなほど揺れる胸の片方を揉む。掌に電流が走った。柔らかい。あまりにも柔らかい。指が減り込むのが怖いほどだった。涙が溢れ出す。こんな柔らかなものをぶら下げている女というものが恐ろしく思えた。
「あ、あ………んっ、!
女は身を捩った。胸を触る手を剥がそうとしていた。そして剥がされた俺の手を、まるで合意かと錯覚するように握った。小さな手と細い指だった。体温も俺より低い。だが汗ばんでいる。
「香織。それはオレじゃなくて金翔だぜ」
途端に俺の手を振り払ったが、あの小さな手をもう一度握りたくなった。俺の生ゴミ精子を受け止めてくれる女を放したくなかった。奥の奥で出したい。射精したい。女の中で出したい。
「ふ、ああ、あ、っ」
女は甲高い声を上げた。膣の犇めきに耐えられなかった。二度目の射精も怒涛のようだった。
「金翔オニイチャンは、セックスは自分勝手なんだな。一生童貞やってろよ。当て馬ご苦労さん」
弟はベッドのほうへやってきて、片膝を乗せた。女は涙ぐんだ目を弟に向けた。
「ピル飲んどけよ」
女は頷いた。それのやり取りを横から見ていた俺が悪い。ふと弟から離された目と目が合ってしまう。人間だと思った。人間だった。俺が好き放題使った身体は人間のものだったのだ。
「ドア閉めてけ」
振り返ると、弟は女の背後で横臥し、大きな胸を揉んでいた。
【完】
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クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
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