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1.
手繋いだことある?
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朝。昨日あんなことがあっても朝はくる。
まだ整理つかないけど…とりあえず日下部は同じクラスだし顔を合わせるし。
「風音おはよー!」
「あっ玉木、おはよう」
昨日の話通りなら…僕は今日から雪菜さんにアタックすることに…なるんだよね。しかも日下部がなんか教えるとか言ってたけど。
「はー今日から普通授業とかダルいなー。なぁ?風音」
「…あのさ、玉木って彼女いたことあるんだよな?」
「は?なに急に。あるけど」
「もしさ、その、彼女を…うば…」
「うば?」
「いや、なんでもない…」
昨日、日下部からとりあえず逃げて、玉木と合流したのはいいものの…折角のチーズバーガーセットが喉を通りにくいくらいには、衝撃を受けていた。
玉木に聞いてみようにも、中々こんな話聞けるわけない…。
言うなとは言われなかったけど、日下部もあんな重い話言いふらされたくはないだろう、きっと。
てか、好きじゃないっていつから?
もしかして1年の時からか?
見かける度に雪菜さんに優しく微笑んで話してたのは?
あれは演技ってこと!?
「あーーー…」
「なんだよ、昨日からうんうん唸って。なんか悩み?補習が心配?」
「そっ…それもあるけど」
「じゃあ、やっぱ転んだとこ痛いの?」
「痛いけど大丈夫…」
「じゃあ、なんだよ」
言えない!!相談したいけど、やっぱ言えない!
昨日のも階段で1人でコケて保健室行ってたって話したし…。
「ちょ、ちょっと雪菜さんのこと考えちゃってて…」
「またぁ?あんなにショック受けてたのに?お前ほんとに女々し…一途だな」
「女々しいって言ってるよそれ」
日下部はああ言ってたけど…そうなんだよな、ヘタレで女々しい僕を雪菜さんが好きになるなんて有り得るのか…?
「あ、噂をすれば」
「え?」
「零君と彼女が歩いてるよ、そこ」
「っ!!んなっ」
玉木が指さした方には、まさしく並んで一緒に歩いている日下部と雪菜さんの姿が。
今まで悔しいとしか思ってなかったけど…あんな話を聞くと見方が変わってしまう。
あいつ、日下部は…なんであんな風に笑ってられるんだ?好きじゃないのに別れられないって、ほぼ強制って感じじゃ…
なのに、なんであんな優しい顔で雪菜さんと一緒に居られるんだよ。
「…って、僕が気にするとこそこじゃないよな」
「風音くん、おはよう」
「うっ!?うわ!?」
「あ、玉木くんも一緒だね。おはよう」
「おはよー!零君」
な、な、なんで少し離れたとこにいたのに、日下部が僕の目の前にいるんだよ!
「お、おはよ。お、お前、雪菜さんは…」
「友達見つけたから、話したいから先行くねって言ってきたよ。ちゃんと風音くんの名前言っといた」
「…へ、へぇ」
こいつ、やっぱり昨日のこと本気だ。
雪菜さんにまずは僕のこと覚えさせようとしてる気がする。
「えっなになに、2人仲良くなったの!?いつの間に!?」
「いや仲良くっていうか…」
「だって彼女に話すほど友達って!!何があって?昨日少し話しただけじゃん?え、風音どういうこと?」
うわー…そうだよね。日下部とのことは何も知らない玉木からしたら、昨日初めて話したのに何で?ってなるよ。
しかも雪菜さんの彼氏って僕からしたら、ライバル的な感じなのに…って。
「なになに?連絡先でも交換したとか?」
「い、いやその…」
「あ、ごめんね。僕は人との距離近い方でさ。もうクラスのみんなのこと友達だと思っちゃってて」
僕の隣からスルッとそう言ってフォローしてくれる日下部。
あ、いつもの優しい爽やかな感じに戻ってる。
「いい人ーー!よかったなぁ風音!ライバルとかどうでもいいじゃんもう!あ、じゃあ俺も友達ってことでいいの?」
「うん、もちろん」
「はぁ。玉木、バカ…」
今ので納得するのか。バカでよかったかも。
ライバルって言っちゃってるけど。
てか、なんで僕を真ん中にして3人で肩並べてるんだ。
「おい、くさか…!?」
えっ。なんで。
「てかさ、零君は頭いいの?得意な教科なに!?」
「よくはないけど…全体的にまんべんなくかな。でも数学とか得意だよ」
「まじ!?風音教えてもらえよ!!」
「……っ」
「風音?どした?」
「あぁ!!うん!そうだよな!次補習になったらやばいし!」
こいつ、なんでそんな平然とした顔で話せるんだよ。
だって、だって…!!
