18 / 34
18
しおりを挟む
返答に狼狽え、アルスはセルーティア氏へ視線を戻した。
「即座に傷を塞ぐことのみを望まれているのでしたら承知しました。明日、連れてきてください」
その口振りが引っ掛かる。
「あまり好くないことですか」
「傷が広く深いので、治癒術による回復はおすすめしません。ご本人の体力次第では魔凪中毒を起こさないとも限りません。傷跡が残るでしょう。おすすめはしませんが、ご本人が望まれているのでしたら、お断りもしません」
看護師見習いの学生は冷ややかな眼差しを氏にくれていた。だがその本人は、鷹揚として膜手袋を屑籠に捨てているところだった。
「僕は次の患者のもとへ行きます。お二人はそろそろ帰宅してください。シールルトくん、そちらの方を学生寮の教授棟へ案内してください」
「まだ働くんですか」
アルスは口を開いた。外はすでに真っ暗である。彼はもう昨日のことのように思えるが、つい数時間前、氏がこの広場でおかしなことを口走っていたのが気に掛かった。働きすぎなのではあるまいか。
この問いを投げかけたとき、セルーティア氏に呼ばれた看護師見習いの学生が睨むような視線をくれた。
「はい。ではまたのちほど」
「シールルトくん」と呼ばれた看護師見習いの学生は指示されたとおり、アルスを待つ姿勢をとりながら天幕を出ていった。アルスも彼を追う。
「セルーティア先生とは長いの?」
「講義をとっていましたから」
語気は冷ややかだった。距離を埋める気のない、淡白な態度である。
「あ、自己紹介まだだった。オレはアルス・セル。今日付けでセルーティア先生の助手……」
「ホーチェ・シールルト。ところでセルさん」
声がまたひとつ低くなる。友好を深めるような話が続くわけではなさそうだった。
「うん?」
「セルさんたちが、セルーティア助教授をロレンツァから呼び寄せたそうですね。フラッドさんから聞きました。あの人は、すごい人です。セルーティア助教授は。あらゆる分野に於いて卓越しています。魔科学医療に限らず、外科にしろ、内科にしろ、目にしろ、歯にしろ……今は数の少ない対魔外科として活動していますけれど……」
音吐からしてシールルトくんは、セルーティア氏が今、王都に来ていることを快く思っていないらしかった。
「あの人が王都にいる間、王都の魔科学医療は均衡を崩すでしょう」
その発言の真意を図りかねた。その様子にシールルトくんは溜息を吐く。侮るような素振りであったが不快感を覚えないのは、アルスに鈍いところがあるからか。
「治癒術による魔熱傷を起こすかどうかについての見極めができるのはあの人だけですよ。あの人は消圧と呼んでいましたが、すでにかけられている術を相殺する絶妙な調整ができるのは。あれだけ薬草治療にこだわるのは王都の医者の水準に倣おうとしているようですけれど」
シールルトくんはそう言うと、また不意と愛想なく先に進んでいってしまった。セルーティア氏のようにそもそも愛想や愛嬌というものを知らないようではなかった。氏が疎ましければ、氏を連れてきたアルスのことも疎ましいのかもしれない。
「王都の魔科学医療が均衡を崩す……っていうのは、あれはどういうこと?」
「そのうち分かるんじゃないですか。セルーティア助教授が今回はどれほど滞在するかは分かりませんが。セルさんは、王都に来るのは初めてではないんですよね?」
話しかけるなとばかりの素っ気無さである。
「初めてじゃないけど、セルーティア先生のことはよく知らない」
「百聞は一見に如かずといいますからね。ご自分の目と肌で感じるのがいいと思いますよ」
アルスは気圧されてしまった。沈黙が訪れ、そのうち王立学園へ辿り着く。王立というだけあって、立派な学生寮の教授棟の前で、シールルトくんは冷淡に去っていこうとする。
「ありがとう、シールルトくん。色々と教えてくれて」
ただ分からないのだった。優秀な人材のいることに、一体何の不満があるというのか。具体的な想像ができずにいる。
「……誰もが平等に上等な魔科学医療に繋がることができれば、きっとそれが最善なのでしょうね。けれども魔科医も人です。見解の相違も誤謬も技量の差も、経験の差だってあります。それは患者には言えないことですけれど。にもかかわらず、セルーティア助教授は1人しかいません」
