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「お義父様のところまで行ってきます」
従業員は裾の持ち方と歩き方を教えた。幸いにも従業員たちが付いて来ることはなかった。菖蒲の言っていた部屋を探す。廊下に立っている従業員が接客としての賛辞を述べた。愛想笑いでやり過ごし、指定された部屋の扉を開けた。
「菖蒲殿?」
洒落た垂幕が左右に結われた窓と鏡台、そして椅子のある部屋で畏まった服装の男はいなかった。
「どちらですか」
簡易的な衝立の奥から聞き覚えのある声がした。様々な角度から照明を受け、床に淡い陰がいくつも重なっていた。その主が姿を現す。白い燕尾服を着た群青がそこにいた。極彩には一瞬誰だか分からなかった。染髪を繰り返して乾燥し、色の抜けていたはずの毛先まで不自然なほど黒く、濡れたように白い輪を作っていた。傷んで跳ねていた毛先も綺麗に梳かされている。互いに硬直し、互いを認識するのに間を要することだけは互いに目を見ただけで理解した。
「群青殿…?」
「そうです」
「群青殿も、知り合いの結婚式に?」
胡桃の結婚相手は顔が広いのか、もしくは城勤めに思われた。彼は極彩から目を逸らし、室内へ彷徨わせる。そして淡く目元を染め、彼女を見つめた。いくらか気拙げで、瞳が交わることはなかった。
「そんなところです…極彩様は…」
「菖蒲殿を探していて…ここにいると聞いていたのだけれど、ごめんなさい。部屋を間違えたみたい」
「菖蒲殿?ここに来ているのですか」
群青は驚きながら何かに気付いたらしく、突然会話を止め首を曲げた。極彩も遅れてその目線の先を突き止めた。瞬間、視界が稲光のように白く爆ぜ機械的な音がした。発光した方向に探していた男が立っている。
「うん、良い。実に良いな。よし、帰りましょう」
菖蒲は胸から下げた写真機から手を離す。満足そうに言って極彩へ手招きした。彼女は群青に一瞥くれてから菖蒲へついていく。
「菖蒲殿」
群青が写真機を大切そうに抱える男をいくらか棘を帯びた調子で呼ぶ。
「なんです?」
「極彩様とどういうご関係なんです」
菖蒲は肩を竦めた。
「ご安心を。若様を裏切るような関係ではありませんよ。それだけは言えます」
白い燕尾服の青年は黙る。菖蒲に促され極彩は部屋を出た。廊下は暗かったがすぐ傍は硝子張りの通路になり、光を借りていた。
「ああ、満足です。家宝にしますよ」
写真機を抱き締め、今にも中年男は舞い踊らんばかりだった。
「ではそろそろ脱ぎます」
「待ってください。前撮り膳組入れちゃってるんで、まだダメです。誰か相手になってくれる殿方いないかな」
菖蒲はまた写真機を構える。極彩は顔を覆った。
「素敵ですよ、ええ。白百合でも月下美人でも蛋白石でも恥じらいますよ。娘氏にも着せたかったなぁ」
無機質な円形の目蓋が音とともに瞬く。機嫌は好さそうだったが、さらりとこぼされた娘への願いが身構えた腕から力を奪う。
「最近は、女性も燕尾服を好む傾向があるそうですよ」
着付けていた従業員がそう話していた。
「時代は変わりましたね。じゃあうちの娘も燕尾服が良いって言うかも知れないな…なんとなく」
彼は近くの従業員に撮影現場を訊ね、極彩に向かうよう促した。
「菖蒲殿!わたしたち、他に急用があって…急いでいるのだけれど…」
「結婚式場に下見と挙式と撮影以外、一体どんな用があるっていうんです?さっさと前撮りしますよ」
彼は彼女の肩を揉み解し、後ろに回って長い裾を持ち上げようとしたが近くに立っていた従業員が代わった。
「でも、銀灰くんとはぐれてしまって…」