なんで僕と日下部は手繋いでるんだ!?
急に手握られた。え、誰かと手繋ぐとか初めてなんだけど…!?
これ玉木に見えてないよな!?ちょうど死角だから見えないよな!?
しかも、力強!!振り解けない…。
「じゃあ、よかったら僕教えようか?」
「へ、あ…?」
「僕の勉強にもなるし、風音くんのためにもなるかなって」
「……っ」
「どう?」
「あーあー!うん!そうだな!うん!!教え、うん!ははは、数学うん!」
「風音なにそのテンションの上がり方(笑)」
「上がってない!!」
いや、待って。
これ、こんなの。男でこんな心臓バクバクいってたら、好きな子と手繋いだらどうなっちゃうんだ?自分。
そもそもなんで手繋いできてるんだよ!こいつ!!
「あ!山田がいる!俺ちょっと行ってくるわ!」
「え?あ、う、うん!!」
玉木が他の友達のとこ走って行った。
た、たすかった…。心臓飛び出るかと思った。
「おい!離せ日下部!何してんだよ!」
「なにが?」
「なにがって…なに手なんか繋いできて…!」
「練習だよ、昨日言ったじゃん。恋愛に慣れてない風音君に僕が色々おしえてあげるって」
「…っそれでも、急にこんなことするなよ!誰かに見られたら!」
「顔真っ赤だね」
「……っ!!」
「男相手に手繋いだだけで、そんなんになっちゃうなら…これからどうなるんだろうね」
まだ整理つかないけど…とりあえず日下部は同じクラスだし顔を合わせるし。
「風音おはよー!」
「あっ玉木、おはよう」
昨日の話通りなら…僕は今日から雪菜さんにアタックすることに…なるんだよね。しかも日下部がなんか教えるとか言ってたけど。
「はー今日から普通授業とかダルいなー。なぁ?風音」
「…あのさ、玉木って彼女いたことあるんだよな?」
「は?なに急に。あるけど」
「もしさ、その、彼女を…うば…」
「うば?」
「いや、なんでもない…」
昨日、日下部からとりあえず逃げて、玉木と合流したのはいいものの…折角のチーズバーガーセットが喉を通りにくいくらいには、衝撃を受けていた。
玉木に聞いてみようにも、中々こんな話聞けるわけない…。
言うなとは言われなかったけど、日下部もあんな重い話言いふらされたくはないだろう、きっと。
てか、好きじゃないっていつから?
もしかして1年の時からか?
見かける度に雪菜さんに優しく微笑んで話してたのは?
あれは演技ってこと!?
「あーーー…」
「なんだよ、昨日からうんうん唸って。なんか悩み?補習が心配?」
「そっ…それもあるけど」
「じゃあ、やっぱ転んだとこ痛いの?」
「痛いけど大丈夫…」
「じゃあ、なんだよ」
言えない!!相談したいけど、やっぱ言えない!
昨日のも階段で1人でコケて保健室行ってたって話したし…。
「ちょ、ちょっと雪菜さんのこと考えちゃってて…」
「またぁ?あんなにショック受けてたのに?お前ほんとに女々し…一途だな」
「女々しいって言ってるよそれ」
日下部はああ言ってたけど…そうなんだよな、ヘタレで女々しい僕を雪菜さんが好きになるなんて有り得るのか…?