背を向けたまま彼は語った。そこにあの排他的な色はなかった。
「上には逆らわないことですね。助手というのも肩書きだけのようですから、僭越ながら忠告しておきます」
アルスはやはり鈍い少年なのかもしれなかった。ただきょとんとしてシールルトくんが帰っていくのを見ていた。
王立学園から配られた助教授助手の制服はあまり彼に似合っていなかった。だらりと垂れたガウンの裾にいつ蹴躓くともかぎらなかった。大きく開いたゆとりのある袖も重苦しく邪魔で、詰襟を支えている木製のチョーカーは認証番号が彫ってあるが首元を圧迫して苦しい。皮製のブーツは縁が脛に当たる。
アルスは全身をきつく縛られた心地で、幼馴染の家へ向かった。植えられたきり手付かずの梨の木が彼女の家の標だった。自然公園の近くで、人工的な小さな滝の脇にある、赤い屋根が置物みたいに可愛らしかった。特に区切りのない庭には緑の絨毯が茂り、鮮やかな花も辺りを彩る。だが、とはいえ、自然は確かに溢れているけれども、かといって人の手の入っている不自然さも否めない、そういう家だった。
アルスは呼鈴を鳴らした。すぐに幼馴染が顔を覗かせる。当たり障りのない表情が、一瞬にして親愛に満ちた柔らかさを持つ。
「アルス……おかえりなさい。聞いたの。少し遠くへ出てたって」
「誰から?」
「ガーゴン大臣。アルスの姿が見えないって訊きに言ったら」
彼は幼馴染を前に口元を緩めていた。だがその目は彼女の顔色や頬を見ていた。そう悪いようには思えなかった。
「そう。ただいま、セレン。怪我の調子はどう?」
赤い翼の正体について……彼は訊ねないことにした。あの事件がなければ、知らないでいたことならば、彼女は打ち明けないと決めた事柄に違いない。
「昨日、高名な先生に診ていただいて、今日は街の診療所に行こうと思っていたところなの。アルスが連れてきたって、看護師長が言ってたけれど……」
「うん、そう。あの人を迎えにいくのにちょっと出てた。何も言わなくてごめんね」
セレンは首を振った。そしてアルスを部屋の中へ促すと茶を淹れるのであった。彼は自分に出されたカップと、彼女自身の持つカップの中身の違いに戸惑った。
「セレンは?」
「強めの薬が出てるから、あんまりこういうお茶は飲まないようにって。あの先生すごいね。なんでも、言い当てちゃうの」
彼女の淹れる茶は、売っているものではなかった。自身で育て、摘んでいる。
「じゃあ傷は、今のところは痛んでない?」
「うん……本当。痛んだとしてもほんの少しだけ。アルスの心配するほどじゃないから」
アルスはそのつもりもなく、彼女の双眸を凝らしていたらしかったのを、逸らされる仕草で理解した。
「ああ、ごめん……でも、それならよかった。でも無理はしないように。そのときは、セルーティア先生に頼んでみるけれど……」
幼馴染の口元に朗らかな微笑が付け加えられる。
「他の人たちと比べたら、わたしなんて掠り傷みたいなものだから。薬を飲めば自力で歩き回れるのだし、いつもの生活に戻れてる。お湯がちょっとだけ沁みるけど、それくらいだから」
洒落たカップを持ち上げる所作が美しかった。飲んでいるのが沸かしたての湯であることも忘れる。
「でもオレはセレンに無事でいてほしい」
今ならばまだ言える、一個人的な意見であった。王子に助かる見込みがある今ならば。
「ありがとう、アルス。でもそれはわたしも一緒」
澄んだ浅瀬のような色味の瞳が彼の手の甲を差す。咄嗟に隠してしまったがもう遅かった。
「肩を怪我したって、あの先生から聞いたよ」
アルスはセルーティア氏が彼女にそのようなことまで話したことに驚いていた。事情は省かれているのだろう。否、詳しい経緯については氏に説明していなかったような覚えがある。
「いや、あの、それはオレが悪くて……それはオレが悪いから。オレのことは平気。セレンはこれから診療所だっけ。そろそろ帰るよ」
出された茶を大きく飲む。
「紹介状を書いてもらったし、早く終わると思う。アルスはどうしてるの?おうち立ち入り禁止なんでしょう?」
「セルーティア先生のところで助手をするって名目で寮を借りてるよ。一緒に来た女の人がいてさ、紹介しておきたいんだ。お世話になったから。今は色々立て込んでるし、落ち着いてたら改めて」
