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生まれて初めて⑦

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ピリリリリリ

「…っんーーー?」

体が重い、というか眠い。なんだろう、部屋の中がなんだか明るい…。

頭がボーッとしたまま、けたたましく鳴り響くアラームを止めようと手を探る。

「…あっ!!!」

時間を見ると、朝の7時。昨日あの後、憂くんの部屋に泊まったんだった!!
明日2人とも一限からあるから、起きたら一緒に行こうって話したな。

「憂くん、おはよ!起きて!」

「んー……」

隣を見ると上半身裸で眠る憂くんが、不機嫌そうに身動ぎをした。布団の中で丸まったり、伸びたりして…猫みたいで可愛い。

「まだ……ねむ……」

「ダメだよー、遅刻しちゃうよ」

「んー…、叶羽くん起こして」

「いいよ、はい!おいで」

両手を伸ばしてきた憂くんをぎゅっと抱きしめて、自分の方へと起こした。

昨日の夜は、あんなにカッコよくて妖艶に感じていたけど…今はどちらかというと子供みたいに甘えてきて可愛い。

ゾクゾクするほど可愛い。

「んんぅ……」

「憂くん…」

「んっ、」

僕にもたれたまま目を擦る憂くんのおでこと、瞼にちゅっと何度もキスをした。さすがにボーッと僕を見ていた憂くんも、だんだん意識がはっきりしてきたようだ。

視点が合わさって、もう一度頬にキスをしたら、恥ずかしそうに口を引き結んだ。

「…おはよ」

「うん、おはよ。シャワー入る?」

「…はいる」

「起きれる?」

「…おきれる」

ああ、可愛い。

どんな憂くんの一面も、奥底にある姿も、誰も知らない部分も、全部僕のものにできるんだって。

そう思ったら、嬉しくてしょうがない。

「じゃあ、僕も入……」

そんな気持ちに浸りながらベッドから出ようと布団をめくる。すると、下着だけを履いた自分の足が顕に目に入って、一瞬固まってしまった。

自分の足という足の至る所に、赤い“痕”が残っているからだ。

「えええ」

慌てて洗面所へ行って鏡の前に立つと、そこにいる自分の体にはやはり。色んなところにくまなく痕が付けられていた。

そうだ…昨日、痕を付けられてる途中で寝落ちしてしまったような。もしかして僕が寝た後もつけてたのかな?

でも、ギリギリ服を着たら人からは見えない所にしかついてない。

「叶羽くん?どうしたの?」

「えっいや…、すごいたくさんついてるなって」

「昨日体中につけていいよって言ったでしょ?」

「うん…」

「一緒にシャワー入ろ」

背中からハグをしてそう囁いてきた憂くんは…もう昨日の憂君に戻ってる。

そして愛おしそうに、僕の首に触れるだけのキスをした。

「…嬉しくて、沸騰しそう」

「っふっ、あははは!沸騰するって…」

「な、なんで笑うの!」

「ううん。叶羽くん面白いなーって」

僕に見せてくれた、くしゃっとした無邪気な笑顔。
もう、全部独り占めしたいくてしょうがない…。

「でも、服着たら見えないね」

「うん。見える所にはつけない」

「なんで?」

「キスマが見えたら、他の人にエロい目で見られるかもしれないでしょ。叶羽くんをそういう目で見られたくない」

「えー…そんなことな……」

いや、そっか。

憂くんと再会してすぐの頃、一緒にご飯食べた時に憂くんの首筋にキスマが見えて…どうしようもなくドキッとしてしまったのを思い出した。

確かに、それだけで余計に色っぽく見えてしまった。

「そ、そっか。そういうものかな」

「うん、だから俺にしか見えなくて、俺しか触れない所につけるの。服の下はそうなってるんだって思ったら…俺だけが叶羽くんを独占してるって実感するでしょ」

「…っう、うん」

さっきまで眠そうな子供みたいだったのに、ずるい。
僕の心臓がもたないよ。

「あ!時間やばい!早く入ろ!」

「わっ待って待って!服!」

そうだ…!それと、今日行ったら俊太にも報告しなきゃ!
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