「新婦さんの知り合いらしいですね。会場に行きましたよ。ささ、前撮りです。やっぱり群青さんに相手役頼もうかな。まだ時間は…ありますな」
腕時計を確認し、雑な加減で極彩の背を押す。
「前撮りなんてしてどうするんですか」
「飾るんですよ、縹殿の墓前に。あの叔父ばかっぷりったらなかったですからねぇ。それ、彼が考えていたのと一番近い形の衣装でしてね。本人…だから極彩さんにも選ばせるつもりだったんでしょうが、容態が急変しましたからね。ボクが提案したのはもう少し丈が短くて膝が出るんですけれど、脚を出し過ぎだ!って怒られましたよ」
まさかここで会えるなんてな。丁度良かった。是好、是好。菖蒲は上機嫌で服装が変わってもやはり彼は彼だった。遠く離れたこの建物が蟄居先のようにさえ思った。
「紫雷教的に言うなら天のお導き、河教的に言うなら運河の応報です」
機嫌が最高潮に達しているらしく、今日という日がいかに素晴らしいかを彼は語り、従業員が苦笑をこぼすほどだった。そして今日結婚式を挙げる者たちに対して祝福を述べ散らかし、この会場がいかに素晴らしいかを暴走したように喋った。撮影場所に着くと彼は椅子に座り、膝を撫で摩った。
「菖蒲殿」
「いやぁ、よかった。よかったですよ。きっと縹殿も喜んでいることでしょう」
膝を摩り、しかし痛がっているわけでもなさそうで、それは時折遠い目をしてやる動作だった。
「知り合いの結婚式に良いんですか。わたしに時間を割いていて」
「すぐ帰るつもりでしたからね、いいんですよ。むしろ極彩さんたちが来てくれてやっと用事ができたくらいですよ。遠路ですからね、何か用でもないと」
撮影班の準備が整い、指定された位置に立つ。強い光を当てられ極彩は暗い場所で座っている菖蒲から目を離せなかった。彼は緊張し、抑圧されている。膝を往復する仕草からはそう思えてならなかった。すべて指示に従い、撮影を終える。椅子の上の中年男はぼぅっとしながら声を掛けるその時まで現実にはいなかった。
「結婚式に出たいのですが」
「相手がいるんですか」
「そうではなく。今日、これからここである結婚式に参加したいのです。そうでなければここにはいません」
菖蒲は微かに眉を下げ極彩の瞳を捉えた。返答はない。まずは着替えましょう。話題を変えたがっていることだけははっきりしていた。だが菖蒲の言うとおり、婚礼衣装では動きづらく、参列者としてふさわしくなかった。菖蒲は宥めるような接し方で着替えのある部屋の扉の前までついてきた。着慣れた服装に戻り、数分ぶりに中年男と再会する。彼の特徴だった媚びた笑みは腫物に触れるような慎重さとぎこちなさがあった。
「煙草、吸わないんですか」
菖蒲のその違和感は喫煙に関することだと思い至る。しかし彼は吸わないと答えた。式場を探す彼女の半歩後ろを歩き、道に迷うと菖蒲がこの先だと案内した。礼を言うと彼は頭を抱えて小さく呻く。
式場は純白を基調に中心の道だけが開かれ、木製の台のような腰掛けが両端に列なっていた。片側の席は若い男女が多かった。もう片方の席は年齢層は広かったが男性ばかりが目に入った。銀灰の姿を探すがすぐには見つからず辺りを見回す。その忙しい挙動を制するように菖蒲は極彩の肩を叩いた。一旦菖蒲に外へ連れ出され、彼だけがもう一度中に入り様子を見に行った。極彩は会場入口の繊細な花の絵が描かれた淡い色調の看板を眺めた。胡桃の身請け相手は「鼠」というらしかった。彼女の勤め先は基本的に身請け制度を設けていないと聞いたことがあるだけに、この相手に対して両極端な印象を受けた。狡猾で悪どい富豪か、清廉潔白な人の好い資産家か。金色の印字を凝視、想像が妄想にまで発展しかけた時に菖蒲が出てきた。