「うん。分かった。楽しみにしてるね……あ、」
セレンは喋りながらふと、目を見開いた。アルスはその反応にびっくりする。
「何?」
「昨日、チーズケーキを焼いたのだけれど出すのを忘れちゃったなって。座ってられないから……気紛れに。アルス、持って行ってくれる?」
「う、うん。もちろん。朝ごはんまだだったし」
彼女は部屋を仕切る長台から厨へ回り、冷蔵庫を探している。人工クリスタルの恩恵がここにもある。
「もう!先に言ってよ。食べていく?玉子ライスなら作れるけれど……」
「チーズケーキ食べるよ。ありがとう。また顔を出すから、そのときに」
断ってしまった直後にふと惜しくなる。だが相手はこれから診療所に行くというような怪我人である。彼女の善意に甘えきることができなかった。アルスは茶を飲み干し、焼き菓子を受け取ると、幼馴染の家から今は天幕の占めている広場へ向かった。
「即座に傷を塞ぐことのみを望まれているのでしたら承知しました。明日、連れてきてください」
その口振りが引っ掛かる。
「あまり好くないことですか」
「傷が広く深いので、治癒術による回復はおすすめしません。ご本人の体力次第では魔凪中毒を起こさないとも限りません。傷跡が残るでしょう。おすすめはしませんが、ご本人が望まれているのでしたら、お断りもしません」
看護師見習いの学生は冷ややかな眼差しを氏にくれていた。だがその本人は、鷹揚として膜手袋を屑籠に捨てているところだった。
「僕は次の患者のもとへ行きます。お二人はそろそろ帰宅してください。シールルトくん、そちらの方を学生寮の教授棟へ案内してください」
「まだ働くんですか」
アルスは口を開いた。外はすでに真っ暗である。彼はもう昨日のことのように思えるが、つい数時間前、氏がこの広場でおかしなことを口走っていたのが気に掛かった。働きすぎなのではあるまいか。
この問いを投げかけたとき、セルーティア氏に呼ばれた看護師見習いの学生が睨むような視線をくれた。
「はい。ではまたのちほど」
「シールルトくん」と呼ばれた看護師見習いの学生は指示されたとおり、アルスを待つ姿勢をとりながら天幕を出ていった。アルスも彼を追う。
「セルーティア先生とは長いの?」
「講義をとっていましたから」
語気は冷ややかだった。距離を埋める気のない、淡白な態度である。
「あ、自己紹介まだだった。オレはアルス・セル。今日付けでセルーティア先生の助手……」
「ホーチェ・シールルト。ところでセルさん」
声がまたひとつ低くなる。友好を深めるような話が続くわけではなさそうだった。
「うん?」
「セルさんたちが、セルーティア助教授をロレンツァから呼び寄せたそうですね。フラッドさんから聞きました。あの人は、すごい人です。セルーティア助教授は。あらゆる分野に於いて卓越しています。魔科学医療に限らず、外科にしろ、内科にしろ、目にしろ、歯にしろ……今は数の少ない対魔外科として活動していますけれど……」
音吐からしてシールルトくんは、セルーティア氏が今、王都に来ていることを快く思っていないらしかった。
「あの人が王都にいる間、王都の魔科学医療は均衡を崩すでしょう」
その発言の真意を図りかねた。その様子にシールルトくんは溜息を吐く。侮るような素振りであったが不快感を覚えないのは、アルスに鈍いところがあるからか。
「治癒術による魔熱傷を起こすかどうかについての見極めができるのはあの人だけですよ。あの人は消圧と呼んでいましたが、すでにかけられている術を相殺する絶妙な調整ができるのは。あれだけ薬草治療にこだわるのは王都の医者の水準に倣おうとしているようですけれど」
シールルトくんはそう言うと、また不意と愛想なく先に進んでいってしまった。セルーティア氏のようにそもそも愛想や愛嬌というものを知らないようではなかった。氏が疎ましければ、氏を連れてきたアルスのことも疎ましいのかもしれない。
「王都の魔科学医療が均衡を崩す……っていうのは、あれはどういうこと?」
「そのうち分かるんじゃないですか。セルーティア助教授が今回はどれほど滞在するかは分かりませんが。セルさんは、王都に来るのは初めてではないんですよね?」
