お題アリ掌編集。

詩

お題「夜の忘れ物」hovering

夜に猛烈にオワリタクなる　意外にも朗らかに　染みわたるように

暗い空と雰囲気のせいだ　頭では分かっているのだけれど

頭で分かっているからって　一体何の救いになるのだろう？

置いてくればよかった　夜に　虚無の狭間に置いてくれば　

そこに秩序はなくて　支離滅裂な夢見セカイ　ソレガ結構ヨカッタリして


どこにいても迫りくる理屈っぽい自分トコロ　首輪めいて躊躇う

どうにも誤魔化せない　もう逃げられない　窮鼠は結局ネコのエサ


寒々と朝がきて　震える　怯える　明るいのに　太陽は嗤ってる

現実にいて　まだ苦い液面　鏡になって責めるじゃないか　

置いてくればよかった　訪れろもう一度　戻ってきて今すぐに

この身を包んで　すべて覆い隠して　今度こそはやり遂げるから

いつの間にか　ゆっくりと疲れるんだ　終わってくれ夜ごと

それか全部忘れたい　きっと思い出す　朝の屈辱ことも昼の羞恥ことまで

安らぎの虚無の時間あいだ　駆けださないためのガラスの檻

永遠に閉じ篭もっていたいけれど　日はまた昇る　やかましい希望の光が　また夜をよこす　追い付いていく　追い抜かれることはなく


残していって　遺してイくから　忘れさせてくれ　無かったことに


夢は終わらず　繰り返す　苛まれる　傷は膿み腐り剥がれ落ち　それでも塞がろうと

まだ目覚めて、立ち上がり歩く　蹌踉そうろうと　彷徨う　流離さすらう　日の下を　足掻く　嘆いて



<2021.9.3>