従業員は裾の持ち方と歩き方を教えた。幸いにも従業員たちが付いて来ることはなかった。菖蒲の言っていた部屋を探す。廊下に立っている従業員が接客としての賛辞を述べた。愛想笑いでやり過ごし、指定された部屋の扉を開けた。
「菖蒲殿?」
洒落た垂幕が左右に結われた窓と鏡台、そして椅子のある部屋で畏まった服装の男はいなかった。
「どちらですか」
簡易的な衝立の奥から聞き覚えのある声がした。様々な角度から照明を受け、床に淡い陰がいくつも重なっていた。その主が姿を現す。白い燕尾服を着た群青がそこにいた。極彩には一瞬誰だか分からなかった。染髪を繰り返して乾燥し、色の抜けていたはずの毛先まで不自然なほど黒く、濡れたように白い輪を作っていた。傷んで跳ねていた毛先も綺麗に梳かされている。互いに硬直し、互いを認識するのに間を要することだけは互いに目を見ただけで理解した。
「群青殿…?」
「そうです」
「群青殿も、知り合いの結婚式に?」
胡桃の結婚相手は顔が広いのか、もしくは城勤めに思われた。彼は極彩から目を逸らし、室内へ彷徨わせる。そして淡く目元を染め、彼女を見つめた。いくらか気拙げで、瞳が交わることはなかった。
「そんなところです…極彩様は…」
「菖蒲殿を探していて…ここにいると聞いていたのだけれど、ごめんなさい。部屋を間違えたみたい」
「菖蒲殿?ここに来ているのですか」
群青は驚きながら何かに気付いたらしく、突然会話を止め首を曲げた。極彩も遅れてその目線の先を突き止めた。瞬間、視界が稲光のように白く爆ぜ機械的な音がした。発光した方向に探していた男が立っている。
「うん、良い。実に良いな。よし、帰りましょう」
菖蒲は胸から下げた写真機から手を離す。満足そうに言って極彩へ手招きした。彼女は群青に一瞥くれてから菖蒲へついていく。
「菖蒲殿」
群青が写真機を大切そうに抱える男をいくらか棘を帯びた調子で呼ぶ。
「なんです?」
「極彩様とどういうご関係なんです」
菖蒲は肩を竦めた。
「ご安心を。若様を裏切るような関係ではありませんよ。それだけは言えます」
白い燕尾服の青年は黙る。菖蒲に促され極彩は部屋を出た。廊下は暗かったがすぐ傍は硝子張りの通路になり、光を借りていた。
「ああ、満足です。家宝にしますよ」
写真機を抱き締め、今にも中年男は舞い踊らんばかりだった。
「ではそろそろ脱ぎます」
「待ってください。前撮り膳組入れちゃってるんで、まだダメです。誰か相手になってくれる殿方いないかな」
菖蒲はまた写真機を構える。極彩は顔を覆った。
「素敵ですよ、ええ。白百合でも月下美人でも蛋白石でも恥じらいますよ。娘氏にも着せたかったなぁ」
無機質な円形の目蓋が音とともに瞬く。機嫌は好さそうだったが、さらりとこぼされた娘への願いが身構えた腕から力を奪う。
「最近は、女性も燕尾服を好む傾向があるそうですよ」
着付けていた従業員がそう話していた。
「時代は変わりましたね。じゃあうちの娘も燕尾服が良いって言うかも知れないな…なんとなく」
彼は近くの従業員に撮影現場を訊ね、極彩に向かうよう促した。
「菖蒲殿!わたしたち、他に急用があって…急いでいるのだけれど…」
「結婚式場に下見と挙式と撮影以外、一体どんな用があるっていうんです?さっさと前撮りしますよ」
彼は彼女の肩を揉み解し、後ろに回って長い裾を持ち上げようとしたが近くに立っていた従業員が代わった。
「でも、銀灰くんとはぐれてしまって…」
「新婦さんの知り合いらしいですね。会場に行きましたよ。ささ、前撮りです。やっぱり群青さんに相手役頼もうかな。まだ時間は…ありますな」