話しかけるなとばかりの素っ気無さである。
「初めてじゃないけど、セルーティア先生のことはよく知らない」
「百聞は一見に如かずといいますからね。ご自分の目と肌で感じるのがいいと思いますよ」
アルスは気圧されてしまった。沈黙が訪れ、そのうち王立学園へ辿り着く。王立というだけあって、立派な学生寮の教授棟の前で、シールルトくんは冷淡に去っていこうとする。
「ありがとう、シールルトくん。色々と教えてくれて」
ただ分からないのだった。優秀な人材のいることに、一体何の不満があるというのか。具体的な想像ができずにいる。
「……誰もが平等に上等な魔科学医療に繋がることができれば、きっとそれが最善なのでしょうね。けれども魔科医も人です。見解の相違も誤謬も技量の差も、経験の差だってあります。それは患者には言えないことですけれど。にもかかわらず、セルーティア助教授は1人しかいません」
背を向けたまま彼は語った。そこにあの排他的な色はなかった。
「上には逆らわないことですね。助手というのも肩書きだけのようですから、僭越ながら忠告しておきます」
アルスはやはり鈍い少年なのかもしれなかった。ただきょとんとしてシールルトくんが帰っていくのを見ていた。
王立学園から配られた助教授助手の制服はあまり彼に似合っていなかった。だらりと垂れたガウンの裾にいつ蹴躓くともかぎらなかった。大きく開いたゆとりのある袖も重苦しく邪魔で、詰襟を支えている木製のチョーカーは認証番号が彫ってあるが首元を圧迫して苦しい。皮製のブーツは縁が脛に当たる。
アルスは全身をきつく縛られた心地で、幼馴染の家へ向かった。植えられたきり手付かずの梨の木が彼女の家の標だった。自然公園の近くで、人工的な小さな滝の脇にある、赤い屋根が置物みたいに可愛らしかった。特に区切りのない庭には緑の絨毯が茂り、鮮やかな花も辺りを彩る。だが、とはいえ、自然は確かに溢れているけれども、かといって人の手の入っている不自然さも否めない、そういう家だった。
アルスは呼鈴を鳴らした。すぐに幼馴染が顔を覗かせる。当たり障りのない表情が、一瞬にして親愛に満ちた柔らかさを持つ。
「アルス……おかえりなさい。聞いたの。少し遠くへ出てたって」
「誰から?」
「ガーゴン大臣。アルスの姿が見えないって訊きに言ったら」
彼は幼馴染を前に口元を緩めていた。だがその目は彼女の顔色や頬を見ていた。そう悪いようには思えなかった。
「そう。ただいま、セレン。怪我の調子はどう?」
赤い翼の正体について……彼は訊ねないことにした。あの事件がなければ、知らないでいたことならば、彼女は打ち明けないと決めた事柄に違いない。
「昨日、高名な先生に診ていただいて、今日は街の診療所に行こうと思っていたところなの。アルスが連れてきたって、看護師長が言ってたけれど……」
「うん、そう。あの人を迎えにいくのにちょっと出てた。何も言わなくてごめんね」
セレンは首を振った。そしてアルスを部屋の中へ促すと茶を淹れるのであった。彼は自分に出されたカップと、彼女自身の持つカップの中身の違いに戸惑った。
「セレンは?」
「強めの薬が出てるから、あんまりこういうお茶は飲まないようにって。あの先生すごいね。なんでも、言い当てちゃうの」
彼女の淹れる茶は、売っているものではなかった。自身で育て、摘んでいる。
「じゃあ傷は、今のところは痛んでない?」
「うん……本当。痛んだとしてもほんの少しだけ。アルスの心配するほどじゃないから」
アルスはそのつもりもなく、彼女の双眸を凝らしていたらしかったのを、逸らされる仕草で理解した。
「ああ、ごめん……でも、それならよかった。でも無理はしないように。そのときは、セルーティア先生に頼んでみるけれど……」
幼馴染の口元に朗らかな微笑が付け加えられる。
「他の人たちと比べたら、わたしなんて掠り傷みたいなものだから。薬を飲めば自力で歩き回れるのだし、いつもの生活に戻れてる。お湯がちょっとだけ沁みるけど、それくらいだから」
洒落たカップを持ち上げる所作が美しかった。飲んでいるのが沸かしたての湯であることも忘れる。
「でもオレはセレンに無事でいてほしい」