「あ、噂をすれば」
「え?」
「零君と彼女が歩いてるよ、そこ」
「っ!!んなっ」
玉木が指さした方には、まさしく並んで一緒に歩いている日下部と雪菜さんの姿が。
今まで悔しいとしか思ってなかったけど…あんな話を聞くと見方が変わってしまう。
あいつ、日下部は…なんであんな風に笑ってられるんだ?好きじゃないのに別れられないって、ほぼ強制って感じじゃ…
なのに、なんであんな優しい顔で雪菜さんと一緒に居られるんだよ。
「…って、僕が気にするとこそこじゃないよな」
「風音くん、おはよう」
「うっ!?うわ!?」
「あ、玉木くんも一緒だね。おはよう」
「おはよー!零君」
な、な、なんで少し離れたとこにいたのに、日下部が僕の目の前にいるんだよ!
「お、おはよ。お、お前、雪菜さんは…」
「友達見つけたから、話したいから先行くねって言ってきたよ。ちゃんと風音くんの名前言っといた」
「…へ、へぇ」
こいつ、やっぱり昨日のこと本気だ。
雪菜さんにまずは僕のこと覚えさせようとしてる気がする。
「えっなになに、2人仲良くなったの!?いつの間に!?」
「いや仲良くっていうか…」
「だって彼女に話すほど友達って!!何があって?昨日少し話しただけじゃん?え、風音どういうこと?」
うわー…そうだよね。日下部とのことは何も知らない玉木からしたら、昨日初めて話したのに何で?ってなるよ。
しかも雪菜さんの彼氏って僕からしたら、ライバル的な感じなのに…って。
「なになに?連絡先でも交換したとか?」
「い、いやその…」
「あ、ごめんね。僕は人との距離近い方でさ。もうクラスのみんなのこと友達だと思っちゃってて」
僕の隣からスルッとそう言ってフォローしてくれる日下部。
あ、いつもの優しい爽やかな感じに戻ってる。
「いい人ーー!よかったなぁ風音!ライバルとかどうでもいいじゃんもう!あ、じゃあ俺も友達ってことでいいの?」
「うん、もちろん」
「はぁ。玉木、バカ…」
今ので納得するのか。バカでよかったかも。
ライバルって言っちゃってるけど。
てか、なんで僕を真ん中にして3人で肩並べてるんだ。
「おい、くさか…!?」
えっ。なんで。
「てかさ、零君は頭いいの?得意な教科なに!?」
「よくはないけど…全体的にまんべんなくかな。でも数学とか得意だよ」
「まじ!?風音教えてもらえよ!!」
「……っ」
「風音?どした?」
「あぁ!!うん!そうだよな!次補習になったらやばいし!」
こいつ、なんでそんな平然とした顔で話せるんだよ。
だって、だって…!!
なんで僕と日下部は手繋いでるんだ!?
急に手握られた。え、誰かと手繋ぐとか初めてなんだけど…!?
これ玉木に見えてないよな!?ちょうど死角だから見えないよな!?
しかも、力強!!振り解けない…。
「じゃあ、よかったら僕教えようか?」
「へ、あ…?」
「僕の勉強にもなるし、風音くんのためにもなるかなって」
「……っ」
「どう?」
「あーあー!うん!そうだな!うん!!教え、うん!ははは、数学うん!」
「風音なにそのテンションの上がり方(笑)」
「上がってない!!」
いや、待って。
これ、こんなの。男でこんな心臓バクバクいってたら、好きな子と手繋いだらどうなっちゃうんだ?自分。
そもそもなんで手繋いできてるんだよ!こいつ!!
「あ!山田がいる!俺ちょっと行ってくるわ!」
「え?あ、う、うん!!」
玉木が他の友達のとこ走って行った。
た、たすかった…。心臓飛び出るかと思った。
「おい!離せ日下部!何してんだよ!」
「なにが?」
「なにがって…なに手なんか繋いできて…!」
「練習だよ、昨日言ったじゃん。恋愛に慣れてない風音君に僕が色々おしえてあげるって」
「…っそれでも、急にこんなことするなよ!誰かに見られたら!」
「顔真っ赤だね」
「……っ!!」
「男相手に手繋いだだけで、そんなんになっちゃうなら…これからどうなるんだろうね」
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