腕時計を確認し、雑な加減で極彩の背を押す。
「前撮りなんてしてどうするんですか」
「飾るんですよ、縹殿の墓前に。あの叔父ばかっぷりったらなかったですからねぇ。それ、彼が考えていたのと一番近い形の衣装でしてね。本人…だから極彩さんにも選ばせるつもりだったんでしょうが、容態が急変しましたからね。ボクが提案したのはもう少し丈が短くて膝が出るんですけれど、脚を出し過ぎだ!って怒られましたよ」
まさかここで会えるなんてな。丁度良かった。是好、是好。菖蒲は上機嫌で服装が変わってもやはり彼は彼だった。遠く離れたこの建物が蟄居先のようにさえ思った。
「紫雷教的に言うなら天のお導き、河教的に言うなら運河の応報です」
機嫌が最高潮に達しているらしく、今日という日がいかに素晴らしいかを彼は語り、従業員が苦笑をこぼすほどだった。そして今日結婚式を挙げる者たちに対して祝福を述べ散らかし、この会場がいかに素晴らしいかを暴走したように喋った。撮影場所に着くと彼は椅子に座り、膝を撫で摩った。
「菖蒲殿」
「いやぁ、よかった。よかったですよ。きっと縹殿も喜んでいることでしょう」
膝を摩り、しかし痛がっているわけでもなさそうで、それは時折遠い目をしてやる動作だった。
「知り合いの結婚式に良いんですか。わたしに時間を割いていて」
「すぐ帰るつもりでしたからね、いいんですよ。むしろ極彩さんたちが来てくれてやっと用事ができたくらいですよ。遠路ですからね、何か用でもないと」
撮影班の準備が整い、指定された位置に立つ。強い光を当てられ極彩は暗い場所で座っている菖蒲から目を離せなかった。彼は緊張し、抑圧されている。膝を往復する仕草からはそう思えてならなかった。すべて指示に従い、撮影を終える。椅子の上の中年男はぼぅっとしながら声を掛けるその時まで現実にはいなかった。
「結婚式に出たいのですが」
「相手がいるんですか」
「そうではなく。今日、これからここである結婚式に参加したいのです。そうでなければここにはいません」
菖蒲は微かに眉を下げ極彩の瞳を捉えた。返答はない。まずは着替えましょう。話題を変えたがっていることだけははっきりしていた。だが菖蒲の言うとおり、婚礼衣装では動きづらく、参列者としてふさわしくなかった。菖蒲は宥めるような接し方で着替えのある部屋の扉の前までついてきた。着慣れた服装に戻り、数分ぶりに中年男と再会する。彼の特徴だった媚びた笑みは腫物に触れるような慎重さとぎこちなさがあった。
「煙草、吸わないんですか」
菖蒲のその違和感は喫煙に関することだと思い至る。しかし彼は吸わないと答えた。式場を探す彼女の半歩後ろを歩き、道に迷うと菖蒲がこの先だと案内した。礼を言うと彼は頭を抱えて小さく呻く。
式場は純白を基調に中心の道だけが開かれ、木製の台のような腰掛けが両端に列なっていた。片側の席は若い男女が多かった。もう片方の席は年齢層は広かったが男性ばかりが目に入った。銀灰の姿を探すがすぐには見つからず辺りを見回す。その忙しい挙動を制するように菖蒲は極彩の肩を叩いた。一旦菖蒲に外へ連れ出され、彼だけがもう一度中に入り様子を見に行った。極彩は会場入口の繊細な花の絵が描かれた淡い色調の看板を眺めた。胡桃の身請け相手は「鼠」というらしかった。彼女の勤め先は基本的に身請け制度を設けていないと聞いたことがあるだけに、この相手に対して両極端な印象を受けた。狡猾で悪どい富豪か、清廉潔白な人の好い資産家か。金色の印字を凝視、想像が妄想にまで発展しかけた時に菖蒲が出てきた。
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