今ならばまだ言える、一個人的な意見であった。王子に助かる見込みがある今ならば。
「ありがとう、アルス。でもそれはわたしも一緒」
澄んだ浅瀬のような色味の瞳が彼の手の甲を差す。咄嗟に隠してしまったがもう遅かった。
「肩を怪我したって、あの先生から聞いたよ」
アルスはセルーティア氏が彼女にそのようなことまで話したことに驚いていた。事情は省かれているのだろう。否、詳しい経緯については氏に説明していなかったような覚えがある。
「いや、あの、それはオレが悪くて……それはオレが悪いから。オレのことは平気。セレンはこれから診療所だっけ。そろそろ帰るよ」
出された茶を大きく飲む。
「紹介状を書いてもらったし、早く終わると思う。アルスはどうしてるの?おうち立ち入り禁止なんでしょう?」
「セルーティア先生のところで助手をするって名目で寮を借りてるよ。一緒に来た女の人がいてさ、紹介しておきたいんだ。お世話になったから。今は色々立て込んでるし、落ち着いてたら改めて」
「うん。分かった。楽しみにしてるね……あ、」
セレンは喋りながらふと、目を見開いた。アルスはその反応にびっくりする。
「何?」
「昨日、チーズケーキを焼いたのだけれど出すのを忘れちゃったなって。座ってられないから……気紛れに。アルス、持って行ってくれる?」
「う、うん。もちろん。朝ごはんまだだったし」
彼女は部屋を仕切る長台から厨へ回り、冷蔵庫を探している。人工クリスタルの恩恵がここにもある。
「もう!先に言ってよ。食べていく?玉子ライスなら作れるけれど……」
「チーズケーキ食べるよ。ありがとう。また顔を出すから、そのときに」
断ってしまった直後にふと惜しくなる。だが相手はこれから診療所に行くというような怪我人である。彼女の善意に甘えきることができなかった。アルスは茶を飲み干し、焼き菓子を受け取ると、幼馴染の家から今は天幕の占めている広場へ向かった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
婚約者の浮気相手が子を授かったので
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。
ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。
アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。
ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。
自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。
しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。
彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。
ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。
まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。
※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。
※完結しました
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~
こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。
それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。
かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。
果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!?
※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる